2016年06月18日放送放送内容まるわかり!

パパはつらいよ! 子どものしつけ どうすりゃ委員会

北海道で両親が"しつけ"として男児を山の中に置き去りにし、6日ぶりに保護されました。 このことをきっかけに、子どもへの"しつけ"のあり方が改めて注目されています。 民間会社の調査では、「子育てに自信を持てない」という父親は年々増加し、子どもと接する時間が少ないなか、子育てに苦労する父親像が浮かび上がっています。 家庭科を必修科目として学び、職場では「イクメン」を求められる30代の父親たちは、育児にどう向き合えばよいのか、深読みします。

今週の出演者

専門家

汐見 稔幸さん(白梅学園大学 学長)
髙祖 常子さん(NPO法人ファザーリング・ジャパン 理事)
渥美 由喜さん(東レ経営研究所 主任研究員)
早川 信夫(NHK解説委員)

 

ゲスト

田村 亮さん(タレント)
いとう まい子さん(女優)


小野 アナウンサー
両論分かれる話なんで、聞いちゃいます。皆さんは、両親が男の子を山の中に置き去りにしてしまったニュース、どっちですか?
 「理解できる」「できない」。せーの、いきましょう。

田村 さん
はい。

小野 アナウンサー
へぇー。その微妙な挙げ方、何ですか? これは。

田村 さん
微妙なんは僕も一緒ですよ。だけど、どっちかっていうと。

いとう さん
私、子どもはいないですけど、街なかではよく見かける光景だなと思うんですよ。子どもがだだこねて、おもちゃ屋さんの前で寝転がって、やだやだ、欲しい欲しいって言って。そうするとお母さんが、じゃあもう勝手にしなさいってどっか行っちゃうパターンはよくある。だから、もしかしたらその延長かなと思うと、あるかなぁ。でも、山奥はなぁ。そういうところですね。

小野 アナウンサー
渥美さんは、「理解できる」。

渥美 さん
確かにやりすぎだと思うんですよ。ただ、僕も子ども会ずっと20年やってきて、悪いことしちゃう時についおしりぺんってやっちゃって、あとで人様の子どもに手を上げてしまったって、やっちゃったっていう後悔が時々あったので。

小野 アナウンサー
そして、あとお二方、両方を挙げてらっしゃる。微妙ですか?

汐見 さん
微妙ですね。最初に聞いた時にね、あそこまでやるってことはふだんから相当苦労されてるんだろうなっていうところでは、しょうがないってやったんだと思って理解できるんですけども、1人、小学校の低学年の子どもを山の中へ残すってことは、相当の心の負担っていうか、不安になって、それ以外の方法、もっとあったんじゃないかっていうようなことを考えると、もうちょっと考えてほしかったっていうのと、両方ですね。

髙祖 さん
そうですね。本当に言うことを聞かないとか、永遠の課題だと思うんですけれども、気持ちは理解できる。だけれども、行動としてはだめだというところの線は引いておきたいかなというふうに思います。

小野 アナウンサー
なるほど。今回番組でもアンケートを採ってみたんです。そうしましたら、意外に浮かび上がってきたのが、お父さんたちの子育ての悩みでした。

視聴者の声

東京都・40代
「どうやったら心に響く注意のしかたができるのか悩んでいます。相談する人がいないので、1人で抱え込んでいる状態です」。

大阪府・40代・男性
「口で注意しても聞かない時は手を出してしまうこともあります。ただ、たたいたあとは「かわいそうなコトしちゃったな」とイヤな気分になります」。

小野 アナウンサー
この件に関しても、実はかなりアンケートで意見が分かれました。
「しつけのために子どもを山の中に置き去りにするのは理解できない」、41.5%と、並ばないまでも、「理解できる」35.5%。この苦しい立場、状況、いったいどうするのが正解なのか。きょうは徹底的に考えていきたいと思います。


プレゼンテーション①

田中 アナウンサー
お父さんといっても、古今東西、漫画の世界とっても、子どもとの向き合い方はいろいろですよね。「ばかもん!」と一喝する波平。スーパー熱血指導の星一徹。口べただけど、料理で愛情を表すクッキングパパ。「みさえー」(笑)、なんてパパもいましたが、いま2016年、目指すべき父親の姿はこれ。

