案山子の神様に守られて。
皆さんはじめまして。「案山子」を担当しました佐野と申します。
7月~9月まで、案山子と人のドラマを追って各地を訪れましたが、たかが案山子、されど案山子、時に役立たずの代名詞のように言われる案山子ですが、日本のあちこちで、案山子に思いを寄せ、自分の人生を重ねるようにして生きる人たちと出会えた旅は、とても素敵な体験でした。以下に、裏話をいくつかをご紹介します。
「かかしの里」名頃があるのは、日本三大秘境の一つとも言われる徳島県の東祖谷。祖谷と言えば雲海ということで、なんとしても雲海を撮りたいと思ったものの、気象条件が揃わないと見られないとか。そこで協力してくれたのが地元のドライバーさんと、雲海の上に暮らす方。毎朝3時半に起きて雲海の上の方と連絡を取り合い、「今日は出るぞ!」の合図でドライバーさんに出動要請、いざ出発。毎朝スタンばってくれた地元の皆さま、ありがとうございました。
その祖谷の郷土料理「ひらら焼き」は、吉野川で獲れたあめごを野菜や地元の豆腐、こんにゃくなどと一緒に甘めの味噌味で焼いた(煮た)もの。
「ひらら」とは「平らな石」、もとは川原で石の上に旨味やだしがこぼれないように味噌で土手を築いて焼き上げたことからそう呼ばれているそうです。香ばしい香りと味、固い豆腐、こんにゃくなどが腹をたっぷり満たしてくれました。
ゆるやかな棚田から里を見下ろす子どもの案山子は、長野県上田市殿城で4町歩の水田を耕作している農家さんが建てたもの。耕作放棄田が増えるなか、田んぼに子どもたちが遊ぶ風景を蘇らせたいという願いがこめられていました。
農業が大好きで、様々な工夫を凝らしているその方が自ら打ってくれたそばは、しっかり腰がある風味豊かな味。「食べ物は自分で作れば一番安心」という言葉が心に残ります。
かかしが踊る祭が息づく徳之島で見た、樹齢300年とも言われるガジュマルの木です。ケンムンという精霊が宿るとも言われますが、古の人たちが畏敬の念を抱くのももっともだと言える風格でした。祭の詳細な由来は残っていないものの、地域の人たちがしっかりと次世代に祭りを受け継いでいました。
台風が次々に襲ってくるシーズンに、撮影に支障なく旅を終えられたのは、やはり、案山子の神さまが守ってくださったのでしょうか。感謝です。
投稿時間:11:00 | カテゴリ:ディレクターおすすめスポット | 固定リンク