2017年07月29日放送放送内容まるわかり!

キツい・長い・休めない? "ブラック化"する部活動

いよいよ夏休み。多くの子どもたちが参加する学校の「部活動」のあり方が大きく揺らいでいます。本来は自主的な活動のはずですが、参加を強制されたり、生徒の内申書に記載されるようになったことで、練習が長時間化するなど年々過熱。 去年国が行った調査では、中学校教員の土日の勤務時間は部活動などのため10年前の2倍に増加しています。部活動は、なぜ過熱してしまうのか? 時代に合った部活動のあり方とは? 深読みします。

今週の出演者

専門家

内田 良さん(名古屋大学大学院 准教授)
長沼 豊さん(学習院大学 教授)
山口 香さん(筑波大学 准教授)
早川 信夫(NHK 解説委員)

ゲスト

田村 亮さん(ロンドンブーツ1号2号)
榊原 郁恵さん(タレント)

今週のグラフィックレコーディング

グラフィックレコーダー
山田 夏子さん


首藤 アナウンサー
私の中学時代、部活は放送部だったんですけど。ほとんど帰宅部状態でした。
ゲストのおふたりは?

榊原 さん
本当はバレー部に入りたかったんですけど、ジャンプ力がなかったのと、ぱっと見たらネット低いなと思って、あれだったら大丈夫かしらと思って、テニス部に入ったんです(笑)。

田村 さん
僕、バレー部で、練習365日みたいな、それに近い状態でしたけどね。正月三が日休んで以外、ほとんどやってたような。補欠でしたけどね。僕は。

首藤 アナウンサー
青春の思い出が部活にあるという人も多いと思うんですけれども、いま「ブラック化」と言われているんですね。どういうことなのか、田中アナウンサーのプレゼンから見てみましょう。


プレゼンテーション

田中 アナウンサー
部活、皆さん、思い出それぞれですよね。楽しかったという人もいれば、亮さんのように厳しかったという人もいると思いますが、きょうお越しの長沼さんも関わっていらっしゃる

「部活問題対策プロジェクト」というホームページ上にはですね、こんな声があるんですよ。

榊原 さん
何があったんだろう。

田中 アナウンサー
悲痛な声ですよね。どうですか?

榊原 さん
私が親だったら、頑張りなさいとかって言っちゃって、どっちかっていうとはっぱかけちゃうかも。これが青春なのです!みたいな感じじゃないですけど。

田中 アナウンサー
ただ、この声を上げてるのは、子どもと思いきや。

榊原 さん
えっ? あ、先生だったの?

田村 さん
子どもじゃないんですね。

田中 アナウンサー
顧問の先生のほうから実は最近、もう部活やってらんないよっていう声がものすごい出始めてるんです。いま先生たちに何が起きているのか、この模型で見ていきます。

首藤 アナウンサー
子どもかと思いきや、先生の問題で。

田中 アナウンサー
おはようございまーす。

首藤 アナウンサー
急に何?誰?

田中 アナウンサー
私、深読中学校の、田中先生だぞっ。

首藤 アナウンサー
なんだか軽めの先生。

田中 アナウンサー
私の中学校にですね、最近後輩が転勤してまいりまして、こちら、

深読彦先生30歳です。数学を教えています。いい授業をするんですよ。
この読彦先生、もう1つの顔がありまして、放課後はこちら。

バスケットボール部の顧問。学生時代は書道をやっておりまして、実はバスケは未経験なんでございます。「私が教えられるかちょっと不安です」と言ってるんですが、うちの学校はですよ、みんな何かしらの顧問をやっています。いまバスケ部顧問いないんです。やってもらわないと困っちゃうんです。やってください。

これね、別にうちの中学校だけじゃなくて、いま全国にあるおよそ9割の中学校では、全員何かしら顧問につくと。

榊原 さん
自分が得意としてたとかじゃなくて?どっかにつかなきゃいけないの?

