2016年10月29日放送放送内容まるわかり!

拡大する"ビットコイン" 仮想通貨が社会を変える?

インターネット上で流通する仮想通貨"ビットコイン"が世界で拡大しています。流通量はおよそ1兆円に達し、日本でも2500店舗が導入。政府は今月、取得の際にかかる消費税をなくす方向で議論を進めることにしています。 決済や送金のコストが安いといったメリットの一方、取引所の安全性や税金をどうするのかなど課題もある"ビットコイン"。仮想通貨の仕組みを分かりやすく解説しながら、"お金の未来"を先読みします。

今週の出演者

専門家

斉藤 賢爾さん(慶應義塾大学SFC研究所 上席所員)
西部 忠さん(北海道大学大学院 教授)
山本 一郎さん(投資家)
竹田 忠(NHK 解説委員)

 

ゲスト

武井 壮さん(百獣の王)
山口 もえさん(タレント)


視聴者の声

京都府・50代・女性
「ビットコインは見たこともないし、友だちも誰1人持っている人はいません。どんな形してて、どこで手に入るんですか」。

小野 アナウンサー
ご安心ください。私、この京都府50代女性と全く同じ質問をしました。そして、大変ばかにされました。
ばかにした張本人、徳永アナウンサーです。ビットコインとはいったいどういうものなのか、お願いします。


プレゼンテーション①

徳永 アナウンサー
そんな、ばかにしてないですから。
でもね、これ、根本の根本、お金って何だろうって話なので、聞けば聞くほど、わけ分からなくなってきます。まず何が分からないっていうと、ビットコインっていうわりに、コインがない。お札もない。
実際は、インターネット上でお金をやり取りしてると思ってください。ですので、使うのはタブレットやスマートフォン、これでございます。もえさんのところに、いま同じものを用意しました。ちょっとやってみます。
ちょっと、カメラに向けてもらえます?

私がいま、これ、BTCっていうんですけど、3BTC。もえさんとこはゼロです。これを私、送信します。ここをね、1にして、1BTC送信。すぐ行きますよ。

山口 さん
あ、ピッていった。

小野 アナウンサー
1になった。本当だ。

徳永 アナウンサー
これで払ったことになります。

武井 さん
取り引きできたってことですか?

徳永 アナウンサー
1BTC差し上げました。

山口 さん
1BTCもらえたの?
ありがとう。

小野 アナウンサー
絶対あとで返せって言うと思いますよ。

徳永 アナウンサー
言いませんよ(笑)。

竹田 解説委員
子ども銀行みたい(笑)。

徳永 アナウンサー
でもね、これでできちゃう。 BTCっていうのは万国共通。このルールに乗ったら同じ単位なので、地球の裏側でも、クリック1つでお金のやり取りが便利にできちゃうっていうものなんです。ほら。
便利でしょ。ほら、皆さん。ガッテンしていただけましたか?

小野 アナウンサー
してません。全然してません。全然してません。

徳永 アナウンサー
してない? じゃあ、この時点でお三方のビットコインの信用度はどのへんになります?

小野 アナウンサー
高いか低いかしかないんですか? その尺度。ゼロっていうのはないんですか?
だって、いまので信用しろと言われても。じゃあ、枠外。

武井 さん
僕、真ん中ぐらいですね。

山口 さん
私、もらったから、ちょっと上(笑)。

徳永 アナウンサー
じゃあじゃあ、間取ってこれぐらいにしましょう。ただ、じゃあ、なんか怪訝な方に聞きます。あなたのお財布の中に入っている円や、ドルの人もいます。なんでこんな信用してるんでしたっけ?

山口 さん
目の前にありますもんね。

小野 アナウンサー
ええ。それに、それ渡したら、ちゃんと商品もらえる。
例えば、「ちらしずしください」。1000円。はいってくれるじゃないですか。

徳永 アナウンサー
ちらしずしをお金で買えるのは、スーパーの人がそのお金を信用してるからですよね。スーパーの人がまた給料で服買いに行ったら、服屋さんが信用してるから使える。っていうように、みんながお金リレーしていく、みんながお金を信じてるからですよね。
誰のおかげかっていうと、俺のことを注目しろっていう人がいます。

「僕のおかげなんだよ、あなたたち」。つまり、国が法律で、うちの国のお金はこれです、信用していいですよってちゃんとルール作ってるから、って言ってます。

それにのっとって、中央銀行、日本では日銀が、お金の出回る量をうまくコントロールして、経済が混乱しないようにしてくれています。
「金は天下の回り物」っていうでしょ。いまみたいにお金を回します。さらに、すぐに使わないお金は、私たちは銀行に預けます。預けたお金を銀行は、いまお金を必要としている、家を買ったり、商売を始めようという人に貸します。また増えます。これがいつかまた自分のもとに返ってくるっていう、こういう仕組みでずっとやってきてますよね。これで不便と思う人がいないから、気になってるんでしょ?

