2009年01月23日 (金)新鮮な話題を提供してくれる2月の定期 諸石幸生
■Aプロにチェコの幻の名指揮者エリシュカ登場
2月の定期公演は新鮮な話題でもちきりとなろう。ABCプロ中、実に2つがN響とは初顔合わせの指揮者で行われるし、他も今回がようやく2度目となる指揮者だから期待度は高い。
まずAプロだが、チェコから話題の名指揮者ラドミル・エリシュカが登場する。初登場といってもエリシュカは1931年生まれであり、年齢的に2009年には78歳となるベテラン・クラスだが、これまでその存在がチェコ以外ではなかなか知られることのなかった幻のマエストロである。情報社会の今日、そんな隠れた才能との出会いが本当にあり得るのかと狐につままれたような印象をもたれる向きもあるかもしれないが、これまでのエリシュカの指揮活動は不思議に国際的な脚光を浴びる機会がなかったという。
だが、黙々とわが道を歩んできたエリシュカの指揮芸術に対しては、近年、急速に評価が高まりつつあり、幻が現実となりつつある。ことにわが国では2004年に初来日して以来、日本のオーケストラへの客演活動を続けているし、2008年4月には札幌交響楽団の首席客演指揮者にも就任、関係が深くなりつつある。今回はそんな名匠とN響との初めての出会いである。取り上げられる作品はスメタナの《わが祖国》(全曲)という究極の名作である。馥郁たるチェコ音楽の息づかいに魅せられると同時に、78歳の名匠のもとN響がどのような演奏を作り出すのか今から注目である。
■2度目の登場、下野竜也による大胆な組み合わせのBプロ
Bプロには読売日本交響楽団正指揮者のポストにある下野竜也が登場する。下野とN響は2007年12月定期が初顔合わせだったから、今回が2回目である。先の初顔合わせの公演で下野はプログラミングに個性を発揮、コンサートをフンパーディンクのオペラ《ヘンゼルとグレーテル》の「前奏曲」で始めて、最後を同じオペラから「夕べの祈り」「夢のパントマイム」で閉じるという、アーチ型とでもいうべき心憎い配慮を見せて聴衆にさわやかな感銘を与えてくれた。今回は、ファンファーレが印象的なベー
トーヴェンの《献堂式》序曲、トランペットもソリストとして加わるショスタコーヴィチの《ピアノ協奏曲第1番》、そしてフランクの《交響曲》ニ短調と、時代的にも、民族色の点でも実に幅広い、大胆な組み合わせのプログラムで臨む。
ショスタコーヴィチでのピアノ・ソロは、2002年ラヴェルの《ピアノ協奏曲》を好演したイギリスの俊英スティーヴン・オズボーン(この時の指揮はギルバート)、トランペットのソロはN響の首席奏者、関山幸弘という実力者が登場、完成度の高い演奏が期待されよう。さらにフランクの《交響曲》では下野がN響からどのような深みあふれる響きを導き出し、熱い演奏を作り出してくれるのか今から楽しみは尽きない。
■初登場のイタリア人指揮者リッツィの2曲のドヴォルザーク
Cプロには、イタリア人指揮者カルロ・リッツィが初登場する。1960年ミラノ生まれと聞くだけで、イタリア指揮界のサラブレッドかとの印象を与えられるが、確かにリッツィはこれまでメトロポリタン・オペラ、コヴェント・ガーデン王立歌劇場、
ベルリン・ドイツ・オペラなど世界有数の歌劇場で華々しいキャリアを重ねてきた実力者である。最近の話題としては、2005年に急逝したマルチェルロ・ヴィオッティに代わってザルツブルク音楽祭で《椿姫》を指揮(アンナ・ネトレプコのヴィオレッタ、ロランド・ビリャソンのアルフレードという話題の公演だった)、大きな成功に導いたことが記憶に新しい。 そんなリッツィがN響と初共演するわけだが、曲目はドヴォルザークの名曲が2曲で、《チェロ協奏曲》ロ短調と《交響曲第9番「新世界から」》という親しみやすいものである。協奏曲ではいぶし銀の名チェリスト、ミクローシュ・ペレーニが登場、陰影感あふれる作品の世界を堪能させてくれるものと確信されるし、《新世界から》では熱い歌心にあふれたマエストロの指揮ぶりに注目である。
NHK交響楽団2月のコンサート情報(クリックするとNHKサイトを離れます)
投稿時間:11:55
トラックバック
■
■この記事へのトラックバック一覧
※トラックバックはありません