田中 アナウンサー
少子化で生徒や先生の数は減っていても、部活って、例えば1人でも誰か入っていれば、簡単に廃部にできないから、そうすると、少ない人数で回さなきゃいけない。っていうことは、誰かしらが何かしなきゃいけないと。

故に、実は、2人に1人は、実はやったことありませんということなんですよ。なので、読彦先生だけじゃないんです。はい、読彦先生、じゃあ着替えて、着替えて。はい、じゃあ体育館に行きましょう。

首藤 アナウンサー
顧問になっちゃった。

田中 アナウンサー
で、体育館に行くと、ほら、目をきらきらさせた子どもたちが待っておりますよ。

先生が素人だろうがかまいません。「先生、僕たちは試合に勝ちたいんです、指導をよろしくお願いします」。
例えば名ばかり顧問、私の時もありましたけど、最初と最後だけ、ちょっとあいさつに来て・・・

首藤 アナウンサー
あと「キャプテン見ておいて」。

田村 さん
そんなんばっかりやった。

田中 アナウンサー
いまはできません。4年前、文部科学省が、とにかく子どもの安全のためには目を離さないでください。その運動部活中はずっと顧問の先生立ち会って、指導してくださいと言った。

首藤 アナウンサー
ずっと。

田中 アナウンサー
ずっとです。なので、放課後、夜7時まで、読彦先生は子どもたちにつきっきりで指導を行うということなんですね。
ということで、読彦先生はようやくおうちに帰りました。亮さん、何しますか?

田村 さん
テレビ見たり、自分の時間を充実させます。

田中 アナウンサー
甘い!

首藤 アナウンサー
指導が入りましたよ(笑)。

田中 アナウンサー
これを忘れちゃいませんか? 

榊原 さん
あー。

田村 さん
そっか。

田中 アナウンサー
本業はこっち。ずっと体育館にいたでしょ。その間にはできませんから、家に帰って初めて、あしたの授業の準備とか採点をする。いま教育委員会に出したりしなきゃいけないレポートなんかもあって、先生の仕事って業務的には多くなっているけども、それができる時間というのは家という状況。ということで、読彦先生、頑張って、頑張って。
さあ、翌日。はい、おはようございまーす。
この日も、ややお疲れかもしれませんけれども、授業をして、さあ、放課後、また部活です。
この日はですね、生徒だけじゃなくて、こんな人たちからも熱い視線があるんでございます。

榊原 さん
あるある。部活の中で保護者会みたいの。

田中 アナウンサー
親も当然ね、子どもたちには頑張ってほしいというふうに思いますけれども、それだけじゃなくて、気になるのは内申点。いま、推薦で入る高校っていうのも増えてます。進学に少しでも有利になるためには部活で成績を残してほしい。「先生、頑張ってください」という、熱烈な思いが。

榊原 さん
プレッシャーじゃないんですよ。ただエールを送ってるだけなんです。親としては。

田中 アナウンサー
郁恵さんのようなありがたいエールも、実は読彦先生の肩に重くのしかかるわけです。
さらに、この人からも。

校長先生。「先生、バスケ部はいまどんな感じでしょうか?しっかり勝てるようなチームになってるでしょうか?」

こういうの見ません?

榊原 さん
見ます。うらやましいなって思うもん。ここ強いんだなとかって。

田村 さん
その部活に補欠でも入ってるほうが、ちょっと鼻が高かったりね、するんですよね。

田中 アナウンサー
ほらほら、野球部は県大会ですよ。合唱部は関東大会ですよ。陸上部にいたっては全国大会ですよ。バスケ部はどうですか?ということなんですよ。
これ、なんでかっていうと、いま少子化で、学校も選ばれる側になっているんです、生徒に。公立中学校とはいえ、学校選択制という地域もあって、学校の名を売るには、部活動の功績はうってつけのアピールポイントになる。
生徒のため、保護者のため、学校のため、きょうも読彦先生は頑張るというわけなんですよ。
やっぱり強くしたいという思いがね、これだけあれば、

練習量を増やす。日々の練習量、さらに土曜日、日曜日は練習試合をどんどん取り入れて強化しようと。
いまそうやって、運動部、休みがありません、あるいは週1日ですよというところがこれだけあるんです。うちだけやらないわけにいかないんです。ほかよりも強くするためには、うちだって土日返上でやらなきゃねという状況なわけです。
で、土日も夏休みも朝から晩まで見たあと、おうちに帰ります。休みなので、あしたは授業ありません。郁恵さん、何しますか?

