源氏物語、見つけた!
「京都すぐそばに源氏物語」担当した坂本です。
今回は、源氏物語の世界を取り上げるということで、本編では紹介しきれなかった部分をご紹介します。
まずは「お食い初め」。男の子は低いお膳で器は赤、女の子は高いお膳で外が黒、内側が赤の器を使うそうです。(常識・・・?)また、赤ちゃんが始めてその家の味を食べるということで、家庭の味をお嫁さんに引き継いでもらうという意味もあり、お姑さんからお嫁さんへの味の継承の機会でもありました。こういう風習で家の味を継いでいくんですね。
今回お世話になった河内家では、息子さんのお食い初めの時に桃の柄の入った着物を作っておられ、このたびのお食い初めで2度目の袖通しがありました。すくすく元気に良縁に恵まれるようにとの願いが込められていて、家族みんなで新しい命を慈しむ姿がとても印象的でした。
それと十三夜のお月見。もともとお月見は平安時代に大陸から伝わった風習で、十三夜のお月見は平安人が生み出しました。確かに100%フルな状態よりも、これから満月になろうとする姿を愛でるのはその後の侘びの文化につながります。
今回お世話になった茶道の家元速水家のお道具立ても、やはり月をいかに隠すか、直接見ることは野暮というもの。ちょっとしたところに月をしのばせ、床の花もこれからまさに開こうとする姿です。そうすることであらためて月を感じたり、これから未来へ向かう時を表します。日本人の美意識を再認識する機会となりました。
ある特定の年代の方はご存知かもしれませんが、昭和天皇の大喪の礼の時、籠を担ぐ人々が住む八瀬の人たちが話題になりました。驚いたのは後醍醐天皇はじめ明治、大正、昭和天皇の位牌を祀ってあり今も月に一度の法要を欠かされないこと。集落の人々は800年に渡り親から子へ、大人たちから若者たちへと集落の歴史を受け継いでおられ、若者たちもそれを素直に受け入れておられました。生まれた土地から若者離れが多い昨今、八瀬には学ぶべきことが多かったです。
源氏物語最後の舞台となった宇治。川の上流では家財道具を目いっぱい詰め込んだ釣り人たちとたくさん出会いました。朝から日が暮れるまで一日川のほとりで過ごしています。みなさん、子どもの頃川で遊んだ思い出が忘れられないのだとか。物語では浮舟が身を投げた暴れ川も今では癒しのスポットです。
源氏物語とは縁遠い方もいらっしゃるかもしれませんが、京都の松栄堂畑さんが見せてくださった浮世絵はとても美しく楽しいものでした。浮世絵の題名は「源氏後集余情」。「源氏五十四帖」のパロディーです。物語を直接読まなくてはならないという先入観を軽々と越えて楽しんだ江戸時代の人々の息吹が伝わってくるようでした。無理に頑張って読もうなど思わなくてよいのです。手の届くところから少しだけ扉を開いてみては。
投稿時間:11:44