2017年04月08日放送放送内容まるわかり!

外国人労働者100万人 人手不足ニッポンを救う!?

日本で働く外国人労働者が昨年、初めて100万人を突破。4月からは「家事代行」の現場でも受け入れが始まります。しかし外国人労働者の多くは本来働くことを目的としない留学生や技能実習生。国は、雇用目的の本格的な外国人の受け入れを検討中です。 人手不足解決策として歓迎する声がある一方、治安悪化や日本人の雇用を奪われることを心配する声も。労働人口が縮小し続ける日本で、外国人労働者の受け入れをどう考えていくべきか、深読みします。

今週の出演者

専門家

毛受 敏浩さん(日本国際交流センター 執行理事)
佐藤 由利子さん(東京工業大学環境・社会理工学院 准教授)
髙橋 進さん(日本総合研究所 理事長)
広瀬 公巳(NHK 解説委員)

 

ゲスト

レッド吉田さん(タレント)
藤本 美貴さん(歌手・タレント)

今週のグラフィックレコーディング

グラフィックレコーダー
山田 夏子さん


首藤 アナウンサー
外国人労働者が年間100万人を超えました。実感することありますか?

レッド吉田 さん
あります。家の近所のクリーニング屋を解体する時に、工事現場の方が来たんですけれども、全員がイランの方でした。びっくりしました。それだけかなと思ったら、その近くで、また解体現場があったんですけども、そこでもまた日本人の方がいなかったんですよ。

藤本 さん
私も、コンビニだったりとか、飲食店とかではよく会うようになりましたね。

首藤 アナウンサー
そうですよね。街で皆さんに聞いても、友だちに留学生がいるとか、実際職場で一緒に働いているという人もいて、意外と身近に感じている人、多かったんですよね。
でも、一方で、不安だなという気持ちの人もいたりとかして、きょうはますます増えそうな外国人労働者について、ざっくばらんに話し合っていきたいと思います。
もっと深読みするために、新しい試みを始めたいと思います。議論の内容を、文字や絵を駆使して図式化するグラフィックレコーディング。担当の山田夏子さんです。どんなグラフィックになるのか、楽しみにしていてください。
さあ、まずは、いま日本で働く外国人を巡ってどんなことが起きているのか、いま考えておかないと大変なことになりそうなんです。田中アナウンサーのプレゼンからです。


プレゼンテーション

田中 アナウンサー
よろしくお願いします。首藤さんもよろしくお願いしますね。

この108万人の外国人労働者の方、いま大きな存在になっています。というのも、いま日本の働く現場の現状。

人がいないっていうのが課題なんですね。
藤本さんもおっしゃってました。

多く見かけるのは、私たちがよく使うコンビニエンスストア。さらに物流。家までピンポンと持ってきてくれる宅配の方ではなくて、物流センターでのいろんな荷物の仕分け。夜の時間、ガーッといっぱい来るんですって。
それを仕分けてるのはほとんど外国人の方たち。彼らがいなければ、私たちの便利な暮らしというのは成り立たなくなるかもしれない。
さらに、地方はこうです。

誇る地場の産業ですね。例えば埼玉県の川口市。フライパンとかマンホールのふたとか、金属製品を作っているんですけれども、1500人中100人の方が、中国やベトナムから来た外国人の方たち。日本人が帰ったあとも、残業したり、休日出勤をして、なんとか納期を間に合わせてるという現状だそうです。
そして愛媛県の今治といえば、あのふかふかの今治タオルですね。これも、いま150人の人がタオルを作っていると。ジャパンブランドも外国人の支えがあるという現状です。
さらにこの分野です。

長野県の川上村というところ。レタスが非常によく採れる。日本の出荷量の15%は川上村で採れる中で、多い時で930人の外国人の方がレタス採ってる。
皆さん、こう言います。「外国人がいないと町の産業は成り立ちません」。
さらに、人手不足が深刻なこういう現場。

先ほどの映像にもありました。藤本さんとか首藤さんのような働くお母さんにとっては、おうちのことをやってくれる、こういうところ。今月から一部地域で試験的に、外国人の方を入れようという試みが導入されています。そして、介護の分野ね。これも、この秋から本格的に外国人の方をという動きになっています。

レッド吉田 さん
結構あれなんですか? 日本人がやりたがらない仕事を、外国人の方がやってらっしゃるということなんですか?

