N響の聴きどころ
2012年01月31日 (火)NHK交響楽団 2月定期公演の聴きどころ
同世代の指揮者二人の競演
NHK交響楽団の2月の定期公演3プログラムには、不思議な共通点がある。指揮者は、1965年生まれのベルトラン・ド・ビリーと、1964年生まれのジャナンドレア・ノセダと、同世代の二人。A、B、C、いずれのプログラムにもロシアの作曲家による協奏曲が演奏され、それぞれの独奏者は、いずれも1970年を中心に前後5年に収まる生まれ。まるでテーマがあるかのような統一感のある 3プログラムからは、なにか面白そうな予感がしてくる。
待望のN響デビューを飾るベルトラン・ド・ビリー
Aプログラムは、2月11日(土)午後6時開演、2月12日(日)午後3時開演、NHKホール。ドビュッシー《牧神の午後への前奏曲》、イザベル・ファウストのヴァイオリンでプロコフィエフ《ヴァイオリン協奏曲第1番》、そしてシューベルトの大作《交響曲第8番ハ長調「ザ・グレート」》。 指揮はベルトラン・ド・ビリー。
ド・ビリーはパリ生まれのフランス人だが、ウィーンで名声を築き、今非常に人気の高い指揮者。今回が待望のN響デビューである。気持ちよく弾むリズムを武器にした活きの良い音楽作りに加え、オペラを得意とするだけに長大な曲をまとめる能力にも長けており、シューベルト《ザ・グレート》は充実した演奏が期待できるだろう。そしてドイツの知性派ヴァイオリニスト、イザベル・ファウストが、モダンな美しさを湛えたプロコフィエフ《ヴァイオリン協奏曲》を弾く。弓捌(さば)きからして格好のよいファウスト、さぞや見事な切れ味のプロコフィエフを弾いてくれることだろう。
近代イタリアの大作曲家、カセルラをノセダのタクトで
Cプログラムは、2月17日(金)午後7時開演、2月18日(土)午後3時開演、NHKホール。デニス・マツーエフのピアノによるチャイコフスキー《ピアノ協奏曲第1番》と、カセルラ《交響曲第2番》。指揮はジャナンドレア・ノセダ。注目はカセルラ(1883~1947)の交響曲。カセルラは 20世紀前半のイタリアの重要な作曲家で、ことにイタリアにおける新古典主義の旗手として知られる。《交響曲第2番》はカセルラが20代後半のときの作品で、音楽にはまだ後期ロマン派の影響が色濃く残っている。これは R.シュトラウスやマーラーの交響曲がお好きな方には聴き逃せないものだ。ノセダはこの曲に取りつかれた一人のようで、近年好んで取り上げている。チャイコフスキー《ピアノ協奏曲第1番》では、1998年の第11回チャイコフスキー国際コンクールの優勝者、デニス・マツーエフの鮮やかなピアノ独奏を堪能できるだろう。
成長著しいディンドがソロを弾くショスタコーヴィチに注目
Bプログラムは、2月22日(水)、2月23日(木)、共に午後7時開演、サントリーホール。エンリコ・ディンドを独奏者に迎えて、ショスタコーヴィチ《チェロ協奏曲第2番》、そしてラフマニノフ《交響曲第3番イ短調》。こちらも指揮はジャナンドレア・ノセダ。ショスタコーヴィチ《協奏曲》のソリスト、ディンドは元ミラノ・スカラ座の首席チェリスト。かの名チェリスト、ロストロポーヴィチがその晩年、ディンドに大きな期待を寄せて、自ら伴奏指揮者を買って出るなど、ディンドがソリストとして一人立ちする後押しをしていた。ディンドもロストロポーヴィチの精神を受け継ぎ、作品の内面に喰らいつくような求心力を得て、近年大きな注目を浴びるチェリストに成長した。