榊原 さん
映画見たりとか、あと、テレビ見たり。

田中 アナウンサー
甘いでございます。甘い。

榊原 さん
テレビ見たーい。

田中 アナウンサー
ちょっと時間があるなら、バスケのDVDを見ようよ。だって、読彦先生は素人でしょ。

こういう時間を使って研究しましょう。
いま本屋に行くとですね、教師向けの教科書といいますか、どうやって子どもに部活を教えればいいのかという指南書があります。これ見るとね、子どもにどんな声をかけていいのかとか、どのタイミングでとかって、いろんなことが載ってる。

首藤 アナウンサー
へぇー。

田中 アナウンサー
こういうのを自腹で購入する人も多いんですよ。
そして、いま夏休みに入りましたけど、授業はないとはいえ、毎日学校に行きますよ。で、夏休みでも毎日練習とか試合をするんですが、これです。

榊原 さん
ん?そうなの?

田中 アナウンサー
実はそういう残業の手当というのはなくて、土日に、本当にすずめの涙程度、数千円払われる。あとはどんだけ長くやったって出ない、というのが現状なんでございますよ。
ということで、夏休みも練習、そして、家でも研究ということで、あっという間に過ぎてしまいます。
さあ、そして、新学期が始まりまーす。

はい、おはようございまーす。

首藤 アナウンサー
なんかもっと顔色が悪くなっちゃってますね。

田中 アナウンサー
なんかすっきりしてませんけれども、見てください。周りの先生たちは、みんな両立してやってますよね。いろんな期待もありますよね。さあ、読彦先生も頑張って。みんな見てるよ。頑張って、頑張って、頑張って、頑張って・・・倒れる。これこそまさに。

きょうお越しの内田さんは、"ブラック部活動"じゃないかと言っているんですね。実際に、長時間の勤務で体や心に変調を来してしまう人が出てきている。先生の仕事を辞めなきゃいけないという人まで出てきはじめていると。
それだけじゃなくて、結局ずっと部活をやってるっていうことは、授業の準備がおろそかになると、子どもたちにも最終的にはよくない影響になってしまう。あとは、素人の先生が教えることによって、逆に生徒のけがのリスクが高まるんじゃないか。
先生は先生なりに一生懸命やってるんです。やればやるほど実はよくない影響が広がっている。私たちが学校に行けば部活って当たり前にあると思ってましたけども、このままいくと、なくなっちゃうかもというのがいまの現状です。

田村 さん
なるほど。

山口 さん
ちょっと悪意を感じるプレゼンでしたね。

首藤 アナウンサー
おっと、おっと山口さんから。

山口 さん
これは一面ですよ。

首藤 アナウンサー
一面?

山口 さん
はい。いまの先生のような人もいますけれども、楽しく部活を教えてらっしゃる先生もいる。ただ、その両方のバランスをうまく考えていかなきゃいけないっていうこと。これだけ見たら、本当に即刻やめなきゃっていうふうに思うじゃないですか。全部のクラブが勝とうと思ってるわけじゃないですよね。だいたい顔ぶれ見た時に、だめだな、うちはって思う。それはありますよ。だから、あの垂れ幕が出てるところは、だいたい一生懸命やってる学校とか。そこが全部いっしょくたになってしまって混在しているところが、この問題を複雑化しているというふうには思います。

長沼 さん
学校によっても、地域によっても差がある。それから、先生によっても当然差があると思うんですね。私も35歳まで実は中学校の教員やってたんですけれども、学校の決まりで、週4日しか練習、活動日ないということだったんで、このような過酷な状況ではなかったんですね。時代のこともあるかもしれませんけども。
私は、水泳部の顧問と、バスケの副顧問と、ボランティア同好会と、3つやったことがあります。その時はさすがに教材準備がちょっとおろそかになって、きょうはもうプリント使っちゃおうとかね、そういうことはございました。