田中 アナウンサー
現状はそうですね。やりたがらないということもあるし、そもそもこういうデータがあります。

日本人の働ける労働力人口というのが、急激な少子高齢化で、13年後ですよ、2030年。14%減るって、これ、人数でいうと900万人。

髙橋 さん
いま、目先働く人が減ってるっていうのもありますけど、これから何十年先まで考えても、働く人の数ってどんどん減っていくんですよ。だから、人手不足っていまだけのことじゃなくて、ずっと続くんです。
加えて、実は労働力人口減るっていうんだけど、その中で、お年寄りの数が日本は増えるわけですよ。働くことの問題だけじゃなくて、財政の面でも、例えばいまはお年寄りを2人か3人の現役の人が支えてるじゃないですか。ところが、働く人が減って高齢者が増えていくと、今度は1人で1人を支えなくちゃいけない。例えば藤本さんの上に私が乗っかって、年寄りになって、支えてくださいっていうようなもの。現役の人、たまんないじゃないですか。
そういうことを考えると、働く人だけじゃなくて、外国人に来てもらって、日本に住んでもらって、税金払って、そして、働いてもらって、日本全体を支えてもらいたいっていうことも必要なんじゃないかなって思うんですけどね。

田中 アナウンサー
そういう状況の中で、いまのサービスを維持するために900万人必要で、多いとはいえ、まだまだこの数と。

現場としてはもっともっと人手が欲しいと言うんですが、原則、日本はこういうところで働く人たちの受け入れはノーです。という方針です。一部、かなり優秀な人材、例えばお医者さんとか大学教授、あと、私たちになじみのテレビのタレントさんとか、助っ人外国人、野球のスポーツ選手とか、こういう一部の人たち以外は原則受け入れてこなかった。
これは、かつて、この門を完全に開けてしまうと、日本人の労働・雇用が奪われちゃうんじゃないかという心配の声があった。なので、ずっとその方針を貫いてきた。
でも、いま、状況、こうですよね。この状況。

それには対応しようということで、

こうした小さな扉は開けてきた。だって、108万人は来てるわけですからね。じゃあ、働くという目的ではなければいいだろうと。
例えば、日本の産業、農業・漁業というトップクラスの技術を日本で学んで、それを自分たちの国で生かしてくださいと。

学ぶという目的だったらいいでしょう。現場で一生懸命働きながら学んでください。学びですね。
さらに、これ。大学生とか、日本語学校とかね。そういうのは、もちろん勉強で来てますからね。

勉強で来る人たちはオッケーですと。生活費稼ぐアルバイトぐらいだったらいいでしょうと。だから、コンビニとか飲食店とか、いいでしょうと。
こういう現場では、本当にこういう人たちを働き手としては頼りにしていると。

レッド吉田 さん
ちょっといいですか。ちなみに、日本人の皆さんは海外ではこういう感じなんですか? それとも、受け入れてくれてるんですか?

髙橋 さん
それは国によって違いますけど、でも、基本的には普通の労働者として受け入れてる国が多いと思います。だからこそ、いろんな問題も起きてるんですけども、でも、日本みたいに、原則的には入れませんなんて言ってる国は、ほとんどないと思いますけどね。

毛受 さん
ドイツでも、EUの中では人の移動は自由ですので、いくらでも海外に行って、そこで住んで働くことができますし、それ以外、ドイツですと、海外から、EU以外から来る人も、母国で取ってる職業資格があるわけですね。それをドイツで認定する制度があって。
それによって、ゼロから、日本みたいに日本語を勉強して、試験を通って初めて職業に就けるって、そういうことじゃない制度ができてるんですね。そうしないと、先進国はどこも日本と同じで高齢化して、労働者不足ですから、いかにいい人材を世界から連れてくるかということを、いま世界ではやってるということだと思いますね。

田中 アナウンサー
もちろんね、現場としてはこういう人たちが欲しいですし、彼らとしても日本でもっともっと稼ぎたいという気持ちがあったとしても、あくまで学びで来てるということなので、そこにもルールがありまして、留学生というのは勉強が主体でしょ。

働くのは週28時間まで。
1週間毎日やっても、1日4時間を超えてはだめだよっていう制限がある。
技能実習生というのも、あくまでそれは自分たちの国で学んだことを生かしてほしいということなので、ずっといちゃだめ。

この期間しっかり学んで、あとは自分の国でね。

藤本 さん
できるようになったら帰っちゃうみたいな感じですね。

毛受 さん
そうなんです。日本語を習うのは大変なんですけども、介護もそういう形で受け入れするわけですけども、3年たって、日本語ができたところで全員帰しちゃうと。残れないっていうのがいまの制度なんです。

レッド吉田 さん
でもそれは、日本人の労働を奪われないためにこうなってるわけですか?