ショスタコーヴィチ《チェロ協奏曲第2番》は、ロストロポーヴィチが初演を託された曲だ。この苦難だらけの人生を送った作曲家の最晩年の渋く暗い音楽を、ディンドは、ロストロポーヴィチから受け継いだ精神で深く掘り下げてくれることだろう。イタリア人ノセダは、長きに渡ってサンクト・ペテルブルクのマリインスキー劇場においてワレリー・ゲルギエフの下で働き、ロシア音楽も得意としている。名ピアニスト、ラフマニノフ《交響曲第3番》を彼が取り上げたのは、決して上演頻度の高くないこの作品の真価を問わんとしているからこそだろう。《交響曲第3番》は、ラフマニノフがロシアを離れてから米国に移住するまでの間、スイスを拠点としていた時期の作品。ロシア時代のピアノ曲における甘く美しいラフマニノフとはまた異なった、激動の時代の中で進むべき道を切り開こうとする人間ラフマニノフの姿を、ノセダはシャープに描いてくれることだろう。
(吉田光司)
NHK交響楽団2月のコンサート情報はこちら
(クリックするとNHKサイトを離れます)
投稿時間:11:50 | 固定リンク
トラックバック (0)
2011年12月16日 (金)NHK交響楽団 1月定期公演の聴きどころ
対照的な二人のマエストロの至芸を楽しむ
2012年の最初の月に、N響定期公演に登場する二人のマエストロは、生まれた場所から始まって、キャリアの築き方やレパートリーに至るまで、きわめて対照的である。1944年に指揮者として有名なフェリックス・スラットキンの子息としてロサンゼルスで生まれ、30代半ばでセントルイス交響楽団の音楽監督に就任したレナード・スラットキンに対して、1931年にチェコのズデーデン地方で生まれたラドミル・エリシュカは、教育者としても活躍した後に、円熟した老巨匠として日本の聴衆の前に姿を現した指揮者である。
スラットキンのルーツ、ロシアを味わう《悲愴》
1月定期のA・Bプログラムを指揮するスラットキンは、とても幅広いレパートリーの持ち主として名高い。1984年10月の初共演以来、たびたびN響の指揮台にのぼっており、今回は2008年末のベートーヴェンの《第9》から約3年ぶりの登場ということになる。
Aプログラムは、ティンティナブリ(鈴鳴らし)様式から独特の瞑想感がにじみ出すペルトの《フラトレス》でスタート。今やすっかり演奏会のオープニングの演目に定着した感がある同曲に続くのは、「メイド・イン・USA」のヴァイオリン協奏曲のなかで、もっとも愛奏されているバーバーの作品だ。苦みが混じった甘さと豊かな瞑想性に加え、ときおり爆発するハードボイルドな響きが印象的な楽曲である。ソロを担当するナージャ・サレルノ・ソネンバーグは、思い切りのよい表現を身上にしており、バーバーの協奏曲を十八番にしているだけに、大いに期待しよう。彼女は近年、米西海岸の室内オーケストラで音楽監督を務めるなど、ますます音楽作りの幅が増していることも記しておきたい。
音楽一家として著名なスラットキン家のルーツは、ロシアにある。レナードは、すでに交響曲全集と三大バレエの全曲盤のレコーディングを行うなど、チャイコフスキーを得意にしており、今回の《悲愴》も味わい深い演奏になることだろう。
24年ぶりのスラットキンのショスタコーヴィチに期待
Bプログラムは、スラットキンが第1056回定期公演(1988年6月9、10日)でも取り上げたショスタコーヴィチの《交響曲第10番》を披露する。作曲者の立ち位置がこの約四半世紀の間に、「調性が保護されていたソヴィエト連邦の御用作曲家」から「20世紀最大のシンフォニスト(交響曲作家)」へと変化したことを思い起こせば、再びスラットキンの指揮で《第10番》に接することができる喜びは、きわめて大きなものがある。
24年前の定期公演の1曲目は、ヴェルディの《「シチリア島の夕べの祈り」序曲》であったが、今回はやはりイタリア・オペラの雄であるロッシーニの《「どろぼうかささぎ」序曲》が演奏される。
ルトスワフスキの《チェロ協奏曲》は、ショスタコーヴィチの盟友ともいえるロストロポーヴィチが初演した名作であり、前衛的な書法から脱して、独自の個性を開花させつつあった作曲家の筆致を堪能することができる。鋭いセンスとテクニックを兼ね備えたジャン・ギアン・ケラスのソロにもご注目のほどを!
