2014年07月05日放送放送内容まるわかり!

成長戦略のカギは学童保育!?どうする?子どもたちの放課後

共働き世帯などの小学生を放課後に預かる学童保育。 共働きやひとり親の増加によりニーズが高まり、潜在的な待機児童は30万人ともいわれています。 そうした中、女性の就労拡大を掲げる安倍政権は成長戦略で、学童保育の受け皿を「5年で30万人」増やす方針を打ち出しました。 新設のための場所や指導員の確保も容易ではない中、本当に学童保育を拡充できるのか?子どもがより良い放課後を過ごすには、行政や地域はどうすればよいか?深読みします。

今週の出演者

専門家

西郷 泰之さん(大正大学教授)
池本 美香さん(日本総研主任研究員)
平岩 国泰さん(放課後NPOアフタースクール代表理事)
藤野 優子(NHK 解説委員)

 

ゲスト

ユージさん(タレント)
宮崎美子 さん(女優)


小野 アナウンサー
小1の壁って、ご存じですか?

ユージ さん
ちょっと聞いたことないですね。

小野 アナウンサー
いったいどういうことなのか?徳永アナウンサーのこのプレゼンからスタートです。

徳永 アナウンサー
働くお母さんもふつうの言葉として「いや、小1の壁がね」と言う方も多い。

宮崎
えっ?そうなんですか。

徳永 アナウンサー
お母さんにとっては当たり前の言葉なんですよ。どういうことか。

今、政府はご存じのとおり女性の活躍をかかげています。
お母さんが子どもを産んでも、ずっと働ける環境を作れば、働く人の数が増えて、経済の成長になるからというのがねらいですよね。

このスーツ姿でずっと働ければいいですよね。
子どもが小さい頃は保育所。今、夜預かってくれるところも出てきています。
でも子どもが小学校に上がると意外と帰る時間早いんですよ。

ですから預けるところがないと、ずっと働くことがここでできなくなって、仕事をあきらめるか。

家庭に入る決断をする方もいらっしゃる。

宮崎
いや、ここまでがんばってきたのにね。

徳永 アナウンサー
働きたいと思っている人があきらめざるをえない、それが小1の壁という問題なんです。

この壁を乗り越えるためには、この存在が欠かせないというのが、きょうのテーマ、学童保育。

学童保育というのは、小学校おもに低学年の子が放課後に過ごす場なんですね。
ただ過ごす場ではなくて、法律上はこう書いてあります。

親が日中仕事に出ている子どもに対して「適切な遊び・生活の場を与え健全な育成を図る」と。
質のこともちゃんと書いてある。だから、ただ居場所があるんじゃなくて、こういう方が必ずいます。

ユージ さん
指導員?

小野 アナウンサー
先生みたいな人ですか?

徳永 アナウンサー
保育士などの資格があるなど、さまざまなんですが。必ずこういう方が面倒を見ていらっしゃる。

宮崎
子ども何人につき何人とか、やっぱり決まっているんですか?

徳永 アナウンサー
そこなんですよ。実はね、基準というものが今までなかったんですよね、学童には。
だから形もさまざまでしてね。場所もさまざま。
学校の敷地内にプレハブ建てているところもあれば、住宅街の家を使っているところもあるし。児童館の一室を使っているとか。もういろいろ。
運営についても、自治体がやっているところもあれば、民間がやっているものに自治体が補助金を出しているケースもあり、さまざま。

形態はさまざまなんですが、需要はとにかく増えていまして、全国で21000か所。

保育料はまちまちなのですが、大体ひと月に払う保護者の方の負担は平均すると7300円ぐらいで。
大体6時頃まで。最近はお母さんやお父さんの勤務形態に合わせて7時ぐらいまで見てくれるところも増えてきていますが、大体こんなものだとお思いください。
今の社会状況からいうと、この学童保育へのニーズというのはすごく高まっているんです。
その背景は一つは、家庭環境。

今、共働きが当たり前になって、両親とも日中いない。

核家族化も当たり前になって、昔は面倒見てくれていたおじいちゃん、おばあちゃんが近くにいない。

そして深刻なのが、ひとり親の方で。
とにかく生活をするために必死で働いている。お父さんもそうですよね、ひとり親家庭の。とにかく働いていらっしゃる。
日中子どもの面倒を見たくても見られない。1,2年生にかぎっ子になれと言われても危ないですし。
そうなると、やっぱり学童保育にお願いするというのは、親心というか。当たり前ですよね。