髙橋 さん
10年ぐらい前だったら、確かに、外国人が来たら私の仕事を取られてしまうという気持ち、あったと思うんですよ。ところが、いま日本は本当に人手不足で、外国人がいないと、例えば中小企業の場合は仕事が続けられないとか、そこまで深刻になってるんで、外国と違って日本の場合は、外国人が入ってきたら仕事を取られるという感じではなくなってますね。

佐藤 さん
あと、いま求人しても日本人が来ないので、留学生とか、あるいは技能実習生の人に働いてもらわないと、職場が回らないという状況に。

毛受 さん
日本の若い人ですね、公立の小中高校っていうのは1年間に500校ずつなくなってるんですね。10年間で5000校、日本からなくなってるんです。それぐらいのペースで少子化が進んでるので、ですから、日本にいる若い人たちは現場に行って作業するかって、しないわけですよね。どうしても長期的に考えると、そういう人たちに来て、定着してもらわないと、一時的に来て働いて帰ってもらうだけでは、本当に大丈夫なのかという。

レッド吉田 さん
そうですよね。3年、5年で帰るって、イコール、日本語を覚えたら帰らなきゃいけないみたいなことですよね。

田中 アナウンサー
技能実習生としては、もう2度と来ちゃだめっていうルールもあります。
1回でね、専門的な技術を学んで、自国で生かしてください。
でも、いまはまだ、それでもね、日本は魅力的だっていって来てくれる人たちがいる。でも、この状況も、実はちょっといま雲行き怪しくなってきて、こういう人たちがいま、なーんだ、もういろいろあるんだったら、もういいや、日本はっていう動きもある。
いま日本でいちばん多い外国人労働者は中国の方なんですけども、4年前と比べると、新たに日本に来る人って6割減ってる。

髙橋 さん
中国の方たちの所得が上がってきて、別に必ずしも日本で働かなくてもいいやとか、留学生で来る人は多くても、バイトしなくてもいいやっていう人、結構多いんですよ。中国の方。

佐藤 さん
でも、代わりに、もっと貧しい、ベトナムとかネパールの留学生がすごい増えてて、6年前と比べて、ベトナム人の留学生が10倍、ネパール人が6.5倍ということで、そういう国からの留学生が急増してるんですね。

田中 アナウンサー
じゃあこの扉を開けるかというところでいうと、国が心配してるのは国民のこの声。

全開にされたら、治安悪化って大丈夫? 仕事取られちゃうんじゃないか。この声があるかぎり、ここには踏み切れない。ただ、現場は相当人手不足で、皆さんがおっしゃるように、これから状況はもっと厳しくなるという中、このままで大丈夫なんだろうか。

レッド吉田 さん
治安悪化が心配っていうのは、分からなくはないんですよ。きれい事でいうと、来ていただいて、仕事をしていただいて、日本の国民も豊かになってくれるのがありがたいなと思う反面、何となく、外国人の方の一部の悪い方が犯罪を犯したのが、ものすごくインプットされてしまうから、それだけで、変なイメージで、みんながそうだっていうふうに思っちゃう。

髙橋 さん
かつて日本がバブルの時に、外国の人がずいぶん来て、そのあと不法滞在になって、一部の方が犯罪に走ったとか、そういうことは過去にもあったんですね。だから、そういうことを心配するっていうのは、あながち根拠のないことではないとは思うんですね。

