2011年11月05日放送放送内容まるわかり!

『どうする!?"暴走"自転車』

"エコ""節約"志向の高まりもあって、人気が高まる自転車。その一方で、マナーの悪さや事故の増加が社会問題となっています。

歩道を走れば歩行者から「危ない」と言われ、車道を走れば、ドライバーに「邪魔だ」といわれがちな自転車。

一体どうすれば安全を確保できるのか、歩行者や自動車と共生するには、どんなことが必要なのか、深読みしました。


《今週の出演者》

●専門家
小林成基さん(NPO自転車活用推進研究会 事務局長)
古倉宗治さん(住信基礎研究所 研究理事)
渥美哲解説委員(社会・警察)

●ゲスト
やくみつるさん(漫画家)
香坂みゆきさん(タレント)


今回は放送開始までに、2300通ものメールをいただきました。

■視聴者の皆さんから寄せられた声
  • ●《歩行者・福岡県・30代・女性》
    「何度も歩道で自転車とぶつかりそうになりました。我が物顔で歩道を運転したり、ベルをうるさく鳴らしたり、文句を言ったりする人たちがいる。間違っているのはそっちだ!」
  • ●《自転車・埼玉県・30代・男性》
    「歩道を横に広がって歩くおば様たちにぶつかりそうになりました。すみませんと声をかけましたが、歩行者が優先だからどかなくてもいい、とぶつぶつ言われました」

〈やくさん〉『マナー違反の自転車は危険』 都内にいるときは車を運転することが多いのですが、皆さん車道に出てこられる。膨らんできます、中央車線ぐらいまで。 これは怖いなと思います。大阪に行くと歩行者になるんですが、大阪はまた大阪で、自転車が縦横無尽に走っているという気がします。ここでも怖い思いをしています。

〈香坂さん〉『子どもの自転車が心配』 子どもたちが学校に通学するときに自転車を使っています。音楽を聴くイヤホンを必ず外して走るようにとか言っているんですが、やっぱり心配ですよ。


プレゼンテーション①
「ご存知ですか?自転車のルール」

自転車のルールは、「道路交通法」という法律で決まっています。皆さんの常識が合っているのか合っていないのかを、クイズ形式で試します。

ある架空の女性会社員の朝の通勤風景の中から、5つの場面をイラストで紹介します。それが道路交通法でいいのか悪いのか、○か×か、考えてみてください。

【第1問】

朝寝坊したこの女性、急いで家を出ました。家のすぐ横の曲がり角をしっかりハンドルを握って左折しました。 この場面、道路交通法上、正しいでしょうか、間違いがあるでしょうか。○か×かでお答えください。

【第2問】

この女性、意外とせっかちで、いつも近道を使っています。それがこちらのイラストの画面。 この道に入っていくことは、○でしょうか、×でしょうか。

【第3問】

近道を抜けたこの女性、大きな道に出ました。スピードに気をつけて、ゆっくり入ってきて、横断歩道、横断帯を渡りました。 それがこちらのイラストの場面。絵をよく見てください。これは、○でしょうか、×でしょうか。

【第4問】

この女性がいつも困る道がこちら。前に路上駐車のクルマがありました。さらに、左に行こうにも後ろからクルマがビュンビュン来ます。 そこでやむなく歩道に上がらせてもらいました。これは、○でしょうか、×でしょうか。

【第5問】

歩道を走っていたこの女性の前にある集団が姿を現しました。おしゃべりに夢中になっている女子高校生です。 このままではぶつかってしまうため、どけてもらおうと、チリンチリンとベルを鳴らしました。これは、○でしょうか、×でしょうか。

みなさん、おわかりになりましたか。
まず、正解の前にゲストのお二人はどうお答えになったか。

〈香坂さん〉『法律と言われるとわからないけれど、自分のしている行動とか人の行動を見ていたかぎりは、みんなこうだと思います。』

それでは、正解です。

【正解】



なんと5問中4問が×。一体どういうことなのか、まずは×のものから解説していきましょう。

【解説】

【第1問】 まずは第1問です。イラストをよく見てください。女性はしっかりハンドルを握ったまま左折しています。 実は、自転車で曲がるときには手による合図が必要だとされているんです。

【第2問】 続いて第2問。これは、道に入るところに立っている標識に注目してください。進入禁止です。 自転車は「車両」ですから。こうした交通標識に従わなければなりません。

ただ、実際には「進入禁止」の標識の下に「自転車を除く」などと書かれていることが多いので、標識をしっかり確認することが大切です。

【第3問】 第3問です。これも第2問と同様、自転車が車両であることを考えてください。 車両は左側走行が原則ですので、このイラストのように、横断歩道の手前の右側走行が問題になります。わずかな距離でも違反になります。

