2013年06月11日 (火)
坂をのぼれば見えてくる ~長崎~
『長崎は坂の街だから…』おばあちゃんの言葉が心に残っています。
長崎を担当した久保田です。
坂の街・長崎について番組でご紹介できなかった“こぼれ話”を幾つか。
まず、長崎では自転車をあまり見かけません。自転車を持っていない、そもそも乗ったことがない、という方も驚くほど多くいます。坂が階段のため、自転車の通れない道が多いためです。また、坂で暮らす人たちは「きつい、きつい」と愚痴をこぼしつつ、予想以上のスピードで坂を登っていきます。まだ20代の僕でも気を抜くと、おばあちゃんに置いていかれる程。坂に暮らしている人は、平地暮らしの人と比べ、心肺機能が高く、肩こりや腰痛などの自覚症状が少ない、という結果もあるとか。毎日、泣いても笑っても坂ばかり。それが知らず知らず日々の運動になっているのでしょう。
確かに、きつい坂。けれど坂があるからこそ、という事も。
取材中感じた事は、坂の町は人と人との距離が近いということ。車も通れない1メートルちょっとの道幅、そこを毎日人々が歩いて行き交うわけですから、物理的にも人との距離が近い。挨拶をしない訳にもいかない。朝に晩に、近所の人と出会い、時には誰の家の坂がきついか、“坂自慢”をしながら、井戸端会議に盛り上がる。この街には、共に坂を生きている連帯感のようなものがあります。
番組でご紹介した尾曲がり猫を捜しつつ、路地に入り坂を探検すると、長崎の新しい魅力に出会えるかもしれません。
取材中おばあちゃんが、笑顔でこんな一言を言ってくれました。
「また登ってこんね(また登ってきなさい)。」
投稿時間:11:07