富良野 夏(再) 8月19日(金)

北海道・富良野。夏を迎えた観光地は眩いばかりの輝きを見せる。爽やかな風が吹き抜けるラベンダーの丘、絵画のように美しい田園風景、豊かな自然が残る森。癒しを求める都会の人々にとっての憧れの大地だ。
実は、富良野は昭和50年頃まで、ほとんど無名の農村地帯だった。最初の入植は明治30年代と遅く、歴史の浅い北海道の中でもさらに若い。「北海道の中心」に位置するため開拓者が容易に到達できなかった上に、土壌も農地に適さなかったためだ。
依って立つ伝統や歴史がないゆえに、人々は自分たちのアイデンティティが何なのかを問い続け、独自の文化を築きあげてきた。貧しい土壌ゆえに栽培が始まったラベンダー、毎年夏に開かれる富良野独特のユニークな「へそ祭り」、ドラマ「北の国から」を共に作り上げた地元の人々。……バカバカしいことを真剣にやるのが、富良野人。新しく生まれた文化が人を呼び込み、また新しいものが作られる、富良野の世界を描く。

<オムニバス項目(抜粋)>
●ラベンダー   火山のやせ地に育まれた、富良野の象徴
●野菜の王国   北国特有の土壌と闘ってきた開拓民の歴史
●「北の国から」 富良野の人々の暮らしと情熱が生んだ名作ドラマ
●東大演習林   今も富良野市最大の地主、「東大」との意外な関わり
●へそ祭り   「北海道の中心」をテーマに作られた奇妙な夏祭り

小笠原諸島(再) 8月26日(金)

東京から1000キロ離れた亜熱帯の島、小笠原諸島。島に行くには船旅で24時間。
今も豊かで貴重な動植物が守られており、平成23年に世界自然遺産に登録された。
その歴史も独特だ。19世紀、無人島だった島に欧米人が移住、その後江戸幕府が日本領地として宣言。戦後はアメリカの統治下におかれ、日本に返還されたのは昭和43年のこと。
こうした歴史の中で、今も欧米系島民と日本人が混在。大和民族的なものと欧米系、ミクロネシア系民族の影響を受けた文化が残されている。
現在、小笠原村の人口は父島が約2千人、母島が約5百人。平均年齢は39歳と、老人が
少なく若者や子どもたちが圧倒的に多い。それを支えているのが、島に移住してきた若い新住民たちだ。彼らは古くからの島民と一緒に、農業や漁業で生活している。中でも伝統のメカジキ漁などを行う漁師たちの3分の2は新しくやってきた若者で、島の産業の大黒柱となっている。
日本に返還されておよそ半世紀。遠く離れた地で生きてきた島の人々の生き様、そして新しく移り住んできた人々との絆を通して、よそ者でも垣根なく受け入れてきた島の風土を見つめる。

<オムニバス項目(抜粋)>
●セーボレー一族の末裔たち・・・もう一度島に戻ろう!思い出の先祖の地にホテルを開業した母と息子。
●命の旅路・・・30年かけて故郷の海に帰るといわれているウミガメ。ひと夏の命の継承。
●95歳の少女たち・・・昭和19年、強制疎開で離別。再開のきっかけは思いを託した歌。
●若者たちの海・・・内地の若者たちが支える漁業。10年頑張って独立の夢を掴む。
●コーヒーロード・・・戦争でジャングルと化した農園に生き残っていたコーヒーの木。
国産コーヒーに未来を繋ぐ父と娘。
●島の診療所・・・酔い止めから骨折まで、今年赴任の若き医師の奮闘と悩みの日々。

越中八尾 風の盆(再) 9月2日(金)

歴史と風情の息づく山間の小さな町、富山市八尾(やつお)町。立春から数えて二百十日にあたる9月1日、「おわら風の盆」が始まる。人々は、三日間にわたって、民謡「越中おわら節」に酔いしれる。胡弓と三味線がつむぎだす哀しげな音色、絞り出すような歌い手の声が石畳の町並みに響く。艶やかな浴衣に身を包み、編笠に顔を隠した踊り子達が月影に揺れる。その哀愁を帯びた雰囲気に惹かれて、二千人余りが住む町に、二十万人もの観光客が集まる。
八尾は、幕末から明治にかけて、蚕の繭や生糸の取引で栄えた。花街が作られ、そこに集う芸者や旦那衆が、おわらに磨きをかけ、洗練させてきた。おわらには、心浮き立つ賑やかさや派手さはない。しかし、八尾の人々は、その哀しげな調べに人生の機微を映しながら生きてきた。たとえば、故郷を愛する思い、恋心、生きる上で背負う悲哀・・・今年で引退する踊り子はおわらで青春をしめくくり、伴侶を失った女性は夫と過ごした日々を振り返る。
八尾独特の風土や歴史、芸を極めようとする誇り高き気質なども織り込みながら、おわらと共に生きる人々を見つめる。

<オムニバス項目(抜粋)>
●最後の晴れ姿・・・
  八尾に生まれ育ち、2歳から踊り始めた女性。25歳の今年、踊り子を引退する。
●弔いのおわら・・・
  急逝した囃し手の男性のために、町の仲間が集まり、おわらで弔う。
●おわら未亡人・・・
  おわらのため不在がちな夫に妻は不満顔。だが風の盆の夫は魅力的に見える。
●暮らしの中で生まれた歌詞・・・
  5000以上にのぼるおわらの歌詞。人生の機微を詠む92歳の女性。
●風を祀る人・・・
  二百十日は大風の季節。風を祀るほこらに手を合わせ、豊作を願う農家。

「新日本風土記セレクション」(木)午後11:45 BSプレミアム

8月 4日 郡上八幡
  11日 南国土佐
  18日 多摩川
  25日 仁淀川