毛受 さん

ただ、実態として、これは外国人犯罪の検挙件数ということなんですけども、これを見ていただくと、非常に激減してるんですね、実際は。

髙橋 さん
実は、働く人の前に、まず外国人観光客をたくさん日本に入れようっていう話があったじゃないですか。その時に最初心配したのは、観光客増えたら犯罪も増えるんじゃないかって心配したんです。でも、このとおり。全然増えてないんですよ。だから、普通の外国人が入ってきたからといって、別に犯罪が増えるわけじゃないっていうのは分かってますよね。

首藤 アナウンサー
なぜか漠然と不安なイメージがそこにあるってことなんですね。

レッド吉田 さん
そこだけですね。イメージを変に膨らましてしまうみたいなことなんですかね。

髙橋 さん
ちょっと心配な点もないことはないです。
最近不法滞在減ってたんだけど、最近ちょっと増えてきてるんです。最近来てるベトナムの方たちが、在留期限切れちゃってから、よくオーバーステイっていいますけど、ビザ切れたまんま日本にいて暮らし、働いてるケースが増えてきてる。そういう人たちって、ある意味では社会の表で働けないじゃないので、犯罪に走っちゃう危険性もある。不法滞在が増えてるっていうのはちょっと危険信号。

広瀬 解説委員
実は国の出入国管理、これは国が法律で決める制度なんですけれども、実際に外国人が入ってきた時に、外国人と接するのは地域コミュニティー、あるいは地元の人たち、地方自治体であったりするので、そこの本音と建て前の違いっていうところが、ずっと解決しないままでここまできたところの矛盾が、ここに来て露呈しているっていうことですね。

これが外国人労働者の内訳なんですけれども、いままでは、つきあいの長い中国、それから、もともと日本人が外国人労働者として出ていったブラジルの日系人の方、それから、地理的にも近いフィリピン。要するに、よく知ってる人たちだけだったんですけれども、いまどうして外国人が増えてるって実感するかっていうと、知らない人たちですね。ベトナム人、ネパール人。こちらも向こうのことを知らないし、向こうもこちらのことを知らないっていうことで、外国人が増えてるっていう、何となく漠然とした不安みたいなのができてる。
ですから、ベトナムでしたら、国の体制からして勤勉な人が多いとか、ネパールだったら、地震があって出稼ぎで家族を養おうとしてるとかいった、それぞれの国の事情を知っていくっていうことがすごく大切なことだと思うんですよね。

毛受 さん
新宿区は人口の12%が外国人なんです。120か国以上、難民の人もいるんですけど、そこの多文化共生まちづくり会議の会長をさせていただいていて、外国人の代表の方、日本人の商店街の代表とか、自治会の代表の方が集まって議論をしてるんですけども、そこで出てくる意見は、いかにいいまちづくりをするかということなんです。逆に外国人の方が、変な外国人入ってきたら困るという意見があるんです。
それと、1年半ぐらい前に新宿区は大規模なアンケート調査をしまして、その時に、日本人と外国人のトラブルは何か、心配事は何かっていうことを調査したんですが、新宿区だと、犯罪だとかドラッグだというようなイメージがあるかと思うんですけども、そうではなくて、いちばん大きなトラブルはゴミの出し方なんですね。

藤本 さん
あー。

レッド吉田 さん
なるほど。

毛受 さん
2番目は騒音、3番目は駐車場ということで、犯罪っていう話は全然ないんですね。それと、日本人の人に対して、外国人が増えるのはいいことか悪いことかっていうアンケートがあるんですけども、そうすると、増えるのはいいことだと答えた人が、悪いっていう人よりも多かったんですね。ですから、現場ではわりとうまくいってるという実態があるんですけども、イメージで議論してるんですね。

広瀬 解説委員

イメージでいいますとね、こちらが自分の近隣に外国人の住人が増えてることについての、どういった感じを持つかという調査なんですけども、抵抗感があるという方と抵抗感ないっていう方で、本当いま日本が2つに分かれてるという状況なわけですよね。そうすると、こういった人たちの理解をどうやって進めていくか。
いままでは、日本は外国人を受け入れる時に、ボランティアに頼りすぎていたというところがありますよね。外国人は労働力であると同時に、人間、生活者でもあるわけなので、いまご指摘にあったゴミの出し方とか、そういった日本人と同じ問題を抱えてるわけなので、そういったところを誰が支えていくか。誰がどこに責任を持つかというところまで議論していかないと、これから問題がどんどん出てくるんじゃないかと思いますね。