内田 さん
このブラック部活動問題でとても大事なのは、これまで部活動っていい側面が語られてきて、その中でいろんな苦しみが隠れてきたところがあるんですよね。それは生徒も、先生もそうだし。
いま考えなきゃいけないのは、ちょっと苦しんでる人がいるよねと。それを踏まえた上で、でも、部活動のよさもある。それをどうやってこれから考えていくかっていう、そういう設計を考えていくっていう、そういう時期に来てるんですよね。

田村 さん
昔は幽霊顧問みたいな人がいて、生徒が自己責任で全部やってたことって結構多々あったと思うんですよ。自分らでメニューを考えて。あれはもう確実にずっと立ち会いなんですか?いま。

山口 さん
例えばいま暑い中で、熱中症が起きた時に、お医者さんどうするんだとか、救急車呼ぶのかとか、その判断が生徒ではできないので、先生が立ち会うという。

早川 解説委員
結局、誰の責任だっていうことが最後問われるので、先生が立ち会って、学校の責任であるっていうことをはっきりさせたということなんですね。


グラフィックレコーディング

田中 アナウンサー
ツイッターでも、皆さんからの声かなり来ています。皆さんからの声を描いているのがハンドボール部だった山田夏子さんです。

やっぱり来てるのは先生側のご意見。しんどい、離婚したなんていう声もあるんですが、先生の家族のご意見もいまかなり来てるんですよ。

視聴者の声

「丸1か月休みありません。そのたびに大げんかです。改善されないなら離婚したいと伝えています」。

「夫が中学教員です。ほかの部も頑張っているから、自分たちだけ休めない雰囲気があるようです」。

「私の子どもは中学教師ですが、平日は毎日22時以降に帰宅。土日は部活。もう1か月以上休みがありません」。

首藤 アナウンサー
今回ですね、番組でも全国の中学校・高校の先生300人にアンケートをしたら、悲痛な声がたくさん届きました。

現役教師からの声

埼玉県・50代・男性
「年間100回の練習試合で、地域では強くなりましたが、体を壊してしまいました」。

愛知県・30代・女性
「自分が経験したことのないスポーツの顧問は本当にしんどかった。部員にアドバイスを求められても、答えることもできない。精神的につらかった」。

田村 さん
先生のほうが大変かもしれないですね。

内田 さん
いまね、こういう言葉も広がっていて、
30年ぐらい前からあった言葉なんですけれども、夫が部活の顧問で、土日いない。平日夜もいない。夫がほぼいないような、家庭の中にいないような状況っていうことで、「部活未亡人」。
いま問題になってるのは、単に生徒や先生だけじゃなくて、その家族も含めて、ブラック部活動っていうことが問題になってるっていうことなんですよね。だから、とにかく広い範囲で、苦しんでる人のことを考えながら部活の運営を考えていくっていうことなんですよね。

榊原 さん
でも、先生が未経験のスポーツに携わるっていうのは、すごく負担が大きかったり、また教えられてるほうも、この先生未経験なのに偉そうなこと言うなよとか、分かってねえじゃねえかとかってなるだろうし、親も不安だったりとか、まず未経験だっていうところがネックのような気がするんですけど。

山口 さん
ただ、部活動っていうのは、授業外の活動ですよね。ですから、例えば体育の先生でもそれぞれ専門があるわけですけど、そうじゃないのをやる時もある。
でも、先生というのは何が大事かといったら、教える専門家なんですよ。だから、私はテニスやってませんっていっても、教え方は上手なはずなんですよ。ただそれを、先生って呼ばれるので、全部パーフェクトだっていうふうに見せなきゃいけないのが苦しいんだと思うんですよ。
でも、いまはインターネット動画とか、いい教材がたくさんありますから、僕できないけどみんなで一緒に考えようよって、それこそ私は学校の部活動のあり方じゃないかなと。

