2015年12月19日放送放送内容まるわかり!

どうする?保育士不足 働く親を支えられるか?

東京など、都市部を中心に深刻化する待機児童問題。 新たな保育施設の建設が相次ぐ一方、深刻なのが、子どもを見る「保育士」不足。 今後、新たにおよそ9万人の保育士が必要と言われています。 今月4日、政府は「小学校や幼稚園の教諭などを、保育士の代わりに働けるようにする」 など、緊急の対策をまとめました。 なぜ今、保育士が足りないのか?待機児童問題は、どうすれば解決できるのか? 深読みします。

今週の出演者

専門家

大日向 雅美さん(恵泉女学園大学 教授)
駒村 康平さん(慶應義塾大学 教授)
小林 美希さん(労働ジャーナリスト)
藤野 優子(NHK 解説委員)

 

ゲスト

林家 正蔵さん(落語家)
小椋 久美子さん(タレント)


小野 アナウンサー
どこもかしこも人手不足で。
サービス業に、製造業に、介護の現場に、今度は保育士さんですか。
なぜこんな保育士不足という現状が生まれているのか。
中山アナウンサーのこんなプレゼンからスタートです。

プレゼンテーション①

中山 アナウンサー
こちらにいるのは、お子さんがいるというお父さん。最近、朝、こういう姿、見ませんかね?

お父さんが保育所まで行って、お願いしますと言って、預けて、ご自身はお仕事へ。

また、働くお母さん。お子さんを保育所へ。

そして、どうぞよろしくお願いいたしますと言って、このように働いていくと。
いまですね、共働き世帯、非常に増えているんですね。子どもを預ける場所を求めている。

国も保育所をなるべく整備する方針を打ち出して、実際にどんどん、保育所は増えているんです。

でも、そこに入れない。入りたくても入れない、いわゆる待機児童も増えている。

正蔵 さん
保育所が増えてるのに、待機児童は減らないの?

中山 アナウンサー
減らない。

その根本に出てきている保育士不足なんですが、なり手はどうなのかって、われわれ調べてみたんです。
なりたいっていう人がいるのかいないのかっていったら、やっぱりいるんですよ。
1年間に、調べると、5万人ほどが保育士の資格を取っているんですね。

ご紹介したいのが、そのまさに保育士になりたいという、小椋さんのような希望を抱いて、学校に入った深読花さんです。
保育士として働くためには、こうした学校などを出て、専門の課程を修了して卒業するか、国家資格を取るかっていうことがあるんですけど、学ぶ内容が非常にいろいろあるんですね。

幼児の教育とか、心理学とか、食と栄養などなどについて、子どもたちに対する専門の知識。
併せて実技もあります。ピアノですとか、絵画などなど。

そうした知識や技量を身につけて、読花さんも勉強しっかりして、保育士として資格を取ることができました。この国家試験って非常に難関で、2割以下、合格率。
読花さんは勉強をして、保育所で、いよいよプロとして働くようになりました。その数年後。

小野 アナウンサー
退職。

中山 アナウンサー
辞めました。なんで辞めたのかっていうあたりを、時間をさかのぼって、皆さんに見ていただこうと思います。
この保育所の中、いま、ひと昔前とは様変わりしております。まずはこれです。

働く時間が長くなってるんですね。
調べますと、1日平均9時間以上という方が半数近くいらっしゃいます。

というのも、いま、働いているお父さんだけじゃなくて、お母さんも、朝から晩、夜遅くまで働く方が非常に増えております。
そうして、取材した中では、朝6時半にお母さんが来るので、その対応をして、迎えに、お母さんたちが来るのが夜9時半ぐらいになっちゃう。
そうしたことに対応すると、どうしても保育士さん、働く時間が長くなっちゃうんですよというふうにおっしゃっている方がいました。
中には11時間以上働くなんていう方もいらっしゃる。

正蔵 さん
それは大変だ。

中山 アナウンサー
ほかにもですね、命を預かるお仕事で、重い責任がございます。
いまはですね、おしゃぶりをしているような赤ちゃん。
こうした赤ちゃんを預けて働いていらっしゃるというお母さんも増えているんですね。

