2015年11月07日放送放送内容まるわかり!

どう減らす? 高齢者の交通事故

先日28日宮崎市で起きた暴走事故を始め、いま高齢者の交通事故が後を絶ちません。 ハンドルやブレーキの操作ミス、道路の逆走など原因や事故の種類も様々。 一方、公共交通機関が少ない地域では車を手放しにくい事情も...。 高齢化・過疎化が進む中、こうした事故は減らせるのか?  開催中の東京モーターショーで注目される自動運転や街なかでの実証実験など最新技術も交え、 これからの時代、どう交通事故を減らすのか、深読みします。

今週の出演者

専門家

上村 直人さん(高知大学医学部 講師)
桃田 健史さん(自動車ジャーナリスト)
寒川 由美子(NHK 解説委員)

 

ゲスト

髙田 延彦さん(元総合格闘家)
村上 知子さん(タレント)


小野 アナウンサー
うちの父が79歳でまだ運転してるので、その意味では遠くから心配なんですが、この問題いったいどうしたらいいのか。
中山アナウンサーのこんなプレゼンからスタートです。


プレゼンテーション①

中山 アナウンサー
高齢者の交通事故を防ぐ1つの方法がこちら。
免許をみずから返してもらう制度。これは平成10年から始まって、年々返上の数は増えてはいるんですよ。
でもね、75歳以上で免許お持ちの方、返した人ってこれぐらい。

計算上、400万人以上が返していないことになるので、各自治体はなんとか返してもらいたいと思っている。
今週も事故が相次いでいて、高齢者ドライバーを巡る事態は深刻化しています。
その現状を、高齢化の進む深読市をモデルに、模型に仕立ててみました。

町を見ると、確かに歩いている方々、歩行者はお年寄りが多い。
だけじゃないんです。車の中、運転している人も高齢者。

こちらの交差点、赤い車。ドライバーは高齢者です。
で、右に曲がろうとしています。対向車が来ました。

あっ、なのに、危ない!
これ、原因は、大きくはこれがあると言われております。

交差点入る時っていろいろと注意することがあります。
信号機や歩行者も見えるし、さらには対向車も近づいてくる。
これらを同時に気にしながら運転しないといけない。
これ、お年寄りにとっては非常に大変なことなんです。

お年寄りの事故の、実に6割が交差点付近で起きているんだそうです。
交差点は、この町の中にはあちらにもあります。

こちらには青い車が。この青い車を運転しているのも高齢者。で、左に曲がろうしています。
横断歩道に歩行者の方いますけど、あーっ、危ない。

年を取ると視野が狭くなる。

もともと若かったころは上のように見えていたのが、年を重ねれば重ねるほど、下のようなかたちになると言われてる。
だから、右側にいる人も、見えてたのが見落としやすくなってしまう。
通常運転する時って、右左それぞれの目で90度ずつ見えてるのが望ましいと言われている。
重なる部分はあるんですけど、90度ずつ。
これが高齢者になると、60度ぐらいになって、見える範囲がかなり狭まってしまうということなんです。
町の中には他にもポイントが。先ほどからもありました、数日ニュースになっております。

アクセル、ブレーキ踏み間違えて、建物に。
蛇行を繰り返して運転していて、あー、危ない、蛇行してる。車道に乗り上げる。

キャーッっていうようなことも。
これらの事故の大きな原因の1つには、これ。

「周囲の状況を正しく認識する力が衰えていってしまう」ってことが挙げられております。

いままさにひかれそうになってしまったおばあちゃん、深読子さん。
自宅には長年連れ添う深読男さんという75歳の夫が居ます。

読子さん、読男さんが事故を起こしたらどうしようと、このところ特に心配しています。
そこで、「ねぇねぇ、あなた。そろそろ、もう運転するのやめたらどうですか。免許証をお返ししましょうよ」。
読男さん、首を縦には振りません。

「わしはなぁ、免許は返さんぞ。だって、わしが免許を返したら、買い物や病院に行くのはどうするんじゃい」。
いま公共交通機関が急激に減っています。
去年一年間で廃止になった路線バスの路線の長さ、全国で1590キロ。これ、東京から鹿児島の距離以上の長さになります。
読子さんも、「だったら、娘の読江に送り迎えしてもらうようにしたらどうですか、お父さん」「いやいや、わしにはな、運転は生きがいなんじゃ」。

