桜前線を追いかけて
「桜前線の旅」を担当した棟方です。
みなさんは、今年のお花見いかがでしたでしょうか?東北や北海道の方は、まだこれからの方もいらっしゃいますよね。東京では2002年と並んで観測史上最も早い花開き。お花見の予定がずれてしまって慌てた方も多いのではないでしょうか?隅田川の名物、屋形船も、毎年恒例のお花見ツアーの時期を繰り上げ、予約のお客さんたちの中には一週間以上も前倒しして来た方たちもいました。早咲きの桜並木と東京スカイツリーの共演を見ながら「間に合ってよかった~」と喜ぶ笑顔。
この日、人手で大変混雑した隅田川でしたが、歩いている人たちの顔がほころんでいるのがとても印象的でした。テレビカメラを向けても、ほぼ全員が笑顔で手を振ってくれるんです(普段、街中で撮影していてそんなことは有り得ませんが)。桜って本当に不思議な花です。
さて、全国47都道府県の桜を紹介するこの特集で、今回、とても珍しい桜を沖縄で撮影しました。そこを担当したもうひとりのディレクターを紹介します。
久米島で「クメノサクラ」を撮影した吉峯です。
全国でもこの島と沖縄本島の一部でしか見られないクメノサクラ、色が純白から淡いピンクに変わっていくのが特徴で、一週間以上かけてその変化の様子をとらえました。
ソメイヨシノに似たはかなげな風情のあるクメノサクラですが、もともと島にあった野生種なのか?それともどこからか渡ってきたのか?だとすればいつなのか?まだ分からないことだらけのミステリアスな桜です。DNA鑑定によれば、日本と朝鮮半島には同じ種類の桜がないとのことで、中国大陸から渡ってきた可能性が高く、これから調査が始まるそうです。
クメノサクラは非常に弱い桜で、肥料をやったり下草を刈ったり枝を剪定したり、人間が手をかけて世話をしないと元気がなくなり、枯れてしまうこともあります。しかも去年の台風による塩害を受けて、今年はチラホラとしか花をつけない木が多かったです。
久米島町では今後、育てているクメノサクラの苗木を植樹して、公園を造る計画があるそうです。また、沖縄本島の本部町でも5年ほど前から有志の方々がクメノサクラを殖やしていて、すでに1000本以上が植えられています。来年以降はきっと、クメノサクラのお花見でにぎわうのではないでしょうか。
投稿時間:09:38