2016年04月09日放送放送内容まるわかり!

どこまで進む? AI"人工知能"の世界

AIが人間の囲碁王者に4勝1敗、AIが人間と共同で"執筆"した小説が文学賞の一次審査を通過...。 最近、AI"人工知能"がスゴイ! また、銀行窓口で客の案内、医師の診療を手助け、はたまた車の自動運転など、身の回りにもAIが続々と! 一方で、悪用されたらどうする? ミスや事故を起こしたら責任は? 課題や不安も。 このAI、人工知能はどこまで進化するのか? 私たちはAIとどうつきあえばいいのか? 深読みします。

今週の出演者

専門家

松原 仁さん(公立はこだて未来大学 教授)
上田 紀行さん(東京工業大学リベラルアーツセンター 教授)
久木田 水生さん(名古屋大学大学院 准教授)
片岡 利文(NHK 解説委員)

 

ゲスト

増田 英彦さん(ますだおかだ)
山田 まりや さん(タレント)


小野 アナウンサー
囲碁の人工知能に負けた棋士がこう言っていたそうなんです。
何十年、何百年とさかのぼって人の打った手を研究してきた棋士でさえ、思わずこう言ってしまうようなことができる人工知能って。 なぜ、人間が作ったはずの人工知能が人にはありえないことをするようになるのか。 人工知能というものがすごい段階に入ったという話からスタートです。


プレゼンテーション①

田中 アナウンサー
「人にはありえない囲碁」と言われても、囲碁を知らないとちょっと分かりにくいですよね。

なので、誰でも分かるように「もしもパン屋さんに人工知能が導入されたら」という例え話を作りましたので、聞いてください。

私はパン屋の店主です。こちらの深読みベーカリー、最近困っているんです。お客さんが減ってきちゃった。
近所にライバル店がたくさんできちゃって、僕の作るマンネリのパンではお客さんのニーズに応えられない。 困った、困った。
そうだ!もう全財産出してもいい。あいつに頼ろう!

頼ったのが、こちらのロボット。
最新のAI(人工知能)が搭載されているロボット、"アイちゃん"です。
アイちゃんは人に何も指図されなくても、自分で考えてパンを作ることができるすぐれもの。何でそんなことができるのか。
私たち人間の脳のメカニズムが少しずつ分かってきたんです。

だったら、人工的に私たちの脳に近づける知能を作ろうというのがAI(人工知能)です。
アイちゃんにはAI(人工知能)が入っていますから、どんどん自分で考えて成長することができる。
じゃあ、そんなアイちゃんにお願いします。「アイちゃん、パンを作って。」
AIちゃん、考えます。
パンパンパンパン、パンパンパンパン・・・。

アイちゃん「デキマシタ。」

山田 さん
あれ、ちょっと...。誰かツッコんでください!

小野 アナウンサー
パンはパンでも...。

増田 さん
それは誰の知能を使ったコントなんですか?

田中 アナウンサー
僕もいけなかったかもしれない。「パン」としか言ってないから。
でも、人間だってたまに失敗しますよね。アイちゃんはその失敗から学習することができるんです。

これはパンじゃないんだって、AIちゃんは一生懸命勉強します。
「ではアイちゃん、食べられるパン、お願い。」

アイちゃん「デキマシタ。」

小野 アナウンサー
いや、でも、パン屋さんでオートメーションの機械が入っているところもありますよね?
何もアイちゃんを導入しなくてもいいんじゃないかと。

田中 アナウンサー
確かにこれじゃあ、今まで店主として作ってきたパンとそんなに変わらない。
でも、ここからが、ほんとにアイちゃんの腕の見せどころなんです。
次は、こんなアバウトなお願いをしてみますよ。
「アイちゃん、"おいしい"パンを作ってください。」

そうすると、AIちゃんの最大の武器は、このインターネット。
世界中のいろんな情報を手にすることができる。

さらに、ほかのAI(人工知能)ともネットワークでつながっていて、アイちゃんが自分で学んだことじゃなくても、ほかの人工知能が学んだことだって、どんどん自分の情報として共有することができるんです。
ものすごい量の知識をどんどん入れることができる。
こうした膨大な情報のことを「ビッグデータ」って言いますよね。

人間は何冊か本を読むぐらいが精いっぱいですけど、アイちゃんは世界中のたくさんの情報を集められる。でも、それだけじゃないんです。
そもそも、「おいしいパンって何?」って人間に聞かれても、答えなんてないんですよ。