「イクメン」。国もプロジェクトで推進しています。積極的に育児に関わって、みずからも成長する、楽しむという、かっこいいお父さん像というのがいまの理想の姿。みんなこれを目指すんだけど、悩んでる。いったい何を悩んでるのか。今回アンケートや取材をもとに模型にしてみました。

イクメンを目指す、こちら深 育夫さん、35歳。共働きの妻と小学生の子どもの3人家族です。育夫さん、ちょうど中学や高校で、男子生徒でも家庭科が必修になった最初の世代です。ですから、父親が育児に関わるというのは何の抵抗もありません。
いまの時代はネットも発達して、いろんな情報あります。本屋さんに行けば、育児本、山ほどありますよね。育夫さん、イクメン目指してますから、そうしたものを読みあさって、一生懸命勉強します。だから、妻よ、安心して仕事行ってこいと。その間俺が子どもを見とくぞというふうに、もうやる気満々です。
イクメンデビューだと、街にくり出そうと、子どもと一緒に行きます。しかし、ちょっと目を離したすきに・・・。

小野 アナウンサー
何?何したの?

田中 アナウンサー
子どもが石を持って、なんか投げてる。

ちょっと、ちょっとと。

小野 アナウンサー
それ、もしかして、よそのお宅の?

田中 アナウンサー
そう。車の近くとかでね、石を投げている。おいおい、ちょっと、ちょっとと。こういう時どうするか。育夫さんは一生懸命勉強してるから、最適な対処法を知っています。これです。

いまの時代は、すぐに手を出したりとか、感情的になるんじゃない。子どもだってちゃんと口で言えば分かるはずだ。優しく、「だめだよ、そんなことをしたら人の迷惑になっちゃうよ。やめてね」。子ども、全然やめない。「ちょっと、石をとりあえず置こう。やめてね」。全然やめない。ついに、車に傷をつけてしまった。

田村 さん
あら。

田中 アナウンサー
そうすると、持ち主が出てきて、

「お前、いったいどういうしつけしてるんだ! 弁償しろ!」。かんかんに怒られた。結局、本で一生懸命学んだ、この「言って聞かせる」は失敗に終わってしまいました。
次のケース。今度は公園で子どもと遊んでいました。そうすると、自分ちの子どもが友達に、けんかして、けがさせちゃった

さっきは「言って聞かせる」がだめでしたけれども、本にはこういうことも書いてあった。時にはこれだ。

厳しくすることも必要。波平ですよ。

小野 アナウンサー
はい。「ばかもーん!」。

田中 アナウンサー
「お前、友達をね、泣かすなんていけない。ばかもーん!」。ゲンコツ。

子どもは泣いちゃいますよね。

でも、しつけのためにこのぐらいは必要だ。育夫さんは胸を張りますが、周りからは冷ややかな目。

「あれ、ちょっと虐待じゃない?」なんて声まで。やっぱりこの時代は、「厳しく」っていう時代じゃない。また失敗してしまった。
今度は夕方。子どもと街を歩いて、コンビニエンスストアの前。

子どもが泣きだしている。もう夕飯近いんだけど、アイス食べたいってずっと泣いてるんですね。だめだよ、いま食べたらごはん食べられなくなる。子どもはそんなこと全然聞かない。
いままで、「言って聞かせる」もだめ、「厳しくする」もだめ。もう1つ、こういうことも書いてあったぞ。

もう親が叱るんじゃなくて、子ども自身に何が悪いのかを考えさせよう。

小野 アナウンサー
どうやって?

