2012年2月11日放送

気になるニュースを"じっくり"深読み!
後半深読みコーナーのテーマは…

『 "恋愛しない"若者たち
    大丈夫?ニッポンの未来』

もうすぐバレンタインデー。かつては"男性に愛を告白する日"でしたが、今は様変わり!女性がチョコを贈るのは殆ど同性の友達で、男性はわずか12%だというのです。恋愛に消極的な、いわゆる"草食系"の若者たち。このままだと、"未婚化""非婚化"が進み、少子高齢化に歯止めがかからないという指摘もあります。

なぜ、若者は恋愛しないのか?その背景にあるのは?
現代の恋愛事情から日本の未来を深読みしました。

今週の出演者

専門家
奥谷禮子さん(人材プロデュース会社社長)
古市憲寿さん(社会学者)
後藤千恵(NHK解説委員)
ゲスト
桂文珍さん(落語家)
優木まおみさん(タレント)

恋愛しない若者のことを草食系といったりしますが、さらには絶食系という言葉まで出てきているそうです。若者の好みやライフスタイルの変化なんだと片づけてしまってはいけないのではないかというのが、今日の番組のテーマです。


プレゼンテーション①
結婚しない若者たち

今から50年ほど先、2060年の日本の人口は、4132万人も減って今の2/3になってしまうという衝撃的な予測が発表されました。

さらに、女性の生涯未婚率は20.1%まで上がる、つまり5人に1人は一度も結婚しない。女性の3人に1人は子供を産まないことになりそうだという予測も合わせて発表されました。

なぜか。その理由の一つに、「将来の希望がない」ということが挙げられそうです。
国が毎年行う調査の中に「将来、生活がよくなると思いますか」という質問があります。
1968年には33.7%の人がYESと答えていますが、2008年には7.4%に減っています。

どういうことなのか。若者代表のAさん。今年27歳、結婚をしたいなと思っています。ところが、なかなか踏み切れないんです。 一つは、お金の問題です。

今の若い方、非正規で働く人が増え、27%の方が非正規雇用です。
すると、正社員と比べ低賃金になります。20代の非正規の方の平均年収は244万円。

給料が年代ごとにどう変化するかというグラフです。青は非正規雇用の平均年収、赤は正社員。正社員の方が高く、年齢を経るごとに上がっていきます。しかし、非正規雇用の方は横ばいです。

もう一つ、大きな問題があります。子育てにかかる費用です。ある調査によると、小学校に上がる前の子供を育てるのに年間およそ104万円、中学生では156万円。賃金が上がっていかない状況ではますます結婚は遠ざかってしまいます。

一方、今の中高年の方の若い頃というのはどうだったのでしょうか。
こちらはBさん。今年67歳になります。

この方が社会に出たのは1968年のことでした。この時代というのは、右肩上がりの好景気、高度経済成長の時代です。そして「終身雇用」「年功序列」、将来に対して特に不安を抱くこともなく仕事に打ち込むことができました。

さらに「年金」。老後は手厚い保障を受けるという約束がされていたというわけです。

「年金」は、若いAさんたちにとっては大きな悩みです。というのも、これから受給額が下がり、受給開始年齢も上がっていくと予測されています。そうなると老後の不安が高まり、ますます結婚から遠のいてしまいます。

今、若者たちが置かれている状況はこうした不安だらけ。
世代間でこれだけ格差があるということなんです。


〈優木さん〉結婚は幸せなの?あまり夢が持てない。お金のこともそうですけど、結婚生活が幸せいっぱいなわけじゃないんだろうなっていう風に考えている若者が多いのかなというのが実感です。

〈後藤解説委員〉収入の格差が結婚阻む国の調査では、年収300万円を境に結婚する人の多い少ないが分かれている。 年収300万円以上の人は25%から40%は結婚しているが、300万円未満では9%。経済力が結婚力とつながっていると言えます。

〈奥谷さん〉女性の自立を促すことが大切男性が一人で300万稼ぐという発想ではなくて、二人で稼げば十分ハッピーな生活ができるわけです。自分のものは自分で稼ぐ発想を持たないと結婚できないですよ。女性が男性に依存しすぎて、専業主婦に閉じ込めてしまった社会を壊さなきゃだめですよ。

〈古市さん〉共働きでリスク分散を最近、女性の専業主婦志向が強まっているんです。僕としては女性にも働いてほしいです。自分だけではいつどうなるか不安ですから。女性にとっても専業主婦はリスク以外の何物でもないと思うんですけど。