で、赤ちゃん、小さくなればなるほど、呼吸が突然止まってしまうなどの突然死のリスクもあります。
寝ている時なども常に見ることになりますし、最近は、お子さんの中でアレルギーもありますので、1人1人、食事を、かなり気を遣わないといけないという現状があるんですね。
また、別にこんなことも中にはあるんだそうです。

怒っている方が保育所へ。
これはクレーム例えば、実際にお話を聞いた中では、「自分の子どもが葉っぱで手を切った。もう金輪際。葉っぱを触らせないようにしてほしい」というふうに言ってくる方も。

どうしても、こういったものもストレスになってしまうという現状がある。

でも、読花さんはですよ、子どもたちのために、この保育所の目的、子どもたちの健全な心身の発達のためにという思いで、なんとか働いてきておりました。
が、追い打ちをかけるのがこれと言われている。平均の月収。

小野 アナウンサー
これ、どういう平均ですか?

藤野 解説委員
保育士さん。若い人から年配の方まで。

小野 アナウンサー
新人さんから園長さんまで?

中山 アナウンサー
そうなんです。60代の方も実は20万円台、平均っていう数字があります。
なかなかお給料、上がらない現実があるんです。

正蔵 さん
上がらないんですか。

中山 アナウンサー
保育園の方が言うには、保育所のお金って、入ってくるお金っていうのは、半分以上は税金になっていて、どうしても国や自治体からのお金が増えないと、お給料も上げることが難しいんですというふうにおっしゃっておりました。

そうしたことから、読花さんも、心がなかなかもう難しく、折れてしまって、この保育所を飛び出し、保育士を辞めることになった。
こうした読花さんのようなケースや、妊娠や出産を機に退職される方など、資格があるのに働かない人たちのことを。

「潜在保育士」と呼びますけれども、こういった人たちがいま日本には70万人以上いるんですって。

保育所はできたけど、働く現場の人たちがいなくて。

待機児童がいまや2万3000人以上で、今後、国が目指す1億総活躍社会。

働くお母さん、ますます増えて、子どもを預けたいというニーズが増していくと見られております。

視聴者の声

東京都・30代・女性
「20歳の時の手取り額は13万円でした。子どもがかわいいと思えないことも多くなり、3年で辞めました。」

北海道・50代・女性
「子どもが好きだけでは続けられない。何かあればすべて保育所の責任。クレーマーの親たちに耐えながら、それでも、「こんなにもらってるんだから頑張れる」と言える賃金にはほど遠いのです。」

小野 アナウンサー
働き方の工夫以前に、でも、賃金って、ずっと上げようと思って頑張れば、例えば、組合があったりとか、いままで何も?
どうしてこんなに保育士さんの賃金が低く抑えられているのですか?

駒村 さん
もともとお母さんの代わりみたいな見方があって、やや専門性が、従来からはあまり高く評価されなかった経緯があるんですけど、いまは、いまお話したように、極めて重要な専門性の高いお仕事になってるわけですよね。
それからもう1つ、経験が評価されないような補助金の体制になっているんで、やっぱり最後はきちんとした予算が国から渡されないと、賃金を上げようがないということですよね。
その収入は、保育所の収入、人件費は、国から渡されたお金の中でやんなきゃいけないですから、その根元を上げてくれないと、賃金を上げたくても上げられない。
お金は国の予算ですから、それは医療もあれば、介護もあれば、年金もあれば、いろいろなお金の取り合いになってますから、どうしても子どものところはいままで二の次だったと。
これでいいのかっていう話がいま出てくる。大事な話だと思いますけどね。

視聴者の声

「親のわがままやクレーム対応に疲れ果てて辞めちゃうんだよね。若い保育士さんなんか、一撃でダメージ。」

藤野 解説委員
保育士の先生たちの仕事、1日の仕事がどれだけ大変かって、普通、一般の人たち、ご存じないでしょ? ちょっとね、これ、見ていただきたいんですが。

お部屋で遊んだり、園庭で遊んだりっていう、子どもを見守らなきゃならない。それから、食事の援助ですね。
特に小さい子ですと、離乳食のお子さんですと、そしゃく、かむ力がどの程度あるのかっていうのをちゃんと見ながら、その子に合った大きさで食べ物を与えてるかっていうのも、ちゃんと確認しなきゃいけない。
それから、就寝中。なかなか、寝なさいと言って、はーいって寝るような子たちばかりじゃないですから、トントンとやってあげながら、ずっとついていなきゃいけない。
呼吸の確認をしなきゃいけない。連絡帳だって、これは親との連携、大事ですからね。
保育士の先生方の専門性、非常に高いものがありますよね。

