出羽三山(再) 11月25日(金)

古くから山岳信仰で栄えてきた東北・山形県の霊山、出羽三山。夏には白装束に身を包んだ人たちが、列をなして参拝に訪れる。豊作を祈る山麓の農家、先祖の霊に会いに来る人々、一人前の跡継ぎと認められることを目指す千葉の若者たち。出羽三山信仰は、講という地域ごとの信仰集団で先祖代々伝えられ、東日本一円に息づいている。
出羽三山とは、月山、羽黒山、湯殿山の3つの山の総称。山麓の人々の一年は、この三山への祈りと共にある。雪深い春の月山に登り、山の神を里に降ろし、田の神として迎える人々。夏、参拝に来た講の人たちを、山の幸の精進料理でもてなす山伏の宿・宿坊。稲の収穫が始まる秋、翌年の五穀豊穣を祈る百日間の精進潔斎に入る人。その満願を、地域を挙げて迎える年越しの祭り...。
また山麓には、即身仏という独特の仏様が祭られている。即身仏とは、仏になって人々を救うために、生きながらミイラになったという仏様。この地の、豪雪や冷害に苦しんだ時代の記憶を留め、今も救いを求める人々の篤い信仰を集めている。
厳しい風土から生まれた、豊かな祈りの世界、出羽三山信仰の今を見つめる。

<オムニバス項目(抜粋)>
●田に神を迎える...雪深い春の月山山頂から山の神を田に迎える、集落挙げての伝統行事。
●即身仏信仰...生きながらミイラとなった仏様・即身仏に救いを求める人々。
●山頂の神社を守る...山頂に泊まり込みで参拝客を受け入れる神職たちの暮らし。
●山伏の宿...参拝者の宿・宿坊を営む山伏の、信仰の里を支えて来た活動。
●一人前になる旅...千葉で息づく、地域で一人前と認められるための若者たちの三山信仰。
●五穀豊穣を祈る百日行...豊作を祈るため百日間祈り続ける人とそれを支える地域の人々

湯布院 12月2日(金)

大分県・中部にある由布市・湯布院町。全国2位の源泉数を誇る温泉や雄大な自然、おしゃれでアートの香りがする町は、誰もがあこがれる“癒やしの里”として、全国屈指の人気を誇る。しかし、かつての湯布院は、農業以外の産業がない、ありふれた田舎町だった。高度成長期の観光ブームの波からも乗り遅れ、時代に取り残された“何もない町”だった。
そこに襲ったのが昭和50年の大地震。復興をめざして始まった試行錯誤の中で、地元の人々は“本当の豊かさ”とは何かを追求する。暮らしに無くてはならない温泉をはじめ、“そこにあるもの”を大切にしながら、あえて時代と逆行する町づくりを進め、辻馬車や映画祭など“湯布院らしい”試みを次々に生み出していった。
今年4月の熊本地震の影響で、湯布院は再び窮地に陥った。しかし、逆境にめげないDNAは今も脈々と受け継がれ、“湯布院らしさ”は健在だ。おしゃれだけど、温かい。懐かしいけど、新しい。あこがれの温泉地・湯布院はいかにして生まれたのか、その奥深い魅力を探る。

渡し船 12月9日(金)

ゆく河のながれは絶えずして、しかももとの水にあらず。その流れを横切り、岸から岸を往き来する「渡し舟」。川の国・日本には、かつて数多くの渡し舟が存在した。舟は人間だけでなく、物資や耕作の牛馬も運ぶ、まさに生活の足として多くの暮らしを支えてきた。
しかし、陸運の発達で川には橋が架けられ、渡し舟は次第にその役目を終えて行くことになる。それと引き換えに、今も各地に残る渡し舟は多くの人に非日常を届け、消えた渡し舟はかつての日常を今に伝える。生まれ育った故郷へ帰る人、往時の姿を守ろうとする人、苦難の歴史を語り継ぐ人、対岸からの呼び掛けに今日もせっせと舟を渡す人。
彼岸と此岸をつなぐ渡し舟が織りなす物語。

「新日本風土記セレクション」(木)午後11:45 BSプレミアム

12月 1日 玄界灘
    8日 霧島連山
   15日 高知 神々と棲む村
   22日 蔵王