田中 アナウンサー
育夫さんは子どもに言います。「泣いたってだめなものはだめ。もうパパ知らないよ。先に帰るからね」。その場を離れます。子どもを1人にさせます。帰るといっても、物陰から子どもの様子はうかがってますよ、ちゃんと。

でも、タイミング悪いことに、ちょうどママが仕事から帰ってきて、この様子、目撃しちゃった。「あんた、ちょっと、何1人にしてんの!何かあったらどうするの!あんたなんて父親失格!」。きつくおきゅうを据えられてしまった。「考えさせる」ってことも全然できない。育夫さん、目指していたのはかっこいいイクメンの夢が徐々にしぼんでいっちゃう。

こういう悩みとは育夫さんに限った話じゃない。「子育てに自信がもてない」という方、44.3%。

あんなに頑張るぞって言ってたお父さん、結局このらく印。

悩みは深まるばかりです。

田村 さん
失格じゃないです、これは。こんだけ子どものことを考えてる時点で、失格じゃないです。だけど全部、あるあるですけどね。

小野 アナウンサー
全部、あるあるですか?そういう時、どうするんですか?

田村 さん
僕も同じような状況になりましたけどね。いつまでたっても次男がふらふらするんで、1回同じようにほっとくっていうのをやって、長男と一緒に見てたりしたけど、嫁さんが買い物終わってやってきた時に怒られるっていうのが、同じこと本当にあって。だけど結局、悩んだ、自分のやり方しかないなって。子どもが、長男と次男でも違うし、みたいな感覚になりましたけどね。

髙祖 さん
でも、いまのパパは、すごい試行錯誤しながら頑張ってたと思うんですよね。でも、考えさせるっていうところも、ちゃんと向き合って考えさせたらよかったかなというふうに思いますし、ちゃんと物陰から見てらっしゃいましたけれども、それが目の届かない、危険も考えられるような場所に置くっていうのは、子どもの安全が守られてないというようなことになると思うんですよね。

いとう さん
具体的に、どういうふうにするのが向き合うということなんでしょうか?

髙祖 さん
子どもがぐずる時に、子どもなりのぐずる理由というか、それがなんでなのかを聞く。例えば、夕方なんだったらば、子ども自身も疲れていて、ちょっと自分の気持ちがコントロールできなくなってしまっているというようなことも考えられると思うんですよね。なので、子どもがどういう状況なのか、それもちゃんと口で説明できる子もいると思いますし。

いとう さん
話し合うということですか?

髙祖 さん
そうですね。コミュニケーションでっていうことが大事かなと思います。

田村 さん
ぐずってる時は、分かってないですよ、だいたい子どもは。コミュニケーション取れないです。話し合いとかなんて、小学校2年ぐらいでできるかなとか。年にもよりますし、子どもにもよりますし。

視聴者の声

「1回の注意で聞いてくれると、怒ったことがむだじゃなかったなと思ってうれしくなるけど、次の機会でまたできなくなると、本当にがっかりする」。

「私の幼いころはゲンコツや夕飯抜きくらいは日常茶飯事だったが、最近は夜泣きだけで児童虐待と騒がれる。しつけと虐待の線引きが難しいと思う」

小野 アナウンサー
という声も来てて、厳しいのは、どれぐらい厳しいのがいいのか。

渥美 さん
子ども会で、例えば小さい子どもをいじめたり、動物に危害を加える。そういう場合に、単にその子と向き合うだけじゃなくて、ほかの子の目もありますから、そこはがつんと1回叱って、そのあと、あとを引かないようにどうしたらいいかっていうことをいつも考えてきました。その時に、僕の場合、おしりぺんぺんになっちゃったんですね。あとで後悔はするんですけれども、単にどう叱るかだけじゃなくて、それまでの信頼関係、人間関係をどう作るか、すごく悩みます。

小野 アナウンサー
基本的に体罰っていうものについては。

汐見 さん
昔はね、がつんってこう、僕もバチンとやられた世代なんですけども、納得してないの、いっぱいあるんですよね。いまでもちょっとね、父はもう亡くなりましたけど、恨んでるっていうのはやっぱりあって(笑)。なんであの時殴ったのか。
厳しくする必要っていうのは、時によってあるんですよね。あるんだけれども、子どもがなんで俺は叱られてんのかがそれなりに分かってなければ、効果はないですよね。
だから、場合によってはおしりぺんぺんってやって親の姿勢を示すこともあってもいいと思うんです。ただ、体罰は必要だってやってしまうと、限界がなくなってしまいますから。だから、体罰は原則としてしないほうがいいんだけれども、どうしてもしなきゃ伝わらない時には、その理由をちゃんと伝えて、子どもなりに分からせた上で、おしり出しなさいっていうぐらいだったら、私はあってもいいと思いますけどね。