ヤナーチェク秘伝の《シンフォニエッタ》を披露するエリシュカ
Cプログラムを指揮するのは、チェコ・ドヴォルザーク協会の会長でもあるラドミル・エリシュカだ。彼にとってN響定期公演に初登場した第1640回定期公演(2009年2月7、8日)で指揮をしたスメタナ《交響詩「わが祖国」》は、その年の「最も心に残ったN響コンサート」の第1位に輝いただけに、今回のオール・チェコ・プログラムは、演奏会の日が待ち遠しい!
1曲目のスメタナの《交響詩「ワレンシュタインの陣営」》は、シラーの戯曲に基づくもの。ヤナーチェクの高弟バカラに師事したエリシュカは、テンポの動かし方をはじめ、出版されているスコアには書かれていない秘伝を師匠からたっぷりと受け継いでおり、今回の《シンフォニエッタ》でも、楽曲の真髄を明らかにしてくれるに違いない。
筆者がインタヴューした際に、“ドヴォルザークで大切なのは歌である”と強調していたエリシュカのドヴォルザーク《交響曲第6番》に関しては、もはや説明不要であろう。濃厚な民族色が香る“スラヴ時代”の決算期に書かれた《第6番》は、後期3大交響曲に比べると演奏機会が限られている楽曲だけに、聴き逃すことができない貴重なコンサートである。
(満津岡信育)
NHK交響楽団1月のコンサート情報はこちら
(クリックするとNHKサイトを離れます)
投稿時間:10:16 | 固定リンク
トラックバック (0)
2011年11月28日 (月)NHK交響楽団 12月定期公演の聴きどころ
デュトワによる意欲的なプログラム
12月の定期公演ではN響名誉音楽監督シャルル・デュトワが3つのプログラムを指揮する。マーラーからバルトーク、プロコフィエフ、ヒンデミットらの20世紀前半に作曲された傑作を柱とした、きわめて意欲的な作品が並ぶ。
とりわけ瞠目に値するのは二つの大作だろう。
一つはマーラーの《交響曲第8番「一千人の交響曲」》。その怪物的な規模の大きさゆえに実演で聴く機会は限られているが、実演でなければその真の偉容に触れることのできない大作でもある。
もう一つはバルトークの《歌劇「青ひげ公の城」》。演奏会形式で上演される。オペラとはいえ、約1時間ほどの長さで、歌手2名のみで上演が可能、また物語上の場面転換もないこともあり、むしろ演奏会形式でこそ音楽の骨格が伝わりやすい作品ともいえる。
20世紀作品を指揮する際のデュトワの手腕の鮮やかさは定評のあるところ。管弦楽の色彩の豊かさ、ダイナミズムを十全に引き出してくれるにちがいない。
記念碑的な公演になること必至のAプロ
Aプログラムは「マーラー没後100年」シリーズの掉尾を飾る《交響曲第8番「一千人の交響曲」》。バンダを伴う巨大編成のオーケストラに8人の独唱者、さらに混声合唱と児童合唱を要する音楽史上最大級の大規模作品が上演される。「一千人の交響曲」とは初演時の興行主がつけたキャッチフレーズだが、これは比喩的表現ではなく、事実一千人を超える数の演奏者が舞台上に並んだことが記録されている。初演は嵐のような熱狂を呼び起こし30分近くにわたる喝采が続いてマーラーの名声を絶頂にまで高めたと伝えられる。
この曲をN響が演奏するのは約20年ぶりのこと。前回は1992年1月に当時のN響正指揮者、故・若杉弘が指揮している。さらにその前回となると1949年、山田一雄指揮日本交響楽団(現在のN響)による日本初演にまで遡ることを考えれば、一回一回の演奏そのものが日本のマーラー受容の歴史を形作っていると実感せずにはいられない。今回の演奏も記念碑的公演として長く記憶に残ることだろう。
デュトワ&N響コンビの本領が発揮されるBプロに期待
Bプログラムはヒンデミットの《ウェーバーの主題による交響的変容》、プロコフィエフの《ピアノ協奏曲第3番》、バルトークの《オーケストラのための協奏曲》の 3作品が並ぶ。ドイツ、ロシア、ハンガリーの作曲家による20世紀音楽であるが、いずれの作品も斬新さとともに明快さと古典的性格を伴うポピュラリティの高い傑作である。