宮崎
これはよく分かります。

小野 アナウンサー
でも、もうちょっと大きくなれば、子どもたち同士で外で遊んだりしていても。

宮崎
高学年になったらね。

徳永 アナウンサー
それは、私たちが子どもの頃の話。変わったじゃないですか、社会環境が。

こういう子どもたちが遊ぶ公園はありますが、昔はよく近所の方が声かけてくれたり、見守ってくれていたんですが。
地域社会も疎遠になって、こういう方の存在が減ってきて。

その代わりといっては残念ですが、こんな印象はありませんか?

宮崎
怪しい人出て来ちゃったね。

徳永 アナウンサー
やっぱりセンセーショナルな事件というのが、すごく印象に残っていますし。昔は身代金目的でしたけど。
今いたずらというのがどんどん印象に残っていて。

結局、いま安全といえるのは、学童保育といわざるをえなくて。
この10年で新しく増えた定員の数、35万人。ということは・・・。

宮崎
あららら。

ユージ さん
すごいな。

徳永 アナウンサー
これは誇張とは言いきれない。大体国は1施設40人くらいでいきましょうねと言っているんですが。
100人以上いる学童も今めずらしくはない。

宮崎
放課後の学校を場所にして、そこに指導員もたくさん増やせば?女性の職場が広がるかもしれないし。
それでいいんじゃないですか?ダメなの。

徳永 アナウンサー
学校に学童を作ろうと、もっと作ればいいじゃないと。
ところがですね、こんなことを言う先生が。

ユージ さん
責任がとれない。

徳永 アナウンサー
住宅環境も変わっていて。新しく作る場所を見つけたとしても。

宮崎
うるさいから?

徳永 アナウンサー
子どもって、そういうものじゃないですか。ドタドタドタドタッ。そんなもんですよ。
ただ今そんなことを言っていられないんじゃないかという現実も。こんなデータがありましてね。

国が調べたんですけど。全国の学童保育で1年間に起きている治療が終わるまで30日以上かかる事故、骨折などのね。それだけで200件以上。
待遇面も課題が多くて。一生懸命防いでくれている指導員さん。

全員とはいいませんが、かなりの数の方が非正規。
そして学童保育の全国団体の調べでは、7割近い指導員の方が年収150万にも満たないという状況。
課題山積なんですね。

それもあって、今、入れない子が国の調査で30万人近いといわれています。

そこで、女性の活躍のためには、女性が働けなければいけない。

ならば30万人増やそう、というのが成長戦略に入ったわけです。
さて、どうしましょう。

宮崎
まず、待遇をよくして。気前よくポーンと払えるようになれば。
だって子どもが好きで、なにか子どもに関わる仕事をしたい人って、いっぱいいると思うんですよね。

西郷 さん
それは学童の職員の人たちにとってみれば、涙が出そうなお話ですよ。本当に大変な状況の中で、でもやりがいを感じて、一生懸命働いている方たちが多いので。まさにそこは、なんというか。ギリギリの生活をしながら、お仕事も一生懸命やっているというのが実態ですよね。

平岩 さん
指導員の皆様って、本当に親たちが自分たちで運営している学童保育ってすごく多いんですけど。
そのぐらい困った親御さんたちが、みずから立ち上げてきたという歴史もあって。
非常にそういう意味では、まだまだ支援のうすい分野なんですよね。
保育所なんかと比べても、非常にうすいと感じますね。

池本 さん

1人あたりの補助金額ということでみますと、学童保育は3万円で民間保育所が33万円ということなので。
その指導員に回るお金と考えますと、ここから来るということなので。

小野 アナウンサー
10分の1。

池本 さん
非常に待遇が悪いということですね。
保育所でさえこれだけやっても、不足が、深刻で、保育所が作れないという状況なので。

西郷 さん
保育士もとても賃金が低いんですよ、今。
でも保育士よりももっと厳しい状態になっている。

視聴者の声

東京都・40代・女性
「学童保育に入れず保護者が仕事をやめるなんて聞くと、理不尽な気持ちになります。少子化だというなら環境を整えないと若い人は子どもを産めないのでは」

藤野 解説委員
本当にそうですね。やっぱりようやく厳しい保育所の門に入れたと思ったら、5~6年たつと「えっ、またもっと厳しいハードルが来るの?もう本当にしんどいよ」という声はよく聞くんです。
ただ、やっぱり今回ようやく学童保育にスポットライトがあびたというか。
国の政策もようやくスタート地点に来たなというふうに思うんですよね。

小野 アナウンサー
でも、こんなに課題山積で、できるんですか?