小野 アナウンサー
不便かどうかって考えたこともないです。

徳永 アナウンサー
当たり前すぎる。
ところが、これに異を唱えた方がいるのがビットコインのスタートでした。
この方です。

お名前をサトシナカモトさんとおっしゃいます。まだこの方、正体が分かっていません。字面は日本人っぽいですが、分かりません。つまり、ネット上に論文を出した方がいる。いまのルールはもっと自由になるっておっしゃる。その最たるもの。じゃあ、何が不自由か。サトシさんは、まずこれを挙げました。
手数料。

小野 アナウンサー
あー。それは私も不自由だと思ってましたよ(笑)。
夜間引き出せなかったりとか。

山口 さん
確かに。預けてるのに、なんで自分のお金出すのに手数料払わなきゃいけないんだろうとは思いますよね。

徳永 アナウンサー
もっと言うと、きょうは世界でお金をやり取りしてる投資家の山本さんもお越しですが、外国とおつきあいがあったり、お友達に仕送りなどをしようとすると、ATMの桁が1つ多いぐらい、手数料を取られちゃうんですって。

山本 さん
悲しいぐらい取られます。

徳永 アナウンサー
サトシさんは言います。もっと、こんな手数料取られなくても、国や銀行に支配されなくても、お金のやり取りはできるんじゃないか。だっていま、インターネットがあるから。で、ビットコインっていうのを提唱して、みんなが、賛同する人が作ったルールです。
国や銀行の代わりに、これがあるから大丈夫だっておっしゃいます

ネットだから、お互いがお互いのお金の動きを監視し合えるでしょ。
実はビットコインっていうのは、誰から誰にいくら動いたかっていうのを、ちゃんと記録が残るんです。お互い、使ってるものどうしで、世界中、チェックし合うことができます。
例えば、私、たいした残高ないのに、たくさんの人にBTCを配ってる。あいつ、ずるしてるんじゃないの? コンピューターいじって。っていうのをチェックしたら、ばれるようになってます。
いま僕からもえさんに、デモでいまお渡ししましたけど、ちょうどいまこの瞬間、世界中のビットコイン使ってる人の誰かがチェックしてます。何人かの人が、ずるじゃないねって確認して、10分ぐらいしたら、本当にそれを使えるようになるという仕組みなんです。
だったら、国や銀行がなくても、手数料なしでいけるんじゃないのっていうのが、この構想なわけです。さあ、もう1回聞きます。ガッテンしていただけましたか?

小野 アナウンサー
してません(笑)。

山口 さん
目の前に本当にものがないと、不安になるのが人間だと思うんですよ。だから、便利さを取るっていうのも分かるんですけど、信用という点で、ちょっと欠けるかなと思います。

武井 さん
あと、お金は国が管理してるけど、それはみんなで管理してるけど、全員が、例えば国がデフォルト起こしたみたいな、そういうのと同じようなことが起きたら、どうなんのかなとかいう不安はある。

徳永 アナウンサー
多くの人はみなさんと同じようにやっぱり、え? って思ったんですが、実はこの信用は現実、クククククと上がりました。

つまり、世界では、サトシさんと同じように、お得になるほうがいいって思ってる方が多かったみたいで、これが広がり始めます。
別の理由でビットコインに入る人も出てきました。「うちの国のお金より、まだ安心できる」。
こんな国の人たちです。

共通点があります。
政治や経済が最近混乱した国です。つまり、そうすると、インフレと、ものの値段がぐるぐる上がったり下がったり、安定しません。銀行から下ろしたくても、お金が急に下ろせなくなったりすることもあります。こんなんだったら、うちの国のお金より、インターネットで保証し合ってるビットのほうがまだ安心だよって人が出てくる。
つまり、信用度は、世界でいえば、クククククとまた上がります。
そうすると、やっぱり現れるこんな人たち。もうけのチャンスだ。
つまり、人気が上がるってことは、値打ちが上がるわけです。値打ちが上がる前に安くビットコインを買っといて、値打ちが上がった時にうまく売れば、差額でもうけが出るじゃない。値動きは実はまだ始まったばかりなんで、激しいです。ただ、だいたいこんなもんだと思ってください。

この6年で、1BTC、かつて10円ぐらいだったものが、最近は7万円になることもあります。
ただ、いま買うと、もう高いですから。急に上がるってことは、急に下がることもあるんで、そこは自己責任です。

山口 さん
でも、そうなるとよけいに、ちょっと怪しい匂いがぷんぷんするんですけど。

小野 アナウンサー
それに、何か事件ありませんでした?

