2017年09月02日放送放送内容まるわかり!

ギョギョギョッ!! 日本の食卓から魚が消える?

サンマが不漁で高値が続いています。平成20年には34万トン以上あった国内の水揚げが、去年は10万トンにまで減少。背景にあると見られているのは海外との"争奪戦"です。日本は7月の国際会議で漁獲量制限を提案しましたが合意にいたりませんでした。 サバやイカも水揚げ減少が懸念されており、このままでは手ごろな価格で食べられなくなるかも・・・。なぜ争奪戦が加熱?これからも魚を食べ続けるためには?深読みします。

今週の出演者

専門家

勝川 俊雄さん(東京海洋大学 准教授)
野本 良平さん(水産販売会社 社長)
合瀬 宏毅 (NHK 解説委員)

ゲスト

向井 慧さん(お笑い芸人)
松本 明子さん(タレント)

今週のグラフィックレコーディング

グラフィックレコーダー
山田 夏子さん


徳永 アナウンサー
さあ、お客さん。いいのが入りました!カツオでしょ、

サバでしょ、タコにイクラ、クロマグロ。サンマも来たよ。

向井 さん
ずいぶん豪華。

徳永 アナウンサー
隣のウナギは生きてまっせ。ちょっと逃げるかもしれないけど。でもね、これ、全部高くなっちゃってるんですわ。

松本 さん
最近スーパー行くと、サンマが小さくて高いんですよ。

首藤 アナウンサー
私も、前はひとパックに切り身が4枚入ってたのに、3枚になってて、驚いたことが。

徳永 アナウンサー
申し訳ないね。

首藤 アナウンサー
どうして魚が高くなっているのか、そのへんを教えてもらいたいと思います。では魚屋さん、お願いします。


プレゼンテーション

徳永 アナウンサー
皆さんは高い高いって言っていますが、魚屋さんや漁業者の皆さんは、やっていけないんじゃないかっていう話です。
魚を直接買わない方、いるかもしれませんが、お世話になってますよ。コンビニ行っても

切り身、チンするだけで食べられる。おにぎりの具はおかかやサケが大人気。それから、朝のおみそ汁、そのだしは?松本さん、地元・香川のさぬきうどん。向井さん、地元・名古屋のきしめん。だしは何で取ってましたっけって話ですよ。

向井 さん
お魚か。そこらへんのものも高くなるってことですか?

徳永 アナウンサー
日本って、本当に魚食文化。

日本近海で捕れる魚の種類は3900種ほど。こんなにたくさん捕れるのは日本ぐらいじゃないかと言われています。

うちの魚屋の人気トップ10がだいたいこの商品。日本人がよく買っていくのもだいたいこの10品。軒並み、うち用意できなくなってます、いま。本当に厳しい。

松本 さん
どうして?

徳永 アナウンサー
皆さん、こう思ってるでしょ。

もっと安く!もっとたくさん!もっと新鮮!もっとおいしく!

向井 さん
そりゃそうですよ。

徳永 アナウンサー
私もお客さんに喜んでほしいと思ってるんですが、もう限界なんです。

松本 さん
何があったのよ。

徳永 アナウンサー
それぐらい大変なんです。まず、用意できなくなっている魚を順番に見ていきます。まず、私も好きなイカ。

松本 さん
イカは最近見ない。スーパーで見ない。

徳永 アナウンサー
もうお別れしなきゃいけないぐらい。うちの店では。

松本 さん
えーっ。

向井 さん
えぇ?

徳永 アナウンサー
いまスルメイカが記録的な不漁なんですって。その原因は海の環境の変化と言われています。自然のせいだって言っちゃうと、またいつか回復するわって、この話忘れちゃうんですけど、もっと本質的な問題がいっぱいあるんです。

松本 さん
なんだろう?