読男さんたちの世代にとっては車を持つこと自体がステータス。車は単なる移動手段じゃございません。
こんな専門家の調査が。高齢者の3割が、「運転することが生きがい、楽しみ、自立の"象徴"である」と回答しております。
読子さん「でもあなた、もう昔みたいには運転上手にできないじゃないですか」。

そうすると読男さん、「何言ってんじゃい。わしは運転歴50年以上。事故なんか絶対起こさんぞ」。自信満々です。
私の父もたぶんこうなんです。年齢が上がれば上がるほど、事故を回避する自信が、実は高まる傾向がある。
専門家の調査では、75歳以上の実に半数以上が「事故を回避する自信あり」とお答えになっています。
同じ質問に、30代では1割程度しか「自信あり」と答えていない。

「でもね、あなた、免許を返したらこんな証明書をいただけて、こんな証明書でいろいろと割引を受けることもできるそうですよ」。

「なんか調べてみたら、自治体によって、タクシーとか、美術館とか、高級ホテルのバーの割引なんかも受けられるようになるらしいわよ。ぜひもう免許証お返ししましょうよ」。
「ばかもん。何を言ってんじゃ。わしはもう隣町の孫の顔を見てくるわい」。

娘さんに会いに、読男さん車に乗り込むと出かけていきました。
「ああ、読男さん大丈夫かしら」。

高速道路に上がりました。高速道路に上がって、さあ、もうまもなく、町まであとちょっとだ。
あっ、危ない。

「高速道路の逆走」です。
高齢者に多くて、中でも認知症やその疑いのある方のケースが目立つんだそうです。
もちろん年を重ねると認知機能って低下しますけれども、認知症は医師が診断する脳の病気です。

進行具合とか種類などによっては、いま、こうした標識の認識ができなくなったり、方向感覚がなくなったりするんだそうです。
ですから、高速道路の入り口・出口、間違えて逆走してしまうということがある。

警察庁の調査の推計だと、免許を持つ75歳以上、認知症の人って、これぐらいの割合いらっしゃるということなんです。
事故を起こした高齢者のご家族の声です。

「早く免許を返納させておけばよかった」「何が何でも運転させなければよかった」。
こうしたことが、いま日本のあちこちで起きているということなんです。

村上 さん
認知症の方に関しては、自覚がなかったり、どこが抜けてるか分からないっていうのが、周りの方に伝わらないですよね、なかなか。
だから、ちょっとでも、もしかしたらっていうある時点で、本当は食い止めなきゃいけないけど、それが遅くなっちゃいますよね。

髙田 さん
運転してる人たちにとっては、80歳にになってもこれが若さの自信みたいなもので、これを奪っちゃうと急に年取って、自信がなくしてしまうみたいなことがあるじゃないですか。

小野 アナウンサー
そうですよね。それに、行きたいところは買い物と病院だけじゃないんですよね。

桃田 さん
はい。高齢者って、移動が多種多様で不規則なんですよね。
買い物と病院だけ行っていればいいと思うかもしれませんが、友達から誘いがあったらすぐ行きたいとか、時間もあるじゃないですか。

視聴者の声

神奈川県・40代・男性
「認知症の方の運転はやめてほしい。」

千葉県・30代・女性
「認知症など、病気で人に危害を加える可能性のある時は免許を取り上げるべきだと思います。」

神奈川県・30代・女性
「認知症を発症しながら、本人が運転することを許している家族にも責任はある。思いきって車を処分してしまうぐらいしないと事故は絶えない。」

寒川 解説委員

いまの免許制度では、こういう認知症の方の運転、どうなってるかというと、75歳以上の方が3年に1回免許の更新する時に、「認知機能検査」を受けるんです。
そこで、認知機能について「低下の恐れがない」「少し低下の恐れがある」、それから「低下の恐れがある」の3段階に分けられるんですが、いま原則としてはその三段階とも免許更新になる。

それでは問題があると言うことでことしの6月に道路交通法が改正され2年以内に施行されますが、今度は、「低下の恐れがある」という方については医師の診断が義務づけられました。
そこで認知症だと診断されると免許取り消しになるということなんです。
深刻なのは、事故が起きた場合に家族の方も重い負担を背負わされる可能性があること。
3年前に宮崎県で認知症の70代の男性が小学生3人をはねるという事故がありました。
1人が今も意識不明のままなんですが、運転していた本人は懲役1年2か月の実刑判決を受け、被害者の子どもの両親からそのご家族に対して、運転を阻止する義務があったということで3億6000万円の損害賠償請求を起こされました。

