2018年11月20日 (火)

神様の煙の味を求めて。

「風と煙と蔵の味」を担当しました田代です。
「一年中おいしいものが食べたい」その一言で始まる今回の番組。そのために日本人は海そして山の様々な幸を保存食にしてきました。強い味方は風と煙と蔵。
番組は、これまで撮りためた映像や今回新たに撮影した映像を取りまとめて、全国の絶品の味を伝えるものです。

私は、新しく撮影した2つの「味」を担当しました。
まずは、和歌山県日高郡みなべ町の梅干し。
瀬戸内から紀伊半島の西岸を通り太平洋に出るまでの海流を紀伊水道と呼びますが、そこの穏やかな風が、梅干しづくりには欠かせないものでした。風の味ですね。
下の写真は、紀伊水道に臨むみなべ湾です。

kazeto1.jpg夕日が沈むころは、写真のような絶景が見られるのですが、ほとんど観光地化されていません。宿も2~3軒あるのみ。一方、町の主だった産業はやはり梅干し。みなべ町は、人口1万人ほどの町。そこで、約1千人の梅干し農家さんを中心に加工業、運送業など、町の大半が梅干し産業にかかわっています。

みなべ町の梅干しがブランドになったのは、南高梅がきっかけ。明治時代、突然変異として誕生した南高梅。肉厚で皮が薄く、種が小さいのが特徴。梅干しにするにはうってつけの梅でした。昭和60年代に量産に成功すると、みなべの梅干しは全国的に有名になっていきます。
この南高梅、ほかの土地に植えてもなかなかうまくいかないのだそうです。皮が厚くなったり種が大きくなってしまうのだそうです。なぜ、みなべだけが?その秘密は梅の木を植える土地がやせているからとのこと。

kazeto2a.jpg今回の取材で実感したのは、自分にとって最高の梅干しとは、ふっくらとしていて、果肉がクリーミーなこと。そしてしょっぱすぎないこと。ものすごくおいしかったです。梅干しの味に対する概念が全く変わりました。

取材させていただきました佐々木農園の皆様、そして、みなべ町役場、梅振興館の皆様に心からお礼を申し上げます。

 

2つ目の「味」は、沖縄県南城市久高島のイラブーです。

那覇空港から車で1時間ほど(タクシーだと7千円前後)、安座間港に向かいます。
ここから、久高島行きのフェリーに乗ります。距離にして約5キロ。30分弱の航海です。

島に着くとまず目にするのが、観光客の為のレンタサイクル。一日借りて千円ほど。
周囲8キロの島をめぐるのには最適です。ちなみに、島にはタクシーやバスはありません。フェリーで自家用車を運ぶことはできるかもしれませんが、そうしている人はほとんどいません。道がとても狭いためです。
自転車に乗って、海岸線を走ります。すると見渡す限りの海。サンゴ礁でできているという島の多くのビーチはサンゴ礁が砕けたもの。そのため、海の透明度がずば抜けています。

kazeto3a.jpgこの島の人口は200人ほど。小さな集落で助け合って暮らしています。

さて、8月から12月まで行われるイラブー漁。島ではエラブウミヘビの事をイラブーと呼びます。(燻製にしてもイラブーです)100匹前後集まると燻製にします。
燻製にする日は朝6時には島人が集まり、みんなボランティアで作業に参加します。
農作物があまり育たないこの島で、ひとびとは、毎年秋に産卵のために必ず戻ってくるイラブーを神様の贈り物と信じてきました。その神様の贈り物を大切にいただくため、島では燻製の技術を東南アジアから学んだんだそうです。500年以上前のことです。

最初に下茹で、薄皮をむき、おなかの中の遺物を出し、再び茹でます。こうした準備ののち、イラブーは燻小屋に運ばれ、7日間いぶされます。

kazeto4a.jpgフェリーの切符売り場のお土産コーナーで買うことができます。

上記の写真は直径15センチほどの渦巻き状の、いわば小ぶりのものですが、これで4000~6000円ぐらいです。

どうやって食べるかのレシピもついています。
燻製でカチカチに乾いているので、食べるときは10時間ぐらい煮込み、肉を柔らかく戻し、好みの出汁で味付けをします。この時、大根や豚肉と一緒に煮込むのが島の定番。

ちょうどイラブーを汁物にする島人がいたので取材させていただきました。
一家そろって言うには、イラブーは元気の素とのこと。特に疲れているときに食べるのだそうです。
取材後、すすめられていただきました。
味は鰹節のようです。少々生臭いですが、食べられないほどではありません。
肉の歯ごたえは、鶏肉のようでした。

驚いたのは、翌朝、体がものすごく軽かったこと。疲れがとれていました。
「神様の贈り物」になるほどと納得した次第です。

久高島にお越しの際は、ぜひ食べてみてくださいね。
最後に、久高島での撮影にご協力いただきました皆様に、心から感謝申し上げます。

投稿時間:11:00


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