髙祖 さん
私は虐待防止の活動もしているので、講座とかでも、お母さん、お父さんたちと話していると、手を上げてしまって、それをすごく後悔してるというような方もすごく多いです。親自身が、自分の親からそれを受けたことがあって、それがすごく嫌だった、苦しかった、つらかったっていうような思いを抱えていらっしゃる方がいるんですよね。
なので、手を上げるとか罰を加えるっていうことを常に前提にしておくと、この間やったのに、この間手をあげられたのにまだできない。じゃあ、私の叱り方、罰の与え方が弱かったからと思って、エスカレートしてしまう可能性もありますね。

いとう さん
さらに強くなっていくってことですか? 虐待が。

早川 解説委員
そうですね。暴力は暴力の連鎖しか生まないってことなんですね。極端な例かもしれませんけれども、私は少年院とか取材するんですけれども、そうすると、そこに来ている子どもたちの多くが体罰を受けた経験者なんですよね。暴力でもって、納得しないままにぼこぼこやられてしまうと、汐見さんが言うみたいに、なんで怒られてるんだろうかっていうのが分からないままで終わっちゃうってことなんですね。きちっと理屈が伝わるっていうのが大事だと思うんですね。

汐見 さん
原則は、やはりやらないでっていうことを立てておくことは大事だと思うんですけどね。

小野 アナウンサー
ただ、こういう子育ての悩みって、大昔からずーっとあることじゃないですか。なぜお父さんたちはいまこんなに悩んでいるのかなっていうことも、時代かなっていう感じもするんですが。

いとう さん
そうですね。昔はお父さんがあんまり子育てに参加してなかった。うちなんか、ほとんど家にいなかったですから。むしろいまのほうが、ものすごく考えてやられてる方、多いですよね。

早川 解説委員
社会の側の子どもへのまなざしに、ゆとりがなくなっているっていうのもあるように思いますね。少子化ですから、子育てする親だけじゃなくて、おじいちゃん、おばあちゃんの世代も子育て経験少ないんですよ、実はね。そういった本当に少ない経験の中でこれはっていうことをみんなおっしゃるんですね。
だから、大人の多くが子どもと接する機会が少ない、社会全体がみんな少ない中で、ああしろ、こうしろっていうことを、子どもを持つ親にプレッシャーが大きくかかってるっていう、そういう側面もあるかなって気がします。

汐見 さん
お母さんが育児にすごく不安を感じるようになった、疲労を感じるようになったっていうのが出てきてもう20~30年になりますが、お父さんも同じ問題ですよ。
ちょっと前までは、ごはん食べたら、どこどこ行って遊んでくるねって言って、自由に遊べたんですよね。親のほうも、外行って遊んでおいでって出せたんですよ。
そうすると、そこで群れて遊ぶじゃないですか。そこで実はいろんなものを鍛えられるわけです。ルールを守らないと遊んでもらえないしね。ちょっと足けがしたら、配慮してあげなきゃいけないとか、いろいろみんなで計画作らなきゃいけないとか、相談もしなきゃいけないってことで、人間の基礎力みたいのをいっぱい鍛えられるわけじゃないですか。いまそんな場が全くないんですよ。
外行って遊んでおいでって、3歳、4歳の子なんて出せないわけですよね。そうすると、家の中で育てなきゃいけない比率っていうのがものすごく大きくなって、家の中で体力をどうやって鍛えるのかとか、社会性をどうやって鍛えるのか。お母さん、あんたの責任の時代なんですよってやられて、お母さんたちは苦労し始めた。それと同じことがお父さんにも言えるわけですよ。しかも、いまのお父さんは子どものころ、自分のお父さんに遊んでもらうことはほとんどないわけですから、モデルがない。