ヒンデミット作品はウェーバーの《4手のためのピアノ小品》および《劇音楽「トゥーランドット」》から主題を採り、これを交響曲風の4つの楽章に仕立てた作曲者円熟期の佳品。
プロコフィエフの《ピアノ協奏曲第3番》では独奏者にニコライ・ルガンスキーを迎える。確かなテクニックと磨きぬかれた音色によってロシア・ピアニズムの伝統を着実に受け継ぐルガンスキーならではの、鋭敏で透徹したプロコフィエフが披露されるだろう。
また、バルトークの《オーケストラのための協奏曲》ではオーケストラの華麗でスリリングな名技性を期待したい。デュトワ&N響コンビの本領が遺憾なく発揮されるプログラムだ。
大作《青ひげ公の城》と、新鋭ヴァイオリニストを愉しむCプロ
Cプログラムはブラームスの《ヴァイオリン協奏曲》とバルトークの《歌劇「青ひげ公の城」》(演奏会形式)が組み合わされる。
ヴァイオリン独奏は今もっとも注目を浴びる才色兼備の新鋭リサ・バティアシュヴィリ。グルジア生まれで、ミュンヘンでアナ・チュマチェンコに師事、著名オーケストラとの共演およびメジャー・レーベルへの録音も多く、近年一気にスターダムへと上りつめた感がある。
バルトークの《歌劇「青ひげ公の城」》は閉塞した空間での男女の葛藤を描いた怪奇な心理劇。青ひげ公の城には7つの扉がある。青ひげは新妻ユディットに扉を開けてはならぬと警告するが、ユディットは開扉を求め一つまた一つと扉を開ける。曲はプロローグとそれぞれの扉に対応する7曲からなる。ユディットは扉の向こう側に拷問部屋、武器庫、秘密の花園を発見する……。果たして最後に発見されるのは? 客席でその寓意をじっくりと噛みしめたい。
(飯尾洋一)
NHK交響楽団12月のコンサート情報はこちら
(クリックするとNHKサイトを離れます)
投稿時間:10:10 | 固定リンク
トラックバック (0)
2011年10月28日 (金)NHK交響楽団 11月定期公演の聴きどころ
三者三様の多彩な響きに期待
イルジー・コウトの来日が叶わなくなったのは残念だが、快復と次の機会を心待ちにする私たちにはしかし、新しい期待と喜びもある。11月定期はプログラムを変更することなく、結果として3人の個性豊かな指揮者を迎える。準・メルクルがA定期、ワシーリ・シナイスキーがC定期を指揮。ネーメ・ヤルヴィが初登場して、B定期を指揮するのも新たな話題である。
メルクルは 1959年ミュンヘン生まれで50代、シナイスキーは 1947年生まれで60代、ヤルヴィはコウトと同じ1937年、エストニアのタリン生まれの70代で、ほぼ10年ずつ異なる世代の旗手として活躍してきた。ヤルヴィとシナイスキーはレニングラード音楽院の出身で、前者がムラヴィンスキー、戦後世代の後者はムーシンの弟子でゲルギエフの先輩格だ。
3つのプログラムを別々の指揮者が振り分けるのは、今シーズンでは5月だけ。三者三様の指揮者がNHK交響楽団からどう多彩な響きとパッションを抽き出してみせるか、それぞれに楽しみなことである。
新世代による鮮やかなマーラー・シリーズ
N響と準・メルクルは、2012年5月B定期でのドビュッシーとラヴェルに先立ち、没後100年のマーラー・シリーズの《リュッケルトによる5つの歌》、《交響曲第4番》で再会する。メルクルのマーラーは、2003年10月のNHK交響楽団との《交響曲第2番「復活」》が、この年の「N響ベスト・コンサート」第2位に選ばれている。フランス国立リヨン管弦楽団の音楽監督として、2007年に《交響曲第3番》を指揮した演奏もCD化されているので、《第4番》が実演で聴けるのは、代役とはいえ幸運なめぐりあわせだ。