髙橋 さん
ゴミ出しなんて、日本人だって違う町行ったら変わっちゃうから、分かんないじゃないですか。そういう時に、隣の人とか町内会の人が教えてくれるわけですよね。外国人だって同じことで、ちゃんと教えてあげれば違和感なく入れますよね。

レッド吉田 さん
本当にそうですね。日本人でも、まだたばこのポイ捨てする人も、不法投棄する方、いらっしゃいますからね。

首藤 アナウンサー
そうですよね。でも、漠然とした不安ってなんで持ってしまうんですかね。メールでも本当にたくさん来ていて、例えば60代の男性。

視聴者の声

60代・男性
「外国人労働者への拒否反応は否めません。異文化の外国人となると、関わることにちゅうちょしてしまいます」。

広瀬 解説委員
1つは接触の回数を増やさないとだめですよね。日本人でも同じことだと思いますが。

佐藤 さん
いま留学生が、先ほどの話でも、とっても増えていて、学校で留学生と一緒に学ぶっていうのは、外国人に慣れるすごい貴重な機会だと思うんですね。

首藤 アナウンサー
確かに街でも、実際に留学生と一緒に勉強してる大学生とかは、全然、何も心配ないっていうふうな声を聞いたんですけど。

髙橋 さん
日本人が外国人とのコミュニケーションが下手なのは、語学のせいもあるけれども、日本のことを外国人にちゃんと伝えられないっていうところなんですね。ところが、若いうちから外国人と接してると、日本と外国の違いっていうのは分かるんで、言葉だけじゃなくて、文化とかそういうものをちゃんと伝えられるような技術が身についていくので、そういう意味で、若いうちから外国人と接触するってものすごい大事なことだと思うんですけどね。

広瀬 解説委員
一方で、いま増えているのは、ベトナム人やネパール人。こういった方々は、日本語を話せる方、少ないですよね。そうすると、労働の現場では、この人たちは自分たちの苦境を話す言葉を持たない。そうすると、問題が見えないところに沈んでいってしまう。これは個人のレベルで接触を増やしたらいいということではなくて、もう少し制度として、ちゃんとコミュニケーションを取れる、相互理解を取れるっていうことを、本当に真剣に考えていかないといけないと思いますね。

首藤 アナウンサー
その制度をどう変えていけばいいというふうに、皆さん、お考えですか?

髙橋 さん
いちばんの壁は、まず言葉だと思うんです。例えば中国の方なんかだと、漢字圏なので、何となく分かる。だけど、ベトナム、ネパールになってくると、日本語の壁はものすごい高い、ハードルが高いと思うんですよ。だから、彼らにちゃんと日本でなじんでもらう第一は、言葉をちゃんと覚えてもらう。たぶん自治体が、そういう人たちに、例えばクラスを作るとかして、ご本人、それから、彼らの子どもたちにもちゃんと日本語を教えていくとか、そういう機能が必要なんじゃないかと思うんですけどね。

首藤 アナウンサー
普段から留学生の支援をしていらっしゃる佐藤さんは?

佐藤 さん
留学生というのは言葉ができるし、日本の文化も分かってるし、ある意味で働いてもらうのに、すごくいい人材なんですね。

でも、先ほど広瀬解説委員がおっしゃったように、ベトナムとかネパールは漢字を使わない国なので、日本語を勉強するのが、漢字圏の中国とか韓国の人よりもすごい時間がかかるんです。学校に入れるまでに2年間ぐらい日本で勉強しないといけないと言われてますが、一方、彼らの多くはわりと貧しい国から来てるので、働きながら学ぶということで、さっき週28時間っていう話がありましたけど、実質それ以上働いてる人もいたりするんですが、すると、なかなか日本語が上達しない。
あと、日本に来るのに、借金してくる場合があるんですね。日本に行けばアルバイトで稼げるから、お金がなくても大丈夫というあっせん業者もいて、それもあって、どんどんベトナム、ネパールからの留学生が増えてるんですが、でも来てみると、時給900円ぐらいで、週28時間、月108時間働いても10万円ぐらい。学費を働いて、アパートを借りて生活するっていうのは非常に大変で、結構苦しい生活をしてたりするので、彼らをくじけないように支えてあげるっていうのは非常に大事なことなんです。