山田 さん
味覚も人それぞれですしね。

田中 アナウンサー
だって、店主の私が"おいしいパン"を分かっていたら、おいしいパンを作れている。それができないから困っているわけだし。
でも、アイちゃんはそこに挑戦しようとします。
こうした大量の情報の中から、「"おいしい"ってなんだろう?」って考えます。

そうすると世界各国のSNSでいろんな情報が流れていますよね。いろんなキーワードを見つけるんです。
「"幸せ"なんて言葉が、繰り返しいろんなところで共通ワードとして出てくるぞ? お、これはヒントかもしれない。"もちもち感"という言葉も、繰り返しいっぱい出てくるぞ?おいしいパンっていうのは"幸せ"で"もちもち感"ということ?」
と、アイちゃんは自分で考えて自分で判断するんです。

アイちゃん「デキマシタ。」
"もちもち"で"幸せ"なパン。

増田 さん
餅やんか、それ。

山田 さん
えー、これ失敗なの?どうなの?

田中 アナウンサー
店主の僕も正直、売れるのかなあ...と思っています。お客さんに出してみます。

そしたら...。

店主の僕が考えたオーソドックスなパンよりも主力商品に!

小野 アナウンサー
これが人工知能の「人にはありえない」というところですか?

田中 アナウンサー
そうです。僕も何年もパン屋さんをやっているけど、とてもとてもこんな考えには及びませんでした。
たくさんのデータの中から、人間には到底及びもつかないこれだけのデータを取って、さらに、「おいしいってこれだね」という概念をアイちゃんは発見したんです。

結果も出しちゃった。もう人間はお手上げです。
これができるということは、じゃあ、とても人間には考えつかない究極のパンだってできるかもしれない...。

小野 アナウンサー
え、もっといっちゃう?今のでも十分思いつかないけど。

田中 アナウンサー
アイちゃん、まだみんなが思いつかない"究極のパン"を作って!
アイちゃん「デキマシタ。」

人間が思いつかない、人知を超えた、とても僕なんかが表現できないものすごい究極のパンができあがっています。

山田 さん
見たい!見せて!

小野 アナウンサー
人にはありえないパンだから、人が作る模型には表現できなかったということですね。

田中 アナウンサー
パンの例え話をしましたが、これは空想の話ではなくて、例えば、人工知能が新薬の開発に乗り出して今までにない薬を作ろうとしている。
さらにはある研究者の話では、まだ人間が発見できないことをAI(人工知能)が10年後くらいには発見してノーベル賞を取るかもしれない。
そんな段階まで、いま人工知能の進化はきています。

山田 さん
もうそこまできているんだ、びっくり。
私、自動運転の車を見てびっくりしたんですけど、そんなばかなと思ったけど、これができるってことは、もう簡単かもしれないんですね。

松原 さん
たぶん運転の技術だけだと、普通の人間のドライバーよりはAIのほうがうまい。

小野 アナウンサー
松原さんは、人工知能で小説を書くプロジェクトをしていらっしゃいます。

松原 さん
最終的にはストーリーも人工知能に作らせたいんだけど、そこはまだうまくいってないんで、ストーリーはだいたい人間が与えているんです。

つまり例えば、話というのは「いつ」っていうのがまず書かれていて、その時に「どんな天気か」も書いて、その次には「何をしてるか」を書くんだよ、というのは人が与えているんですけど。

そうすると、そこから人工知能がストーリーを選んできてですね。
これはわれわれの人工知能が作った小説の出だしなんですけど。

増田 さん
勝手にこれを組み合わせていったってことですか?

松原 さん
そうですね。「いつ」っていうのは、曇りの日を選んだわけですね。
それで、主人公は女の人なんですけど、洋子さんっていう名前にして、ちょっとだらしない。
しっかりしたっていう設定もあるんですけど、この時は偶然、だらしないのを選んだ。
そうすると、後半、このだらしないのを受けたような展開をしていくっていう話に流れるんですけれど。

片岡 解説委員
インターネットで「コンピュータが小説を書く日」と検索すると読めるんですけど、どんなもん書いてんねん?と思って読んだら、結構おもしろいやないかとびっくりしました。

松原 さん
文章自体はコンピュータが作っていて、人間が後で赤を入れたわけではないです。

山田 さん
え? じゃあ「私を主演にした作品を書いて」と言ったら、書いてくれるんですか?

