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(1) 長男の反抗期に続いて起きた次男の不登校、ひきこもり
横浜市 主婦Aさん(50代)

 今から四年前の四月、次男が中学三年になってすぐのときです。本当にそれは突然やってきたのです。次男は小学校時代も含めて、風邪くらいでは学校を休まなかったし、遅刻も絶対にしないという真面目な性格でした。


  その子が突然休むと言ったときはちょっとおかしいなと思い、三日目にはもしかしたらこれが不登校の始まりなのではと、胸がドキドキし体が震えてきました。もうこれで私は母親として失格のレッテルを貼られることになるし、これから始まる大きな辛さに耐えることが果たして出来るのかと、頭の中はパニック状態で毎日泣いていました。


  でも次男の前では努めて冷静さを装い、なるべくやさしく問い質したところ、以前から学校へ行くことが辛くて、夜はいつもこのまま朝がこなければいいと思っていたとか、登校するときは学校が近づいてくると胸が苦しくなっていたなどと涙を流しながら話してくれました。


  実は長男がやはり中三の二学期頃から急に生活態度を変え、親に反抗的になったことにびっくりしてしまい、このまま放って置くと非行少年になってしまうのではとか、弟に悪い影響を与えてしまうのではと思い、長男を元の素直な子にしなくてはと私の関心は長男だけに集中しました。長男は高校に入ってからも、時々学校をさぼったり、夜遊びをしたりと私を悩ませ続け、私は夢中で長男を立ち直らせるためにあらゆる努力をしました。その間に次男は、中学受験をクリアし、進学した私立中にも特に問題なく通い続けているとばかり思っていました。長男はやがて自分の好きな道を見つけ、猛勉強を始め、やっとホッとした所へ、今度は今までよりも辛いことが待っていた訳です。


  思春期を迎えた次男がいろんな問題に悩みを抱えていたことに全く気付かず、長男だけにしか目を向けなかったことを本当に後悔し、次男に対して申し訳ない気持ちで一杯です。毎日毎日自分を責めて気が狂いそうでした。



  とにかく今の状態を良くするため、いくつかの精神科医院に行ってみたり、新しく出来た近くの心療内科に何度も通ってみたり、講演会にも参加し、そこでもらったパンフレットに載っていた専門のカウンセリングの先生のところへ定期的に通ってみたりと、いろいろと試してみました。でも、今ひとつ手応えが得られないままきていました。



  そのうち次男は、食事を拒否したり、こんな状態になってしまった自分は、もう生きる資格はないから自殺すると言ったりして、ますます私は苦しめられていきました。


  主人はと言えば、「男は外で仕事をしているのだから、家の中のあらゆる問題は妻の仕事だ」という考えを、結婚以来し続けており、こんな状況でも問題解決に全く手を貸そうとしてくれませんでした。長男の問題で悩んでいたときに、次男がよく「お母さん、大丈夫だよ。」などと言って、私を慰めてくれましたが、逆転して今度は長男が、私を慰めてくれたことが、唯一の救いでした。


  ある雨の日、びしょぬれになっていた捨て猫を放って置けなくて、家に連れて帰ったら次男がすごく可愛がり、猫と接しているときの次男の表情が、いつもと違い、やさしさと穏やかさに満ちているのを見て、次男のつらい気持ちを癒してくれる猫の存在は大きいなと思い、今でも飼っています。



  二年くらいが過ぎた頃、市の広報の中で目にした、横浜市青少年相談センターの不登校相談窓口の記事を見て電話したところ、さっそく面接の予約を取ってもらえました。何回かの面接の後、今度同じ悩みを持った母親を集めての勉強会が開かれるので、参加してみませんかと言われたのです。


  私の心の中では、自分が母親として欠陥があるから子供が不登校になったのだという思いできていましたので、同じような立場の人たちは、はたしてどんな感じの人たちかと、ものすごく興味がありました。でも実際は、想像していたのとは全く違っていて、みなさん思慮深く、教育熱心で、やさしい感じの人たちだったのです。


  そこで、すごく気持ちが楽になりました。


  その勉強会は、精神科の医師一人を含め、七名のスタッフの方たちで構成されていましたが、スタッフの方全員個性的な人達で、誠意を込めて熱心にいろいろと教えて下さり、公的な機関で、ここまでしていただけることが信じられない気持ちでした。


 私がずーっと持ち続けていた母親としてのコンプレックスも、そこまで自分をさいなむ必要はないと考えるようになりました。



  勉強会が終了した後も、定期的に面接を続け、今では家庭訪問も2週に1度の割合で、来てもらっています。相談員の方が家に来て下さっても初めは会おうとしなかった次男でしたが、今では毎回会って話をするようになりました。


  そうして次男もだんだんと自殺のことは言わなくなり、去年の十一月の大検を受けると言い出したのです。普段たまに外出したとき、大勢の人がいる所へ行くと、みんなが生き生きとし楽しそうに見えてものすごく辛くなるとか、自分は対人恐怖症だから、人のいる場所はいやだと言っていましたので、はたして二日間に渡って大検会場へ行けるのか心配でしたが、どうにか無事に行くことができました。それだけでなく、全科目合格という通知が来たときは大喜びしました。


  ちょうどその頃、今まで全く関わりを持とうとしなかった主人が次男にいろいろと話し掛けたり、本を買って渡したりと態度を変え始めたのです。次男もそれに応えて一緒に食事を取るようになり、笑顔で話すようになりました。


  どうして主人が急に変わったのかと思ったのですが、最初の頃見捨てていた長男が、入学している大学から、成績優秀者リストに載ったという手紙が来たこともあって、やはり子供の問題に関しては長い目で見てあげなくてはいけないと反省したのではと、私なりに推理しています。


  とりあえず次男は、自分が本当に何を勉強したいのかをよく考えて、大学受験に向けて頑張りたいと、前向きに考えるようになりました。だからと言って勉強をしている様子はありませんが、とにかく急がなくてもいいから、少しずつ階段を上がってくれればと思っています。



横浜市福祉局青少年相談センター・・・横浜市の条例によって設置された公的相談窓口で、非行や不登校など青少年に関する問題全般についての相談を受け付けている。神奈川県下では同様のセンターが18市町20カ所に設置されている。(利用できるのは原則としてその市町に在住の人に限られます。)

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