2012年07月02日 (月)NHK交響楽団 2012/13シーズン定期公演の聴きどころ


●マゼール編《指環》管弦楽曲集、
ヴェルディ《レクイエム》ほか意欲的なプログラム

AndrePrevin_.jpg昨年の創立85周年を経て、ますます進化を続けるNHK交響楽団の2012/13シーズンは、現在首席客演指揮者であり、この9月から新たに名誉客演指揮者となるアンドレ・プレヴィンの指揮するマーラー《交響曲第9番》で始まる。2011年の北米公演の成功で一層結びつきを深めたプレヴィン&N響が記憶に残る名演を繰り広げることだろう。また、プレヴィンがN響と長年取り組んできたモーツァルト(今回は《交響曲第1番》と《第41番「ジュピター」》)も楽しみ。MyungWhunChung_.jpgマーラーといえば、2013年1月にデーヴィッド・ジンマンが《交響曲第7番》を取り上げ、2010年に始まったN響のマーラー交響曲シリーズが全曲完結する。チューリヒ・トーンハレ管弦楽団とマーラーの交響曲全集の録音を完成させたジンマンは現代屈指のマーラー指揮者。難曲とされる《交響曲第7番》で、クリアで美しい演奏を展開するに違いない。N響とは、既にマーラーの《交響曲第1番「巨人」》、《第3番》、《第9番》で共演しているチョン・ミョンフンが、6月に《第5番》を振るのも聴き逃せない。

今年1月のショスタコーヴィチ《交響曲第10番》での名演が記憶に新しいレナード・スラットキンが9月に再登場し、ショスタコーヴィチ《交響曲第7番「レニングラード」》などロシア音楽を指揮する。フランス国立ロワール管弦楽団とミラノ・ジュゼッペ・ヴェルディ交響楽団のシェフを兼務するジョン・アクセルロッド(1月)は、ショスタコーヴィチ《交響曲第5番》を振り、師匠バーンスタインの《交響曲第2番「不安の時代」》を披露する。ロシアの名匠、ウラディーミル・フェドセーエフ(5月)もショスタコーヴィチ《交響曲第1番》などのロシア音楽特集。3人のマエストロによるショスタコーヴィチの交響曲の競演に注目したい。
 
LorinMaazel_.jpg10月は世界的な巨匠、ロリン・マゼールが初めてN響の指揮台に立つ。スクリャービン《法悦の詩》やラヴェル《スペイン狂詩曲》《ボレロ》では、オーケストラの醍醐味(だいみ)を満喫させてくれるだろう。マゼール自身が編んだ、ワーグナーの《ニーベルングの指環》管弦楽曲集である、《言葉のない「指環」》も興味津々だ。
 
2009年4月以来の再登場となる名匠エド・デ・ワールト(11月)は前回同様ワーグナーとR.シュトラウスの大作。《ワルキューレ》第1幕(演奏会形式)と《家庭交響曲》は期待できよう。ブルックナー《交響曲第8番》ではデ・ワールトの円熟を聴く。

CharlesDutoit_.jpg12月に登場する名誉音楽監督シャルル・デュトワは、彼らしい多彩なプログラム。《青ひげ公の城》《エレクトラ》などのオペラを演奏会形式で上演して目覚ましい成果を上げてきたデュトワ&N響が、今回はストラヴィンスキーとラヴェルの短めのオペラを取り上げる。《夜鳴きうぐいす》と《こどもと魔法》はファンタジーに富んだ作品。ストラヴィンスキー《春の祭典》とレスピーギ「ローマ三部作」はデュトワの十八番だ。

アメリカ出身のヒュー・ウルフ(2月)はプロコフィエフ《「ロメオとジュリエット」組曲第1、2番》でN響に初登場する。東京クヮルテットの第1ヴァイオリン奏者から指揮者に転身し、トロント交響楽団の音楽監督を務めるピーター・ウンジャン(4月)のN響デビューは、ラフマニノフの《交響曲第2番》。

N響ファンにお馴染みの準・メルクル(2月)は、サン・サーンス《交響曲第3番》やラヴェルのバレエ音楽《ダフニスとクロエ》など、前シーズンに引き続き、フランス音楽を取り上げる。フランス国立リヨン管弦楽団での経験が活かされるだろう。

3年ぶりとなるセミョーン・ビシュコフ(4月)は、ヴェルディ生誕200年を記念して、《レクイエム》を振る。圧倒的な演奏を繰り広げるに違いない。また、1990年代にパリ管弦楽団の音楽監督を務めた彼にとって、ベルリオーズの《幻想交響曲》は十八番のレパートリー。

otakatadaaki_.jpgアジアの音楽家の活躍も著しい。中国出身の作曲家・指揮者、タン・ドゥン(5月)は、自らの新作《ハープ協奏曲「涙の書」》とともにN響の指揮台に戻ってくる。韓国出身のマエストロ、チョン・ミョンフン(6月)は、前述のマーラーの《交響曲第5番》のほか、ウィーン・フィルとの録音も残す得意曲、ロッシーニ《スターバト・マーテル》を指揮する。正指揮者・尾高忠明(5月)は、ウォルトン《交響曲第1番》を中心とするオール・イギリス・プログラム。N響との共演を重ねる下野竜也(6月)も、イギリスのホルストの《惑星》を取り上げる。デュトワやデ・ワールトが指揮する武満作品も楽しみ。

●豪華なソリスト陣に酔う!
レーピン、ムローヴァ、グリモー、ラベック姉妹……

ソリスト陣も豪華。ヴァイオリンでは、ジャニーヌ・ヤンセン(11月)、ワディム・レーピン(12月)、ヴィクトリア・ムローヴァ(4月)、チェロでは、ダニエル・ミュラー・ショット(2月)に注目。ピアノでは、エレーヌ・グリモー(1月)のブラームス《ピアノ協奏曲第2番》が最大の聴きもの。ルイ・ロルティ(12月)、ポール・ルイス(2月)、カティア&マリエル・ラベック(4月)、ネルソン・ゲルナー(6月)らの出演もうれしい。ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団から、コンサートマスターのライナー・キュッヒル(10月)、若き首席クラリネット奏者のダニエル・オッテンザマー(10月)が招かれ、協奏曲を披露する。N響からは、ソロ・コンサートマスターの堀正文(11月)、テューバ奏者の池田幸広(5月)、ハープ奏者の早川りさこ(5月)が独奏者を務める。

(山田治生)


※曲目・出演者等の変更の場合があります。あらかじめご了承ください。

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投稿時間:10:00


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