髙橋 さん
たぶん、もともと留学してくる人たちの中には、本当は勉強じゃなくて出稼ぎしたいっていう人たちもいる。だけど、真面目に勉強しに来てる人もたくさんいる。だけど、そういう人たちが生活苦で働かざるを得なくなると、ドロップアウトしちゃうから、ちゃんと勉強できるように、そこは日本が支えてあげるってことが必要ですよね。

毛受 さん
九州の自治体が国家戦略特区で申請をして、週28時間の縛りがあるので、それを36時間まで認めるようにしようという話なんですね。ところが、フランスの法定労働時間って週35時間なんです。ということは、勉強はいつするのかみたいなですね。逆に、それだけ人手不足が深刻なので、留学生でも、とにかく受け入れして働いてもらおうと。ですから、いま、正面が、正門が閉まってるので、どうやって横から入れるかという話になってきてる。

髙橋 さん
いま、技能実習とか留学生という「もともと働くことが目的じゃない人たち」に、人手不足なので働いてもらっちゃってる。でも、これって本当はおかしいんですよね。働きたいと思ってる人たちに対して門戸を開くっていう政策に、少し日本は変えていかないといけないんじゃないかと。留学生は勉強するのが本筋ですよね。

レッド吉田 さん
それは、基本的には日本の国力のためには必要かなと思うんですけれども、何となくですよ、日本人の中の偏見的な部分っていうのを取り除くことっていうのは、どうすればいいんですかね。そこがいちばんの問題だと思うんですよね。

髙橋 さん
その中で心配なのが、例えば犯罪だとすれば、不法滞在とかにならないように、ちゃんと留学生なんかをケアしてあげるとか、社会の見守りみたいな仕組みが必要だと思いますよね。

毛受 さん
日本人の人が外国人の人に話しかけづらいというのは、英語ができないコンプレックスを持ってる人がたくさんいて、英語をしゃべりかけないとだめだという気持ちもあるんだと思うんです。ところが、日本に住んでる人たちはアジア人がほとんどですので、英語は必ずしも、彼らはできるわけじゃない。いま全国で「やさしい日本語」っていうのが実はブームになりつつあります。日本人と外国人の間の共通言語は何かといったら、やさしい日本語なんですよね。自治体の文書を見てもよく分からないし、例えば外国人のお母さんで、学校から子どもがプリントをもらってきても、よく分からないということがある。そういうものをやさしい日本語に変えていこうっていうのが、いま全国で広がりつつあるんですね。

レッド吉田 さん
日本人の友だちの中でも、嫌いな友だちがいるとするじゃないですか。そういう人よりも、ものすごい親しみやすい外国人の人のほうが、仲よくなれたりとかしますよね。だから、中身をしっかりと見たら、人と人だから、しっかりとつきあえるというのはあるんですけど、そこまでいくまでが、結構なハードルがあるのかなと思うんです。

佐藤 さん
さっき毛受さんがおっしゃったように、交流の機会、料理とか、言葉を教えてあげるとか、小学校に留学生が行って自分の国を紹介するとか、自然にお互いを知り合う機会を増やしていくっていうのは非常に大事だと思いますね。

広瀬 解説委員
あともう1つ、意識を変えるということでいうと、よく、外国人を「受け入れる」っていう言葉を使うんですけど、受け入れなのかどうか。

レッド吉田 さん
そのとおりですね。平等ですもんね、極端に言えば。人と人って。

首藤 アナウンサー
受け入れというのが、ちょっと上からな印象を受けます。

佐藤 さん
いま外国人観光客、いっぱい来てるじゃないですか。でも、日本人は英語が下手だから、留学生とか外国人に外国人観光客受け入れの現場で手伝ってもらうとか、お互いに足りないところを補い合うみたいな関係を作るっていうのが、とても大事かなと思うんです。

レッド吉田 さん
ちょっといま思ったんですけど、違ったらごめんなさいね。何となくいじめの構図にちょっと似てんのかなと思って。なんか、排除するみたいな。ちょっと違うのかな?