徳永 アナウンサー
今週のニュースになったマグロ。うち、皆さんに買ってほしいんだけど、用意できなくなってる。捕りすぎ。資源が枯渇するっていうんで、みんなで我慢しましょって話になってきてます。もう安くていいマグロ、なかなか手に入んないんですよ。
でもね、これだけでもないんです。

サンマ。うちはこれ、さよなら。

松本 さん
秋の味覚じゃないですか。旬ですよ、これから。

徳永 アナウンサー
泣きそうなんです。聞いてください。さまざまな理由がありますが、これも大きいんじゃないかという理由があります。

ほかの国も、魚がおいしいって気付いてるんですよね。

サンマというのは、太平洋をこんな感じで動いて泳いでいます。この季節になるに従って脂が乗って、日本に近づいてきたところで捕るので、北海道とか東北の港に水揚げされるんです。中国や台湾の漁師さんはどうしているかっていうと、この手前のとこに来て、大きい漁船で、ばっと。

向井 さん
そこで捕っちゃうんだ。

徳永 アナウンサー
だから、日本に水揚げされるサンマ、去年が過去最低だったんですが、ことしはさらに下回るんじゃないか。いろんな理由があるうちの1つではないかと言われている。

向井 さん
いままであんまり中国とか台湾は、サンマを捕らなかったんですか?

徳永 アナウンサー
気付いちゃったのね、おいしいって。

松本 さん
でも、勝手に来て捕っちゃっていいんですか?

徳永 アナウンサー
そこでしょ。答えはね、いいんです。気持ちは分かるけど、いいんです。陸から遠く離れた海は、公の海と書いて「公海」と読みます。公海は、どの国がどの漁をしようと、基本的には自由。国際会議で日本がほかの国に「なんとかしてくださいよ」って言うと、大概こういう空気になります。"あんたの国には言われたかない"。

向井 さん
ってことは、日本もどっか違うところで...。

徳永 アナウンサー
この旗見てください。昔いっぱい捕ったんです、日本。世界中で。
「排他的経済水域」って、最近北朝鮮のニュースでも、よく聞きますよね。これは、そもそもかつて日本が世界中で漁をして、陸の近くでもたくさん捕るので、ルール作らにゃいかんなといってできたっていうのが最大の理由と言われています。これが世に言うブーメランという。

向井 さん
戻ってきちゃってますね、自分らに。

徳永 アナウンサー
だから、なかなか強くも言えず。 実はこれと同じ要領で、最近なかなか手に入らなくなってるのが、このカツオ。

松本 さん
カツオも?

徳永 アナウンサー
カツオがいない。ばかもーん。
実はフィリピンと捕り負けてると。フィリピンの人もカツオのおいしさに気付いちゃった。

松本 さん
気付いちゃった。

徳永 アナウンサー
はい。これが大きいんです。

外国の人が魚好きになってる。これです。魚離れって日本ぐらいみたいで、世界の魚介類の消費量はどんどんどんどん増える一方です。
ということは、中国や台湾の船だけじゃないんです。

ライバルはここにも。

松本 さん
争奪戦?

徳永 アナウンサー
魚屋さんに来る魚は、日本の漁師さんが捕ってくるだけではないですよね。輸入してますよね。商社の人が世界中行って買い付けてきますよ。

松本 さん
確かに外国産増えましたよね。

徳永 アナウンサー
昔は魚そんな食べなかったから日本がどんどん買えたんだけど、みんな欲しがるから、値段がどんどん上がっております。
つまり、安くおいしいものを手に入れるのはなかなか苦しくてですね、この要領でいくと、どんどんとお別れしなきゃいけない魚が増えてきます。

向井 さん
まだあるんですか?

徳永 アナウンサー
タコ。

向井 さん
あら。あ、さよなら。

徳永 アナウンサー
エビ。

松本 さん
いやいやいやいや。

徳永 アナウンサー
サケ、サバ。

向井 さん
これはとんでもないことですね。こんな魚屋さんだったら。

徳永 アナウンサー
専門家の先生に取材するとね、ことし、アジやブリは捕れています。それはたまたま捕れているだけであって、環境が変わったり、状況変われば、少なくなってる傾向には変わりないそうで、これもどうなるかっちゅう話です。

松本 さん
困りますよ、魚なくなっちゃったら。

徳永 アナウンサー
どうしても食べたいって方もいると思います。うちはこれぐらいなら用意できます。

首藤 アナウンサー
ちっちゃいサバ。

向井 さん
ししゃもじゃないですよね?

