諏訪 独特の気
「諏訪」を担当した川口です。取材をして改めて感じたのは、諏訪という土地は、不思議と謎に満ちているということです。御柱を建てる理由すらはっきりとはわかっていないのに、あれだけのエネルギーを注ぎ、命をかけるほど熱くなれるのは何故なのか?"諏訪人の血"という言葉を何度も聞きましたが、それでわかった気にはなれず、今もいろいろな思いを巡らし続けているところです。
<神長官守矢史料館>
諏訪のなかでも独特の雰囲気を持つのが、諏訪大社本宮と前宮の間にある高部(たかべ)という地区です。諏訪大社の神事を長年司ってきた守矢家やその史料館があります。入館料の百円を払って入ると、鹿や猪などの獣の首がずらりと並んでいます。神様と一緒に食事をする御頭祭(おんとうさい)の供物を再現したものです。かつては、鹿75頭が供えられたといわれます。史料館のそばには、土着の神ミシャグジを祀る神社や、守矢家の先祖が眠る古墳があります。古墳からは諏訪湖や八ヶ岳を一望できます。守矢家78代当主早苗氏によると、いやなことがあった時も、そこに行くと、す~~と消え、心安らかになれるのだそうです。悩み事のある人には、おすすめの場所です。
このブログ用の写真を撮ろうと、古墳に向かった時でした。「キ~~」だったか、「ギ~~」だったか、ものすごい声を張り上げながら、鷲のような大きな鳥が、羽根を広げて飛び出てきました。ドキッ~! 飛びかかられて、尖った嘴で突かれる光景が頭に浮かびました。落ち着いてよく見てみるとキジでした。でも、2メートル程のすぐ近くで 私の周りを2周しながら、すごい迫力で威嚇を続けます。もう、これ以上先に踏み込んではいけないという「お告げ」なのかもしれない。それに背くと、なにか災いが振りかかってくるような気がして恐くなり、写真はあきらめ、ゆっくりと後ずさりして離れました。農村でキジに出会うことは珍しくはありませんが、土着の神が祀られる諏訪の不思議な雰囲気のなかで、そう感じてしまったのかもしれません。もし、みなさんもあのキジに出会ったら、きっと同じように感じてしまうと思います。
<キジが落ち着きを取り戻した後にこっそり撮影>
投稿時間:10:20