髙田 さん
被害者側から言わせてもらえば当然のことですよね。
例えばね、免許の更新の制度をもう少し変えられたらいいんじゃないか。
70超えたらとか、75でもいいですよ。1年に1回にするんですよ。

村上 さん
私も短いほうがいいと思う。

小野 アナウンサー
それか、お医者さんが認知症と診断した患者さんに、運転免許返上を呼びかけるとか。
精神科医でいらっしゃるんですよね、上村さんは。

上村 さん
そうですね。認知症っていうのは3年あると進むんですけど、高田さんが言われたように、すぐにすればいいじゃないかっていう意見もあります。
ただし、実は認知症の診断は簡単ではなく、いま日本全国で500万人、認知症の方がもうすでにいると言われているのに対して、運転が危ないっていう人に診断する人のマンパワー、専門医の数が足りてない。
それともう1つはおそらく新制度が始まると、10倍ぐらい評価をすることが必要じゃないかって言われていて、これに対して人的な資源がどうなのかが課題なんです。

視聴者の声

「交差点で右折しようとしていた時に、左折のウインカーを出しながら右折してくる車に遭遇しました。危なかったです。運転者を見るとやはり高齢の方でした。」

「私の父は現在84歳です。現在も毎日運転しています。定年退職するまで自動車学校にいました。ほかの老人の方より自信があるそうです。」

小野 アナウンサー
そして、何よりも、やはり田舎では車に乗らないととても不便ですという声も来ています。

視聴者の声

山口県・80代・男性
「日常の買い物、妻の病院通い、すべてにおいて車は手放せません。バスなどが以前のようにあればいいのですが、たまに走る程度で、しかも運賃が高いです。年金生活では日常的に使うことはできません。」

大阪府・50代・男性
「私の親は80歳なので、運転をしないようにと話すのですが、足腰が弱っているので歩くのがおっくうなのか、自動車は手放せないと言います。同居していないので私が代行してあげることもできず、心配な日々を送っています。」

髙田 さん
バランス難しいですよ、それは。だから、一歩間違えれば凶器と化すわけじゃないですか。
人をあやめてしまうわけだから、それを正常に操る自分の脳の状態っていうものができてないと、同じようなことが何回も何回もこれから起きるわけです。
止めるにはやっぱりドライにいかないといけない部分ってありますよね。

小野 アナウンサー
ドライにいくならいくで、その人たちが人間らしい生活をこれからも送れるような状況にいまあるのかっていうことが、いちばん心配ですね。
公共交通機関なんかどんどん減ってるし、さっき模型の説明にもありましたけど、現状は。

寒川 解説委員

実は同じように公共交通機関が減っている兵庫県豊岡市という人口8万3000人の町で、市の中心部はコミュニティーバスが走っています。
ですけど、平成20年に路線バスが廃止されてしまった。
その時に、1つは、この市営バス「イナカー」というのを走らせることにしました。
これは、一定の利用者がいないと廃止されてしまうんですが、住民の方に利用を呼びかけて、上限400円ぐらいなんですが、1便あたり1人が乗っていれば採算が取れるという基準にしました。
しかしそれでも、その基準も満たせない地域がまた出てきてしまった。
そこで、今度はこちらの「チクタク」というのを導入しました。
これは、バスとタクシーの中間ぐらいのものなんですが、住民が組織したNPOが市から車を借りて運営してます。
タクシーと違うのは、自宅から目的地へということはできなくて、停留所がきまっているんですが、それが非常に細かく設定されていて、診療所、スーパー、床屋さんとか、いくつかあるんです。バスよりきめ細かくなっている。
予約制なんですが、運転を自営業の方だとか、定年退職された方だとか、住民の方が行います。
実はタクシーとか運転するには2種免許っていうのが必要なんですが、でも、特別の制度があるんです。

桃田 さん

「自家用有償旅客運送」ですね。
いまのご説明のように、とにかく自治体とか住民の方が困ってれば、自らこうやってみんなで考えて、地域でやれる。
これ、国土交通省の中で特例として定められていて、いままでは国がいろいろと決めてたのが、どんどんいま、地域で全部決めていいよ、ということになってきてるので、地域で考えてほしいんですよ。自分たちの交通のことを。