【第5問】 そして、第5問。道路交通法では、自転車のベルというのは、標識などで定められた場所、もしくは見通しの悪い交差点などで、危険が迫っていることを知らせるためにしか使えません。 それ以外の目的、つまり、人にどけてもらうためなどに使ってはいけないことになっているんです。

それぞれの違反には、法律の中で罰則も定められています。 第1問の合図なしの左折の場合、罰金5万円以下。 第2問の道路標識に従わなかった場合、そして第3問の右側走行などは、罰金5万円以下または懲役3か月以下。 また、定められた以外の場所でのベルの使用は、罰金2万円以下です。

ただ一つのだった第4問の解説です。

【第4問】 まず大原則の確認ですが、自転車は車両で、車道通行が原則ということでした。

ただ、例外があって、以下の三つの場合、歩道を通ってよいということになっています。

●まずは、自転車が歩道に上がっていいという標識やサインがあるところ。
●それから、13歳未満や70歳以上の方などは上がってもいいという規定があります。
●もう一つ、安全のためにやむを得ない場合。

第4問の場合、安全のためやむをえない場合ということになります。


〈小林さん〉『進まない法律の整備』 日本の道路交通法は本当に複雑怪奇で、例外に次ぐ例外が並んでいてわからなくなってしまいます。 CO2を減らしたり、健康によく医療費を減らすのにも役立つから自転車に乗れという一方で、わかりづらい規制や法律でがんじがらめになっています。 これでは、どこをどう走っていいのかわかりません。

〈古倉さん〉『原則車道の不徹底が混乱招く』 昭和53年に、自転車が本格的に歩道を通ってよいとなりました。すると自転車を利用する人はみんな歩道に上がり出しました。 歩道では自転車は最も強く、ルールを守らなくても安全は確保できます。ところが、車道では、一番弱い立場になります。 ルールを知らないと安全が守れないため、ルールを守るようになります。これが欧米との最も大きな違いだと思います。

〈渥美解説委員〉『十分ではなかった周知』 交通ルール、自転車をめぐるルールを十分に周知してこなかったということに加え、違反の取り締まりも十分してはこなかったということもあります。 自転車が関連する交通事故は去年、全国で15万1,600件と。交通事故全体の21%。歩行者と自転車との事故は、10年前の1.5倍になっています。

〈小林さん〉『放置されてきた自転車対策』 歩道通行がいいとなった法律改正も、一時的な措置のはずだったんです。 いったん車道にいる自転車が危ないから歩道に逃がして、その間にちゃんと自転車が通れるような道を作ろうというはずだったんですが、そのまま40年放っておかれたわけなんです。

〈渥美解説委員〉『重い腰上げた警察庁』 ルールも知られていない、守らない人も多い、そして事故も多い、さらには自転車は車道を走るという環境自体が整備されていない。 つまり、車道を走れと言われても、危ない、怖いってところ多いじゃないですか。 そういう通行環境も整備しなきゃいけないということで、警察庁がようやく重い腰を上げて、総合的な対策をとろうとしています。


■視聴者の皆さんから寄せられた声
  • ●《バス運転手・福岡県・30代・男性》
    「自転車の人は道路の真ん中・逆走・蛇行運転などデタラメな運転ばかり。たとえ車と接触しても、自分は被害者という態度。あきれて物も言えません」
  • ●《自転車・神奈川県・30代・女性》
    「車道を走行すれば自動車の邪魔で危険。路上駐車の自動車があるとさらに危ないと感じます」

プレゼンテーション②
「自転車安全対策で街はどう変わる?」

警察庁が出した通達で、もしかしたら、日本の道路がガラッと変わっていくかもしれません。その方針をみていきましょう。

これからは自転車は原則、車道に下りてくださいということになります。 そこで、車道を自転車が走りやすい環境にしていくことにしています。 例えば、利用者が少ないパーキングメーターを場所によっては、減らしていきましょうという方針です。

さらに車道に線を引いて、自転車専用レーンを作ります。 また、縁石や柵で仕切った自動車専用道も作りましょうという方針も打ち出しています。

警察庁は、自転車の専用道を設けるためには、二車線以上あったら、一車線減らしてもいい、 あるいは片側一車線ずつの道も、場所によっては一車線つぶして一方通行の道にしてでも自転車専用道を作るとしています。

さらに、変えるのは車道だけではありません。歩道です。現在、歩道全体の40%に、自転車が通ってよいという標識があります。 条件を厳しくして、これを減らしていきましょうという方針があります。

もう一つは、横断歩道の横によく見かける「自転車横断帯」です。 これも取り除いて、車道を通る自転車が、交差点で、左に入ることなくまっすぐ走ることが出来るようにしようとしています。