田村 さん
だけど、それをやってると、教材をまた集めないといけないから、時間が減っていくっていうことでしょ。

山口 さん
先生だけでやらずに、生徒でやらせて、それを先生がチェックしたりっていう、いいやり方っていうのが私はあるような気がするんですよ。

榊原 さん
あと、外部からはだめなんですか?バスケ専門の外部の指導員を雇うとか部活動は、いまおっしゃるように授業ではないわけだから。

山口 さん
いま部活指導員という制度が新しくできて、専門の先生に見に来ていただくこともできます。それから、試合もその先生がついていっていただけるようにもなってきて、ですから、こういった問題が、少しずつ改善には動いている。
ただ、学校の中にある部活のよさもあるので、そこで先生との触れ合いとか、授業だけではない部分も先生の中にはきっとあるはずだと私は思うんですけどね。

榊原 さん
全部先生にお任せっていうシステムが何か・・・。

田村 さん
それプラス、安全管理も見てくださいでしょ。そこまで先生が責任取らなだめなんですか?

山口 さん
生徒たちが安全にやるためには、顧問の先生がいなくても、どういう手続きをして、何かが起きた時にどうするかっていうようなこともきちんとルール化をして、先生たちが、あるいは学校が、あるいは保護者の皆さんが安心してできるようなものを作っていきましょうというのがいまなんですよね。

内田 さん

外部指導員っていうのも、単にスポーツが好きなだけの人が入ってきたりすると、かえって過熱しちゃったりもするんですよね。
例えば教師以上にコーチのほうがいろんな力を持ってしまったりとか。人材確保できないっていうこともあって、結構課題は多いんだけれども、でも、いまこの子どもや先生の状況を考えたら、なんとかして改善してかなきゃいけないっていうことで、こうした1つ1つの課題をクリアしていく、そういう段階なんですよね。

長沼 さん
本当は顧問って相談に応じるっていう意味。そういう顧問になるべきであってね、イコール指導員ではないはずなんです。だから、別にそういう方がいて、顧問は顧問をやるっていうふうにすれば、ずいぶん変わると思うんです。

榊原 さん
分担していくっていうね。

田中 アナウンサー
ツイッターではですね、保護者の方からの声もかなり来始めました。そして、1つ気になる声がありました。

「内申点のために勉強よりも部活をやれという先生が顧問です。勉強を優先すると、部員どうしでそしり合いが始まってしまいます」。実際にこういうことってあるんでしょうか?

榊原 さん
受験が近くなったりとかすると、部活を取るか、受験勉強を取るかで悩むっていう時期があるんですよね。お前何だよ、部活行かないのかよ。あー、勉強か、じゃあ頑張ってねみたいなね、そういう空気感っていうのが生徒の中である時期なんですよね。

首藤 アナウンサー
内申点って実際どうなんですか?

内田 さん
みんなが思ってるほどには、実は影響力がない。もちろんスポーツ推薦とか特別な推薦の場合は別ですけれども、内申書・調査書の中で、部活動というのは本当にどっかの端っこのほうに少し書かれるだけ。でも、それがみんな共有されてないですよね。
どうしたらどう評価されるのかって分からないまんま、部活動が人生に関わってるぞと思うと、ちょっとつらいだけではやめれないとか、なかなか厳しい状況に追い込まれてしまうので、部活動は楽しむものだよっていうことで、そこまで強制力のないような形にしていかなきゃいけない。

首藤 アナウンサー
長時間の部活って、生徒にとっても負担が大きいと思うんですけど。

早川 解説委員
1つ大事なことを言いたいんですが、スポーツは体にいいっていうじゃないですか。

ところが、部活っていうのは意外と体によくない、スポーツのやりすぎはよくないんだっていう、そんなデータがあるんですね。
島根県の身体教育医学研究所うんなんっていうところが、地元の医師会の協力を得て2年にわたって雲南市の中高生全員に対して調査をしたところ、週18時間以上部活をしている子たちの42%が体の痛みを感じていると。