渥美 さん

職場の問題も大きいと思うんですよね。そもそも男性たちへの期待、妻の期待、家庭の期待、自分たちでやんなくちゃいけないんだって、そういう機運は高まってるんですけど、一方で、しつける、叱るにしても、それまでの人間関係を作るための時間が必要で、その時間がなかなか作れない。長時間労働で、なかなか職場では理解がない。「パタハラ」っていう言葉があるんですけれども、パタニティーハラスメント。そもそも、父親であろうとすることをちょっと職場で言うと、ハラスメントを受けてしまうという。

早川 解説委員

これ、NHKの放送文化研究所がやった調査なんですけれども、理想の家庭像、昔の人たちは、「夫は仕事 妻は家庭」というイメージだったんですけれども、いまは「夫婦で協力」っていうのが理想の形ですよというふうに、どんどん増えていって。だけど、なかなかそこには、うまくいかないギャップがあるっていうことなんですね。

汐見 さん
それは価値観だとか心構えの問題ですよね。日本でお父さんたちがそういうふうにしなきゃいけないと思っていても、その条件は、例えばヨーロッパのいろんな国に比べて、圧倒的にないですよね。

田村 さん
まず環境がないってことですか?

汐見 さん
ええ。私の息子、いまドイツで子育てやってるんですが、ちょっとこの間行ってみて、保育園に行ったんですよね。そして、午睡が終わったころってことで、行ったら、4時には、お父さんたちはざーっと迎えに来るんです。そうすると、4時半には保育園閉まっちゃうんです。つまり、4時から以降は子どもとの時間で、毎日お父さんがいろんなことできるんです。日本で4時に帰ったら、周りからうわさされます。

田村 さん
確かに。

小野 アナウンサー
ここまでツイートは、叱り方についてが半分ぐらいですね。

視聴者の声

「殴るんじゃなくて、抱きしめてみようっていうくらいがいいんじゃないか」

「他人からすると、ちゃんと叱ってほしい」

「育夫さん、メンタル弱すぎじゃない? 母親だって自信があって子育てしてる人ってそんなにいないよ」

「イクメン、イクメンって、子育てするのは父も母も当たり前なのに」

埼玉県・30代・女性
「ちょっと子どもと遊んだだけでイクメン面しないで、もっとふだんから育児に協力してほしい」。

神奈川県・30代・女性
「こちらから促さないと、子どもを叱ってくれないことが多いんです」。

東京都・30代・女性
「いい父親だと褒めてほしい態度が見える。父親なのだから当たり前なのに」。

田村 さん
やるやる、やる。アピールしますよ。そりゃそうですよ。

いとう さん
褒めてほしい?

田村 さん
褒めてほしいですよ。

髙祖 さん
でも、お母さんのほうは、パパが子育てしてると「イクメン」って言われたりしますけれども、ママは子育てしてても、「イクママ」とか言われないじゃないですか。

渥美 さん
僕の周りに結構子育てをやってる男性が多いんですけど、やってるアピールしちゃうと妻からの突き上げがすごいし、何よって女性たちから言われる。

汐見 さん

こういうデータがあるんです。これ、ある教育研究所がやってる調査で、お父さんが自分の妻にどれほど必要とされてるかっていうデータが年々下がっていってるんです。

小野 アナウンサー
あれ?子育てに手を出せば出すほど奥さんに?

汐見 さん
自分はやってるはずなんだけど、奥さんには信頼されてないなっていう度合いだけは長年増えていってる。

いとう さん
不思議ですね。

田村 さん
すべてのデータ、俺、当てはまってるんですけどね。見透かされてる感が。

汐見 さん
これはね、ちょっと育児やったぐらいで・・・って言われる、プレッシャーの数字じゃないかっていう感じがするんですよ。つまり、イクメンのハードルが高くなって、頑張ってやってるつもりなんだけども、その程度で言わないでよっていうプレッシャーがわーっと来て、結局、俺は信頼されてないんだなって、自信がなくなってくるんです。

渥美 さん
「イクメン2.0」って最近言ってるんですけど、ちょっと前までは、やればそれで褒められた人もいたかもしれない。でも、最近は、そもそも理解のある父親像と、あともう1つは、威厳のある父親像と、両方やらなきゃいけないっていうプレッシャーで、人によってはそれでちょっと燃え尽き症候群。すごく残念なことですね。