広瀬 解説委員
いま世界では、移民排斥ですとか、ヘイトですとか、治安の悪化とか、いろんな意味で外国人の労働者に対する偏見とかいったものが大問題になってる中で、じゃあ日本はどうするのか。日本は人手不足という状況に加えて、島国であるとか、あるいは、これから働き手が本当にいなくなるという、こういった独特の事情がありますので、日本型の外国人の受け入れ、これを先延ばしにせず、しっかり考えていかないと。

毛受 さん
ヨーロッパの状況を見て反対する方が多いんですけども、ヨーロッパっていうのは人口の10%とか20%が移民なんですね。日本は230万人強ぐらいで、人口の割合にすると1.8%。これは世界で150番目ぐらいで非常に少なくて、いまから移民政策を取ったとしても、人口の10%まで、外国人の方が増えてくるのに、おそらく半世紀ぐらいかかるとも。ですから、いま本当に少ないので、徐々に受け入れをしていって、その中で経験を積んで、どういう受け入れをしていけばいいかというのをやっていけばいい。世界中のいろんな失敗例から日本はどうやって学んでいくかということだと思います。

首藤 アナウンサー
ちょっとここでですね、ひと区切りしたいと思います。徳永アナウンサー、お願いします。


グラフィックレコーディング

徳永 アナウンサー
はい。きょうから始まった新しい取り組み、グラフィックレコーダーです。これ、企業の会議などで最近取り入れられてるものなんですが、この議論で皆さんがどんなことを話したか、どんな感情を放ったかというのを、リアルタイムで分かりやすく絵に書き留めていく、グラフィックなどでまとめていって、あとで振り返ることができるというものです。

きょうから担当してくれる、グラフィックレコーダー担当の山田夏子さんです。
皆さんの気付きなどをなるべく書いてみたのですが、漠然とした不安はどうしてっていうのと、それでも支えてもらってる現実っていうのが絵になってます。気付きでいうと、こちら。レッドさんがプレゼン中に気付いた、

「外国の人は、日本人がやりたがらない仕事をやってるんですね」。
さあ、皆さんの反応はどうかというのをツイッターで見てみます。

視聴者の声

「ハローワークは中高年の失業者でいっぱい。まずはその人たちをすべて解決すること」

「バブル世代、富裕層の視点でしか語っていない。若い世代の所得保障が先だ」

「ヨーロッパの状況から目を背けちゃいい話にならない」

徳永 アナウンサー
などあるんですが、受け入れて、どうしていけばいいでしょうかっていうのを聞きたいっていう声も来ています。スタジオの気付きでもそうでした。ここです。

抵抗感をなくすにはどうしたらいいか。

言葉の壁とか、言語の話とか出てきましたよね。ここが多かったです。そして、やっぱりこれ。いちばん視聴者の反応も多かったのはここです。

制度とか私たちの考え方、変えていかなきゃいけないんじゃないですかっていう声が、リアルタイムで多いです。いくつか紹介します。

視聴者の声

「日本人であろうが外国人であろうが、お互いに理解してあげようという気持ちが必要ですね」。

「人手不足というより、そもそも過剰サービスなんじゃないですか」

「急場しのぎを続けるようでは、未来がないような気がする」

徳永 アナウンサー
みんなが知りたがってるのは、いちばんここですね。

もうヤバイ。制度や考え方をどう考えていけばいいのか、この時代をというのをみんな知りたがっているなというのが、視聴者の反応とグラフィックレコーダーの感覚ですね、いまのところ。

首藤 アナウンサー
みなさんの声を受けて、それではこのあとは制度をどう変えていくべきかってことについて話し合いましょうか。大きな扉を開けない。小さな扉は開けている。小さな扉を開け続ければいいんですか? どうしたらいいですか?

髙橋 さん
小さな扉を開け続けると、日本のご都合主義で、留学生なんかを安い労働力として使い続けちゃう。そうすると、その人たちがいつになっても低い給料のままで、外国人が貧しい人たちになりかねない。そんなふうにしちゃいけないので、外国人も日本人も同じ条件で働けるっていうふうにするためには、私は門戸をもうちょっと開いて、いろんなタイプの人を入れるような仕組みにしないといけないと思うんですけどね。

