2012年03月17日放送放送内容まるわかり!

『忘れられた預金 "休眠口座"は誰のもの?』

昔作ったまま放ってある預金口座ありませんか?

10年以上お金の出し入れがない口座のことを「休眠口座」といいますが、実は毎年、850億円の預金が眠ったままになっているんです。
先月、政府はこのお金を被災地の支援などに活用できないか検討を始めました。

そもそも休眠口座ってどんなもの?
休眠口座のお金は取り戻すことは出来るの?
様々な疑問を深読みしました。


今週の出演者

専門家
荻原博子さん(経済ジャーナリスト)
駒崎弘樹さん(NPO法人フローレンス代表)
今井純子(NHK解説委員)
ゲスト
矢崎滋さん(俳優)
榊原郁恵さん(タレント)

視聴者の声
  • ●「わが家の休眠口座は他界した父母の口座です。残高はいずれも千円未満。しかし銀行には莫大な金額が眠っていると聞いてびっくりしました。」
    《千葉県・64歳・男性》
  • ●「解約したくても遠方まで出向いて手続きするのが面倒でできません。政府だろうが何だろうが私の資産を勝手に使わないでほしい。」
    《茨城県・36歳・女性》

プレゼンテーション①
こうして生まれる"休眠口座"

休眠口座とは一体どういうものなのか。ある方の人生を追いながら、どうして休眠口座が生まれるのかを説明します。
深ヨミ太郎さん50歳、東京にお住まいの方です。

ヨミ太郎さんは、かつて20歳の頃、大阪で学生生活を送っていました。その頃に週刊深読銀行大阪支店に預金口座を作りました。アルバイト料の振り込みのためです。

その後ヨミ太郎青年は大学を卒業、就職して東京に行きました。この引っ越しを境に大阪で作った口座は使わなくなりました。
実はこの中には5000円ほど残高があったんですが、ずっと放っておきました。

10年が経ったところで週刊深読銀行大阪支店は、この口座を休眠口座と判断しました。

そして一旦銀行の利益として計上しました。
しかし、預金者の権利は残ります。つまり手続きをすれば払い戻しも出来ます。
休眠口座になる前に通知してくれればいいという話もありますが、残高1万円に満たないものは預金者にお知らせしないということになっています。

今年50歳になったヨミ太郎さん。2月に休眠口座の話をニュースで見ました。それで大阪の銀行にあった口座のことを思い出しました。そこで自宅近くの東京支店に行きました。
しかし、ATMではおろせませんでした。

窓口でも・・・

その理由はオンラインシステム。この銀行では10年間使われなかった口座のデータはオンラインからはずされてしまいます。日々膨大な新しい顧客データが入って来るためです。

10年間過ぎた休眠口座は紙に印刷されて口座を作った銀行の支店に保管されているといいます。

実際に解約するにはヨミ太郎さん本人が大阪の窓口に行かなくてはいけません。 しかもその時に本人が確認できるものそして印鑑や通帳も提示しなくてはいけません。

大変な手間もかかるし交通費もかかる。ということでヨミ太郎さんは飲みに行くのを1回我慢するつもりで5000円の口座をあきらめました。

こうしたケースが日本全国にあふれています。
ちりも積もれば・・・



ただ何割かは持ち主のもとに払い戻されます。
それでも・・・




このお金に目をつけたのが国です。何かうまく活用できないかと熱い視線を送っているわけです。 このお金、国のものなのか、銀行のものなのか、それとも預金した人のものなのか。


〈矢崎さん〉預金は預金者のもの預金者のものだと思います。預金者は一生懸命ちょっとのおつりを入れたりしている。そのことの積み重ねだって考えた場合にどうなんだろうかと思います。

〈荻原さん〉国が取り上げるわけではない国の狙いは借金の穴埋めをしようとかそういうことではなくて、ボランティアの人たちの応援とか国の成長戦略に使おうとして問題提起したものです。国が国庫にいれるという話ではないということは認識しておきたいと思います。

〈駒崎さん〉貧困世帯を救うのが発想の原点預金者の権利を守りながら、それでも永久休眠口座というのがあるので、何か国民のためになることはできないかと政府に提言してきました。なぜそういう話になったかというと、貧困世帯の方々は銀行からお金が借りられないんです。こうした方々に低利子で貸し付けることが出来ないかと考えました。

〈榊原さん〉なんで銀行の利益に?そもそもなぜ銀行の利益になっているのか、納得がいきません。

〈今井解説委員〉国の指導で休眠口座の扱いは決まってきた法律上では商法に基づいて5年間取引がないと預金者の権利は消えるという解釈があります。ただ銀行としては何年経っても要求があれば返しますという立場。会計上どうするかは決まっていなかったが、昭和60年に国の指導で10年間取引がないと休眠口座にして一旦銀行の利益として扱いましょう、1万円以上の場合は通知を送りましょうとしました。
日本の口座数は世界に比べて圧倒的に多い12億。高度成長期に銀行が遮二無二口座を集めていました。

〈荻原さん〉戦後復興に銀行が果たした役割も日本は戦後、経済をどうやって建て直すのか。このスキームがみんな一所懸命働いて稼いだお金を銀行に貯金する。銀行が預かったお金を企業に貸し付けて工場建てて労働者をいっぱい雇って、みんな一生懸命働いてというサイクルが日本を立ち直らせるためには必要だったということです。

〈今井解説委員〉銀行の合併で解約しづらい状況もたくさん口座があるのに解約しづらい環境になっている。1968年当時は都市銀行だけで15行あった。それが合併とか破綻が相次いで今は6行になっています。そうすると自分が口座を作った支店にたどり着くことができなくなっているという状況も生じています。

〈榊原さん〉郵便貯金は?銀行の状況はわかってきました。郵便局の貯金は大丈夫なんですか?