宮崎
どこから手をつける。

西郷 さん
こんなに課題山積なんだけど。設備と運営の基準というのがない状態だったのが、基準ができたとか。
学校施設を利用できないような状態だったんだけれど、比較的利用できるようになってきたという、いいところもあるんですね。

藤野 解説委員

政府はどうやって学童保育を増やそうとしているか?なんですけど。
まず学校施設を徹底的に使おうというのがある。
それから幼稚園。早く終わりますよね、1時とか2時に。学校終わった子どもたちがその後、幼稚園を使わせてもらえないかという話。
それから空き物件を借りて、新しい学童保育を作る補助金を出してはどうかとかいう話が出たり。
その他にも開いている時間、利用時間を保育所並みに長くしてはどうかということが検討されていて。
なかでもやっぱり柱は、みなさん思われるように学校施設の徹底活用。
新設される学童保育の8割を学校でという方針が出ているんですね。

宮崎さん
私、さっきちょっと分からなかったんですけど、校長先生が責任がとれないと言っているのは?

藤野 解説委員
学校の施設を使ってなにか事故があったときに、どうするんだ?とか。
あと、例えば空き教室を使うときに、子どもたちが授業のときに使う教材とかが置いてあるんですよ。
そういう物がなくなったりすると、どうするんだ?というね。そういう問題もある。
だからなかなか校長先生の立場に立っても、ちょっとむずかしい問題があるというのもあるし。
その背景には、もうちょっと根っこにある問題は、学校って文部科学省が所管、担当していて。学童保育というのは厚生労働省が。

宮崎
だから、そういうのがねぇ。

藤野 解説委員
その縦割りがずーっと長年、その問題があって。

ユージ さん
うまくできないもんなんですかね?

池本 さん
学童保育も文部科学省の教育省でやっている国もあるんですけど。
日本はそこが、二つに分かれているということがひとつむずかしい。
でも政府のほうで、学校でやるということで、1万か所でしたか増やそうという方針もつい最近出たところですし。
あと、具体的に責任とれないというところについても、自治体によっては、どういった場合にどこが責任をとるか明確にルールを決めることによって、そこをクリアしていう自治体も出てきましたので。
そこを広げていくという方法もあるんだと思いますね。

平岩 さん
先日、ある校長先生に聞いたんですけど。
放課後、学校でやっていらっしゃるんですね、そこは。別のNPOさんに委託をしてやっているんですけど。
その校長先生が言うには「放課後に学校で活動していて、そこの問題で学校が責められたことは一度もない」とおっしゃっていたんですね。
むしろ地域の公園でトラブルが起きたときに、学校に持ち込まれるんだと。
つまり責任の所在だけハッキリさせれば、そこの学校が妙に責任を負わさせることは実態としてはないらしいんですけど。
作るうえでは先生たちは、私たちの負担が増えちゃうんじゃないかというのを心配されるのは、あるようですね。

視聴者の声

神奈川県・40代・女性
「狭い部屋で子どもたちが落ち着いて過ごせない印象があります。もっと広くゆったりとした空間を用意すればいいと思う」

藤野 解説委員
学童保育で30万人という数字ありましたけど、保育園が潜在的な待機児童が80万人とか、特養の待機なさっている方が50万ぐらいですね。

小野 アナウンサー
みんな待っているような状態で、お金は限られているのに、学童保育に、回るんですかね?