徳永 アナウンサー
実は昔から日本でいいサバ捕りすぎちゃって、いま輸入がほとんどなんですけど、日本近海で、ちっちゃいのでよければなんとか捕ってこられるそうです。

首藤 アナウンサー
ちょっと食べづらい。

徳永 アナウンサー
これ食べたいっていうんだったら調達できます。
ちなみにお客さん、いまこのちっちゃいサバ、何に使ってるかっていうと、人間が食べるっちゅうより、犬や猫のペットフードとして缶詰で使われております。

松本 さん
えーっ。

徳永 アナウンサー
これを人間が食べるっていうんだったら、うちもなんとかご奉仕できます。
でも、お客さん、安くていいのが欲しいって言うでしょ。無理してるわけ、みんな。

松本 さん
うわあ、困っちゃったなあ。

徳永 アナウンサー
これで考えていただける?

首藤 アナウンサー
番組でアンケート採ったんですけれど、「スーパーや飲食店などで魚の値上がりや品不足を実感することがありますか?」。「ない」と答えた人が55%。半分以上の方は実感すらないというか。

向井 さん
確かに僕は、自炊そんなにしないので、そこまで実感してなかったんですよ。どれぐらい高くなってるのかも、ぴんとこないというか。

松本 さん
居酒屋さんとかに行くと、お刺身とか、お魚は出てきますよね。

徳永 アナウンサー
皆さんがぴんとこない理由はそこなんです。皆さんが直接接する大型のスーパーさん、定食屋さん、居酒屋さんが、お客さんが安くないと買ってくれないと思ってるから、値段を変えないんです。
つまり、誰が損してるかっていうと、流通業者さんや漁業に携わってる皆さんの収入がどんどんどんどん減っているだけなんです。ですから、あとが、次がいないんです。廃業する方も多いんです。だから、日本の魚食文化は風前のともし火、かつてない大ピンチってことをきょうこそ考えていただきたいんです。もう営業はできません。私もきょうをもって店を閉めたいと思います。漁業のことを先生にいっぱい聞いてください。さようなら。

首藤 アナウンサー
ここまで危機的な状況なんですか?

野本 さん
ですね。すぐにこうはならないですけど、昔は豊かでね、安くいい魚が大量に手に入ったのが、いまはどんどん減ってきて、いまきちんと手を打たないと、こういう未来が待ってるということになりかねないです。

首藤 アナウンサー
野本さんは居酒屋や回転寿司でもお仕事されていた。実際、回転寿司なんかは値段どうです?

野本 さん
お客様は安いものを求められますので、涙ぐましい努力で。例えば、イクラであれば軍艦ですね。きゅうり、最近でかくねえ?みたいな。粒数を減らして。イクラも、全然捕れなくてですね、いまサケが。値段がめちゃめちゃ上がってまして。4000円だったイクラが、いま築地で8000円とかですね、平気でしてますので。

勝川 さん
ただ、末端価格いきなり倍にしますって言っても、お客さん困るんで、結局真ん中の人たちがなんとかやりくりして、粒の数を減らしたりとかね、なんとか頑張ってる。

向井 さん
粒を半分にするわけにはいかないですもんね。

野本 さん
あとは、100グラムで100円で売ってた、スーパーで特売のサケが、90グラムになり、80グラムになり、いま70グラム。切り方を斜めにして、薄く。面は変えずに。

松本 さん
ちょっとずつ、ちょっとずつ。

野本 さん
どんどん薄くなってるのが実情ですね。

松本 さん
いちばん厳しいんですね、真ん中にいる方が。

野本 さん
真ん中にいる方と、漁業者の方々に、結局負担がいってしまってる。

松本 さん
本当に海にお魚さんは少ないんですか?

勝川 さん
漁獲は非常に減ってますね。例えばマグロとかウナギが減ってるっていうことは皆さんご存じだと思うんですけど、それだけじゃなくて、身近だった魚もだいぶ減ってまして、例えばホッケね。僕が学生時代はとにかく安くてでかい魚の代名詞で。貧乏学生にとっちゃ非常にありがたいものだったんだけど、お皿からはみ出るような大きいホッケ、最後にいつ食べたか覚えてます?

松本 さん
最近はないですね。

向井 さん
確かに。

勝川 さん
っていうのも、いま北海道で漁に出てもホッケがほとんど捕れないんで、漁師さんがホッケ捕りに行かなくなっちゃったっていうぐらい減ってるんですね。ただ、ホッケ、コンビニに行ったら並んでるんですよ。
あれは何かって裏返して見てみると、シマホッケって書いてあって、これ、日本の真ホッケじゃなくて、アラスカから輸入されている別の魚なんですね。

向井 さん
別の魚なんですか?

