2015年11月17日

2015年11月17日 (火)

祈りと癒しの道 伊勢路

「熊野古道 伊勢路」の回を担当した津放送局の森です。番組をご覧いただき誠にありがとうございました。

熊野古道といえば、和歌山県の中辺路や大辺路など「紀伊路」が有名ですが、今回の主役は三重県の「伊勢路」。伊勢神宮と熊野速玉大社、2つの聖地を結ぶ祈りの道です。

全国的にはほとんど知られていないこのルート、恥ずかしながら去年取材を始めるまで、私も名前くらいしか聞いたことがありませんでした。しかし、いざ実際に歩いて見ると、志半ばで亡くなった巡礼者の供養碑や、少しでも先に進ませてあげたいという気持ちのこもったお地蔵さんなど、地域住民の思いやりの心が今もあちらこちらに残っていることに気づきました。その思いを汲み取りながら歩いていると、その一つ一つが語りかけてくるような気がして「かつて、この道を歩いた巡礼者と悠久の時を越えて会話ができる。こんなすごい道はない!」と完全に伊勢路の虜になってしまいました。

峠歩きは当時の人々の記憶の糸を辿る旅でもあったように思います。伊勢路には世界遺産に登録されている峠が16あります。どの峠もそれぞれ特徴があって魅力的なのですが、中でもオススメなのが尾鷲市の三木峠です。

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苔むした幻想的な石畳がこの峠の特徴。わずか800mという短さに加え、アップダウンも少ないことからウォーキング感覚で楽しむことができます。

番組の中でも紹介しましたが、ここは峠の麓に住む大川さん夫婦が15年前に掘り起こした道。道無き道をひたすら切り開く日々、2年かけて掘り起こしたという夫婦の愛情が詰まっています。大川さんは、この峠に来てくれた旅人のために登り口に手作りの杖を納めています。これまで作ってきた杖の数は10年間で1500本以上!自分の愛する峠でケガをしてもらったら申し訳ないという気持ちで作り続けているそうです。

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大川さんは今でも毎日のようにこの峠に通い、整備活動を行っているので、運が良いと出会うことができるかもしれません。大川夫妻とお話ししていると、いつも心がほっこり和まされます。こうした地域住民との交流も、癒やしの道と呼ばれる所以なのかもしれません。

 

もう一つのオススメは峠の眺望。各峠の頂上には熊野灘や熊野の山々など様々な絶景が広がります。

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一つ峠を越える度、一つ心が軽くなるといわれたこの風景。特に、熊野の雄大な自然に囲まれながら食べるお弁当は格別の味です!!

熊野地方は、めはり寿司やサンマ寿司など、美味しいお弁当がたくさんあるのですが、中でもユニークな一品がこちら、熊野古道石畳弁当です。

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石畳を模しているのは地元で獲れたニギスの蒲焼き。その上に乗っている枝豆は石畳に生えた苔、錦糸卵は落ち葉をイメージしています。お弁当の中に悠久の時を刻む熊野古道が広がっている、非常におもしろい一品です。バスツアーのお弁当としても大人気!見ても楽しい、食べればおいしい。

※問い合わせは紀北町観光協会まで。

巡礼者が命をかけ人生の再起を願った、祈りと癒やしの道、熊野古道伊勢路。歩き通せば、少し今までと違った自分に出会うことが出来ると思います。

是非、一度お越しいただき、非日常の世界を体感してもらえれば嬉しいです。

投稿時間:11:00 | カテゴリ:ディレクターおすすめスポット | 固定リンク


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