1997年以来、毎年のように共演を重ねる確かなパートナーであり、歌劇場での大躍進が先行した指揮者で、声楽つきの大作も得意とするだけに適性も高く、新世代のマーラーを鮮やかに描き出すだろう。イギリス連邦モーリシャス共和国に生まれ、ドイツで躍進するダニエレ・ハルプヴァクスのソプラノにも期待がかかる。
巨匠ネーメ・ヤルヴィとN響との初顔合わせ
B定期はネーメ・ヤルヴィとの初顔合わせとなる。長大なキャリアからすれば意外だが、それだけに驚きと喜びも大きい。74歳の巨匠は現在、スイス・ロマンド管弦楽団の芸術監督。デトロイト交響楽団の名誉音楽監督、エーテボリ交響楽団名誉首席指揮者、日本フィルハーモニー交響楽団の客員首席指揮者も務めている。
450枚を超えるというアルバム録音を含め、膨大なレパートリーを網羅するが、ドヴォルザークに関しては昨シーズンも《交響曲第9番》、《テ・デウム》、《スターバト・マーテル》、交響詩《水の精》ほか多様な作品を指揮しているだけに、本定期の《第7番》が楽しみだ。ブロムシュテットの《第9番》(9月A定期)、エリシュカの《第6番》(1月C定期)との聴き比べも興味深い。
ベートーヴェンの《ヴァイオリン協奏曲》で独奏を務める新星セルゲ・ツィンマーマンにも大きな期待がかかる。1991年ケルンの生まれ。父は名手のフランク・ペーターで、ヤルヴィの長男パーヴォと同世代だから、巨匠にとっては孫世代との共演となる。
名実ともに当代ロシアを代表する指揮者 シナイスキーの登場
ワシーリ・シナイスキーは、コンドラシン時代のモスクワ・フィルハーモニー管弦楽団で研鑽を積み、1990年代には音楽監督・首席指揮者として躍進。その後、スヴェトラーノフの後任としてロシア国立交響楽団の音楽監督も務めた。2003年、ハイドン、ヒンデミット、R.シュトラウスという凝ったプログラムで、NHK交響楽団を初めて指揮。8年半ぶりの再登場だ。
2010年9月にはボリショイ劇場の首席指揮者・音楽監督に就任、名実ともに当代のロシアを代表する指揮者と目される。BBCフィルハーモニックとマルメ交響楽団の名誉指揮者も務める。この7月には読売日本交響楽団を指揮し、得意のロシア音楽を披露したばかりである。
マーラーの《アダージョ》では強烈な感情表現が、《大地の歌》でも壮大なスケールと逞しいエネルギーが諸処に宿るに違いない。アルト独唱のクラウディア・マーンケは、2008年にNHK交響楽団定期公演の《トリスタンとイゾルデ》で、ブランゲーネを歌っているし、ジョン・トレレーベンはイギリスのコーンウォール出身のテノールで、2003年と 2004年には新国立劇場でジークフリート役を演じたので、ともにご記憶の方も多いだろう。
(青澤隆明)
NHK交響楽団11月のコンサート情報はこちら
(クリックするとNHKサイトを離れます)
投稿時間:10:01 | 固定リンク
トラックバック (0)
2011年09月26日 (月)NHK交響楽団 10月定期公演の聴きどころ
円熟味あふれるプレヴィンの十八番が並ぶプログラム
2011年3月、NHK交響楽団はアメリカ合衆国およびカナダの4都市を巡る北米ツアーを敢行。大震災直後だったこともあってか各都市ではあたたかい歓迎を受け、音楽の持つ力と可能性を再認識する有意義なコンサートになった。そのツアーで指揮したのが、首席客演指揮者であるアンドレ・プレヴィン。定期公演等での共演や楽員たちとの室内楽で絆(きずな)を強めてきたマエストロは、コンサートホールに集う(楽員も含めた)すべての人々を音楽で幸福にしてくれる指揮者だ。
10月定期で3つのプログラムを指揮するマエストロだが、どの曲も長いキャリアにおいて繰り返し指揮をしてきた作品。ゆえに私たちは、プレヴィンが得意とする曲で円熟した芸術をじっくりと味わえるのである。
Aプロは言葉の一語を噛みしめるような演奏に──