髙祖 さん
ママのほうも孤立化したというか、核家族にもなっているし、うちの隣とか、誰が住んでいるか分からないとか、コミュニケーションがない中で育てている。だから、それだけママのほうも、すごくプレッシャーも大きくなってると思うんですよね。
という中で、パパが少し子育てしてくれるようになって、私はこんなに大変なのに、でも、なんでパパが少しやっただけでそんなに褒められるの? みたいな感じに思っている。だから、パパも褒められたいんであれば、まずママを褒めていただけると。

田村 さん
ママのほうも孤立化したというか、核家族にもなっているし、うちの隣とか、誰が住んでいるか分からないとか、コミュニケーションがない中で育てている。だから、それだけママのほうも、すごくプレッシャーも大きくなってると思うんですよね。
という中で、パパが少し子育てしてくれるようになって、私はこんなに大変なのに、でも、なんでパパが少しやっただけでそんなに褒められるの? みたいな感じに思っている。だから、パパも褒められたいんであれば、まずママを褒めていただけると。

小野 アナウンサー
やっぱり「ありがとう」と言われたい。

田村 さん
やっぱり言われたい。1対1でお互いに返しましょう。

小野 アナウンサー
ちょっとここで、イクメンの方々の、お役に立つような取り組みはないかと田中アナウンサーが探してきましたので、ご覧いただきましょう。


プレゼンテーション②

田中 アナウンサー
聞いていると、とにかくイクメンのお父さんをちゃんと育てようというのが必要かなと。ちょっとおもしろい取り組みをしているグループがありますので、ご紹介しますね。

東京の稲城市の「熱血組」。もともとは小学校のお父さんの集まり。運動会の手伝いとか、飲み会みたいなのをやっていた。

小野 アナウンサー
パパ友ですかね。

田中 アナウンサー
結構イクメンで悩む、若いお父さんたちがいるから、先輩たちが熱血指導。

題して、「熱血先輩パパと"イクメン体験"パパよ、育て!」という取り組みを始めたそうです、2年前から。
何をするかというと、先輩・後輩のお父さんと子どもだけで、お母さん抜きで、朝から夜まで徹底して先輩が後輩を指導すると。
これは家事を全部やってもらおうということなんですよ。

すると、お昼ごはん作らなきゃいけないから、スーパーで買い物をしなきゃいけない。ふだんママに任せっきりの新米パパは、買い物のしかたから分からない。そういう時は、先輩がばっちりサポートします。よりお買い得のものとか、これ作るんだったら、これ材料いるでしょうというようなことを、マンツーマンで指導をします。
そして、実際に作ります。包丁を持ったことないなんていう新米パパ、たくさんいますけれども、とにかくきれいじゃなくてもいいからやってみろと

できた料理、刺身です。大ざっぱでもいいから、包丁を持ってやるということが重要。やったということが1つの自信になるかもしれない。

田村 さん
そうそう。

田中 アナウンサー
そして、お昼ごはんのあとは、子どもは子どもどうしで遊んでる間に、

しつけ談義をパパどうしもするんですね。先輩パパにいろんな相談をします。ああいう時どうすればいいですかね?家事の分担どうしてますか?
考えてみると、自分ちの家族のことしか、なかなか人って分からなくて、隣の家、あるいはほかの先輩たちがどんな指導をしてるのかって、ふだん知ることがないですね。男どうしだから腹を割って話せるということもあるかもしれない。
そうこうしてるうちに、今度は晩ごはんの時間。きょう2回目の料理です。とにかく真剣にやっています。子どもたちも見ています。子どもたちにいいとこ見せなきゃいけない。

こう指導して、ついに1日のいろんな成果でカレーを作った。それをお土産におうちに帰ります。

成果をお母さんに報告すると、パパやるじゃないって、ママは喜んでくれました。これに気分をよくして、実際月に1回、俺が今度料理するよなんてパパも現れたそうなんですね。簡単なことのように見えるけれども、イクメンパパへの第1歩として、サポートして、背中を押してあげるという取り組みですね。

小野 アナウンサー
こんなことまでやらなきゃいけないんだ。

髙祖 さん
でもね、こういうふうに1日やってくれることで、ママの地雷ワード、「手伝おうか」っていうふうに・・・

小野 アナウンサー
地雷ワード?