勝川 さん
でも、気が付かないですよね。それはみんなが、世界中から魚を探してきたりとか、そういう形で中間の流通の人たちがなんとかやりくりをして魚を確保してる。でも、それももうそろそろ限界に来てるっていうことなんです。

首藤 アナウンサー
築地に集まらないんですか?そうなると。

勝川 さん

こちらが築地の入荷量。

松本 さん
半分ですよ。1987年から比べたら。

勝川 さん
バブルまでの時代は、日本が魚を世界でいちばん高く買ったんですね。世界中の漁業国が日本にどうやって買ってもらうっていう形でやってて、ほっといても向こうから魚がどんどん送られてくる、そういう状況だったんですけど、いま日本の魚価って世界の中で見てかなり安いんですよ。
以前、「買い負け」って結構ニュースになってたんですね。日本の商社が海外の商社に買い負けちゃって、奪われるってね。つまり、負けたらニュースになるぐらい、勝って当たり前だったんです。いまは負けて当たり前だから、ニュースにならない。


グラフィックレコーディング

徳永 アナウンサー
皆さんの声を可視化できるように、ずっとリアルタイムで書いています。

担当は山田夏子さんです。トロがいちばん好きだそうです。

「そういやサンマが買えない高級魚だよね」「見切り品、値下げしてないと買えません」。それから、これだ。

「最近イカ、スーパーで見ない」。

松本 さん
イカ、見ないです。うん。

首藤 アナウンサー
あと、視聴者の方から、外国が悪いんじゃないですか?と。

視聴者の声

京都府・40代・女性
「混乱をもたらしているのは中国の乱獲が原因だと思っている」。

福島県・50代・男性。
「中国や北朝鮮、韓国などが国際ルールを守るかが心配」。

向井 さん
先ほどもちょっとありましたもんね。巨大漁船。

合瀬 解説委員
いま、世界的に魚の需要が伸びてるんですよね。
いまでも日本人がいちばん食べてるんですが、日本人が食べてる魚っていうのは徐々に減ってきてるんですが、逆に外国の人たちは増えてるんです。
世界の漁獲量を見てみますと、かつては日本がいちばん世界で捕ってたんですが、いまや。

松本 さん
逆転しちゃった。

合瀬 解説委員
EUとかアメリカに抜かれて、中国が相当多い。中国はかなり養殖の部分が多いんですけれども。世界中で冷凍技術が発達してきましたから、それまでは沿岸部だけの人しか食べられなかったのが、内陸の人たちまで食べられるようになったと。しかも、農業みたいに投資しなくていい、とにかくそこにいるわけですから、どんどん捕ってしまうわけですね。それまでは、近くにいる魚だけで済んでたのが、どんどん公海、遠くまで行って、世界中の魚をみんなで争奪戦が始まってるということなんですね。

向井 さん
でも、ルールを別に破ってるわけではないんですか?

合瀬 解説委員
じゃないんですよ。要するに、大きく回遊するマグロだとか、そういう魚については、世界でどれだけの量を捕ろうねっていう漁獲量の配分を決めてたりするんですが、ほかの魚については、ほとんど科学的なデータがないっていうことで、あまりやってないんですよね。

野本 さん
例えば林業でしたら、はげ山になったねっていったら、そろそろ植林しなきゃいけないねとか、木切るのやめになるんですけど、海って見えないもんですから、捕っても捕ってもまだ来るんじゃないか、捕れるんじゃないかっていうのがあるんでですね。
あと、気候、温暖化のせいにして、ことしはたまたま不漁みたいな。ただ、実は全体的に魚が減ってるのは紛れもない事実なんですね。

勝川 さん
中国・韓国だけが悪いっていうわけでは全くなくて、ホッケだって、ほとんど日本しか捕ってないわけですよ。そういう資源も非常に悪い。
例えば中国や韓国が捕りに来るのは東シナ海とか日本海側。瀬戸内海とか入ってきようがないけど、瀬戸内海の資源は豊富なのかっていうと、そんなことは全くない。

松本 さん
減ってるんですか?