大日向 さん
こういうことの裏には、しっかりと子どもの発達を押さえてるわけですね。いま何をいちばん子どもに返してあげたらいいか。
「応答性」っていう難しい言葉なんですけど、いまこれを与えてあげたほうがいい、これはしないほうがいいということを考えながら、その裏には、子どもの発達を押さえている。
それから、もう1つ、親支援ですね。いままでのように、子どものことだけやってればいいわけじゃなく、親支援が必要。
気になる子ども、あるいは虐待もある。そうすると、保育園だけで完結しない。関係機関と連携する力、もろもろ入れて、ものすごい専門性が必要。
学校での学びだけじゃなく、OJTっていうんですが、仕事しながらの学びや支援も、お給料だけじゃないことも必要だと。研修ですね。
そういうところにいかにお金を投ずるか。いままでのように、女の人なら、お母さんだって無資格で子どもを育てていたじゃないか。
だから、なんで保育士さんに専門性が必要だっていう古い考えを脱却することが、施設の数を増やすと同時にもっともっと必要なことなんです。
現場の保育士さんは本当頑張ってるんですよ。

正蔵 さん
世の中は、お年寄りとかの介護士さんのことはよく取り上げられたり、不足してたりとか、大変だっていうのは分かるんですが、保育士さんがこれだけ大変だって、なかなか訴える場所もないし、なるべく出てこないような。

駒村 さん
それはたぶん、多くの方にとってみると、介護というのは将来の問題なんですね。
だけど、保育の問題は過去の問題で。
これから自分が受ける問題には多くの国民が関心を持つけど、過ぎちゃった問題には、もう自分は関係ないと思うかもしれない。ただ、これはとんでもない間違いで。
実は経済学的に見ると、いま年金が今後どうなるかっていうのは、子どもの数と年金額は連動するようになってるんです。
だから、子どもの数が減っちゃうと、年金も併せて減るんで、子どもの問題は過去の問題じゃなくて、全世代にとって関心を持っていただかなきゃいけない問題なんです。

大日向 さん
経済学だけじゃなくて、発達初期にいかにお金をかけるかっていうことが、その社会の未来をよりよくすること。
私たちが安心して年を取ることができる、社会全体がよくなるためにも、発達初期、保育にいっぱいお金をかけてるんですよ、OECDなど。

正蔵 さん
そうですよね。その根本の部分、要するに、子どもたちがちゃんと育ってくれたりしなければ、介護のことも含めて、社会のことが成り行かなくなるってことですもんね。

駒村 さん
本当はお金、第1優先でかけてもいいぐらいの話だと思うんですけれども、さっきのお話であるように、保育士さん、これだけの仕事やんないと、ほかのいろいろな、園庭の掃除から、建物の掃除から事務まで、専門だけやらせてもらえないようないろんな仕事があると。
もう少し補助者を入れたほうがいいんじゃないかって話も出てきています。

視聴者の声

茨城県・30代・女性
「子どもの成長に悪影響を及ぼすようなら、働かないで、母親が子育てするほうがよいと思う。」

埼玉県・40代・男性
「親がぜいたくしすぎなのでは? 片方の親がちゃんと面倒を見るべき。」

正蔵 さん
生活していかなくちゃいけないから、共働きをしないといけないっていうご家庭もあるでしょ。
親が見るべきだっていうご意見ももっともだと思うんだけども、それじゃないと自分たちの生活が成り行かない。

小野 アナウンサー
それに、正直、私の身の回りなんかは、とにかく早く保育園に預けて、早く仕事に復帰しないといけない人間ですというふうにアピールしないと、保育園側にも。

藤野 解説委員
1歳までしっかり育休を取りたいというふうに思っていても、いまも待機児が多いので、0歳から申し込まないと、もう入れない。

小林 さん
0歳のうちに預けないと働けないという方が非常に多いので、本当にニーズはどこまでいっても出てくるという状況なんです。

小椋 さん
私、子ども産んでないですけど、子どもを産むタイミングとか考えますね。
そうやって、保育士さん不足っていうのも聞いてるんで。
だから、自分が仕事できなくなるかもしれないって思うと、子どもを産むのがいまじゃないなって思っちゃうんで、そこに不安とかもありますね。