髙祖 さん
パパに「手伝おうか」って言われると、イラッとくると。それは、ママが主体的にやってるところにパパがサポートみたいな感じなんですよね。実際にあったのが、あるママとお話ししてて、結婚して初めて病気になって倒れた時に、パパがお風呂掃除をしてくれたら、「ママ、排水溝ってゴミたまるんだね」って言われて、びっくりしたんですみたいな。
だから、やってないと、それなりに気がつかないし、分からないっていうことがあると思うので、ひととおりやってくださることで、単にお風呂入れて、お風呂で待ってて入れるだけ、はいどうぞっていって渡すだけじゃなくて、一連の、前後の作業があるっていうこと、それだけでもすごくママにとってはいいなっていうか。それで、これの場合にはママにも自由時間を与えてるわけですからね。

渥美 さん

男性も苦労するって、とっても大切だと僕も思います。ただ一方で、日本はまだ育休取得率が2.3%。僕、育休中に学んだことがあって、それは、ネガティブトークで癒やされるっていう、地域のママとの経験なんですけれども。

小野 アナウンサー
ネガティブトークというのは?

渥美 さん
僕、育休中に息子がむずがって、おっぱいを欲しがって、おっぱいないかまさぐる。ないって分かってぺちぺちたたかれて、紅葉みたいなかわいい手で。すごい切なかったんですね。
そうやってママ友にしゃべると、すごい受けて。他人の不幸は蜜の味みたいに。で、愚痴を言われて愚痴で返すこと、みんなで繰り返したら、すごい強い連帯感が生まれて。だから、男性たちもあるべき理想のイクメン像に縛られて、リア充アピールばっかりやってると、ちょっと疲れちゃうんで。嫌な話を、ちょっと頑張ってるんだけど、妻は全然評価してくれない、つらいんだよねみたいなことで、どんどん仲間もできるんじゃないかな。

小野 アナウンサー
「リア充アピール」が分からない方のためにひと言付け加えていただいていいですか?

渥美 さん
こんなに自分は頑張ってる、こんなに自分は職場でも評価されてる、子どもと仲いいんだっていうことをアピールすること。あんまりね、そんなにうまくいくことばかりじゃないんで。

髙祖 さん
育休取りたいって思ってらっしゃるパパも増えてきて、少しずつですけど増えてきてたりするんですよ。ただし、実際の育休取得期間っていうのがほんの数日、1週間以内だったりすると、産んでるママのほうは、入院期間に終わっちゃってるじゃんみたいな感じで戦力になってないと。
なので、ママたちとお話しすると、無理やり育休を数日間取るよりは、早く帰ってきて、と。夕方帰ってきて、ごはん作るとか、世話するとか、一緒にやってっていうような生活を、毎日は無理でも、週に数日でもやってほしいと。

いとう さん
育休となると会社も文句が多くなるかもしれないですけど、育児のための早退は、結構長期間認めますよっていう会社が増えるといいかもしれないですね。

小野 アナウンサー
ちょっと気の毒なツイートが来ています。 「こういう番組が始まると、夫はスマホを持ってトイレに入ったきり出てこなくなります」。
どうかスマホで「深読み」を見てくださってることを祈ります。

汐見 さん
あるところで、パパの悪口を言い合いしようっていう会があったんですよ。もう、出てくるわ、出てくるわね。
ただね、お父さんが日曜日だけ、例えば自分の娘を公園に連れていったからといって、どうやってどこで遊んだらいいかなんて全然分からない。それは皆さんがあしたまでにエクセルで書類作れって言われてるのとほとんど同じなんですと。それでも頑張ってるお父さんをもういっぺんちゃんと評価し直してほしいってことで、家に戻って、夫婦で、愚痴を言わないで、もう1回新婚当時の夢をもういっぺん語り合う。ワインを飲みながらでも語り合うっていうことを1回やってくださいと。なんでそういうふうになったのかをちゃんと聞いてあげてくださいってやって。
1週間後に戻ってきた。そうしたら、全員の評価、全く変わって、私の主人はすごくいい人だと分かりましたっていうふうに、すごく増えたんですよ。