勝川 さん
減ってます。日本の国内でもきちんとできてないんですね。今後サンマとか、国際的な資源、公海の魚っていうのは、みんなでルールを作らないと守れない。でも、日本の海域にいる魚は、日本がちゃんとルールを作れば守れるんですね。ただ、これが日本はできてない。だから、ホッケがなくなっちゃう。

首藤 アナウンサー
日本のやり方の何が問題なんですか?

勝川 さん
ルールがほぼないんですね。日本ってもともと、魚を多く捕るっていうことにかけては非常に得意な国なんですね。昔は漁業が盛んじゃない国には手つかずの資源がいっぱいあって、使いたい放題だったんです。それが、今度は沿岸200海里には入って勝手に捕っちゃいけませんよってルールになって、そうなると、自由に捕れる魚っていうのが非常に減ったんです。
逆に自分の200海里は自分の国だけで使えるようになった。だから、そこをちゃんと魚を残しながら持続的に捕っていくっていう、そういう仕組みに変えられるようになったんですね。いま、そういう仕組みに変えた国って魚が増えて、非常に漁業もいい状態なんです。

向井 さん
例えばどこですか?

勝川 さん
ノルウェーとか。ノルウェーサバっていつ行ってもスーパーにありますよね。きちんとした政策があれば、漁業は成長産業になるんですね。

日本の場合は、基本的に漁獲規制っていうのが少ないんですね。漁獲量、どこでだけ捕っていいですよっていう規制がほとんどない。だから、捕れるだけ捕れちゃうんですね。

松本 さん
捕ったもん勝ち。

勝川 さん
日本の場合、国が漁獲枠を設定してるのはサンマとかサバとか、そういうメジャーな7魚種しかない。

向井 さん
7だけ?さっき3900種類とかあるって言ってましたけど。

勝川 さん
それも、頑張って捕っても捕りきれない漁獲枠になってるんです。
例えばね、サンマは、去年一生懸命捕りに行って、11万トンしか日本は捕れなかったんです。ことしは日本のほうに向かってくるサンマが、去年の半分ぐらいだって分かってるんですね。日本が日本の漁業者に対してサンマの漁獲枠、何トンに設定してるかっていうと、28万トンなんです。それって規制って言わないですよね。

松本 さん
無理、無理。上回ってるじゃないですか。

合瀬 解説委員
いまの話を整理すると、海には2つあって、1つは自分のところで管理できる海ですね。そこは勝川さんがおっしゃるように、自分のところで資源を管理しなきゃいけない。ちゃんと持続的にずっと食べれるように管理しましょうねっていう話。
もう1つ、さっき出てきた公海っていう、これはみんな捕れる海。さっきサンマの話が出てきましたけども、公海ってみんながどの国でも捕れる海域については、どれだけ捕ろうか決めましょうよっていう話し合いが、いまあちこちで行われてるんですね。

実はことし7月に、サンマについても、各国でどれぐらい捕っていいか決めましょうよという話し合いをしたんですが、全体で56万トン捕りましょうねと。みんなの国と地域でですね。じゃあどれだけ捕るか、日本が提案した数字がですね...。まず日本が半分の24万トン捕りましょうと。

松本 さん
ずいぶん捕るね。

合瀬 解説委員
台湾には19万トンでいいでしょうねと。ロシア、中国はこのくらいにしましょうねっていう提案を出したんですね。

首藤 アナウンサー
通じますか?これ。

向井 さん
これはなかなか、ほかの国からしたら。

合瀬 解説委員
だいたい、こういう漁獲枠を決める時は実績主義で、それまでどれだけ捕ってたかでやるんですね。日本とか台湾とかがどんどん捕ってましたから、このぐらい割り当てにしようねってやったんですが、中国なんかは、いままでたくさんあんたたちが捕ったんだから、あんたたちが本来は我慢すべきだろうと。でも、日本としては、実績主義からいったら、われわれがいっぱい捕ってたんだから、これだけにしようよ。でも、これではね、なかなかまとまらないですね。だから公海は、どれだけ調整するか、配分するかっていうのがすごく難しい問題で、マグロなんかでもサンマなんかでも毎回もめるわけですね。