松原 さん
将来はそうだと思います。今でもハリウッドの映画のシナリオというのは、ある程度もう人工知能を使っている。
どういう流れにするとウケるか、お客さんが入るかとかいうのは、今までの映画がどのくらい受けたか、あと、何分でどれぐらい笑いがあったかとかいうのを分析して。

山田 さん
じゃあ漫才も書いてもらえるってことですか?

松原 さん
そうかもしれないですね。

増田 さん
えっ、書いてくれるんですか、漫才?マジですか!?
それは助かります。助かるけど、ちょっと怖いですね。
怖い(笑)。

松原 さん
AIの書いたのが受けちゃったりすると、ちょっと人間の、漫才の方としてはね。

小野 アナウンサー
実際に物語の筋道とかこのあとどう展開していくかということと、1つ1つの文章を積み上げていくことって、また別じゃありませんか?
その両方をAIがやってのける日っていうのはいつごろ来そうなんですか。

松原 さん
われわれの今のプロジェクトとしては、目標としてはあと3年か4年の間にストーリーを作るほうもやろうとはしています。
でも、人間でも一生作家になれない人がほとんどですから、できるかどうか分かんないですけどね。

片岡 解説委員
文章だけじゃないんですよ。

こんなこともできるんですよ、絵を描くんですよ。
これは人工知能の父といわれるアラン・チューリングさんという人を描いた絵なんですよ。
アラン・チューリングさんの、顔のデータとか、あるいは、アラン・チューリングさんというのはどういう人生を送ってきたかっていう情報を与えると、自動的に人工知能が計算して、筆のタッチも含めてこういうふうに描いちゃうんですよ。
背景、これ実は文字なんですよ。「alone」とか「孤独」とかアラン・チューリングさんを表す文字なんです。
そういう粋なことを人工知能がやるんですよ。

小野 アナウンサー
芸術分野だけじゃなくて、実用的な生活の中に入り込んでるものってありますか?

片岡 解説委員
ありますよ。そもそも人工知能って何?って思いません?

ソフトウエア。世の中に出回っているもののほとんどが、ソフトウエアなんです。
これはDVDですけど、別にSDカードでもなんでもいいんですけど。
これはどういうものかというと、社内に出回っているeメールの中に、何か内部情報を外に漏らそうとしてるやつがいないかとか、それを調べることができる人工知能が元なんですよ。
これをパソコンに入れて走らせると、そういういい仕事をしてくれるわけです。
で、こういうソフトウエアを、さっきのAIちゃんみたいなロボットに入れ込むと、賢いロボットが出てくるわけですね。

こちらは、パルロ君っていうんですよ。
高齢者福祉施設で、お年寄りの話し相手をするために作られたロボットなんですね。人工知能が入ってます。
ちょっとお話してみましょうかね。

パルロ くん
エヘヘ。

片岡 解説委員
エヘヘだって。恥ずかしいのかな。おはよう。

パルロ くん
あのー、いま、僕にお話をするように言いました?

片岡 解説委員
番組聞いてたんやね、ちゃんと。はい。

パルロ くん
はい。何話そうかな。うん。それじゃあ。

片岡 解説委員
天気を教えて。

パルロ くん
天気ですね。きょうは晴れときどき曇り。暖かい1日になりそうです。

片岡 解説委員
これ、もともとこの会話がプログラムされているわけじゃないんですよ。
このパルロ君の小さな体の向こうに、インターネットがつながっているんですよ。
私の質問に対してインターネットから答えを引き出して、今、天気を教えてくれているんです。
で、しかも僕の名前を言ってくれるんです。
このカメラで僕の顔を認識して、あ、片岡さんってことを、実はちゃんと分かっているんですよ。
僕は誰?

パルロ くん
片岡さん。

片岡 解説委員
ほら。じゃあ、ちょっと静かにしててね。

パルロ くん
落とさないでくださいね。

片岡 解説委員
あ、ごめん、大丈夫です、大丈夫です。

増田 さん
しっかりしてるな。

上田 さん
こういうロボットがここにいて、朝起きて「おはよう」って言って、「今日は何しようかなあ」とか「どういう映画がいま僕に合って、見に行きたいんだけど」というと、僕の見た映画が全部入っていて、それで、僕のスコア、その映画はいい、この映画は悪かった、嫌いだったっていうのを全部知ってて、で、「君の傾向だと、いま封切られてる映画のこれを見たほうがいいよ」とか言ってくれる。そういう時代になるかもしれない。

山田 さん
たまにネットでお買い物するじゃないですか。
そうするとたまに後日、「あなたの好みの商品はこれ」というのがばーっと届くじゃないですか。
私あれがちょっと気持ち悪くて、絶対買わないって思っちゃうんですよね。

片岡 解説委員
あれも人工知能。

上田 さん
本1冊買うと、次のおすすめの本が出てくるのも人工知能なんですか?