藤野 解説委員
消費税を引き上げて、その財源で許可する社会保障の柱が、実は子育て支援。
で、その中に学童保育も増やしていきましょうという話が入っているので。
ここはちゃんとみんなが負担している消費税なんですから。
ちゃんと有効に子育て支援に使っていっているのかというのをみんなでチェックしなければいけないと思うですよね。

平岩 さん
『子ども・子育て会議』というのが今、開かれていて。保育所と学童保育の問題をあつかうんですけれども。
やっぱり学童保育のほうがどうしても後回しになっている現状があるみたいで。
7000億という財源もおおむね保育所。保育所ももちろん大変ですから、対策を打たないといけないんですけど。
保育所を増やせば増やすほど、そのまま学童保育に来ますので、こちらも同時並行で解決していかないと大変なことになりますね。

西郷 さん
一つの施設に40人どころではなくて、というお話がさっきありましたよね。100人とか大きいところ。
人がいっぱいいると、なんかこう安心していられないとか。子どもの場合だと、そういうさわがしい状況にいると、人の話が聞けないとか、順番を待てないとか、大きな声を出してしまうとか、イライラ感がつのるんですよ。
あと、事故も多いとかですね。さっき事故の話もありましたけど。
そういう点では、規模を縮小していくということが必要。
それも厚生労働省も分かっていて、おおむね40人ということは言っているんですが。
単独の学童が3割ぐらいあるんですね。その3割のところは、きょうのように雨が降ってしまうと、もう一日中そこにいないといけないんですよ。それも40人の子どもたちが。
なおかつ今の国の基準でいうと、ふつうの小学校の教室がありますよね。
あそこに今は大体30人ぐらいで、小学校では授業しているんだけど。
そこへ40人入って、その中で遊びもするし、勉強もするし、カードゲームもするという中なんで。
静かな遊びをしていたり、具合が悪い子は、となりでボール遊びをしている子たちにボールをぶつけられたりとかですね。
まあ、けっこう大変な状況にあるというんですか。

平岩 さん
学童保育とか小学生の問題というのは、量の議論だけではなくて、質の議論が大事なんですね。
保育所ももちろん大事ですけど。やっぱり箱をまず作っていくということが言われていますけど。
学童は特に小学生で行動範囲も広くなってくるし、興味関心も広がってくるし、成長のときでもすごく大事な時期ですよね。
ゴールデンエイジなんて呼ばれることがあるぐらい大事な時期ですから。
この量と質を同時に解決しないといけないというのが、この小学生の放課後の特徴ですね。

藤野 解説委員
働きたいのに働けないという人たちがたくさんいる。
もちろん経済的にも余裕があったり、自分の信念があって、自分は子育てに専念したいという生き方は、それは尊重しなければいけない。
ただ、やっぱり生活が苦しくて、どうしても働かなきゃいけないとか。
自分のキャリアをこれからも続けていきたいという人たちにとっては、やっぱり大きな壁になっているというのは間違いないと思います。
実は"小1の壁"について説明がありましたけど。大体、学童に入っている子どもの9割は、小学校3年生までなんですね。
そうすると4年生以降の子どもたち行き場所がないと。定員が空いているところは、4年生以上も入れるんですけど。
まあ多くは3年生まで。そうすると、もうしようがなくなって、やむなく塾に預けたりとか。
あと1人で家に過ごさせて、しかもゲームばっかりやってね。もう外でも遊べないというようなね。

平岩 さん

ちょうど法律が変わって。児童福祉法というので、学童保育がおおむね10歳になっていたのが、取られまして小学生全体になったんですね。
6年生まで対象になったという言い方をする場合もあるんですけど。
実際は、今の学童保育のキャパシティーに5、6年生が入れるかというと、なかなか厳しいですし。
やっぱり高学年というと、過ごし方の質もますます重要になってきて。
そうすると、やはり結局こう変えたけれど、実態は変わらないのかなというのが現場の予測なんですね。
そういう意味でいうと、4,5,6年生がもっともっと楽しめる。
あるいは挑戦できるようなコンテンツというのは、世の中にすごく不足していて。
それでやっぱり、学校施設を活用していて高学年がいろんなことができるようになると、そこはすごく期待される部分かなと思いますね。

藤野 解説委員
やっぱり6年生まで対象を広げるというふうになった。数もそれだけ必要なわけですから。
学校でも幼稚園でも賃貸物件でもいいんですが、今あるインフラを最大限有効活用していくということが一番必要なんでしょうね。

小野 アナウンサー
子どもたちにより良い放課後を過ごしてもらうためには、人材と場所という壁がありましたよね。
これをどうしていくかということについて、このプレゼンを見て話を続けましょう。