大日向 さん
女性が働くことの大切さと同時に、そもそも保育って子どもにとって必要なんだっていうことをいま押さえておく必要があるんですよ。
おうちで親がしっかり愛することも絶対必要です。でも、親だけで子どもは育たない。
虐待相談処理件数って年々増えて、もう7万を超えてる。
そのうちで、虐待死、とっても残念なことですけど、虐待死が80件以上ある。年間。その5割以上がお母さんなんですよ。 お母さんが悪いんじゃないんです。全部一身に、子育てに流されて、ストレスを強めて。
だから、お母さんを救うためにも、子どもは専門的で、集団で育つ権利もある。
同時に、親も愛することができるという、バランスを取っていく必要があるんですね。

藤野 解説委員
保育士のちょっとしたひと言ですごく気が楽になるし、育児にいい影響があったり、そういう効果もありますね。

視聴者の声

神奈川県・女性
「待機児童にまもなくなりそうな子を持っています。なぜ待機児童が出ることが分かっていて、毎年解決しないで、待機児童を出し続けるのか。」

「2人目を考えているが、もし2人目が待機児童になった場合、仕事ができない状況になるかと思うとかなり不安です。」

藤野 解説委員

国は2017年度末、2年後までに待機児童を解消したいということで、これまで40万人分の保育施設を増やそうと言ってきたんですけど、最近、1億総活躍社会ということで、それをもっと上乗せして、50万人分にしようというふうに言ってるんですね。
ただ、先ほど見てきたように、そのためには、それを支える保育士さんたちが必要。不足するのが9万人もいると。
その待機児童も、いま数字に出てるだけではなくて、もっともっと数字に出てない人たち、育休中で、育休を延長した人っていうのは2万数千っていう数字に入ってないんです。
なので、待機児童も、潜在的な待機児童がいる。そういうことを考えていくと、本当にこの数字で足りるのかな。

小野 アナウンサー
でも、小学校の先生を、現場に来てもらうみたいなニュース、ありませんでしたっけ?

藤野 解説委員

ちょっと続けて説明しますが、保育士の先生たち、どう確保していこうかっていう緊急対策を政府も打ち出しています。
1つは、朝と夕方、子どもたちがまだ登園してきてない、人数が少ない時に、保育士の先生、2人配置しなければいけないってなっていたんですが、そのうち1人は保育士で、もう1人はしっかりと保育の研修を受けた人でもいいと。
資格がなくても、しっかり研修をした人であればいいことにしましょうよというのが1つ。
それから、潜在保育士。これから働いてくれるというような、復職しようという人たちに、一時準備金を渡しましょう。
これ、貸付制度なんですけれど、2年以上働けば返済免除というものなんですね。
それから、小学校の先生、幼稚園の先生をやった人たちを、ちょっと保育士の先生方の代わりにって。

小野 アナウンサー
でも、給料安かったら、そもそも働きに来てはくださらないのではないのですか?

正蔵 さん
おっしゃるとおり。根本の問題としてはお給料の問題ですよね。
いま出した3つは、確かにお金の面は多少免除しますよみたいな、貸付金ということだったんですけれども、それではなんか、全然問題は解消されないような。

駒村 さん
給料だけじゃなくて、働く時間の長さとか、ストレスとか、自分の専門に集中できないとか、そういう問題もありますから、まずそっちをなんとかしましょうということで、いまの政策があるんですけど。
ちょっとこの政策、気をつけていただきたいのは、これは、そういう意味では、時間、ちょっとかかるかもしれないですけれども、小学校と幼稚園の先生を代わりにっていうのは、いま小学校、幼稚園の先生をやってる方を、保育園で勤めてくださいっていうわけではなくて、資格を持ってるような方も、もし辞めていたらなれますよと、手伝ってくださいねっていう話。
これはどちらかというと、緊急措置ですね。

小椋 さん
それって、無資格って、私でも?