松原 さん
仕組みは簡単で、お買いになったものと、同じものを買ったほかの客が、なんか違うものを買うじゃないですか。
そうすると、同じものを買ったくらいだから、ほかのものも趣味が合うんじゃないかってんで、それを勧めるっていうのがそうなんです。

増田 さん
でも、人間やったら入ってきた情報が出ていってしまう時あるじゃないですか。
これに関しては、AIに関しては情報はたまっていく一方なんですか?

松原 さん
基本的にはそうですね。
人間よりは、人間の脳よりはよっぽど容量が多いし、間違えない、忘れないから、ずっと。
極端に言うと、一生分のことを覚える人工知能っていうのも...。

増田 さん
例えば、「27年前の今日何してたかなあ」って言ったら、何してるかって出てくるのは簡単?

松原 さん
まだ無理ですけど、将来、赤ちゃんが生まれたらAIを渡して、そのAIが一生、全部の本人の記録を、「僕が3歳の時、誰に会ったっけ?」って言うと、本人は覚えてないのに、「3歳の時にはこの方に会いました」っていう映像まで見せてくれるっていうのが、そんなにもう空想ではない。

小野 アナウンサー
さっき山田さんが、「気持ち悪い」っておっしゃったじゃないですか。
あれは結構キーワードとして皆さん思っていらっしゃるようで、たくさんのご意見がきています。

視聴者の声

「AIを作り、使う側の人間は今後も必要とされるが、AIに使われる人間はそのうちロボットに置き換えられるだろう。」

「人工知能がノーベル賞とか、なんか気持ち悪いし、なんでも人工知能に頼ればいいってもんじゃない。人工知能、生身の人間が支配されるのではないかと心配している。」

「映画の世界ではないが、人格を持って人間に反乱すると怖い。笑いごとではないと思う。」

「悪用するテロリストが出てこないか心配です。」

小野 アナウンサー
こういうことがホントに現実として心配しなきゃいけないような時代になったんですか?SFの世界じゃなくて。

久木田 さん
私も人工知能の倫理的な問題とか、社会的な影響というものを研究していますが、人工知能というのが、あちこちのわれわれの使っている道具に組み込まれて情報をやり取りして、そこに人間自身もその構成要素として組み込まれているっていう、こういう状況に非常に関心があるんですけど、そこで、やっぱり予想できないのは人間のリアクションですね。
例えば、このパンがどう売れるかとか、おすすめめシステムにちょっと嫌悪感を持ってしまうとか、人間がどうそれにリアクションするかっていうのが一番予想できなくて、おもしろく、興味深いところだと思うんです。
人工知能に対して感じる気持ち悪さの原因っていうのは、私は2つあると思うんです。
1つは人間っていうものを特別なものとして考えたい。それにはやっぱり、知性とか知能っていうのが、他の動物に比べて人間のほうが抜群に高い。
それを凌駕してしまうようなものができると、やっぱり気持ち悪いとか、よく思わない。
もう1つは、単純に新しいテクノロジーが出てくると、必ずちょっとこれ嫌だなっていうふうに思う気持ちがあって、例えば、夏目漱石が100年ぐらい前に書いた小説の中に、「汽車が怖い」っていうのが出てくるんですよ。
蒸気機関車が怖い、危ないテクノロジーだというようなことを「草枕」という小説の中で書いています。
でも今われわれは何とも思ってない。ひょっとしたらもう何十年かしたら、なんで人工知能をそんなに怖がっていたのか?というふうに思うかもしれない。

上田 さん
タブレットにこのごろ音声の検索があるでしょう?「お寿司屋さんはどこがいいですか?」とか。
タブレットに突然「愛している」って言ったら、「やめてください」って。
ものすごく傷ついたんですよ。で、なんとかこのタブレットに愛してもらわなきゃいけない。
つまりそう言われただけで、あたかも僕は嫌われて悔しいってこっち側で思っちゃうと、AIなんだけどもはや支配されていて。

増田 さん
「AI」と書いて「愛」やのにねえ。
でも、悪用されることを考えた時に、皆さん怖がってるんちゃうかな、と思うんですけど。

片岡 解説委員
支配されるっていうことで言いますと、こういう場合、自分だったらどうされますか?

