"神話の森"のスカイツリー
「神話の森 中国山地」を担当いたしました大隅です。古代と現代が交差する七つの物語、いかがだったでしょうか。今回、古事記などの神話を読みながら取材を重ねるうちに、古代の人も私たちも、心の中はそんなに変わらないのではないかと思うようになりました。
ところでこの番組の放送があった週、ずっと世間をにぎわせていたのが東京スカイツリーの開業でした。編集のため宿泊していたホテルのロビーにも「3000万人に会える空」というポスターが貼ってあり、登ってもいないのに目まいがしそうでした。
今日はこのブームに乗じて、中国山地が誇る「古代のスカイツリー」をご紹介したいと思います。場所は島根県の中央にある、三瓶山(さんべさん)。番組のなかで和牛が放牧されていた、あの森です。この三瓶山は活火山でして、縄文時代に大噴火を引き起こしたそうです。その際にまき散った火山灰などがなんと森に降り積もり(イタリアのポンペイのような感じですね)、古代の姿のまま、地中に埋めてしまいました。
その名も、三瓶小豆原埋没林。現代とは全くちがった森の姿を見ることができます。以前にロケを行った時に撮影した写真をご覧下さい。
この埋没林では、かつて30mを超えていたといわれる杉の老木を仰ぎ見ることができます。今でこそ10mを超える樹木さえ珍しいものですが、縄文時代は30mを超える樹木ばかりだったんですね。伐採する人間がいないので当然といえば当然ですが…。人間の何十倍も大きくて、そして何十倍も長生きする樹木という存在。古代の日本人のため息が聞こえてきそうです。キャッチコピーは「4000万年前に会える地下」ということでいかがでしょうか。ぜひ現代版だけでなく、古代のスカイツリーも見にいってみて下さい。
三瓶小豆原埋没林は、広島の三次ICから車で90分、JR出雲駅からは70分です。なお三瓶山の周りを走行していると、ときどき、森から間違って出てしまった牛が歩いていることがあります。見かけたらお近くの和牛農家さんに知らせてあげて下さい。
投稿時間:10:19 | カテゴリ:ディレクターおすすめスポット | 固定リンク