榊原 さん
けがもあったりするしね。

早川 解説委員
これは運動部に所属しない生徒の2倍。やりすぎるとけがやストレスの危険性があるっていうことなんですけど、この生徒たちは1年後に新たな痛みを発症してるっていうんですね。おそらく痛い部分をかばっているので、そのうちに体のバランスが崩れて、また別の箇所にも痛みが出てしまう。悪循環に陥ってるんじゃないか。

田村 さん
自分が部活やってた時の感覚でいうと、レギュラーになりたいから、痛み抑えて出たりもするんですけど、たぶん学生の時って、痛み引くのめっちゃ早いんですよ。だから、ケアのしかたをおろそかにしがちなんですよ。だから、それ残るんですよ。

早川 解説委員
なぜこの調査をしたかっていうと、雲南市のお医者さんたちが、昔よりいまの子どもたちのほうが疲れてんじゃないかっていうことから調査しようっていうことになったんです。

榊原 さん
でも、部活だけじゃないような気がするんですよ。食生活とか、運動能力が全体的に衰えてるっていうのが根底にあるような気がするんです。

山口 さん
いまの子どもたちは、体力は落ちてきてるっていう、そういう指標もあって、だから、運動をしてもらいたいんです。でも、適正な時間とか、適正な強度とか、休みもしながらとか、そこが大事なところですよね。

視聴者の声

京都府・50代・女性
「子どもの前で顧問の指導法を批判したり、練習中に勝手に入って口出しする親がいる。批判が過ぎて顧問を追い込む親がいる」。

鳥取県・40代・男性
「一部の過熱した教員が転勤したあとの部活を受け持つと、以前と同じような指導を生徒や保護者から求められて困っています」。

首藤 アナウンサー
部活動に対して先生も親も、もちろん生徒もみんながつらくなってしまっていて。誰が悪いんですか?

長沼 さん

こういうのもあるんですよね。ここに走っちゃうっていうね。

長沼 さん
やっぱりスポーツですから勝ちたいって気持ちはあるんですけど、これがメインになってしまうっていうことが、1つ大きな問題だと思うんですよ。子どももそうだし、先生も、ほかの先生との関係で同調圧力が働いて、あなたの部はどうなの?なんて言われちゃうとこうなるんですよね。

山口 さん
私、ずっとスポーツやってましたけど、なるべく長くやってもらうことがトップレベルにたどり着くんです。中学校でやり尽くして、高校でへとへとで、これからっていう時に力尽きちゃう人たちもいっぱいいて。
スポーツって楽しいところがメインなんですよね。楽しいイメージを持ってもらう。そうすると、長続きする、上手になる、強くなるっていうのが、上に行くための考え方なのに、なぜこうなっちゃうのか。

首藤 アナウンサー
いまみんながきつい、きついばっかりになっているのが苦しいですね。

山口 さん
私の世代、先生の世代もそうかもしれないですけど、修行なんですよ。スポーツは。

長沼 さん
スポ根的なね。昭和のスポ根。

榊原 さん
だって、ドラマでもあったもんね、スポ根もののね。

山口 さん
先生の世代がそれを信じているので、ちょっと美化しているところがある。
そこから脱して、いまトップアスリート、何て言います?オリンピックに出ていく時に、みんな言いますでしょ。楽しんできますって。楽しんでくる人たちが強くなってるわけですよ。楽しいから苦しいところに入っていけるんです。楽しいことを味わうために苦しめる。

榊原 さん
仲間も必要だし、指導者の指導のしかたっていうのもあるような気がするんですよね。

山口 さん
だから、押しつけてとか、やらせるっていうのでは絶対うまくもならないし。

早川 解説委員
現場でよく聞くことなんですけど、実力上位校ほど合理的な練習をして、きちんと休みも取っている。ところが、実力が2番手クラスのほうが、どうしても一生懸命になりすぎる。根性論に陥ってしまって。

田村 さん
倍の練習しろ。あそこのチームに勝つにはみたいなね。

早川 解説委員
休むに休めないっていうプレッシャーの中で、そうした長時間になってしまうということもあるんですね。

榊原 さん
ある程度のルールみたいなものがあるとやりやすいんでしょうけど、分からないからとにかく一生懸命やろうみたいな、そういう感じになっちゃってるから負担になってるんですよね。