プレゼンテーション②

徳永 アナウンサー
お待たせしました。明るい話をいたします。
前向きに妙案を出している現場たくさんあります。今あるものを使うという藤野さんのお話にぴったりの場所と人材の話。
場所からいきます。ここに目をつけませんかというアイデアです。

埼玉県本庄市。都心中心に空き家の問題って、今すごく言われていますよね。
庭もゴミの山。ボロボロ、治安も危ない、火事が起きたらどうする?近隣の方にとっては、悩みの種ですよね。
ここに目をつけた方がいらっしゃいます。

飯島紳太郎さん。今、民間の企業で学童や子育て支援、教育支援などをする企業というのが増えてきていますが、そうした会社の社員さんで、新しい学童の場所を探していらっしゃったんです。
近所で空き家で悩んでいる地区があるので、声をかけたんです。「みんなで一緒に直して、ここを学童にしませんか?」と。

すると反対するどころか、「どうぞどうぞ一緒にやりましょう」ということになり、みんなボランティアで手伝ってくれて、きれいな学童ができたということなんです。

実はこの4月にオープンして、今もすでに21人の子が入ってスタートしています。
じゃあ、どうなったかというと。地域の皆さん、作って終りではなくて。

民話読んだり、手伝ったりと、悩みの種だった場所が今、逆に交流の場になったと。

次は、人材について。きょうお越しの平岩さんの取り組みをご紹介させていただきます。
人件費が大変ならば、市民に先生で入ってもらおうじゃないかという発想です。つまり地域でいろんな特技を持った方にボランティアで指導員の手伝いというか、指導をしてもらおうじゃないかということです。

みんなだれしも得意分野ってあるじゃないですか、例えば。サッカー、ウクレレ、それからヨガなど、50以上のプログラムを今用意していて。
1500人以上の人が「市民先生」として登録していらっしゃるそうです。

平岩 さん
子どもたちが、「こういうのやりたいな」と言ったことを地域の人が一緒にかなえてくれるというのが、この市民先生の仕組みですね。

宮崎
ようは地域を巻き込むということなんですね。

平岩 さん
そうなんです、はい。

徳永 アナウンサー
宮崎さん、演劇を教えたりね。

宮崎
いや、それちょっと無理です。 でも、なにかお話を読むとかはできるかもしれない。

ユージ さん
僕10代の頃は建築関係の仕事をしていたので。逆に子どもたちと。
例えば小っちゃい木材を使って、竹とんぼ作ってもいいですし。そういうこともできますよね。

徳永 アナウンサー
もっと、こんなケースもあるんです。

大工の棟梁(とうりょう)。こちらの八峰さん、実はもうバリバリの棟梁さんでございます。
最初、話を持って行ったときには「なんでワシが子どもに教えなきゃいけないんだ。忙しいんだよ」とおっしゃっていたんです。しぶしぶ最初は始めたんです。

ところが始めてみると、かわいい子どもたちが「よっ、とうりょう!」と、みんなからしたわれて。
棟梁はスイッチが入ると本気になるわけです。
実はこのとき作ったのは、学校の守衛さんが詰めるためのボックスです。
棟梁の本気度をごらんください。できあがりは、これ。

ユージ さん
ちょっと立派じゃないですか。すごい。
しかもこれは残るものだから。子どもたちが大きくなっても、思い出になりますもんね。

平岩 さん
八峰さんには、最初は2回断られて。
まさに三顧(さんこ)の礼でお願いしたような感じなんですけど。
最初、筆で書いたようなお手紙をいただいてですね。大工を甘く見ないでほしいと。
子どもたちにそんなのは無理だと。俺の仕事はプロの仕事だということで、お断りされたんですけど。
どうしてもこの方がいいという話があったものですから。「1度だけ子どもたちの木工の腕を見に来てください」と言ったときに、初めての子どもたちがすごくなついて「棟梁、棟梁」と。かわいい弟子ができたような感じですよね。
そうしたら「俺がやる」とおっしゃってくださってですね。大工のまだ現役でいらっしゃるんですけど。
少したぶんお仕事はもう、ゆるめられている感じで。
こういう方がたぶん地域にいっぱいいらっしゃるんですよね。腕はある。時間も少しある。学校のことも手伝っていいと思っている。
だけどそういうチャンスがないという方がいるので。
やっぱりつなぎ役がいないと、なかなかそういうのが実現しない時代なんだと思うので。