駒村 さん
いやいや、だめです、だめです。
ちゃんと、知識と一定の経験を持ってる人がやっていいということで、しかも、一定人数、朝と夜で1人に限りとかですね。
そういう、2人いなきゃいけないところを、1人に限り、代わりがやっていいです。
しかも、これは緊急措置ですので、待機児童の問題にめどがつけば、また元に戻すと。
これをやらないと、来年の4月から、もしかしたら人手が回らなくなっちゃう可能性もあるので、まず最小限、やることはやらないと大変なことになっちゃいますねということで、政府がこういうのを打ち出していますね。

大日向 さん

それに加えて、保育士さんの活躍の場って、こうした認可保育園とか、小規模、家庭的保育園、いろいろある。
ここにさらに子育て支援施設もあるわけですね。在宅で子育てをすればいいじゃないかという、さっきのお話にもあった。
専業主婦のお母さんも、一時預かり使えるようにしなくちゃいけないんです。
そこで、私は、保育士さんと共に働く地域の方をもっともっと増やしていくことも、すごく大事だと思うんです。

例えば、私のNPOでやっている活動は、これ、団塊世代の男性です。
こちらは子育て経験がある中高年の人。こちらは、きちんとした研修受けている。
そして、さまざまな保育士さんとコラボを組んで、保育をしてます。
そうすると、保育士さんも長時間働かなくて済む。
そして、こういう地域の人たちも、保育ってこんな深いものかって、保育に対する尊敬の思いもある。逆に保育士さんは、こういう人生経験のある方から学ぶこともできる。
社会みんなで保育士さんを支える構造を作っていくことは必要です。

駒村 さん
例えば、短時間正社員っていう方をもっと増やそうとか。ただ、やっぱりお金なんですよね。
どうも3000億円ぐらいは、この部分をしっかりやるためには必要なんじゃないかと。
だけど、どうしても、いろいろなお金の使い方がいま求められてる中で、後回し、後回しになってきたというのはあります。
それから、もう1個は、親の働き方が長くなったら、それに合わせて保育所はずっと開けてなきゃいけないのかっていうのは、本当にこれはいい社会なのかどうなのかっていうことも考えなきゃいけないと思うんですね。
もっと人間らしい時間帯の働き方っていうのを、今度は企業のほうも考えなきゃいけない。
長くなれば長くなったで、全部保育所が受け取るのかっていうわけにはいかないと思います。
これは両方やらなきゃいけない。
予算をちゃんと確保して、働き方の見直しを、一方でやらなきゃいけないと思います。

大日向 さん
働き方の見直しと同時に、それでも長時間働く必要がある時もあるんですよ、企業によっては。
そこを今度はアフター保育所で、地域の家庭で、みんなで見てあげるとか、そういう仕組みを作らないで、保育士さん、保育園だけに全部やりながら、お給料を上げてっていうだけでは解決しない問題があるだろうと思うんです。

視聴者の声

「保育士でも介護士でも、給料が安いのは、やりたくてやってるんでしょという見方があるせいな気がします。気持ちが切れたら、辞めていくのは当たり前だと思います。」

「保育士と介護士は公務員にするべきだ。」

「保育士だけでなく、介護士も、看護師も、準備金とかじゃなくて、根本的な待遇を改善しないと現場に戻らないし、戻れない。」

藤野 解説委員
保育士の仕事もそうですけれども、人を育てるとか、人に関わる、ケアするっていうね。

小野 アナウンサー
人をみとるとか。

藤野 解説委員
とても専門的な知識がいる非常に重要な仕事を、これまで長い間、社会が軽視しすぎてきたんだと思うんです。
もうちょっとここを、特に子どもたちに関わるところですから、国の未来に投資するという感覚、そういう気持ちで、人を育てる、学校の先生も、私、そうだと思うんですけど、そういう人たちを大事にする社会、政治、そういうものが必要になってくるんですよね。

小野 アナウンサー
でも、藤野さんもそれをずっと、NHKに入って以来、言い続けていて。

藤野 解説委員
言い続けてます。

小野 アナウンサー
でも、なかなかそうならないじゃありませんか。どうしたら変わるんですかね?

正蔵 さん
でも、いまお話を聞いてたら、変えなくちゃいけないことがいっぱいありますよね。
賃金のことから、親の考え方から、国の取り組みから、いろんなことがすべてうまくいかないと、この問題って解決できないから、よけい根深いし、保育士さんは本当に子どもたちが好きでって、すごい清い夢を持っていたのに、それを短いところで摘まれてしまうっていう。

駒村 さん
その気持ちにただ乗りしてるわけですよね。

正蔵 さん
それ、ひどすぎますよね?