長沼 さん
実はね、本当は文科省が言ってるのはこうなんですよ。

部活動は「生徒の自主的・自発的な参加により行われる」。だから、スポ根とは本当は無縁で、自分たちがやればいいんですよね。だから、指導者もそうなはずなんです。だけど、なぜか。

榊原 さん
入らなきゃいけない、やらなきゃいけないじゃなくて、好きだからとか、ちょっとやってみたいからとかね、そういう感じの。

山口 さん
休みがあると、もっとやりたいと思わないですか?でも、目いっぱいやらせられると、もうおなかいっぱいでもう食べたくありませんっていう。だから、休ませたほうがやる気も出るんですよ。

首藤 アナウンサー
自主的なのに、先生もやめたいって言えないんですか?やめたいと言っちゃダメなんですか?

早川 解説委員

先生が部活にハマる3つのパターンというのがあって。

首藤 アナウンサー
先生が、ハマるんですね。

早川 解説委員
1つは「自己肯定型」。部活指導していると、生徒がよく言うことを聞くんですね。すると、先生自身も、先生の指導力とは関係なく、自分はやれてるっていうふうに自己肯定してしまうっていうパターンですね。
それから、「免罪符型」。多忙化しているって先生方言われるんですけども、それを、部活を理由に校務から逃れられる。部活で成果を上げてれば、管理職も、ほかの仕事をやってほしいって頼みにくいっていうことなんですね。

田村 さん
全国大会出るようなとこやったら、効きそうな免罪符ですね。

早川 解説委員
3つ目はね、「評価優先型」。部活指導で生徒がいい成績を上げれば、先生としての評価も上がる。すると、評価を気にして、もっと上へ上へと行ってしまうと。
この3つが重なってることもある。どんどんどんどんはまり込んでいく。だから、私は、内田さんがブラック化って言うんだけど、ブラック化の前に先生の意識が変わんないといけないんだろうと。

内田 さん
僕も強調したかったのは、単に部活が嫌だって話じゃないんですよね。楽しくてのめり込んでいったり、気が付けば土曜も日曜も練習していて、そこからもう降りようかなってすると、いやいや、なんでやめるのって話になっちゃいますよね。
だから、ついつい過熱していってしまうというところがあって、そこをみんなで、いやいや、そこまでやらなくていいでしょっていうのをいまから合意形成していかなきゃいけないんだと思うんですね。

田村 さん
だけど、部活1人やめるっていったら、ほかの部活のやつみんなで家に行って、やめんなよって言うのが青春だったり。ほんで、そいつも心入れ直してやって強くなるみたいなストーリーもどっかであるから。何が悪いってもちろん言いづらいんですけど。

山口 さん
だから、いろんな部活のパターンをこれからは作っていきましょうということなんですよ。

学校の部活で、週何回かでやりたい人もいる。でも、もっと強くなりたいっていう人は、専門の先生がいてバリバリやってくれるとこ行きましょうとか、地域の仲間とやれるとか。ですから、選べるようになるといいんじゃないかと思うんですよね。

田中 アナウンサー
そのあたりはツイッターでもいま来てまして、これからの部活のあり方について。

「部活が悪なら、学校部活を完全に廃止して、地域の民間スポーツクラブに任せるというやり方はいかがでしょうか」。

榊原 さん
えー、極端。

視聴者の声

「毎日部活は生徒にも負担だし、勉強あっての部活です。コーチもシニアで時間に余裕のある専門家を雇ってみたら、それぞれいいんじゃないでしょうか」。

「大学教職科目に部活の教え方を入れてみたらいかがでしょうか」。

榊原 さん
あと、大学のOBとかに部活動見てもらうとか。トップアスリートとかのクラブチームに入れたいと思っても、結構お金かかるんですよ。ちょっと遠かったりするし、送り迎えもしなきゃいけない。親が率先してついていったりとかしないと、結構大変なんですよ。