徳永 アナウンサー
はいはいはい。用意してます。これね。

マウントゴックス事件。 この会社は、円やドルといった従来のお金を預かって、ビットコインに替えてくれる仲介をしてくれる会社だったんですが、お客さんから預かったお金が消えちゃったって言ったんです、突然。会社が破綻しちゃった。後日、社長が一部横領してたって罪で、逮捕・起訴されてる。

小野 アナウンサー
消えちゃったっていっても、もともと目にも見えないし、触ることもできないお金だったんでしょ?それが消えちゃった?

徳永 アナウンサー
でも、お客さんの円やドルはもともと実在したお金。それで振り込んだっていうか、ここに投資したら、なくなっちゃったっていうもんだから、大騒ぎ。
こんなこと起きたら、普通はこの信用、この事件のせいで、どーんと落ちると思うでしょ。実際は、すぐ、びゅって上がった。
なぜかっていうと、この会社の社長の事件であって、このルールが狂っちゃったわけじゃないからっていうことだったんだそうです。いま市場規模1兆円のお金がぐるぐる回ってる。さあ、これがぎゅんって上がると、困る方が出てきます。

山口 さん
慌ててる、慌ててる。どうして?

徳永 アナウンサー
こっちのシステムでぐるぐるお金を回してる中から、私たちはあるものを出していますね。

税金。給料からも少し抜き、買った時もちょっと税金払い、やってますね。つまり、こんなのだったらビットがいいじゃんって人が、BTCがいいじゃんって人が増えてきたら。

小野 アナウンサー
あー、分かった。税金取りっぱぐれちゃうじゃないですか。

徳永 アナウンサー
つまりですね、ちょっと前まではこんなもの長く続かないと思ってたよっていう偉い人もいたぐらいですが、わずか2、3年で、いま世界中の国が、これ、法律でどう定める? どうする? どう向き合う? って、慌ててルール作りを始めたというビットコインでございます。さあ、皆さん。信用しますか? やりますか? こういう話でございます。

武井 さん
使えるのかどうかって、実際の日常生活で、個人の単位で使うのにどれぐらいメリットがあるのかっていうところがないと、そんなにまだ、手を出そうみたいな気にはまだならないですけどね。

山本 さん
いままでお金でやり取りしてたわけじゃないですか。目の前にお金があると思って、信頼できるっておっしゃってた。でも、例えばNHKっていう組織があって、そこが何百億、何千億という、私たちの受信料を納めて動いてる。そのお金、見たことあります? 
それって仮想っていうか、見たことない、現実ではないお金が、実際には大きいお金として動いてるわけです。もちろん手元の、コーヒーショップでいくら払うっていうのはお金ですけど、でも、本当に動いてるお金っていうのはもっと大きいもので、銀行口座に入っていたり、証券になってたり。これだって電子上で動いてるわけですよ。
そうなってくると、電子上で動いてるお金を動かすための仕組みとして、国が発行している日本銀行券、円ですね。これを信用しようとして動いてるものと、インターネット上で動いてるお金と、どっちを信用しますかっていうのはこのあと発生して、より手数料が安いほうに行く可能性はあるわけです。
実際にはクレジットカードの決済だって、お店側が一部手数料を負担していて、実際には手数料かかってるわけです。日銀券も、いまおっしゃったみたいに、休日に下ろそうと思ったら手数料かかりますよね。これって実はお金を動かすためのコストなんですね。これがインターネット上で完結するようになると、おそらく安くなるはずだと。インターネットでみんなで監視することによって、より安全に動かせるはずだということで、これから技術としてきちんと担保されていき、安全性と利便性が両方確保できれば、既存の国が発行しているお金よりも信用できる可能性はあるということです。

山口 さん
でも、それがもし進んでしまって、世界中の国の人たちがビットコインに集中して、自分たちの国のお金を使わなくなってしまったら、どうなっちゃうんですか?