首藤 アナウンサー
これは、もめるのが目に見えてしまうというか。

勝川 さん
あと、サンマが最近減ってるというのも、またそれを難しくするんですよね。例えば去年は120万トンのサンマが来て、全体で30万トン捕ったんですね。ということは、だいたい25%ぐらいの漁獲率であった。これぐらいだったら資源の持続性に対してそれほど問題ないんですけど、ことしはだいたい60万トンしか来てないのに、例えば56万トン捕ったらかなりやばいじゃないですか。だから、この枠自体、甘い。

松本 さん
ほとんどですよね。根こそぎ。

勝川 さん
もしことしも同じようにみんなが30万トン捕ると、漁獲率って50%まで上がっちゃうんですよね。こういう形で魚が減ってくると、むしろ漁獲枠を減らさなきゃいけない。でも、そういう仕組みが全くないと、まとまらないですよね。

松本 さん
なんでそもそも減っちゃったんですか? サンマが。

勝川 さん
いろいろ言われてるんですけれども、1つは日本のほうに泳いでくるサンマが減ってると。ただ、それは昔から増えたり減ったりっていうのがあったんですよね。
あともう1つは、日本まで来ても、日本の手前で南に下っちゃうとかいろいろあって、日本の船って小さいんで、日本付近までサンマが入ってきてくれると捕りやすい、たくさん捕れるけど、遠くで南下しちゃうとだめなんです。サンマって温かい水が苦手なんで、最近、北海道のほうに結構水温が高い状況があって、日本まで来ないで、もっと先で南下しちゃうんですね。そうすると、日本の200海里の外で漁獲してる台湾とか中国漁船には問題ないんだけど、日本沿岸に来るのを待ってる日本にとっては非常に厳しい状況になると。

徳永 アナウンサー
皆さんの意識高いメール、ツイートはたくさん来ている中で、正直に、こういう人たちが一定層いるというのをご紹介します。

「魚離れが進むなら、それは自然の成り行きではないでしょうか」「別に消えても困らない」。

首藤 アナウンサー
そこまで?

徳永 アナウンサー
あえてご紹介してます。こういうのが一定数来てるのも事実です。

野本 さん
でも、何だかんだ言って、例えば回転寿司、ものすごいはやってますね。100円の回転寿司なんかものすごい出店数ですけど、魚離れと言えるんでしょうかと。
家で食べる消費は減ってるのは間違いないんですけど、その分、外食では増えてるんですね。子どものアンケート採っても、何が好きですか?といったら、お寿司が圧倒的1位なんです。毎年。決して魚離れが進んでるわけではないですね。みんな好きなんです。

向井 さん
だとすると、より問題ですよね。みんな好きであればあるほど。

野本 さん

だから、毎日同じ値段で買えるのがおかしいと。そもそもですね。量が少なければ高くなる。これは市場の原理ですし、それから、乱獲。魚をたくさん捕って、いなくなってしまえば値段が高くなるのは当たり前なんです。

松本 さん
でも、高いですよ。サンマ、去年100円だったのに。

首藤 アナウンサー
200円超えたりとか。

野本 さん
本当はもっと高くなる、当たり前になるかもしれないです。

松本 さん
えー、そうなんですか。

野本 さん
そもそも300円ぐらいしていいのかもしれない。

向井 さん
100円で買えてたっていうのが。

松本 さん
ちょっとあれだったのかな。

野本 さん
日本って物価安いですから。いま牛丼が2ドルで食べれる国というのは日本ぐらいです。中国でもどこでも、もっと高いです。

向井 さん
でも、こうなるまでに手を打つことってできなかったんですかね?

野本 さん
打つべきでした。過去形ですね。これからどうするか。まだ間に合う。

松本 さん
まだ間に合いますか?

徳永 アナウンサー
いままだ間に合うってあったんですけど、

視聴者の声

「私が魚のためにできることは何ですか?」

「値上げするとうるさい人たちが騒ぎだして関係者がつらい思いをする」

「どこに端を発しているかさかのぼって考えれば、日本の漁業関係者、流通業者、そして、消費者はかなり責任重いのかな」。

徳永 アナウンサー
さあ、消費者はどうすればいいんだろうっていうことを考える、1つのきっかけになるお話をちょっとします。


プレゼンテーション

徳永 アナウンサー
実は松本さん、ウナギが捕れないっていう回で3年前ごいっしょしましたが、

そこで紹介した「MSC認証」っていうのを覚えてないです?