運転していると、目の前にいきなり壁があることが分かった。
これ、いきなり石が目の前に落ちてきた、でもいいんです。ブレーキが間に合わない状態です。
左に逃げようかと思ったら、小さな子どもが歩いてきた。右に逃げようかと思ったら、お年寄りがやってきた。
自動運転のその車が、この状況でどういう判断をするのか。あるいはどういう判断をさせるのかっていうのが、自動運転を開発しているメーカーにとって、今ものすごい悩みの種なんですよ。
つまり、これまで人間は機械を作ってきて、それを自分の道具として使ってきたわけですよ。道具ということは、使うのは人間。
ところが、判断までをこの人工知能、機械に任せなければいけない時代がくるかもしれないっていうところが気持ち悪さのおおもとなんですよね。

山田 さん
事故が起きた時に誰を恨めばいいのか?ということになっちゃうと、責任とかね。

松原 さん
自動運転だと人工知能が決定するので、いくら合理的な決定を人工知能がしたとはいえ、その決定で、自分の家族が命失われたという時に許せるかという。

小野 アナウンサー
自動運転の車が世の中に出てきてほしいと思っている人は、いっぱいいますよね。
でもそこにいくためにはこの問題をクリアしないといけないのだとしたら、この問題の正解ってなんですか?

片岡 解説委員
正解は恐らく今、一生懸命みんな探していると思うんですけど、例えば、こうなるかもしれません。
自動運転の車を買いました。「片岡さん、あなたに買ってもらう前に、最後この質問に答えてください。こういう状況のときにあなたならどうしますか?」と、買った人に選ばせる。

小野 アナウンサー
ということは、自己責任。

片岡 解説委員
メーカーも怖いですから。
だから、最後は人間の倫理観が問われてくるということになるかもしれませんね。

上田 さん
AIに戦争させるっていう話もあるでしょう?兵隊さんではなくて、AIの武器でやらせる。
そうしたら、ここを攻撃する、あそこ攻撃するってAIどうしがものすごく頑張っちゃって、世界が破滅したりとか、核爆弾のボタン押すのが最適な攻撃だというふうになって、そこを止められないっていうこともね。

松原 さん
実はもうアメリカは人工知能を軍事に使っていて。もうだいぶ前、イラク戦争とか20年以上前ですよね。
その時の人工知能の最先端を使っていて、人工知能を使うと自分の軍の兵隊の死者を減らすことができる。
そうすると、戦争したい人から見るといいですよね、自軍の被害を少なくして、敵の被害を大きくできればいいっていうので、人工知能の研究成果を戦争にうまく使えたというのが、アメリカでは人工知能の成功例になっている。


プレゼンテーション②

田中 アナウンサー
人工知能が発達した時に人間はどう生きるの?という問題を真剣に考えている国があります。スイスです。

スイスの主要産業は、金融、製薬。そして、有名ですね、時計などのものづくり。
今まではこうした知的な労働。熟練の技が必要な仕事は人間でしかできないはずだと言っていたんですけれども。

オックスフォード大学の論文によると、近い将来、これらの仕事でさえAIにとって変わられるということになると。
そこで、ある市民がこんな提案をしました。

シュミットさんと仲間たち。もう発想を変えませんか。

これからは人工知能が仕事をしてお金を稼いで、そこから税金がどんどん国に納められる世の中になる。

その税金から、大人だったら月30万円、子どもだったら7万円、国民全員に生活費として平等に分配しようじゃないか。
そうすれば、今まで仕事に費やしていたたくさんの時間を、生きがいのためだとか、本当に自分がやりたいこと、人生を充実させることにのびのび使えるじゃないか。
そういう生き方はどうですか?と、真剣に提案したんです。

シュミットさんたちがこの提案について署名活動をしたところ、12万人以上の人が「いいじゃん、それ!」って賛同したんですって。
スイスは10万人以上の署名が集まると国民投票ができるので、ほんとに一律に生活費を配るというこの政策、やるの?やらないの?って、6月に国民投票をやるんですって。

小野 アナウンサー
「仕事取られるんじゃない?」という心配の声はたくさん来ているんですけど、この話は、その一歩先ですよね。

上田 さん
われわれ学校の先生とかは残りそう?