山本 さん
可能性はあります。先ほど、キプロス、ベネズエラ、ウクライナとありましたが、実際いまいちばん仮想通貨を使ってるのは中国なんですよ。自分たちの国の通貨をどこまで信用できるかっていうところはものすごく大事で、ある日突然国から取られちゃうかもしれない。もしくは国から外にお金を出せないかもしれないという時に、1回ビットコインに替えて、それを、例えばカナダドルやアメリカドルに替えるだとかっていうことを彼らはやりたがるわけですね。国や、国が発行してる通貨をちょっと信用できないぞってなってくると、こういうビットコインのほうに流れていくってことはありえます。

小野 アナウンサー
じゃあ、どうしてビットコインなら信用できるんですか? 

視聴者の声

北海道30代の男性
「パスワードを忘れたり、サイバー攻撃に遭ったら、財産がなくなりそうな印象を受けます」。

神奈川県40代の女性
「ネット上のやり取りにトラブルがあった時の保証がないことに不安があります」。

斉藤 さん
国としてもこれから法整備をして、例えばトラブルがあった時にどうするかみたいな、消費者を保護するための仕組みを、これから作っていく最中なんです。
あと、パスワードなくした時になくなってしまうっていうのは、実は大きな問題であって。
パスワードというか、秘密鍵っていうのがあって、そのデータをなくすと、なくなってしまうんですね。取り出せなくなる。ただし、秘密鍵を預かって、安全に確保しているようなサービスもあるわけですよ。一般の方々は、たぶんそういうサービスを使ってビットコインを使うことになるので、例えばスマホとかタブレットのデータが消えてしまったらなくなってしまうというようなことから、保護されるような形では使えるとは思うんですね。

小野 アナウンサー
うーん。でも、「サイバー攻撃に遭ったら財産なくなっちゃうかも」っていうご質問はどうですか?

斉藤 さん
一応、どういうふうにビットコインの仕組みが成り立ってるかっていうこと、
みんなで、インターネットの上で新聞を作るみたいなことをやっていて、それは誰でも読めるようになっているので中身が確認できるんですね。その新聞には、例えば「武井さんから山口さんに1BTCを送ったよ」みたいなことが載っていく。それは誰でも読めるので、どこかでサイバー攻撃をしてデータを変えようとしても、全員のところに、これが実はあると。
つまり、どこに新聞があるかというと、これに参加している、基本的には全員が同じものを持ってるので、どこか1つ変えても、全体を変えることはできないという仕組みにはなってるんですね。
ただ、実は技術の細かなところで見ると、いろんな攻撃のしかたがこれから考えられると思うので、技術のほうももちろん発展、進化して、守っていかなければならない。

こういう仕組みを「ブロックチェーン」というんですけども、全体を書き換えるためには、ものすごいコストがかかるんですね。なので、誰かが思いっきり資金を費やして、ブロックチェーン全体を書き換えてやろうと思ったら不可能ではないんですけども、いまのところ、そうするメリットがない。

山口 さん
例えばですよ、そこの全員が悪者で、全員が悪いことをしようみたいな、一致団結してたらどうなっちゃうんですか?

斉藤 さん
そしたら、悪いことになります。ところが、そうすると、この仕組みが使えなくなってしまうので、いまのところはこの仕組みが使えているほうにメリットがあるという考え方で、みんながやってるんですね。これからは分からないです。

小野 アナウンサー
でも、山口もえさんと同じようなことを言ってる人います。「便利の裏には必ず落とし穴がある。悪いこと考えるやつが絶対いるから」っておっしゃって。
でも、私、ちょっと気になったことあるんですけど、こうやって何もかもがみんなの目に触れるっていうことはですよ。例えば、竹田さんがエッチな本を買ったとしましょうよ。
ビットコインでした場合、みんなが分かっちゃうみたいなことなんですか?

竹田 解説委員
なぜあえてそういう例を出す(笑)。

斉藤 さん
何に使ってるかは分からないです。誰から誰かへ、しかも、誰から誰かへっていうのが、ビットコイン上のアドレスでしか分からないので、普通はどの個人かっていうのは分からない。

山口 さん
よかったですね、竹田さん。

竹田 解説委員
なぜそういうこと、私に言われるんですか(笑)。

斉藤 さん
でも頑張って追っていけば分かるので、匿名性については、実はさほどではないです。

視聴者の声

「チャージして使う電子マネーとどう違うの?」

「現金持ち歩かないなら、カードじゃだめなの?」

「電子マネーとビットコインって違うの?」

「私も知らない間に使ってる?」

小野 アナウンサー
っていう質問、来てます。違いますよね?