〈今井解説委員〉定額・定期貯金は20年過ぎると国庫へ郵政民営化の前、2007年10月1日前に預けた定額郵便貯金や定期郵便貯金は、すでに国ものになってしまうという仕組みができています。

満期になってから20年間、記帳とか残高確認をしないで放っておくと「このままでは権利がなくなります」という通知がきます。それでも引き落としをしないと2ヵ月後に権利がなくなると。最終的には国の一般会計に取り入れられるという仕組みです。

2010年度はこれだけのお金が国庫に入っています。満期で権利が失効したのは30年前に集めた貯金。当時の金利8%でした。今年チェックが必要なのは82年に始めた貯金です。


視聴者の声
  • ●「休眠口座のお金を利用することについては賛成です。ただネックは"政府が"というところです。本当に有効利用してくれるのか今ひとつ信用できないです。」
    《神奈川県・42歳・男性》

プレゼンテーション②
休眠口座、どうしたら活用できる?

休眠口座の活用について、韓国の例をご紹介しましょう。2009年に休眠口座のお金をうまく活用しようという仕組みができました。仕組みができる前は日本と同様に休眠口座のお金は銀行などのものになっていました。

どう変えたかというと、休眠口座を一手に引き受ける休眠預金管理財団を作りました。
銀行や郵便局の口座に加えて、払い戻されない保険金など、一定期間取り引きがないお金をすべて財団に寄付するということに決めました。

2010年は1年間で約9000億ウォン(日本円で630億円)集まりました。

何に使うかというと福祉事業者とか金融・経済弱者のために低い金利で融資や貸し付けを しましょうということになりました。
例えば福祉団体が何か事業をしたいといったときに融資する。あるいは所得の低い人が仕事をしたい、商売をはじめたいというときに貸し付ける。銀行から融資を受けにくいような立場の人たちに役立ててもらいましょうというものです。

融資するだけではなく、融資した後も商売がうまくいくように相談に乗ったりする。ちゃんとお金の使い道をチェックしてアドバイスするという手厚いサポートが受けられます。その結果、貸し倒れは少なく返済の延滞率は2%ほどに抑えられました。

その一方で、もともと預けていた人の権利もしっかり守っています。自分には休眠口座がありそうだなという人が確かめるシステムを作りました。
インターネットでアクセスして名前や住民登録番号などを入力すると「どこの銀行の口座に何件、いくらの休眠口座があります」ということがわかるようになっているんです。
今は毎日4、5千件の照会があって、毎年2割から3割のお金がもともとの持ち主のもとに返されています。


〈駒崎さん〉日本版休眠口座基金を韓国と同様に預金者の権利を保護しながら、請求があったらちゃんと返していっても、300億円ぐらいは滞留し続けるままになるんですね。この300億円を使って日本版休眠口座基金というものを作ろうと。

例えば被災者への小口貸付だと20万世帯に15万円ずつ貸し付けることが可能になります。
あるいは児童養護施設の子どもたちに奨学金として貸し付けてあげることもできると。このような形で有効にお金を還流させていく仕組みを日本にも作ろうと今政府に提案して いる最中です。

〈荻原さん〉休眠口座 活用への課題私も大賛成です。ただ注意することは天下り先に絶対しない、させない。それから第三者がきちんと審査して、本当に困っている人に行くという条件が必要不可欠です。その上で、2つの障壁があると思います。

一つは銀行の口座システム。帳簿になっているものを全部コンピュータ化して照合できるようにしなければいけないというのが大変な作業だなと。
もう一つは「国と国民の合意」。一定期間終えたら休眠口座は世のため人のために使わせていただきますよというのが一番すっきりするんじゃないかと思います。

〈今井解説委員〉条件を決めて実行を古川国家戦略担当大臣も①法的措置をする②新規の口座を対象にする③払い戻しの要求があったら返す。その3原則で話を進めていくと言っています。私は、例えば1万円などという基準を決めて10年20年経ったらもう無条件で切り離して権利をなくすという形でやるのがいいと思っています。

〈荻原さん〉今回こそ休眠口座を生かせこの休眠口座の話は出ては消え、出ては消えしています。一番の問題はシステムをどうするか。だからそこをクリアしなければいけない。この際、駒崎さんみたいな人がちゃんと管理してやらなければいけないんじゃないかと思います。

〈今井解説委員〉今後のスケジュールこれから政府は具体的な仕組みを検討して、4月中に休眠口座の実態とともに、どういう使い方をしていくか大枠の内容を示すことになっています。ですから、その内容に注目していく必要があります。


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