村上 さん
いちばんいいかたちがありますもんね。利用しやすいかたちっていうのが、それぞれ違いますもんね。

寒川 解説委員
実際このケースでも、もう1つ停留所増やしてほしいとか、行き先ここも加えてほしいという見直しをどんどん自分たちでやってる。
料金も100円~200円で本当に利用しやすいということで、住民の、特に高齢者の方から好評です。
特筆すべきは「イナカー」を運行するより、経費が3分の1で済んでるということ。

小野 アナウンサー
でも、じゃあ、自分たちでどんな交通があったら便利かみたいなことを、80前後のお年寄りが集まって話す元気あるのかなとも思うんです。
「わしらが我慢すればいいんだったらもうそれでいいよ」って言っちゃいそうですね、うちの父なんか見てると。
そんな活力がいったいどこにあるのか、どうやって新しい公共交通ネットワークを構築したらいいのか。

桃田 さん
生きるためですからね、切羽詰まれば皆さんやると思いますよ。

視聴者の声

「個人の問題のようで、実は行政の問題ではないでしょうか。免許の返納ができるように、車がなくても生活できる環境を作る必要があるのではありませんか。」

「地方はどうやって車がなくても生きていける社会にするのかを考えるのかが先だと思う。」

「近所の小さいスーパーもどんどんなくなって、徒歩圏で生活できないのが車社会。」

「田舎だと、近隣のバス停まで車で行かないといけない距離。高齢でも車は必要。」

髙田 さん
何でも行政のせいにしたくないけど、やっぱりこれ、行政の仕事ですよね。突き詰めていけば。
いま言われてるような問題だって、もう何十年前から言われてることですからね。いまだに手が付けられてないんですから。
だから本当は、おじいちゃん、おばあちゃんが、「もう車なんかいらない。こっちのほうが便利じゃないか」っていう世の中にしなきゃいけないじゃないですか。
どうしても免許を手放せないような状況で作り続けてるから、こういう悲惨な事故が起きるわけです。

桃田 さん
熊本県のあるケースだと、年間数千万円も予算をかけて、いわゆる「空バス」が走ってる。
運転手さんもだんだんモチベーションがなくなるけど、住民から全く文句が来ない。
なぜなら、「公共交通はあって当然」だから。どんなに税金がむだづかいされていても、住民から文句が来ない。
だから、行政もそのまま垂れ流してしまう。もっとコミュニケーションしないと。

髙田 さん
お互いが響き合ってないってことですよね。無関心に近いというか。

小野 アナウンサー
でも、私たち世代も、自分がいつかそうなるっていうふうに思わないといけないってことですね。

髙田 さん
そうですよ。当事者にもなるし、あした被害者になるかもしれないわけですから。
さっきみたいに、いろんな問題はあるけど、2年先の法律改正の施行では遅い気がするけど。

視聴者の声

「免許の更新を、お年寄りには悪いけど1年ごとにしてもらっては?」

桃田 さん
先生、そういうのできませんか?

上村 さん
希望としてはあるんですけど、田舎の高知県のようなところでは大概、5000円から6000円っていう更新のためのお金さえ払うのが大変っていう方がいるので、これを全国規模でやるには、国や県という大きなところで動かなきゃだめだと思います。

髙田 さん
日本は更新のスパンが短すぎるから、だから、若い人たち、40代までは6年とか8年に1回でいいわけですよ、極論を言えば。
お年寄りに関しては1年に1回ずつ細かく細かく、もっともっと綿密に、ドクターとタイアップしてやっていくっていうことに変えなきゃ。

視聴者の声

埼玉県・50代・女性
「自動車メーカーの技術革新によって防げる事故も多いと思う。期待したい。」

京都府・70代・男性
「自分で運転すると、やはりかなり神経を使っています。自動運転の車があれば、目的地をセットするだけで走行できるので、精神的にかなり楽になると思います。」

小野 アナウンサー
もしかしたら最新の技術がどっか助けてくれるところがあるんじゃないかと、中山アナウンサーが最新の車文化を取材してきました。


プレゼンテーション②

中山 アナウンサー
ここまでいま来ております。

例えば「衝突被害軽減ブレーキ」。道路で前に車がいるとき、近づきすぎると音が鳴って警告してくれる。

さらに近づきすぎて衝突しそうになると、自動で止まる。
これ、いまや車だけじゃなくて、人、建物に対応するものもでてきているんですよ。

ほかにも、止まってる車の目の前に建物がある場合、間違ってアクセルを思いきり踏んでも急発進せずに、ゆっくり進むだけ、というシステムがあったり。

白線を認識して、はみ出しそうになると、ハンドルが勝手に戻してくれる、「車線に反応するシステム」なんかも出てきているんです。
いま、軽自動車にもこういうシステムがじわりじわりと広まってきているんですよね。技術は進化してる。