西部 さん
違いますね。

小野 アナウンサー
何が違うって、電子マネーっていう時、私たちは、1000円や1万円や100円を知ってるじゃありませんか。目に浮かぶし、手にも触れるし。実際あるものを、ここに仮にあった、動かしたことにしましょうよって言ってるのが、電子マネーですよね。
でも、ビットコインは、ありもしないものを、仮にお金みたいなものがあったとしましょうよって言われてるんですよね。どうしてそんな触ったことも見たこともないものを、みんな信じられるんですか?どうしてそれで買い物をしようって思ったりできるんですか?

西部 さん

仮想通貨ってね、この言い方がちょっと問題があって、「仮想」っていうと、「想像上の」とか、「架空のもの」っていう感じがしますよね。だけど、実際には、「Virtual currency」。これを翻訳すると、「事実上の通貨」っていう意味なんです。「あたかも現実であるかのように」ということ。だから、「バーチャルリアリティー」って言葉ありますけど、あれは本当に、「あたかも現実であるかのようにできる」っていう意味ですね。

小野 アナウンサー
でも、「現実とは違う」っていう意味じゃないですか。でも、この場合は、「事実上の」っていう意味になるんですか?

西部 さん
「事実上の」っていうのは、ビットコインを実際に使って、みんなが取り引きをしたり、買い物ができてる。そしてそれが毎日続いてるっていうこと。そういうことが積み重なっていけば、それも普通のお金と同じように、現実なんだと考えるべきだということですね。

斉藤 さん
そもそも「通貨」っていう言葉自体の意味に、「事実上貨幣として通用しているもの」っていう意味が、たぶんあるわけなんですよ。そもそもがそうなんです。

西部 さん
回っていくものなんですね。

小野 アナウンサー
でも、それは、回り始めたら、回ってるものって呼べると思いますが、回してない人間にとっては、別に回ってるものとは思ってないので。

竹田 解説委員
相当いま、ビットコイン、仮想通貨側にぐぐっと傾いてますけども、ちょっとここで、そうとばかりは言えない、ということを紹介したい。
この単語、「法定通貨」。
円は法定通貨、つまり日本国が法律で、取り引きで円を使った場合には、それは拒否できませんということを保証している。日本の場合は円だし、アメリカの場合はドル。ビットコインの場合には、みんなでこれを使おうということを、みんなで約束ごとのようにやってますけど、法律の裏付けがあるわけじゃない。強制することは誰もできません。
ですから、まだまだいまの時点では、信用力っていったところでは、まだ厳然と、法律上の信用っていうことでいけば、厳然たる差はあるんです。

西部 さん
法律で定められているものが通貨ですね。それに対して、こういう事実上のお金がこれだけ流通してきてるってことは、一般の人が法定通貨に対して、少し信用を落とし始めてるっていうことかもしれないんですよね。先ほどのキプロスの話とか。
そういうお金に対しての信用が落ちているから、みんなこれを使い始めてるということは、法定通貨も完全に安全なものではないんじゃないかっていう考え方が少し出てきて、これが広がっていくと、法定通貨に対していろいろな問題が起きてきて、もしかしたら、いまあるお金の仕組み、特に国を中心にして回っているお金というものが、こちらの、いわば人々が作り出している民間のお金ですね。こちらのほうに動いていくということがある。

山本 さん
国を信用して通貨が回ってるのか、インターネットを信用してお金が回るのかでいけば、今は国と、インターネットに相対してるっていうか、比較されてるっていう状態なんです。
ただ、日本においては、まだ日本のお金の仕組みだとか通貨が強いので、日本では、日本を信用できないからビットコインどうしても使いたい、というのはあまりいないんです。

武井 さん
逆に、仮想通貨が実際の法定通貨を脅かしてる状況みたいのって起きないもんなんですか? そうなっちゃうと。

山本 さん
それは、本当に国が混乱していて、インフレを起こしていたりとか、その国の通貨を持っていても、激しくインフレしててお金の価値がどんどん落ちてるのであれば、その国のお金を持ってる意味がないですよね。そうなると、持ってるお金や、例えば食べ物とか、もしくは不動産とかを、ビットコインに替えたりする。実際それは起きているってことです。

山口 さん
でも、私はやっぱり日本の円を信じます(笑)。

小野 アナウンサー
このやり取りをご覧になった方から、「デジタルネイティブ世代と、それ以前の価値観の違いだな」っておっしゃってて、悪かったですね、それ以前で(笑)。
でも、「そもそもビットコインってどうやったら使えるの?」っていうご質問が来てるんですけど、どうやって手に入れるんですか? さっき、もえさんはもらった。