〈やくさん〉『本当に出来るの?総合対策』 車線をつぶしたり、一方通行だらけになったり。本当に今の日本で出来るの?ちょっと非現実的のような気がします。

〈古倉さん〉『やる気になればできる!』 全国の幹線道路を調べてみると、両側に1.5メートルずつの幅を取れる道路、現実にその空間がある道路が47パーセントもあるんです。 都市部でいうともう少し割合が上がって、例えば8割という報告もあります。やればできると思います。 今までなぜつくられなかったのかというと、一番大きな理由は地元の反対です。

〈小林さん〉『実際に成功したパリ』 フランスのパリでは、14~15年かけて、8キロしかなかった自転車道を600キロ近くにしました。 実際に車線を削って、一方通行化をやっていきました。さらに、バスレーンと自転車レーンを一緒にしました。 24時間バスレーンでバスしか通らないので、バスが時速20キロぐらいで走っているんです。そうすると自転車と同じ速度なので、どちらもスムーズに走れるんです。

〈古倉さん〉『交差点はまっすぐ走った方が事故は減る』 自転車が車道から交差点に進入した場合と、歩道から進入した場合、どちらがドライバーに気づかれやすいかを調べたものです。 歩道から進入した自転車に気づいた割合は4割ぐらい。車道から進入した自転車に車が気づいた率は7割ぐらいです。 自転車が車道を走ると、車は自転車を追い越していきますので、当然その自転車に気づきます。歩道はガードレールや人ごみの陰になりがちです。それが事故の差になって出てきます。

〈香坂さん〉『気づかせることが大事?』 車道を走るときは、ドライバーに気づいてもらうことが大切なんですね。でも、"なんだかなあ"とフラフラするというのとは違いますよね。

〈渥美解説委員〉『歩道はこう変わる』 歩道については、「自転車歩道通行可」という標識のあるところを一定の条件の下で見直そう、減らそうということですが、 その条件は、「幅が3メートル未満」、「歩行者が多い」、「自転車も多い」ところ。 かつ、車道の方は自動車が少なくて車道を自転車が走ってもそれほど危険ではないところ。そういう条件を満たしたところで、この標識をやめようとしています。


プレゼンテーション③
「ルールの徹底は出来るの?」

警察庁は、自転車事故を減らすために、三つの柱で対策を採ろうとしています。
一つ目がこれまで説明してきた「環境の整備」。
二つ目が交通ルールの周知をどうするのかということです。

今、その取り組みで全国的にも注目されている学校を取材しました。

【VTR】

愛知県春日井市にある春日井工業高校です。

自転車通学の生徒たちが、持っているのがこちら!「自転車運転免許証」です。
去年生徒が自転車事故で重傷を負ったのをきっかけに、免許証の制度を始めました。

この免許、簡単に手に入ると思ったら大間違いです。学校独自の厳しい試験をパスしなければなりません。 自転車の交通ルールに関する筆記試験。踏切の渡り方、車道の安全な走り方などの実技試験もあります。

試験にパスしたら安心というわけではありません。もしも違反を犯せば、罰則もあります。傘さしや二人乗りなどの違反は免許停止、もし重大な事故を起こしてしまえば免許取り消しです。

生徒たちに聞いてみると、赤信号でクルマがいないと渡っちゃえと思うこともあるんですが、免許があると「だめだ!」って止まるんですって。意識が変わると話してくれました。


〈小林さん〉『まずは警察官がお手本を』 一番いいのは、お手本を示すこと。手信号している警察官を見たことないですよね。車道を通る警察官も増えてはきているけど、歩道を通る人が圧倒的に多いんです。 それを見ている子どもたち、大人もそうですけど、あれでいいんだと思っちゃうわけです。やっぱり隗より始めよを徹底してほしいと思います。

〈古倉さん〉『親・学校での教育が重要』 大事な点は、親が子どもに教えること。例えばオランダでは、自転車を購入する条件として、手信号がちゃんとできるかどうかなどを厳しくチェックした上で買い与えています。 また、日本の中学校の65パーセントが自転車通学を認めています。春日井工業高校のように、中学生にも自転車通学を認める条件として勉強してもらうことを徹底すべきだと思います。

〈小林さん〉『安全を意識させる方法を』 街の中に安全教育を意識したものをつくるべきだと思います。例えば、欧米では、車が止まる停止線の前に、自転車が止まるスペースがあります。 自転車が車より優先されてここにいるんだと思うと、信号無視したり、一時停止違反をしないんです。こうした意識の持たせ方が大切だと思います。

〈渥美解説委員〉 ルールが知られていない、守らない人が多いという中で、我々含めて、もう一度その交通ルール、自転車をめぐるルールを守っていこう、 そのための環境も整備しようということが今、最も大事なことだと思います。みんなで自転車のことをもう一回、見つめ直す時期に来ていると思います。


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