松本 さん
MSC認証?

向井 さん
3年前やってるんですよね?(笑)。

徳永 アナウンサー
これ、"海のエコラベル"といって、欧米ではかなり進んでいて、魚売り場でこのシールが貼ってあったら、この魚は環境に配慮した捕り方ですよっていうお墨付きだと思ってください。
これ、どうやって取るかっていうと、かなり審査、細かいんです。

どうやって魚捕ってますか?捕りすぎじゃないですか?とか、それから、ちっちゃい魚捕ってませんか?子どもの魚。卵を産む時期とか考えてますか?それから、一緒に捕れちゃった亀とか鳥とか、網にかかったもの、ちゃんと配慮してますか?まさか捨ててたりしてませんよね?とか、いろんな審査を受けて、合格したものにだけ貼られるんですって。

松本 さん
厳しい。

徳永 アナウンサー
オリンピックは、

選手村などで出す魚はなるべくこういった、MSCなどの環境に配慮した魚でいきましょうねって話も出て、東京もどうする?って話が起きてるぐらいです。3年前にこの話は一応したんですが。

松本 さん
すいません(笑)。

向井 さん
初めて聞いたみたいな顔してましたけど(笑)。

首藤 アナウンサー
でも、浸透してないからですよね。

徳永 アナウンサー
それなんです。MSCに関係してる日本の方に聞いてみました。その後どうですか?欧米はこうです。

ラベル取るのに漁業関係者の方、相当コストがかかって、高い時には1000万、2000万いくんですって。トータルでいくと。それでも取りたいっていう人がいるのは事実だそうです。
なんでかって聞いていくと、お客さんがラベル付きを好んでくれるから。アメリカの大手のスーパーだと、天然の水産物の9割はこれが貼ってあって、10割目指すんだって言ってるところがあるぐらい。

松本 さん
日本は?

首藤 アナウンサー
嫌な予感はしますね。

徳永 アナウンサー
日本の漁業関係者の方、

ただでさえ苦しいのに、そんなお金かけてラベル取るっていう余裕はない。ただ、よーくMSCの関係者の方が漁業者の方に聞くと、この人たちの存在が見えてきます。

向井 さん
そうですね、正直。

松本 さん
浸透してなかったですか。すいません。

徳永 アナウンサー
結局はお客さんの興味、「ある」と「ない」。さあ、私たちはどうしたらいいかを、これをきっかけに考えてほしいんです。

首藤 アナウンサー
この意識の差は、何なんでしょう。

野本 さん
消費者の差ですよね。

勝川 さん
みんな知らないんですよね。魚が減ってるっていうこと自体を知らなくて、スーパーに行ったら並んでるし。

松本 さん
そんなに危機感がないです。

勝川 さん
どんどん海の中から魚が少なくなって、外から買ってきてるものが増えてるとかね。だけども、気付かないうちにどんどん減ってしまってるっていうこと。だから、これをまず気付くことですよね。きょういろんな話を聞いてみると、そういえば減ってるし、高くなってる。言われれば、そうだなっていうことはいっぱいあると思うんですよね。

首藤 アナウンサー
きょう、かなり気付きましたけどね。

勝川 さん
あと、これまで食べる人たちっていうのも、持続性って考えてこなかったじゃないですか。結果として未来につながらない魚の食べ方をしてるケースって多いんですよね。
例えば、魚を捕りすぎてなくなっちゃうことを乱獲っていいますけど、消費者も"乱食"をしてきたといえると思うんです。例えば、ウナギとかね。ウナギって非常においしいし、日本を代表する食文化ですけど、われわれ食べすぎちゃって、子の代、孫の代にウナギ食文化が残せるか、かなり危うい状態ですね。

向井 さん
確かに、そうですね。

勝川 さん
それって、未来の世代のウナギを奪ってやろうと思って食べてる人はいないけど、結果としてそういう形になりつつあるんですね。だから、そういうことを考える。その上で、未来に続くような漁業で捕られてるものを選んで買う。そういう持続的な漁業を応援するっていう、そういう形に変わっていけば、まだまだ間に合います。

