海の温泉の手作りコンサート
取材でお世話になった皆さま、番組をご覧いただいた皆さま、ありがとうございます。
今回の取材では、自分も「将来こうなりたいな」と思える「人生の先輩」方にたくさん出会うことができました。5人の男の子を育てる漁師の夫婦、「命ある限りは」と無縁仏を世話し続ける男性、沖合の荒波の漁を引退してから沿岸の「岩がき」「あわび」を取り続ける素潜り漁師たち。鳥取県は、全国で最も人口が少ない県ですが、地に足をつけ、家族や地域と深い絆でつながり、素敵な暮らしを営んでいる人がたくさんいます。
そんな「人生の先輩」の一人が、「皆生温泉の森進一」こと柴野憲史さん。経営する温泉旅館のロビーで、週末を中心にフォークソングライブを行っています。学生時代から趣味で始めたギターと天性のハスキーボイスでプロ級のコンサート。このコンサートが私のいちおしポイントです。「襟裳岬」など、目を閉じると森進一が歌っていると間違えるほど。
★父と娘のフォークソングライブ
歌の上手さ以上に心地よいのは、なごやかさ。伴奏は次女で若女将の寛子さんで、幼少のころからピアノを習い、絶対音階の持ち主ですが、お父さんをたて、決して前面にでることはない雰囲気が良く、「こんな親娘でいられたらな」と、心ひかれます。お客さんたちが立ちあがって勝手に歌い出すことも多いとか。
★写真2 のって歌い出す湯治客
曲目は、フォーク世代には懐かしい曲ばかり。「亜麻色の髪の乙女」など、最近のカバー曲もあり、家族連れでも楽しめます。「岬めぐり」「思い出の渚」他皆生の海のオリジナル曲など、海の歌が多いのは、「海に湧く温泉」だから。温泉旅館が協力し合って「海をとことん楽しめる温泉街」にこだわり続けてきました。35年ほど前、海外の事例を見よう見まねで、全国に先駆けてトライアスロン大会を開催、今でも海水浴場整備、シーカヤックイベント、寒中水泳大会の開催などに旅館の人々が一役かっているんだそうです。
肌に優しい塩化物泉と親娘のフォークコンサート、心も体も癒されること請け合いです!