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ひきこもり情報TOPコラム・ザ・コラム林原 めぐみ

 

林原 めぐみ  はやしばら めぐみ

林原 めぐみ  はやしばら めぐみ

東京都出身。

高校卒業後、看護学校に通いながら声優を志す。
'86年にテレビアニメ 「めぞん一刻」 の幼稚園児役で声優デビュー。
以降、数多くのアニメキャラクターを演じつづけている。
また、DJ、歌手、作詞、エッセイ執筆など、幅広く活躍中。

著書に 「明日があるさ ちょっトク文庫版」 「なんとかなるなる ちょっトク文庫版」 (ともに角川文庫) 「この星」 (KTC中央出版刊)など。



前編 『 声優・林原めぐみです 』
   

 かつて、私も引きこもり程ではないものの、登校拒否に近い状態だったことがある。さらに言うなら、まあいわゆる 「いじめ」 に近い経験、話しかけても無視されて、靴を隠されて、ラケットのガットを切られて・・・なんて事もあった。でも、だからって、 『私はそこから頑張って出てきたから、 「今」 があるのです。さあ、みんなも外へ出てみようよ、きっと何かが変わるよ。』 なんて・・・絶対言えない。

 だって、心の奥では、ちゃんとわかっているでしょ、そんなの。このままじゃいけない、とか、どうにかしなきゃ、とかそんな思いがぐるぐる渦まいて、結局その 「思い」 が 「重い」 になって自分を責めて、がんじがらめで動けない。めんどくさい、苦しい、切ない、助けて、でも関わらないで、一人にして、一人にしないで・・・、って意味わかんないよそんなの。他人を渇望して拒絶して、いつ触ってもいいの?いつ触っちゃいけないの?そんなのバリアーみたいに色で見えるわけじゃないから、親だって兄弟だって先生だって近付けない。近付ける訳がない。だから、 「無理」 なんだって。本当の意味で、他人が他人を理解するなんて。でも!でも!!!だからって私は諦めない。諦めないで生きてきたし、生きている。無理だからこそ、努力をしたいと思う。そして引きこもっていたいなら、いたいだけいればいい。とも思う。誰だっていつだって、強い人だって、痛いものは痛い。心の傷は、血が出ないし、他人にもほら!って見せられないから、やっかいだけど、 「痛い」 のは誰だって、私だってそうだ。

 私の友人で彼にふられてボロボロになっていた子がいた。 「振られたぐらいで」 なんて簡単に思わないで欲しい。信頼していた人からの裏切りと言えば悲観的だろうか。そのボロボロさは傍で見ていてもどうする事も出来ないほど痛かった。そして彼女は一度死んでみようかなと、スカイダイビングを試みた。どうやら飛ぶ前に 「これで死んでも文句は言いません」 的な契約書にサインをするらしいのだけど、その時点で何かが少し吹っ切れそして、飛び降りた瞬間に、 「私はいつでも手を離す権利があったんだ」 と悟ったとか。しがみついていたのは私だ。もういらない。そして 「そんなやつ」 の為に自分の命を落とすなんてもったいな過ぎる。と痛感したらしい。友人を引っ張り出すのも卑怯だけれど、 【引きこもり】 と一言で言っても十人十色。一まとめになんて出来ない。理由も甘えも悲しみも全部それぞれ違うのだから。でも、今の私に言えるのは、まあ、そんな野蛮な方法で人生立ち直った人もいるって事ぐらいかなあ。


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後編 『 再び、声優・林原めぐみです 』
   
 ところで・・・なんで引きこもっていてはいけないのだろう・・・。生まれ落ちたところが 【社会】 だからなのか・・・。近い将来、それがいいか悪いかは別にして 「引きこもりの天才」 とかが現れるような気すらしているのだけれど・・・。ひたすらネットで情報を得て、人には直接触れないものの、株とか世界情勢とかにはやたら詳しくて、さらにネットバンクを利用してお買い物。触れる人といえば宅配の判子を押すときくらい・・・、と思ったら宅配ボックスにお任せで、本当に本当に 「他人」 に接触しないで生きていく。まあ、これは極端だけど、そんな人を無理やり社会に引きずり出すのは必ずしも正解だとは思わない。外は楽しいよ!社会に適応しなくちゃ駄目よ!という考えを一度捨ててみるのはどうだろう・・・。私は引きこもり・・・、社会から置いていかれる・・・。どうしよう、怖い、怖いからなおさら出られない。嫌われたくない。それならいっそ一人がいい。誰とも関わらなければ、誰にも嫌われない。でも、でも、このままじゃいけない!と自分を責めすぎるのも、結局はただの出口のない迷路なだけだ。 「どうしてひきこもってちゃいけないのか」 の問いにちゃんと答えられる人なんておそらくいない。 「みっともないから」 って体裁じゃん。 「将来が心配だから」 じゃあ引きこもっていても稼げる方法があったらいいの? 「ちゃんとした大人になれないでしょ」 ちゃんとした大人ってじゃあ何?とこれまた出口がありゃしない。

 しかし!外には嫌な人やバカな人やびっくりするくらい無礼な人や、権力をかさにきて物を言う人や、鼻持ちならない人間は年齢問わず沢山いる。けれど、全くその逆の人も本当にいるのだ。道を尋ねたら無視された。道を尋ねたら頼んでもいないのに同じ方向だからと、現地まで案内してくれた。この二つは世の中にちゃんと存在している。いじめる人もいるかもしれないけれど、バカなくらい正義好きな人もいる。悲しいかな 【ひどい人】 が目立つかもしれないけれど、ちゃんといる。そしてそんな人は自分にも他人にも厳しいので、一見その愛情はわかりにくかったりもする。

 一度臆病になってしまったら、そんな人に出合う希望も捨ててしまっているかもしれないけれど、そんなプラス人間に触れたり、関わったりすると、これは経験した人間にしかわからない快感がある。今まで傷ついてきたごほうびか?とも思えるほどだ。写真で見て想像した温泉ではなくて、実際につま先からじんわりくるお湯のぬくもり。私はそれを知っている。経験している。だから、引きこもっていても別にいいけれど、そのぬくもりの気持ちよさを知っちまったからには、声を大にしてただ伝えたいのだと思う。(たとえおせっかいでも)しかし、そんな人は待っていても現れない。経験値も必要だ。でも、傷ついた事があるなら傷つく人の気持ちもわかるはず。悪気なく嫌な人間は確かにいる。でもそこをどんだけ、どれだけ責めても何も変わらない。自分がそうならないようにすればいいだけのことだよ。


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