竹田 解説委員

基本的には、いますでにビットコイン持ってる方から譲り受ける、もらうっていうのが、まず1つあります。送ってもらうっていうのがね。
だけど、多くの人が実際に手に入れるのは、取り引き上というふうな言い方もしてますけども、ビットコインを売ってる会社が、大手がいくつかあって、実際の店舗もあったりしますけども、だいたいインターネット上のサイトで、ちゃんと自分でクレジットカードの登録もやって、身分証明もすれば、本人証明もすれば、口座が開ける、買うことができるということになって、ここで手に入れることができるということになってる。
ただ、1点ここはちょっと注意したいんですけども、こうやって新しいものができて、しかも、ちょっと難しそうでよく分からないものが出てくると、何が起きるかっていうと。
詐欺商法、不審電話。実際逮捕者も出てます。お年寄りのところに、「これから仮想通貨っていうのがはやるんですよ。これからみんな取り引きするので値段が上がるから、いまならお買い得ですよ」って言って、数千万とか、多い場合には1億円ものお金をお年寄りからだまし取って、逮捕されたという事例がすでに何件か出てます。国民生活センターにも不審電話があったっていう相談が何件も寄せられてて、ここはちょっと注意が必要ですね。

山口 さん
私も、1BTCが約10円から7万円に上がってるっていうところで、絶対誰かはもうかってると思うんですよ。1BTCが値段が決まってて、流通をもっと簡単にするために作られたものだったら信用するんですけど、そうじゃなくて、誰かがもうかってると思うと、やっぱり、うーんって思っちゃいます。

武井 さん
でも、それは本当のお金でも一緒ですもんね。

山本 さん
はい。実際このブロックチェーンっていうものをきちんと回すためには、しっかりとしたバックグラウンドで、いろんな人が協力をしなきゃいけないんですね。
協力する人たちの動機は何なのかというと、この仕組みに対して、もちろん未来を感じてる人がいるんですけど、これが通貨に変わっていくんだってなってくると、これは大きな別の価値を生むわけで、そこに対して張りたい、将来的な夢もある、これに関してはもっともっといけるはずだと思ってる人は、それに対してお金もリソースも使うし、それに対する見返りとして、ビットコインからこういう形でもうかる、もしくはこういう形で自分のやってることが評価されるみたいなことを求めてる人はいっぱいいると思うんです。

視聴者の声

「私の母の95歳になる友人は、現金を下ろすのに、いまだに印鑑と通帳を持って銀行に行っています。高齢者にはますます住みにくい世の中になってきました」。

「ビットコイン? 何でも東京中心の話題はやめてほしいな。そもそも大停電や災害でパニックになりそうなものなど使いたくないね」

「ビットコインを使うかどうか考えるのは、近所の商店街で魚や肉や野菜を買えるようになってからだな。いまのところ用はない」

武井 さん
いまそういうお金が、投機目的みたいな感じで使われてることが多いってことだったんですけど、それがわれわれの実生活に実際にメリットがあるような状況になるにはどういう手順が必要で、何が起きるとそうなりやすいんですか?

山本 さん
実は皆さん、これからブロックチェーンをひそかに使うんですよ。いま銀行自体がブロックチェーン技術というものをすごく高く評価していて、例えば銀行間のお金のやり取り、もしくは手数料の払い込みとか、海外送金だとかっていうものを、この技術を使うことによって安くできるようになるはずだということで、各銀行がブロックチェーンを研究し始めています。自分たちの中だけでこの技術を利用して、もっと手数料を安くするための技術を開発しようと。それは結果的に、皆さんの手数料が安くなったりとか、もしくは電子マネーの入れ替えの時に手数料が安くなったりとかっていうことはある。

武井 さん
それは、例えば送金を行ったりする銀行とかの利益損失にはならないんですか?

