2018年02月20日 (火)

黒潮の恵み 伊豆半島の「潮鰹」。

「黒潮」を担当した柴田です。企画してから2年余り、多くの方にお世話になり、放送にこぎつけました。本当にありがとうございました。

katsuo1.jpg昭和30年代生まれの私にとっては、幼い頃、カツオ節を削ることが毎朝の手伝い仕事の定番でした。自分で削ったカツオ節、おすそ分けを頬張りながら母に渡すと、やがて風味ゆたかな味噌汁が食卓に。音と香りが強烈に記憶に刻まれた、我が家の味です。

カツオ節の誕生の背景は、「黒潮の子」とも呼ばれるカツオが、季節ごとにしかやって来ないことがありました。しかもカツオは傷みやすい魚。このおいしさを、どうやったら長く味わえるのか。長年にわたる工夫の中から、江戸時代に現在のカツオ節の製法が完成しました。

 

カツオ節が生まれる前に、日本人はどのようにしてカツオを保存し、食べていたのだろう?

古代から「堅魚(かたいさかな→かたうお→かつお)」という加工品が、黒潮沿岸の浜辺で盛んに作られていたといいますが、それはどんなものだろう。

探し求める中で出会ったのが、伊豆半島の南部、西伊豆町田子地区の「潮鰹(しおかつお)」でした。田子では、秋の終わりから冬の初めにかけて、カツオの内臓を取り、塩に数日間つけます。その後、ひと月ほどかけて、冬の風にあてて乾燥させるのです。この季節の西伊豆は、台風が来たのではないかと錯覚するほどの強い西風の日が多いのです。

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できあがった潮鰹。

潮鰹は、正月を迎えるための縁起物です。稲藁でくるみ、家々では年の瀬に、門口や神棚に供えます。

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神様にささげた潮鰹は、正月の三ヶ日が明けると、お下がりを頂きます。神様の力の宿った潮鰹を食べると、病気にならず、願いが叶うといいます。

shiogatsuo4.jpgおいしく食べるには、カツオ出汁を使ったお茶漬けがいちばん。薄く切った身を、火であぶり、ご飯に乗せてから、だし汁を注ぎます。あふれ出すカツオと潮の香り。これこそが、古代から、日本人をとりこにしてきた味わいなのです。

shiogatsuo5.jpgかつては、潮鰹づくりは、カツオの獲れる全国各地の港町で見られたといいますが、現在では、私が取材した限り、伝えているのは西伊豆の田子だけ。秋の終わりから初冬にかけて、田子では「潮鰹づくり体験ワークショップ」も行われるので、ぜひ訪ねてみてはいかがでしょうか。

投稿時間:11:00


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