〈後藤解説委員〉急激に減少する「現役世代」人口現象の内訳を見ますと、高齢者の数が実は減らないんです。どの世代が減っているかというと、まさに働いて社会を支えていく人たちがグンと減っている。これが一番の課題ですね。

〈古市さん〉今の生活の満足している若者たち個人的な実感としては現代に生まれたことに対して、そんなに不満は持っていない。若者が不幸な時代と言いますが、20代の7割以上は現在の生活に満足と答えているんです。一方で将来に不安も感じている。これも6割ぐらいで、この数字は過去最高なんです。
将来に希望がないから、逆に今ここで満足しちゃわざるを得ないという思いもあります。

〈奥谷さん〉若い人はもっとチャレンジを不安はあるでしょうけれども、やっぱり自分でチャレンジして開いていかないと。国も地方公共団体もやってくれない。自分の責任ですべてやっていくというような気持ちがないと。誰が悪い、政府が悪い、企業が悪いと言ったって、何にも進みません。

〈文珍さん〉豊かな時代の若者の姿?若いときは、現在の生活に満足できなくて悩みや不安がある。それを克服していこうというのが、今までの考え方だったと思いますが。豊かな時代になるとこうなってしまうんですかね。


視聴者の声
  • ●「私の祖父母は、私の給料よりも多く年金をもらっています」
    《北海道・32歳・女性》
  • ●「私は今まで正社員で働いたことがありません。収入面も将来の蓄えも、不安なことばかりです」
    《埼玉県・32歳・女性》
  • ●「若者たちは不満があったら立ち向かえ。世の中のせいにしないで、将来の日本の姿を見据えてほしい」
    《神奈川県・77歳・男性》

〈古市さん〉年配の人たちが今の社会作った年配の方がこういう社会を作ったんだから自分のことを責めてほしい。70代くらいの方は日本の高度成長と同時に自分も成長してきたから、自分がそこまで頑張らなくても社会と一緒に成長出来たと思います。

〈奥谷さん〉若い人より努力・苦労した年配世代それはないと思います。若い人たちは長時間労働を嫌だ、残業が嫌だといいますが、こういう70代の人たちは、長時間労働が当たり前。深夜に帰って朝6時ぐらいから出てきて、かなりハードに働いていたわけです。それで何とか経済を押し上げて、日本が伸びてきたわけです。

〈後藤解説委員〉若い人に向けられない「社会保障支出」これまでは、会社が社員の福利厚生などをしっかりやってきた。それが難しければ、代わって政府などが生活を保障すべきだと思います。社会保障支出がGDPに占める比率をみると、日本の場合、年金、医療は他の国と同じですが、就労支援や子育てなど、現役世代に対する支援が非常に少ないんです。


プレゼンテーション②
日本の若者を元気に!作戦1&2

ここれからの日本を支えていく若者世代を元気にする方法を識者に取材してきました。3つご紹介します。

まず1つ目がこちら。「高齢者のお金を若者へ」。駒沢大学の飯田泰之准教授の作戦です。

今、日本の個人の金融資産は1500兆円。この殆どは60歳以上の方が保有しています。このお金を、なんとか若者のために生かそうじゃないかというのが、飯田さんの提案です。

そのためにすることは相続税の増税。今相続される金融資産は年間80兆円。このうち税金として納められているのは1兆4000億円、わずか1.75%なんです。

税率を大幅に上げて10兆円ほど税金として納めてもらい、若者のためにしっかり使って活かそうというわけです。
実は今、相続は高齢者から高齢者へという例が多いんです。高齢者はそれほど活発に消費しないので、お金が眠ったままになりがちだという問題も解決できると、飯田さんは指摘しています。

続いて2つ目。「中高年の仕事を若者へ」。人事コンサルティング会社の城繁幸さんの作戦です。

日本の企業ではこれまで終身雇用、年功序列が守られてきました。その結果、企業の正社員の数は若者が1120万人、一方で中高年は550万人も多い1670万人です。この差を埋めようというのが、城さんの意見です。
具体的には、今まで守られてきた中高年にも徹底した競争主義、実力主義を導入します。実力に見合って、例えば給料を下げるとか、場合によっては会社を去っていただく。
そうすることによって浮いたお金で、新たに若者を雇いましょうというんです。
45歳以上の中高年の給料を1%削減すると、4500億円の人件費が浮く。10万人の雇用を生み出すことができるんだそうです。

会社を辞めさせられた人たちについても、充実した職業訓練など高い能力をつけるための仕組みをしっかり作ることで、社会全体の生産性が上がっていくと城さんは言っています。