広瀬 解説委員
門戸を開いて制度を変え始めてるところもあるんですね。最初のプレゼンにあったんですけれども、いまの日本が直面する高齢化、介護ですね。

こちら、外国人の若い人材が日本の高齢者の介護にあたっています。新しい法律が2つできて、1つは、外国人の方に介護という専門の職種としていていただこうというのと、もう1つは、技能実習という分野についても実習の種類にして、広げようとしてるんですけれども、なかなかこれだけ理想的にいくケースも難しいという、一方の課題もある。
というのは、こちら写真に写ってるところ、これは確かにいい例なんですけれども、こちらの施設の方にお話を伺うと、こうなるには、ここまでくるには、ものすごく大変だったと。なぜかというと、こちらの方、1人の人間ですから、働く以外に人間としての顔があるわけですよね。そうすると、日本語を学ぶのにどれだけコストがかかったか、お子さんの教育はどうするのか、地域コミュニティーの中でどうやって受け入れていくのかっていうことで考えると、制度を考える時に、生産性っていう言葉を使うとしたら、写真に写っていないところのことまで考えた制度設計を考えていかないと、持続可能にはならないということがあると思いますね。

佐藤 さん
いま広瀬解説委員がおっしゃった介護で、介護分野で学んだ留学生がこれからどんどん増えると思われます。留学生、2年間、例えば介護の専門学校で通ってるうちに、日本語も上手になるし、日本の文化も分かって、試験を受けて介護で仕事に就くっていうのが、ある意味で非常に自然な流れです。実はさっき言ったベトナムとかネパールの留学生は、専門学校で学ぶ「ミドルスキル人材」がとても多くて、地方の中小企業とか、そういうところで必要としている人材ニーズとぴったりなので、そういう人の就職支援をもっとして、日本に残ってもらうというのも大事なんではないかなと思うんですね。

毛受 さん

佐賀県では、日本語学校を県が誘致しまして、地元の大学に進学してもらおうとしています。結局、さっき言ったように正門が閉まってるので、地方に外国人の人が定着してもらおうとすると、留学生がメインなんですけども、大学を最初から作るのは大変なので、日本語学校を全国でたくさん作るということが起こっています。
これは県が誘致をしてるということで非常にすばらしい例なんですけども、逆に、さっき高橋さんが指摘されたように、出稼ぎ留学生と言われるような人たちが急場しのぎの日本語学校に来て、実は労働目的で来てる。そういう例もあるということなんですけど、それだけひっ迫してるというような状況だと思います。

佐藤 さん

もっと大規模なのが福岡県で、これは県が地元の企業と、地元の日本語学校、大学と一緒になって、留学生サポートセンターを作って、留学生に、福岡に来てください、第2のホームにしてください、福岡好きになって、卒業後ぜひ福岡の地元企業で働いてくださいと呼びかけています。福岡の地元企業が深刻な人手不足で、留学生のような、日本語もできて、日本文化も分かった人に、ぜひ福岡の企業で働いてほしいと、県を挙げて誘致してるんですね。こういった例は、例えば大分とか、広島とか、ほかの県でも増えているんですね。

髙橋 さん
外国から日本に来る人って、出稼ぎ目的の人もいるのは間違いない。そういう人たちがいてもいいと思うんですよ。だけど、一方で、日本に来て一生懸命勉強して、日本の持ってるスキルっていうか、技術をちゃんと磨いて、日本でそのまま成長してもいいし、母国に帰って偉くなっていってもいいしと。日本に来たら学べるんだ、技術を学べるんだっていうところが、ものすごい大事なのかなと思うんですけどね。

佐藤 さん
あと、いま日本の企業っていうのは、人口減で国内市場が小さくなっているので、海外に出ていかないといけないと。製造業の24.6%が海外で生産してるんですね、中小企業も含めて。海外で子会社を立ち上げて生産するには人材が必要ですよね。日本人がなかなか海外に出てくれないので、留学生を採用して、日本でしばらく働いて、海外の子会社に行ってもらって、日本と彼らの国をつなぐ役割をしてもらおうっていう期待もあるわけなんですね。

首藤 アナウンサー
メールも来ています。「ジャパニーズオンリーの発想がそもそも誤りである。日本で働き、貢献してくれるのであれば、国籍は何の関係もない」「外国人の真面目さにあぐらをかき、日本人は何もしなくなってしまうのではないかと危惧する」と、いただいています。

レッド吉田 さん
なるほど。確かに。

首藤 アナウンサー
私たちが考えないといけないことですね。ありがとうございました。

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