田村 さん
大変ですね。

榊原 さん
こっちの地域のスポーツクラブ、誰でも参加、こういうのだったりすると、今度、保護者がわりと率先して指導者になったりとか、お弁当の支度しなくちゃいけないとか、いろいろと、私もそういうのに参加してたんですけど、うちの子が。

山口 さん
一長一短あるんです。

榊原 さん
そうなんですよ。親に負担がとか、家計に負担がとか。

山口 さん
ただ、そのへんを調整しながら、いいところを生かしつつやっていくと、負担も軽減されていくのかなっていうふうには思います。

早川 解説委員

勝ち負けにこだわらない部活動っていうのが始まったんですよ。東京・世田谷の東深沢中学校っていうところなんですけども、その名も「体力向上部」。創部6年で部員46人なんですけども、朝7時半から45分だけ活動してるんですね。

榊原 さん
朝?

早川 解説委員
はい。みんなで走ったり、足上げをしたり、集中して汗を流すと。ポイントは競い合いを目指さないってことで、目標は体力向上に限るということなんですね。運動は好きだけど、放課後は塾に行きたいとか、外のクラブチームでサッカーや野球をやりたいって子もいるわけですよね。そういう子が入るということで、ゆるゆると見えるんだけども、体力向上につながっているんですよということで、夏休み中のおとといも、こんなことをやっていました。これ、自分のペースでやれるんで、さぼってもいいんです。

榊原 さん
朝のラジオ体操的な感覚というか。

田村 さん
とか、俺、野球はうまくなりたいけど、これやって、もうちょっと底上げをやりたいって使ってもいいから、あることはいいかなと。ただ、競争するのにバツってついてると、極端に、気持ちが、ん?ってなっちゃう感じはあります。

山口 さん
100かゼロかはだめですよね。先ほどの、部活も全部やめちゃおうっていう、それは極端で、競争もしないっていうのも極端で、競争もあってもいいけど、過熱しすぎずに。競争があって悪いのは、勝たなきゃだめだってことなんですよ。負けてもいいっていう競争だったらいいんですよ。負けから学ぶこともあるので。

榊原 さん
個人記録みたいに残してね、自分の体力が少しでもアップしてるっていう目標がもし持てるんであればね、もっとよりいいですよね。

長沼 さん
目標とか目的をはっきりさせて、学校で何をすべきか、地域では何をすべきかっていう。こういうのもあっていいですよね。

視聴者の声

千葉県・30代・女性
「人間関係や何か1つ目標に向かってやり抜くこと、一緒に努力した仲間との絆など、得られたものは大きかったと思う」。

内田 さん
もう少し選択肢を増やして、もう少し気楽にやりたい部活動、そして、もう少し頑張りたい部活動、あるいは地域スポーツっていうふうにも役割分担していくことが大事で。

山口 さん
大学のサークルと、体育会系と、イメージしてくれればいいんですよ。僕はサークル系がいいっていう部活もあっていいし、バリバリもあっていいし。

内田 さん
それに加えて、僕のところにいちばん届くメールっていうのが、文化系、吹奏楽部が大変だっていうことなんですね。

田村 さん
吹奏楽、ドキュメントとか見ると、バリバリやってますよね。

長沼 さん
"運動系文化部"と。かなり過酷な練習でね。朝から夕方まで。

内田 さん
頑張る部活動と、もう少し楽しむ部活動。楽しむ場合には、それは20代、30代になっても楽しめるような、そういう設計をしていくっていうことがこれから大事になってきますね。

長沼 さん
自主的にやるものですからね。楽しくできるっていうことは、学校である以上はこれを求めていくのが必要です。

山口 さん
先生もこうであっていただきたいんですよ。先生も楽しくないと、教わってる子どもたちや面倒見てもらってる子どもたちも、くらくなっちゃいますよね。

田村 さん
生徒はやる気があるやつが引っ張っていったりもするから、先生のほうをどうにかしてあげたほうがいいような気がしますけどね。

榊原 さん
安全管理とか、本当にね。先生の立場を分担できるようなね、フォローするような、何か。

首藤 アナウンサー
そうですね。ありがとうございました。

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