その進化しているという点でニュースにもなっておりますが、11月8日まで「東京モーターショー」が開かれております。

今回各メーカーが開発を進めている注目の技術が「自動運転車」なんです。

例えばこの車なんかは、ハンドルが中に収納されてしまいます。

運転席に座っている人は、手を離していても目的地まで連れていってもらえるわけ。

で、歩行者が横断歩道にいたら自動で止まります。

歩行者に向けて、こんなメッセージを出したり。
海外メーカー含めていろんなメーカーが開発をしていて、日本でも2020年には、高速道路や大きな道路などでの実用化を目指して、開発が進んでいるんです。

80年代には車が自動で動く「ナイトライダー」っていう海外ドラマが人気でした。
実は、この自動運転車がいまや公道を走り出しております。
現場主義の私中山、行ってまいりました。これ、海外じゃないです。日本の、国内の、ここ。

石川県の珠洲市です。なぜここで、実験、行っているのかというと、能登半島の先端にある町、ここはある意味、日本の最先端なんです。

人口が一時期4万あったのが、1万5千人にまで減って、過疎が急速に進んでいる。高齢化もすごい急激です。
町、歩いていると、確かにお年寄りが多くて、家に止まっている車には、この高齢運転者マークを本当によく見かけました。

やはり問題は「移動手段」です。 鉄道は10年前になくなりました。
路線バスも本数減り、一日10便。土日はもう1本も動いていません。
実は運転手さん自身も高齢化が進んでいて、担い手が今後いなくなってしまう。
だからこそ自動運転車が1日でも早く必要なんです。で、行政が動いた。
こちら。

これで実験しております。市販車にモニターやセンターといった、さまざまな実験装置がついてます。360度認識、周囲の状況が把握できる。
運転席は登録された人しか乗れないので、後部座席から見せていただきました。確かに運転手の手はハンドルに手を添えているだけ。で、目的地まで自動で本当に行きます。
この珠洲市、道が広かったり、人が少ないっていう点でも、いまデータが非常に集めやすいところなんですね。
データを集めて、実際公道で走ってみると課題は出てきている。

市と一緒に研究開発している金沢大学の菅沼先生がその課題を教えてくれました。

道路脇には草とかススキなどが生えてますが、風でなびいたりすると、障害物と認識してしまうことがある。

また、実際乗ってる時に起きたんですが、この日はとてもいい天気だったんです。太陽光が強かった。
で、逆光になってしまって信号見えにくかった。すると、青なのに止まっちゃう。
実際乗ってみると、確かに乗り心地としては、先生、本当申し訳ないです、ぎこちなさは正直ある。
人で言えば、仮免許の人が路上に初めて出た時のような。

ですが、先生はこのままデータを集め続けることで、2020年、実用化スタートを目指しています。
その時には皆さん、高齢、お年寄りなどにも、地域の人たち含めてみんなに乗ってもらって、使ってもらうようにしましょうよと、力強く語ってくださいました。

桃田 さん
これ見てる自動車メーカーの人たち、そんなぎくしゃくしないよってきっと怒ってるかもしれませんよ。
アメリカ、ドイツ、フランス、イスラエル、日本でもそうですけど、実はおとといもお台場で僕、日産の自動運転乗ってますけど、相当レベルは上がってます。
1点、これいつも皆さん間違えるんですけど、自動運転と無人運転は違います。
自動車メーカーがやろうとしてるのは、先ほどご説明があった、いろんなブレーキのシステムとか、あれがどんどん賢くなっていって、高度運転支援システムっていうんですけど、その延長上に自動運転を考えてる。
なので、手動と自動を切り替えます。
ですが、自動車メーカーじゃないIT関連のメーカーは、無人の完全自動運転車の開発を進めている。