田村 さん
泣けてきそうな気がする。

汐見 さん
公園連れていったけども、何したらいいか分かんなくて、それでうろちょろしてるうちに昼になっちゃったから、しょうがないっていって、コンビニ行って、どうやって作っていいか分かんないから、結局、カップラーメン買ってきて、それで食べさせたら、そこへ帰ってきて、何、カップラーメンなんてってことになって叱られたんだけども、そうしかなかったんだってことを丁寧にしゃべったら、あなたも苦労してるんだねってことになる。だから、そこを丁寧に、お互いの悩みを語り合うっていうかな、夫婦で。それがすごく大事だと思いますね。

小野 アナウンサー
ただ、のんびりワイン飲んで話し合うひまってあるんですか? 育児してる家庭に。

田村 さん
なかなかね、大変ですよ。

汐見 さん
週1回、いっぺんやってもらうっていうことをね。

いとう さん
1時間ぐらいはなんとか。

髙祖 さん
やっぱり、コミュニケーションが夫婦ですごく不足してるというか、ママのほうの愚痴というか、察してほしいと。何でもかんでも、これやって、あれやってみたいな感じで指示出ししないでも、パパが気がついてやってほしいっていうことを言われるんですけれども、さっきみたいに一連の流れをやってみれば、そっか、これの次にこういうことをしなきゃいけないって分かるけれども、普通は分からないし、ママのほうがどうしても子育て、子どもといる時間が長ければ経験値が上がっちゃうので、そこはママが、なんで気がついてくれないんだろうっていらいらしてるよりは、ちゃんとパパにこれはやってほしいとかっていうふうに頼んだりとか。

早川 解説委員
おやじの会っていうの、全国各地にあるんですね。私、3つの効用があると思ってるんです。
1つは、自分たち自身が楽しむってことです。2つ目は、ママの再評価ってことなんですね。自分たちでやってみたら、こんなに難しいことを奥さんたちはやってるのかっていうことに気がつく。3つ目は、子育て経験のシェアってことなんですね。先輩も実はそんなに経験をたくさん持ってるわけじゃないんだけども、大勢が集まればその中にいろんなケースがあるから、その中で自分に合ったものがうまくフィットできるっていうことなんですね。

よく、地域社会、斜めの関係が子どもを育てるっていうことをいうんですね。親と子だとか、友達どうしっていうのは、縦の関係だったり、横の関係なんですけども、そうすると、行き詰まっちゃうんですよね。ここにもう1本、近所のおじさん、おばさんみたいな役割、これ、逆に自分自身も近所のおじさん、おばさんになれるんです。これが子育て経験をシェアするっていうことですね。

小野 アナウンサー
でも、なんか、現代の悩みっていう感じしますね。お父さんの子育ての悩みは。アドバイスって何かありますか?あ、あるんだ。巻物になっている(笑)。

早川 解説委員

取材上いろいろ経験したことをまとめてみると、「大きな耳、小さな口、優しい目」。
いま、大人は子どもと接する時に、「大きな口、小さな耳、険しい目」で接してませんかっていうこと。
そこを意識的に、大きな耳、小さな口、優しい目で子どもと接すると、理解できる。そうすると、子どもとのコミュニケーション、うまくいく。これは実は夫婦関係でも同じことで。

渥美 さん
企業の方に考えを改めていただきたいですね。子育ては職場に持ち込むなじゃなくて、家庭が安泰になるといい仕事ができるんだから、子ども、小さい時は早く帰してやろうとか、そういう効率よく仕事する人を評価する、そういうふうに企業が改まったらいいんじゃないかなと思います。

小野 アナウンサー
そうですね。きょうはこのツイートで締めくくりたいと思います。
「世の中のお父さん、お母さん、お疲れさまです」。

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