〈奥谷さん〉中高年正社員は既得権益若い人たちを雇用する意味では、上の人たちに早く去ってもらうというのは一つの手だと思う。中高年の正社員は地位が守られ、高い給料を得るという既得権益がある。それに見合わない生産性の低い仕事をしている例もある。

〈古市さん〉若い人にチャンスが回らない僕も仕事していて、できない中高年のおじさんが多いなと感じる。そういう人がたくさん給料をもらっていて、一方で、できる若手が契約社員で、あまりお金をもらっていないような状況がある。これはアンフェアだなと思います。

〈後藤解説委員〉同時にセーフティネットの充実をヨーロッパでは解雇しやすくなっていますが、一方でセーフティネットが充実しています。 手厚い失業給付があって、次の仕事につながる職業訓練が受けられるなど、不安がそんなにないようなセーフティネットを準備しています。

〈文珍さん〉企業が守ってくれた時代は終わった?企業に正社員で入れば、お母さんのように最後まで面倒をみてくれるような時代が終わって、競争原理が働いて、世代と関係なく若くても才能があればいい、高齢者でも才能があれば生き残るというような、競争社会がより現実的になっているということですか。

〈後藤解説委員〉正社員の多様な形態を!今、正社員と非正規の人たちで格差が広がっています。それを解消するために多様な正社員の形を探るべきだと思います。例えば勤務地を限定するとか、時短、あるいは仕事の内容を限定するなど、限定型、ジョブ型と言われる正社員を増やしていくべきだと思います。

〈奥谷さん〉正社員にこだわるな!正社員という言葉自体、もう死語なんです。雇用形態はパート、派遣スタッフ、契約社員、正社員、様々でいい。正社員が一番優秀で一番いいということではなく、むしろ契約社員が給料高くてもいいわけで、正社員を頂上にする既存の考え方がおかしいわけです。


プレゼンテーション③
日本の若者を元気に!作戦3

3つ目は今日お越しいただいている古市さんの作戦。「子供を増やそう!」
手本となるのはフランスの例。フランスではある政策を行うようになって、一人の女性が一生のうちに産む子供の数を1.66から2.01に増やすことに成功しました。

大きく分けて2つの柱があります。まず家族手当。日本では中学生まで支給される子ども手当てですが、フランスでは20歳まで受けることができます。 一人目の子供のはもらえませんが、二人目から支給され、しかも子供が増えれば額も増えていきます。
これとは別に、子供が3人以上になるとさらに他の手当も出る。言ってみれば、子だくさんボーナス。子供が増えるほどハッピーになるという政策です。

もう一つは育児休業。日本では原則1歳になるまで。でもフランスでは3年間。しかも、その休業中のお手当も原則3年間継続して受けることが出来るんです。


〈古市さん〉女性が安心して子どもを産める社会を今は余りにも女性が仕事か出産かで悩みますよね。そもそも悩むこと自体がおかしい。
女性の労働力率の割合はM字型と呼ばれていて、ちょうど出産の頃に仕事を辞めるんです。これはもったいない。働いてもらったら税金も納めてもらえるし、働く女性向けのサービスもたくさん生まれると思います。

〈奥谷さん〉家族制度も見直すべき日本の場合はいちいち結婚して、法律的に夫婦にならないと子供を作れないという考えがある。フランスは、男女が二人住んで子供が産まれれば、別に事実婚でも手当が出るなど、制度が全然違うわけです。そういった部分を見直せば、女性がもっと子供を産みやすい。

〈古市さん〉今からでも効果的な少子化対策を日本は少子化対策に本気で取り組んでこなかった。シングルマザーは日本の伝統的な家族を壊すと言われてきましたが、このままだと日本自体が壊れてしまいます。出来ることはなんでもしないと、老人だけが増えて若者が減ってしまうことに歯止めがかかりません。

〈小野アナウンサー〉何か今と違う社会を実現しようとしたら、法律を変えたりしなきゃいけませんよね。その時には、多数派にならないといけないじゃないですか。今の若者には逆転するチャンスってあるんですかね。

〈古市さん〉世代を超えて利害の共有を年配の方も若者が減ったら不安なはずです。平均寿命が上がっていく中で、税金を納めてくれるのは若い世代なんですから。だから高齢者の方にも若い人の出生率を上げるなどの利害を共有してほしいと思います。

〈奥谷さん〉柔軟な考えを持つべき日本の社会制度を潰すとか固く、大上段に構えるのではなく、むしろフレキシブルにどうやって日本の硬直化した状況を脱出するかというような、柔らかい考え方を持ってもらいたいと思います。

〈後藤解説委員〉若い人たちの支援というのは、社会全体のためになるんだという発想を常に持つことが、この問題を考えるときには大切だと思います。


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