小野 アナウンサー
2種類あると覚えといたらいいんですね。
だけど、本当にこんなの実用化できたら、いいなと思いますね。

寒川 解説委員
ただ、こういった公道上での自動運転車の実験は可能なんですが、実用化となると法律的な問題があります。
1つには、事故が起きた時の責任。運転手のせいなのか、それとも、自動的にだからメーカーのせいなのかといったような問題。
それからもう1つは、運転者の安全を守る義務、という問題。例えば、居眠り運転をしていいのかとか、スマホを見ながら運転していいのか。
いまはだめですけど、これをどうしていくのかっていう法律的な問題があるので、警察も先月有識者の委員会を立ち上げて、議論を始めました。
さらにもう1つ、いまおっしゃられた完全無人走行車。これはまた話が別なんです。
というのは、交通に関する国際的な取り決め「ジュネーブ条約」では、車というのは運転手がいなければだめ、ということになっている。
完全な無人走行車の開発は各国で進んでますので、いまヨーロッパでも、無人で運転できる車にするための条約改正が必要では、という議論も始まっていて、先月からそのメンバーに加盟させてもらった。

村上 さん
私、免許持ってないですけど車に乗ってみたいっていう気持ちもあります。
でも運転はできない、免許もないので、所有はどうなんだろうとかっていう。
もし、でも、免許がなくても、車に乗って自分でいろんなところに行けたらいいなとも思いますが。

桃田 さん
いまおっしゃったような、いわゆるカーシェアリングのような、所有しなくてもいいという方向に進むかもしれませんし、線路がない電車みたいなものになって自由度が多いとか、後ものり物の考え方が変わると思います。

視聴者の声

「便利な機能の車、ありがたいけど、年金生活の人は買うお金がないです。」

「車に乗ることができない不便な土地ほど、公共交通が発達するべきだと感じます。農業をしている高齢の親がきょうも車で仕事に出かけました。心配です。」

小野 アナウンサー
値段のこと、やっぱりすごく気になりますよね。
もうちょっと、いまある中古の軽乗用車につけられる高齢者の運転支援システムとか、そういうものはないんでしょうか。

桃田 さん
基本的にはないと思ってください。あとからつけるものでは、アメリカとかでは存在するんですけど、品質的にはちょっと課題もある。
もし仮に、例えば、逆走とかをなんとかするなら、ETCってあるじゃないですか。
ETCもいま「ETC2.0」という新しいバージョンになっていて通信ができる。
GPSで自分の位置が分かる。東京モーターショーでその関係者と直接話したんですけど、逆走を防止するための研究はしてらっしゃるそうです。

小野 アナウンサー
運転支援、高齢者の運転支援がグンと進みそうな可能性って、いまどうなんですか?

桃田 さん
自動車メーカー主導でやる場合は、どうしてもものを売らなきゃいけないので、新車にはどんどんついていきますけど、おっしゃるように、すべての車にやるっていうのは、注意喚起はできても、その装置をすぐつけるというのは、正直難しいと思います。できなくはないですよ。

小野 アナウンサー
それ、どうしたらできるようになるんですか?

桃田 さん
一部そういうアフターマーケットに車の部品メーカーは存在するんですけど、それを、国なり地方自治体である程度義務化するのか、そういう技術の精査をしなきゃいけないと思いますね。

視聴者の声

「家族がなんとか返納させるべきと言われましても、うちは父が絶対権力を握っています。言うことなんか聞くわけありません。」

「家族が運転をやめさせるのは本当に難しい。本人にとっては人生の区切りになるからか、聞く耳を持ちません。」

村上 さん
でも、やっぱ家族がだめだったら病院の先生とかの話のほうが、聞くかもしれないですよね。

上村 さん

医師の立場からすると、家族から「お医者様から言われると、やめてくれるんじゃないか」という要望がよくあるんですけど、実際は現実は甘くなくて、当事者からは「この免許は医師に許可されたんじゃなくて警察に許可されたんだ」って言われて、生きがいだとか、病院に通えないじゃないかとか、あとは、免許なしでは生きていけないっていう切実な声があります。
よくよく何人か、認知症も含めた高齢者と話し合ってみると、周りが、年取ったからやめようよとか、病気だからっていうだけでは、やっぱり納得しないんです。
ですから、いままで長いこと車を運転してくれてありがたいとか、活躍してくれたということ、本人がいままで生きてきたことを認めてあげたり、一緒に考えないといけないんです。
お孫さんとか、息子さんとか、娘さん、家族や地域で考えてあげないと、ただ単にいきなり最初にやめなさいって言っちゃうと、やっぱり反発する。
これは病気は関係なく、そうだよなと感じます。