宮崎
団塊の世代のみなさんとかが、いっぱいもうお仕事から離れて。たくさんいらっしゃいますよね、そういう方ね。

藤野 解説委員
団塊の世代の方々の中には、自分の子育てのときは忙しすぎて関われなかった。
でも、孫育てのときは、孫世代にはなんかちょっと手伝ってみようかなと、始めてみると、子どもたちと過ごすのが楽しくて開眼したという方、けっこういらっしゃいます。

西郷 さん
こういう平岩さんのような方がコーディネートするから入って来れるんですよ。
つまり放っておいて「じゃあどうぞ」と言ったって、誰も忙しいから。日々の生活があるので。

池本 さん
日本人は、ひかえめなのでね。
自分から特技があっても言わないんですよね。本当に引っぱり出して。

平岩 さん
地域の学校って、そばにあるんだけど一回も入ったことがない。むしろなんとなく拒絶感みたいなものを。
学校に入って来ないでくださいみたいなことを感じている方いっぱいいらして。
そういう方にいきなり自分から行ってくださいというのは、むずかしいと思うんですよね。
だけど頼まれれば。日本人ってもともと、となりの子ども面倒みてあげるような国民性持っていますので
。となりのおじさんに怒られたなんて経験が僕らはみんなありますけれども。
ああいうマインドはあるので。やっぱりつなぎ役ひとつですよね。

藤野 解説委員
親のほうも、もうちょっとやっぱりみんなの力を借りて、子どもを育てていこうという気持ちを切り替えていかなきゃいけない。
やっぱり自分も働きに出たら、子どもをじゃあその間、誰が見守ってくれるの?という問題もあるし。
あと、ちょっと考えていただきたいのは。震災のときとかにね。思い出してください。
どこの誰だか分からないみたいな。避難所にあつまったのはいいけれど。という状態だったら、どうするんですか?そのときに近所・地域のつながりがあってね。
そこで初めて、さあ、協力しようと。協力してなにかやっていこうというふうになると思うんですよね。
介護だって、今から地域の見守りを増やしていかないといけないという。
やっぱり子育てを軸にして地域のつながりを作っていくのが理想だと思うので。
これから、年金も徐々に下がっていく。なかなか年金だけで生活できる人って、そういないと思うんですね。
だから、ボランティアではなくて、少し報酬を出しながら、生活費の足しにしてもらうというシステムを一つ作らなければいけないんだろうなというふうに。
そういう補助金の出し方もあるだろうと思うんですよね。

平岩 さん
学童は人も足りない、場所も足りない、資金も足りないという。やっぱり三つとも全部足りないので。
なかなか税金だけで解決しようというのは、むずかしいんですよね。ですから人は少しずつ。
じゃあ、人手を出そうと。で、少しずつ寄付とかでお金を出そうと。ちょっとずつ全部集めないと解決できないので。
やはりなかなか難しい部分もあるんですけれども。やはり僕らみたいなのがつなぎ役になって、地域の力を集めるというのが大事だと思いますね。

西郷 さん
学童の職員って、オールマイティではないんですよね。
もう自分のそれぞれの専門とかもあるにはあるにしても。
例えば工作が好きな得意な学童の職員がいるとは思うんだけれど。やっぱり学童の職員は子どもたちのケアを、安全安心をきちんと見ているという役割がはっきりある。
でも、子どもたちには、学年が大きくなるにしたがって、より豊かにいろんな経験をさせてあげたいですよね。
そのためには地域の力を使わざるをえないというか。高齢者の領域でも介護保険で、お金でさまざまなサービスを利用できるようになっているけど。
本当に近所の支え合いというのは、やっぱりボランティアにならざるをえないというところもあるので。
やっぱりたしかにお金もきちんとしないと安定的な支援はできないけれども。
ただ地域のボランティアの支え合いみたいなものというのは、どうしてもないと、町が死ぬというか。