山本 さん
いまのATMの運用コストってものすごく高いので、まさにおっしゃったように、引き出し時などに、高い手数料を払わなきゃいけない。300円とか、400円とか。利息よりもへたすると高い手数料がかかってしまうのを、銀行の中だけで通用するブロックチェーン技術を応用することによって、それこそ7円とか8円とかで下ろせるようになるに違いないということで、研究をしているんです。ATMが、あまりにも昔から使ってきたものなので、運用するのにお金がたくさんかかるんです。それをインターネットに置き換えるだけで、かなりコストが安くなる。

竹田 解説委員
もういますでに大手銀行、例えば三菱UFJなどは、独自に仮想通貨を自分たちで来年作って、送金などの取り引きに使おうという構想を出してるんです。これをやらないと、ライバルがどんどん入ってきて、同じようなことを、IT企業が銀行に代わって、銀行サービスをやり始める。こんなに簡単に、手数料が安く送金できますよ、融資もできますよっていうのは、もうアメリカで始まってますから、どんどん攻め込まれる前に、銀行自身がそういう対応をするということなんですね。

斉藤 さん
先ほどの、東京中心の話題っていう話があったんですけど、ビットコインの技術がいいかどうかに関わらず、こういう種類のものを地方も注目したほうがいいのかなと思うのは、基本的にどこにも中心がないから、中央をう回している仕組みなんですね。
例えば、東京の大手の銀行を介さずに送金ができたりするという話をしているわけですので、地方の、地域の方々こそ、こういうのは注目したほうがいいかなとも思います。

小野 アナウンサー
ちょっとここでご覧いただきたいプレゼンがあります。「国の安定してるところでは広まらない気がするわ。日本は安心感半端ないしな」というツイートも来てるんですが、ここから、ちょっと地方の話です。


プレゼンテーション②

徳永 アナウンサー
1つの国に1つの通貨じゃない、複数あっていいんだっていうふうに、もしなっていくと、逆に世界をまたにかけるビットコインじゃなくて、地域限定の仮想通貨も出てくるかもしれないという話があります。

きょうお越しの西部先生は、北海道に住んでもう20年以上。ずっと提唱してらっしゃるのは、北海道限定で仮想通貨を作ったらどうだってことを提案してらっしゃる。その名も、

仮想通貨「Do」。「Do」と書いて「ドゥ」。
これはね、要は二刀流です。北海道の中で、円も使えるし、これから将来はDoも使えるっていうふうに、2つの通貨を回すようにしよう。Doは北海道限定と。
北海道っていうのは、乳製品とか、魚介類とか、観光とか、資源がいっぱいあります。これを円でも買えるし、Doでも買えるっていうふうにして、観光客を迎えようじゃないか。
ただし、道でルール作って、Doに替えて買ってくれたほうが円よりお得な値段にしましょうっていうルールにしとくと、みんなDoに替えて、落として帰っていってくれる。

仮想通貨ですから、もっと可能性は広がって、世界のどこからでもネット1つで買える時代ですから、ドルを使ってる人が、北海道のチーズを、安いんだったらDoに替えて買ったってこともできるわけです。
そうすると、Doがどんどん北海道にやってきますから、この中でお金が回っていって、経済も豊かになるんじゃないかっていう発想です。
さらに言うと、道の人にも、経済以外のメリットがあるんじゃないかと言っています。それはこれです。暮らしのちょっとした困りごとを、Doを払い合うことで解決するようにしましょうっていうルールを作ればいいじゃないか。

例えば、最近は雪かきの業者が来なくなったね。「15Do払うから、うちの前の雪かきしてちょうだい」ってネットで呼びかけたら、それ欲しさに誰かが来てやってくれるかもしれない。
「うちの近所、列車が廃線になっちゃって、隣町までスーパー行かなきゃいけないんだけど、誰か車、乗してくれない? 30Doで」ってもし言ったら、誰か、ネットで来てくれるかもしれない。こうしたことをDoを払い合って助け合うことができるかもしれない。
さらに、もしこれが仮に広まったとしたら、私たち、東京やほかの地域に住んでる人は、円やドルをDoに替えて払うことは、これを助けることになります。

つまり、これからの時代のお金は、先生、「どの地域を応援するかという意思表示そのものになるんじゃないですか」とおっしゃってます。どぅ?

小野 アナウンサー
じゃあ、1つの国に1つの通貨という頭が古いってことですか?

西部 さん
先ほど武井さん言われてたように、ビットコインがどうやって日常的に使われるようになるかっていうと、いまのビットコインは、1ビットコインが7万円とか高すぎるんですよ。
そして、ビットコインの供給量っていうのは、どんどん減っていくんですね。そうすると、価値がどんどん上がっていくように、最初からデザインされてるんですね。だから、おのずと投機的になってしまうような性格があるんです。だから、そうならないような、ビットコインに似てるけれども違うような、ビットコインならぬ仮想通貨、あるいは暗号通貨っていうものができればいいんじゃないかっていうことで。

武井 さん
仕組みだけを、仮想通貨の仕組みを使って、売り買いで上下がそんなに大きくつかないようなシステムを作るってことなんですか?