髙田 さん
何でもそうですけど、年取ってきたから、年取ったからやめなさいって言われて、納得はできませんよね。裏付けがないと。ちゃんと。

村上 さん
でも、最悪の事故を回避するっていうのは、どっちがいいんだっていう話ですよね。
極論ですけど、事故起こしてからいろんなことが起こるよりも、その前にどうにかしようってことをちゃんと伝えて、家族で話し合わないといけないと思うんですよね、やっぱり。

小野 アナウンサー
そう。認知症にかかったら、もう即運転はだめなんですか?
私たちだっていつかかるか分からないじゃありませんか。

上村 さん
いまの法律上は、認知症と診断されると運転は禁止となってます。日本の法律では。
ただし、いまの医療の現実では、専門医の数の少なさもあるし、当人が病院になかなか行きたがらないということもある。
いまはだいぶ病院に行く人が増えつつあるんですけれども、ぼけって言われたら嫌だとか、だめになってしまうって言われたら嫌だと、最初の受診すらまだまだ進んでないっていう現実はあります。

寒川 解説委員
認知症の方でも、本当に人それぞれ違うわけです。
私も認知症の当事者の方たちの会合なんかにも参加させていただいてますが、体験談を本に出版されたりとか、各地で講演活動したりとか、すごく活躍して、生き生きと暮らしてる方も多いんです。
だから、車の運転と、認知症の方が生き生きと自分らしく生きるっていうこととは、少し切り離して考えないといけないんだろうなと思いますね。

桃田 さん
運転することは、先ほど言いましたように、生きるためと移動っていうものはまた違うので、それを自分も認識するし、社会全体で、みんなで考えることだと思うんですよね。
1度も真剣に、「移動」について、みんなで議論したことないんですよ。

小野 アナウンサー
確かに。運転システムを車につけることを義務化するとか、そういうのは、国が動かないとだめなこと?

桃田 さん
はい、そうですね。

寒川 解説委員
いま国も、自動運転車の開発というのを、国家戦略として進めるということを打ち出してはいるんです。
ただ、基本的に主導はメーカーなので、そこを、自動運転車だけでなくて、先ほどおっしゃった、ほかのETCを使ったり、例えば、スマホを使ったり、何らかの支援システムっていうのは進めてほしいと思いますね。

桃田 さん
スウェーデンみたいなところはある程度福祉的な視点で「移動」を考えている。
そういう位置づけでやるとか、強烈な押し出し感がないとだめです。

小野 アナウンサー
なるほど。強烈な押し出し感は、どうやったら生み出せる?

上村 さん
私はちょっと意見が違ってて、押し出すのも大事なんです。
その時に、次々と新しい技術ができますが、おそらくこれ、若い人の運転でデータを取ってると思うんです。
僕が感じるのは、お年寄りに実際に有効かどうかっていうデータがないと難しい、ということ。
例えば、いまカーナビ便利なんですが、時々目的地に近づくと、何度も、ピッチが速くて「目的地周辺です」って10秒おきぐらいに通知されますよね。
そうすると普通の人でもパニックを起こすことがある。
僕でも起こすので、たぶん認知症の人だったらよけいにパニックになって、ペダルを間違う。
ですから、音声とかカーナビの技術も、年齢に合わせたような技術開発が伴わなければ、せっかくいいものが有効にされないので、その視点をぜひ。
だからこそ、技術者と医療の人とか、もちろん国民の人とか住民の人が一緒になって考えることが絶対に必要だと思います。

小野 アナウンサー
本当に車に乗りたい人、お年寄りの声が必要だし、そのお年寄りの運動能力とか、そういうことをちゃんと考えて作らないといけないということなんですね。
あと、公共交通ネットワーク作りみたいなことも、町内会だけじゃなくて、老人会も一緒になって、どこにどう行きたいのかみたいなことをしっかり議論しないといけないですね。

寒川 解説委員
ご本人の意思、ご本人たちの意思をちゃんと尊重するってことも大事ですよね。

髙田 さん
だって、高齢者増え続けるわけですからね、これから。

小野 アナウンサー
交通整理、必要ですね(笑)。
なんてこと言ってる場合なんでしょうか、本当に。ぜひ今週はそんなこと考えたいと思います。
ありがとうございました。

寄せられたご意見・ご感想はこちら

■番組では随時ご意見を受け付けています。現在募集中のテーマはこちらから。

ページの先頭へ戻る