向井 さん
僕らも目の前の損得で動いてるっていう感じですもんね。

松本 さん
やっぱり、安いお魚を買い求めちゃいますもん。

野本 さん
そこですね。

攻めの漁業から守る漁業へ。いままではいかにたくさん捕るか。捕ったもん勝ち。捕る漁業から、捕った1匹をいかに高く売るかを漁師さんも考える。

松本 さん
高く売る?でも、安いの好きですよ。日本の主婦は。

野本 さん
もちろん。そこは流通を変えていくとか、いろんな方法がある。何十年も日本の流通って変わってないですから。そのうち、例えば捕った漁師さんと消費者がスマホでつながって、中間流通、全くなくなるんです。朝捕れたイカが直接届いちゃうような時代が来るかもしれない。たぶん来ると思います。

松本 さん
じゃあ、中間業者さん、かわいそうね。

野本 さん
これは自然とう汰となってしまうんだからしょうがないのかなと。

松本 さん
うわぁ、厳しい。

野本 さん
漁師さんそのものも、例えばあと30年後には漁師いなくなるって言われてる。海は船で、自動操舵で捕ってくるような時代になってくると。

合瀬 解説委員
こういう持続的な漁業っていうのは、消費者のためだけではなくて、漁業者にも優しい漁業なんですよね。日本のこれまでの漁業のあり方っていうのは、よーいどんでみんな一斉に捕って、漁獲枠に達したらそこで終わりと。ですから、なるだけ早くほかの人よりもたくさん捕るっていうのが漁師の腕だったわけですね。ところが、そうやって捕ると、当然いっぱい水揚げされて、値段も安くなっていくわけですよね。

例えば、新潟の佐渡市がいまやっている甘エビ漁なんかは、それぞれの船に漁獲枠っていうのを決めて、編み目も少し大きくしましょうと。資源保護をやりながら、こういう捕り方をしましょう。

松本 さん
ちっちゃい赤ちゃんのエビは捕らないようにしようとか。

合瀬 解説委員
ええ。消費者の人たちは、夏に甘エビ食べたいっていう人たちがいたわけですよ。ところが、シーズン始まって全部捕っちゃったから、消費者が望む時に捕ろうとしなかったわけです。
ところが、1隻1隻が捕れるように、数量で考えて捕れるようになると、いちばん高く売れる時に捕って、資源も大事にしながら、価格も高い時に捕ってみようというふうな発想に転換できるんですね。
ですから、大事なことは、末永く漁業ができるような、消費者も食べられるような仕組みにどうやって変えていくかっていうことなんですね。

徳永 アナウンサー
ちなみに、

「秋田ハタハタ漁、3年禁漁したって聞いたことある」とか、「4、5年我慢すれば戻るんですかね」とかっていうのが来始めてますね。

勝川 さん
実際そういう事例あるんです。福島県。原発事故で漁業が一時的に停止して、いま魚がものすごい増えてるんです。例えばヒラメとかね、5年で5倍に増えてるんですよね。
それぐらい人間の漁獲圧って強いし、ちゃんと休めれば、日本の海ってすごい豊かなんで、かなり短期的に戻るんですね。そういう形で十分な親を残して、安定して捕る。銀行口座でいうと、元本は残しといて、利子の部分を取るわけですよ。生き物は勝手に子どもが増えていくからね。

首藤 アナウンサー
ただ、捕らない期間、魚離れが進んじゃう、そういう心配はないですか?

勝川 さん
じゃあこのまま捕って、あと何年かで先細りになっていくのか、一時期我慢して、そのあと、ずっと捕り続けられるのか、どっちがいいのかっていったら、それは後者じゃないですか。

松本 さん
メディアも、いま旬ですよ、食べなきゃ損ですよみたいなね、それを見ると買いたくなっちゃうし、食べたくなっちゃうんですよね。

野本 さん
人は失ってからその大切さに気が付くということですね。

向井 さん
深いなあ。

野本 さん
ウナギがなくなって、クロマグロがいなくなって、おいしかったねって子や孫に伝えていってもしょうがないですよね。

向井 さん
われわれ世代がちゃんと我慢して。

野本 さん
子や孫に残していかないと、資源をですね。意味がないんですよね。

首藤 アナウンサー
おいしいものはね、食べさせてあげたいですもんね。きょうは皆さん、どうもありがとうございました。

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