月の夜(再) 9月16日(金)

月を愛でる文化、そして月の満ち欠けのサイクルを生活に取り入れた「旧暦」の営みは、古来、日本人の暮らしに色濃く根付いてきました。
とりわけ京都と沖縄の八重山地方には、まさに蜜月と言えるほど生活に密着した「月」との暮らしがあります。京都の町家では月見を執り行うゆかしい作法が先祖から脈々と続き、皇族や摂関家の子弟が出家する門跡寺にも、神秘的な力を授けてくれる信仰の対象として月がありました。
一方、沖縄の八重山地方では、月は唄の重要なモチーフになっています。その1つ「月ぬまぴろーま(真昼間)」と呼ばれる民謡は、真昼間のように明るく照らしてくれるお月さまに、愛しい人への想いが成就するよう願った情感豊かな唄です。月を唄った民謡は幾つも存在し、島民の暮らしに欠かせないものになっています。月とともにある人々の営み、満月の夜に神秘的な塩を作ろうと、手作業で海水を汲む製塩業者、潮の干満を見計らい、マングローブの海に布を張る染織家、子孫繁栄を月に願う十五夜の祭。月を慈しみ、旧暦で暮らし、潮の満ち引きを取り入れて生きる人々を見つめました。
空気が澄み渡る秋の夜長に、あらためて美しい月に目を向けてみませんかー。

いざ鎌倉(再) 9月23日(金)

海岸から山際に向けて走る一本の道。その奥に佇む社。谷が入り組む静寂で名もない路地を進むと、名刹・古刹が広がります。
奈良・京都と並ぶ三大古都のひとつ、「いざ鎌倉」は、もともと小さな漁村でしたが、源頼朝による日本で最初の本格的な武家政権が誕生して以来、その独特の地形を生かし、発展をしてきました。
鶴岡八幡宮、長谷の大仏、建長寺…日本人の礎となる精神風土や文化が花開いた町を、カメラは巡ります。耳を澄ませば、中世を生きた“もののふ(武士)”たちの息づかいが聴こえてきそうな町「鎌倉」。気風漂う神事や、四季の花々、国宝や重要文化財の数々、今も多くの人々の心を惹きつけて止まない古都の魅力を、美しい映像とともに綴っていきます。

北九州(再) 9月30日(金)

北九州の人は言う。「この街の鉄が、日本の発展を支えてきた。」―
洞海湾に面した小さな漁村で官営八幡製鐵(てつ)所が操業を開始したのは1901年。日露戦争、第一次世界大戦を経て鉄鋼需要が伸び、街は製鉄所を中心とした重化学工業地帯として発展。太平洋戦争末期に空襲で甚大な被害を受けたものの戦後復活し高度成長をけん引した。
製鉄所の高炉は休みなく鉄を作り続ける。そのため街には二十四時間、三交代制勤務の労働者があふれ、さまざまな風俗・文化が生まれた。男たちが昼から英気を養ったのは店先で飲める酒屋「角打ち」。彼らのための24時間の食堂やスーパーも誕生。戦後できた日本初の競輪に人々は熱狂し、労働者たちのアマチュア劇団も数多く生まれた。
そうした発展の陰で人々は公害に苦しみ、オイルショック後の鉄冷えと呼ばれる深刻な不況も経験、80年代からは人口も減り始めた。しかし人々は逆境に立ち向かい、誇りを持って生きてきた。今も鉄づくりの最前線で誇りを持って働く男たちと、街の文化を消すまいとあらがう人々の姿を通して、鉄の街・北九州の100年を描く。

「新日本風土記セレクション」(木)午後11:45 BSプレミアム

9月 1日 湘南
   8日 角館
  15日 函館
  22日 尾瀬
  29日 うどん