駒村 さん
それを安くする理由にしてるわけですよ。
だから、専門性をまず理解していただいて、いかにこの処遇が悪いかっていうのも皆さんに理解していただいて、しかも、これを放置すると、日本社会全体の問題になってしまうんだということを共有して、そこに予算なり、資源なりを集中的に入れましょうっていうことを皆さん思ってくれないと、後回しにされちゃって、このまま続くということですね。

大日向 さん
それを考えるチャンスが保育士不足なんです。
この問題を、シグナルなんだっていうことですね。
予算も、そう言うと、補正予算つけましょうと言うんです。
違います。人の手当は恒久財源をきちっとつけてもらわないとだめだっていうことですね。

小林 さん
いま現実として、預けた先が不安で不安で、ギリギリの体制だったら、いくら優秀でも質が低下していくので、そこで心配で辞めていくっていう母親は特に多くなっていて、本当に1億総活躍とは逆のような現象が起こっているということも。

正蔵 さん
確かにそうですよね。声高に総活躍って言われてても、それだけ潜在保育士の方がいて、でも、立ち行かない現状があってっていうのは、活躍できてないってことですもんね。

駒村 さん
もう1ついいですか。いまのお話で、例えば働く女性の数が減ると、実はさっきの年金の話にまた戻るんですけど、これもまた年金が減るようになってます。

正蔵 さん
そうなんですか?

駒村 さん
そうそう。働く人の数と子どもの数に連動して、年金額が決まるようになってますので、予定外にいまみたいに辞めるし、子どものことが心配、そっちのほうが大事だと。みんなそうですよ。
で、辞めてしまえば、今度は全世代の年金とか社会保障給付を切り下げるようになってますので、これ、皆さん、自分の問題なんだと思ってくれないと困るんですね。

小野 アナウンサー
そうですね。だから、あれですね。
お嫁さんに、あなた、3歳までは家で見なさいみたいなことをおっしゃると、そのお母さんの年金にはね返ってくるっていうこと。

駒村 さん
全体の年金ですからね。その人個人じゃないです。

小林 さん
実際問題、保育所入れなくて、でも、働かなきゃっていった時に、祖父母がかり出されるわけで、子どもが熱を出した何だって。
実際に動いて、孫の面倒を見なきゃいけないっていう現実問題もあるので、現在も未来も、すごく問題が通じてると思います。

視聴者の声

「やっと現場の声を社会に取り上げていただき、ありがとう。」

「けがやアレルギー対応、子どもの成長・発達の援助や介助、親との連絡、事務処理の多さ、大変です。」

「お金をかけて短大に入り、資格を取りましたが、賃金が安く、進路を考えればよかったと後悔しています。」

正蔵 さん
うーん、つらいなぁ、そういう声聞くと。

小野 アナウンサー
ええ。そして、もう来年は辞めようと思っていますという方。
「保育士です。現場は非常に厳しい。過酷です。私も、いま来年度続けるべきか、葛藤しています」。

駒村 さん
人手不足になってきますから、ほかの仕事の賃金は上がりますからね。
魅力が相対的に下がっちゃうわけですから、それに負けないぐらい充実していかないといけないわけですよね、本当は。

大日向 さん
子どもの笑顔が輝くために、社会全体で本気で立ち上がる時がいまです。

小林 さん
そうですね。子どもにとっても、身近な大人が保育士じゃないですか。
その人がキラキラ輝いてないといけない。

視聴者の声

「子どもたちの笑顔に励まされて頑張れるし、保護者の方の感謝の気持ちに救われることも多々あります。」

「保育士が楽しくなければ、子どもたちも楽しくないですよね。」

「子どもたちは毎日成長しています。きのうできなかったことでも、きょうできるようになったり、そんな子どもたちの思いもくみ取って、保育士が心の余裕を持てるような保育ができるといいと思っています。」

正蔵 さん
なかなかお子さんがいなかったり、もう育児が終わってる方って、この問題ってひと事になっちゃうような気がするんですね。

小野 アナウンサー
そうですね。

正蔵 さん
でも、とても大切なことですよね。これからの日本にとってね。

小野 アナウンサー
どうもありがとうございました。


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