平岩 さん
もう一つ大事な点が子どもたちの成長の視点なんですけど。
小学生の高学年になってくると、やっぱり親とか先生の言うことだけでは、なかなかむずかしくなってきて。
こういう第三の尊敬できる大人からかけてもらえる言葉というのは、非常に大きいんですよね。
たとえば、家づくりとかやっていると、本当にハマる子どもたちというのがいて。
そういう子たちが大工の棟梁に「お前、筋がよくなってきたな」とボソッと言われると、すごいうれしいわけですね。
なので、やっぱりそういう第三の大人の存在というのは、子どもの成長の視点からも非常に重要だなと思いますね。

西郷 さん
子どもは、自由で自分の主体的な生活をしたいと思っているんだけれど。
ただ、そういっても小学校の1年生に「じゃあ、自由で主体的な生活をしましょう」と言ったとたん事故にあったり。
さっきのようなことを、心配なことにぶつかったりするので。
ないしは、やっぱり小学校の1,2年生って大人の一定の支えがないといけないので。そこはある程度ケアをしなければいけない。
だけど、3年生ぐらいになってくると様子が変わってくるんですよね。
なので自由度はやっぱり学年が上がってくるにしたがって、生活圏も広がるので、どんどん広げていかないといけないという視点を持たないといけない。
今の学童は大体1年生から3年生までなんで、比較的自由度がない地域というか、空間になっている可能性はあります。
そこは、おっしゃるとおりで。子どもが自由に主体的に、そしてワクワクするような。
そして、ただゆっくりもできるというような場にしないといけないというのは課題としてあって。

平岩 さん
そうですね。まさしく子どもたちのためにどんな放課後がいいのか?ということを考えるべき時期に来ていて。やっぱりどうしても大人の議論になりがちなんですよね。
ですから子どもたちのいろいろな声を聞いていると、見守られたいのもあるけれど、自由にもしたいし。
僕らが聞いている限りでは「とにかく友だちと過ごしたい」というのが、一つのキーワードなんです。
なにをしていてもいいんですよね、べつに。
勉強していたっていいですよ。友だちとたくさん過ごさせてあげたいというのが僕らの願いでもありますよね。

池本 さん

海外ではいろいろ場所を増やしていて。フィンランドは"公園おばさん"といって。
公園なんだけれど、不審者が来ても大丈夫なようにおばさんが常駐していて。
おばさんって、おじさんもなんですけど、常駐して。ゆるやかな見守りの場所を作ったりですとか。
イギリスなんかですと、ボランティアで、きょうはこの時間は通行止めして「道路を子どもの遊び場にします」ということでやっていて。これであれば近所の大人の目が届いて。
フィンランドでは図書館を子どもに開放するですとか。
もっと多様な場所に。子どもも多様なので、多様な豊かな放課後になるといいなと思いますけど。

ユージ さん
例えばお母さんがお仕事に、会社行かなければいけない。その間、子ども預ける場所がないときに。
今度はその場所を探すのではなくて、会社が協力してくれて。
例えば会社のほんのひとスペースに子どもがいてもいい空間を作ってあげるとか。
僕の場合はシングルマザーで、お母さん毎日働いていて。
そうすると僕、行く場所がなかったんで。僕の場合は、その会社がオッケーで、お母さんが僕を連れ来ていたんですよ。
そうすると、お仕事中にちょっと手の空いたお兄さんとかが、もうそのつど僕のところに来て、ちょっかいを出してきたりとか。
すごい僕それは楽しくて。学校終わって早くお母さんの会社行きたいという気持ちがあったぐらいなんです。
今でもその人たち。お母さんはもうその会社にいないですけど。
その当時いた人たちと今でも僕、交流があったりして。
今、その方々、子どもの面倒を僕がみたりとか。
だから、まあ一つの選択肢として、そういう職場の協力もあるといいですよね。

藤野 解説委員
とにかく安心できる居場所があればいい。さっき6年生まで拡大するという話をしたんですけれども。
年齢別に分けて考えていかないといけないと思うんですよ。
やっぱり学童保育って、働く親たちの子どもを預かる場。お腹がすいたときにおやつを食べている。ゆっくりしたいときにゴロンとして。
だから特に保育所から小学校に移行するときというのは、やっぱり安心できる場所、生活の場というのが低学年には必要で。
で、そのベースがあったうえで、プラスアルファ、魅力ある放課後づくりを高学年の子どもたちのために考えていかないといけないと思うんですね。

小野 アナウンサー
きょうはどうもみなさん、ありがとうございました。

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