松原 さん
大学の先生は危ないですよ。
小学校とか幼稚園の先生は人間教育だからいいけど、われわれは専門教育だから、コンピュータのeラーニングのほうがいいですよ、とか。

上田 さん
じゃあ20年後には、もはやAIがここでコメントしているという。

小野 アナウンサー
アナウンサーもそうだって、今。

松原 さん
でも、人工知能が特別なのではなくて、技術の発展で仕事が変わっていくというのは、それこそ産業革命以来、肉体労働が機械に置き換わって、肉体労働をやっていた人が仕事がなくなってきたように、例えば、駅員さんだって昔は紙の切符を入り口で切って、改札口で最後に回収するのが大事な仕事でしたよね。
だけど今、駅はICカードでピッピッてやって、でも、駅員さんはいらっしゃいますよね、違う仕事をして。
だから、仕事の内容が変わっていくということであって、いきなりある仕事がまったくいらなくなるわけではない。

増田 さん
ロボットを管理する側の人間が増える。
そっちのほうにスライドしていくっていうことですか?

松原 さん
コンピューターができて、コンピュータ関係の仕事って今多いじゃないですか、ウェブも含めて。
だから、AIとかロボットが進むと、その仕事は増えていくとは思うんですけどね。

片岡 解説委員
実は今、こんなことも。あ日本の大手メーカーが売り出し中のこんな人工知能があるんです。人事採用を人工知能にやってもらうっていうソフト。
エントリーシート、私はこういう名前で、こういう顔写真で、こういう経歴で、こんなこと考えてますっていう履歴書みたいなものがありますよね。
それを読み込ませて、過去に採用した人のデータで、「こんなことを書いていた人はあとで化けました。」「こんなことを書いていたけど、もうひとつです」というデータも入れて、そして、「この会社としてこういう人材が欲しいんです」というのを入れとけば、上位から、1番な○○君、2番△△君、3番片岡君って、出してくれる。
それで全部を決めるわけじゃないんですけど、人工知能に選ばれた人だけに人間が面接するということが、できる時代になってるんですよ。

視聴者の声

「人間はどう生きるか。哲学的な問題だなぁ。」

久木田 さん
スイスの国民投票の結果はどうなるか分からないけど、たぶん割れて、すごく議論になると思うんです。
授業中に「スイスのような生活費の制度をどう思いますか?」って学生に聞いたりしても、「働かないのにお金がもらえるのは変」だとか、「自分は能力を生かして仕事をして報酬をもらいたい。」とか答える。
それはたぶん今までの世の中で、一生懸命勉強したり訓練を受けたりして、能力や知識を身につける。そして、それを社会の役に立てて、報酬をもらって生きるのが、1つの良い生き方のモデルになっていて、それが染みついているからすごく抵抗があると思うんですけど、世の中が変わっていくと、たぶん僕らは生き方のモデルとか、何がよいことなのかという道徳とかを、テクノロジーとか社会が変わってくるにつれて、どんどん変えていかなきゃいけない。ひょっとしたら、そういう時期にきているのかもしれないと思います。

小野 アナウンサー
じゃあ、子どもになんて教えるんですか?

上田 さん
だって、今だって小学生の娘がやってる計算問題とか電卓をたたけばできるのに、計算問題をやれって言っているわけですよね。
それは最終的には、大学まで行ったりしたら絶対に人間のほうが計算機よりも上にあると思っているからそう言ってるんだけども。

小野 アナウンサー
でも、その前提が...。

上田 さん
囲碁の名人が負けちゃうわけだから。となると、譲れる部分はAIに譲りましょう。
計算をカチャカチャやるのはAIでもできるとなると、本当に人間的な部分はどこなのか?ほんとに人間って何なの?というところに、逆にスポットライトが当たってくると思うんです。

小野 アナウンサー
どこですか?これから先、人間にしかできないことって。

久木田 さん
それは、テクノロジーの発展がどうなるかで、たぶんお答えできないんです。
昔から哲学者って「AIにはこれができない」と言っていて、最初は「絶対、チェスで私みたいな素人にも勝てない」と言っていたんだけど、そのすぐあとに負けちゃって。「チェスマスターには勝てない」と言ったんだけど、チェスマスターにも負けちゃって。
「これはできない」「これはできない」って言ってることが、どんどんどんどんできるようになっていますから、僕はここでそういう予想をするのは。

上田 さん
やっぱり、愛するとか、AIは死ねないので、逆に言えばね。

小野 アナウンサー
でも、AIが恋人になっている映画とか漫画とか、たくさんあるんですけど?