西部 さん
もっと単位の小さい、仮想通貨っていうのは実際にはもうたくさんできてるんです。すでに700種類ぐらいできていて。

斉藤 さん

世界でもいろんな試みが行われていて、これはニューヨーク州のイサカっていう町、私も住んでたことがあるんですけども、そこで行われてる「イサカアワーズ」っていう地域の通貨の取り組みもあって、アワーズっていうのは時間のことで、人が1時間あたり働く価値というものを単位にしてるので、変わらないんですね。
それを使って、しかも、イサカ、コーネル大学のある町で、リベラルな人が多くて、アメリカの連邦政府の政策に反対して、戦争を戦うとか、自然破壊をするとかいうことに反対する人たちが、主張としてその通貨を使い続けるみたいなこともやっているんですね。

武井 さん
いっときはやった商店街の通貨みたいな、そういうことってことですね。

西部 さん
地域通貨っていって、地域の中だけで使えるお金を基盤に、これを考えているんですね。だから、北海道の中だけで使い、みんながぐるぐる回していくお金っていう発想です。そうすることで、北海道の経済を活性化しようと。

武井 さん
いいんですか? 例えば、それに対する課税みたいなもののシステムをちゃんとしないと、自治体の収入が減ったりとか、そういうことにはつながったりしないんですか?

斉藤 さん
もちろんそういうふうに考えればいいんですよ。イサカアワーズにも課税の考え方があって、その地方で使えるわけですから、そういう考え方もできますし、あとは、地方政府がこういう通貨を独自に発行してみたいなことを考えると、それは税収になっていく。

武井 さん
じゃあ、法定通貨のいまのシステムで税金とかの管理をしてることと、これを混ぜていくような。

竹田 解説委員
円でまず大多数の取り引きはできてるんだけど、それにこういう仮想通貨とか、地域で使われる通貨が、補完的な役割を果たして使われるっていうイメージじゃないですかね。

山口 さん
でも、仮想通貨がどんどんどんどん進出してくると、いままで頑張ってた銀行とかが、やっていけなくなっちゃうんじゃないかと思って、心配しちゃうんですけど。

山本 さん
どちらかっていうと、いま北海道みたいな地域だとか、さっきの森林破壊みたいな、目的別みたいな、いろんなところで価値が発生するわけですね。例えば、高齢者福祉のためにクーポンを出しますと。クーポンを使うために仮想通貨を消費していくことになると、先ほどの税金の問題じゃなくて、むしろ高齢者に対して仮想通貨を給付するって形なんです。それを使っていただいて、うまく生活を回してもらう。もしくは、子育てのために政府がクーポンを出しますみたいなことは、ありえると思うんですね。

小野 アナウンサー
「通貨の二刀流、いいね」っていう声が来てます。それから、「通貨ってのがそもそもどういうものなのか、1度考え直してみたら、仮想通貨のこともある程度分かってくるんじゃないかな」っていう声。そして、「お金はものとしての現金と思ってる人は、ビットコインに不信感が強いんだろうな。お金イコール信用のはずなんだけど」っていう声が来てます。

西部 さん
昔はお金は金みたいなものだったんですけど、いまは必ずしもそうでないんですね。ドルでも金と交換できるものではないんで、そうすると、お金っていうのは、日本円とドルを単に交換する、交換比率を表してるに過ぎなくて、それがFXみたいなところで毎日変動してるっていう。そういう意味では、ものというよりも情報にすぎなくて、それにわれわれが価値を単に与えてるっていうことなんですよね。

武井 さん
でも、これ、国どうし、例えば海外送金にとかっていう話ありましたけど、お金の価値の低い国と高い国があるじゃないですか。それって、低い国は使いにくいってことですか?

山本 さん
使いにくいです。常に使いにくいです。国の信用、通貨の信用がない国はビットコインにどんどん変わっていってしまいますので、そういったところは、いちばん安全なところに資産を逃がそうとする。ただ、ほかの国と共用してる通貨を使うってことは、ペッグっていって、通貨どうしが強い結びつきを持つことになるので大変なんですよね。それだけのお金を貧しい地域で稼がなきゃいけないとなってくると、それは大変なことになるんです。

小野 アナウンサー
お金って何でしたっけ? これまで、1つの国では1つの通貨、お金でものが買えるんだと思っていたことを、まず疑ってみなくてはっていう。

竹田 解説委員
共通のものさしになりうるってことですね。

小野 アナウンサー
ものさし。新しいものさしが出てきた。きょうはどうもありがとうございました。

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