松原 さん
人間っていうのはいつか死ぬじゃないですか。あと、恋人って1人しかいないじゃないですか。
でも、AIだと、男の人数百人同時に恋人になって、それで別れちゃうんですよね。
でも、AIから見ると、自分はプログラムなんだからコピーできるっていうので、恋愛観とかいうのは、ずいぶん変わってくるという形ではある。
今、恋愛シミュレーションゲームってありますよね。あの延長線上で、キャラクターが賢くなっていくっていうことだと思うんですけど。

上田 さん
あとやっぱり、例えば、AIの向こう側にはインターネットのビッグデータがあるから、たくさんの本の情報がある。
この本を読んでおもしろかったという1冊の出会いとか、この人と会ってすごい感動したというその瞬間の、ビッグデータじゃなくて、そこでしかないという感動をやらなきゃいけない。
でも、われわれ毎日、AI的にたくさん仕事こなしたほうがいいじゃない、とか、金がもうかればいいじゃないっていうふうなことをやっているけど、その分はAIに渡しちゃって、本当に感動する部分をやりましょうっていうふうになると思うんですね。

片岡 解説委員
さっき小野さんがアナウンサーの仕事もなくなるのでは、とおっしゃってましたけど、例えば今日初めてプレゼンのデビューをした田中アナウンサー。見てたら一生懸命やってはるじゃないですか。

視聴者の声

「田中アナウンサー、いなくなったと思ったらここにいた。愛媛から応援してます。」

片岡 解説委員
「応援してます。」これは、人間だからそういう気持ちになってもらえるんじゃないですか。
AIがプレゼンしても、あっそうですかっていう感じですけど、「田中さん頑張って。愛媛から見てるよ」とかね。

久木田 さん
道徳とか責任という話もありましたけど、そういうところで大事なのって、私には大事なものがある。皆さんにも大事なものがある。
それをお互い尊重しましょう。相手の大事なものを傷つけたら、自分の大事なものが傷つけられるかもしれないっていうリスクを負う。 これがやっぱり、道徳とか責任とか、人間関係の基本だと思うんですけど、今のところ、AIって自分の大事なものを持ってません。
これが実現できるかどうかは分からないけど、ともかく、それは人間とAIの大きな違いだと思います。自分にとって何が大事か。

松原 さん
価値観を今、AIは持っていないので、AIを良くするのも悪くするのも、要するに、まっさらな子どもみたいなものなんです。
だから、悪く育てちゃうとTay(※マイクロソフト社が開発した人工知能。3月にツイッターで人種差別などの問題発言をしはじめ、実験が中断された)みたいにネオナチになってしまったりするし、うまく教えるといい子に育つ。
価値観を与えるのは人間なので、やっぱりあくまで、人間を反映したものが人工知能。

増田 さん
こうやってしゃべってても現実味を感じないんですけど、自分の仕事に置き換えると「おもしろい漫才を作ってください」と言うた時に、いろんなデータを集約してきて作るわけじゃないですか。
ってことは、どっかのパクりちゃうの?ってなるんですけど、どこにもない漫才を作ったとしたら、えっ、それおもしろいの?っていう、そこの、ええあんばいのところを見つけてくれんのかなっていう。

松原 さん
それ、難しいです。"おもしろい"っていうのが価値観に関するところなので。
今も小説はそれなりの文章は書けるんだけど、これが"おもしろい"小説かどうか、まだ人工知能は自分自身では絶対分かってない。

山田 さん
私なんて、好きなタレントと嫌いなタレント、同時にランクインしていたりするわけですよ。

増田 さん
ええあんばいですね。

山田 さん
そうなんですよ。だから、賛否両論の矢面に立つのが芸能人でもあるわけだったりもするけど、そうなった時に私が例えば「絶対売れる1発ギャグください」と言って、くれるのかとかね。

上田 さん
だから、「絶対売れる」じゃなくて、逆に人間はアホで、ときどきは失敗して、いつも最適なことをやらないのが人間のいいところだっていうふうになるんじゃないかな?逆に失敗するのが人間で、楽しいじゃないか、とかね。

小野 アナウンサー
もう本当に目の前に来ているんだという感じは、味わった気がします。
ありがとうございました。

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