Aプログラムは、ヒューマンな精神があふれるブラームスの《ドイツ・レクイエム》。ブラームスは若い頃よりプレヴィンが得意とする作曲家で、ロンドン交響楽団など手兵を連れての来日公演では、いつも交響曲をプログラムに入れている。昨年11月の「NHK音楽祭」ではひと晩で交響曲第3番・第4番を指揮し、満員の聴衆がその流麗さにため息をついたことも記憶に新しいだろう。
プレヴィンのブラームスは常にメロディを上品に歌い上げ、奇抜なことをせずに落ち着いた響きで曲の素晴らしさを教えてくれるタイプの演奏。端正な音楽の構築や、じっくりと音符のひとつひとつに語らせるスタンス、作為のない自然な旋律の歌わせ方、そして揺るぎないスコアへの献身から、あの流れるような音楽が生まれる。
現在はそこに円熟味が加わり、音のひとつひとつ、言葉(歌詞)の一語を噛(か)みしめるような演奏を聴かせてくれるだろう。中嶋彰子、デーヴィッド・ウィルソン・ジョンソンという、やはり音楽と言葉のメッセージをしっかりと伝えてくれる2人の歌手が、しみじみとした名演に深みを与えてくれると期待したい。
ソリストのチェ・イェウンに期待が高まるBプロ
Bプログラムは、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団ほかオーストリアやドイツのオーケストラからも信頼を得ていたプレヴィンらしい、モーツァルトとR.シュトラウス。そして得意とするロシア音楽から、その筆頭であるショスタコーヴィチの作品。
NHK交響楽団のお客様であればご承知だろう、プレヴィンが弾き振りスタイルで曲の優美さやふくよかさを表現する、モーツァルトのピアノ協奏曲を。スコアに投げかけられる眼差しは交響曲でも同様であり、平和な気分をもたらしてくれるハ長調交響曲の《リンツ》であれば、聴き手の喜びも倍増するはずだ。
ショスタコーヴィチの《ヴァイオリン協奏曲第1番》は、地下水脈のように緊張感が漂う中、透徹した静けさや感情の高揚などが交錯する作品。ソリストには長大なカデンツァを含む、難易度が高いソロ・パートが用意されている。1988年生まれのチェ・イェウンは欧米を中心にキャリアを積み、特にアンネ・ゾフィー・ムターが才能を買ってサポートしてきた逸材だ。今回の定期公演登場は彼女にとっても大きなチャレンジとなる。
R.シュトラウスが生み出した豊穣なロマンの花束と言える歌劇《ばらの騎士》は、今年が初演100年となる。全曲を体験する際の幸福感はたとえようもないが、オーケストラによる名場面集と評したい演奏会用組曲もまた、作品の魅力を味わうには遜色(そんしょく)ない。冒頭の前奏曲や銀のばらの献呈シーン、第2幕の有名なワルツなどが次々に登場。プレヴィンとNHK交響楽団は、精緻なスコアからシルクのように肌触りのいいタッチを引き出してくれるだろう。
大曲に挑むCプロ
Cプログラムのメシアン《トゥランガリラ交響曲》も、実はプレヴィンが得意とする作品。首席客演指揮者に就任した時より、ぜひ共に演奏したいと熱望していたという。マエストロのアプローチは先鋭的なものではなく、作品全体を覆う普遍的な愛と憧れ、そして慈愛を感じさせる豊かな響きにあふれたもの。1977年にロンドン交響楽団を指揮して録音したレコードでは、ジャケットにマルク・シャガールの作品が使われており、演奏と相まって浪漫的な印象を強くしたものだった。
過去にも小澤(日本初演)、サロネン、デュトワ、メルクル等の指揮でこの大曲を演奏してきたNHK交響楽団だが、今回はホールが静かな陶酔と微笑みに満たされることだろう。曲を熟知した児玉桃、原田節の2人もたのもしい。なお、この曲の第5楽章は過去に「N響アワー」のテーマ音楽として使われていたため、全曲の演奏を楽しみにされている方も多いのではないだろうか。
(オヤマダアツシ)
NHK交響楽団10月のコンサート情報はこちら
(クリックするとNHKサイトを離れます)
投稿時間:10:35 | 固定リンク
トラックバック (0)
2011年07月01日 (金)NHK交響楽団 2011/12シーズン定期公演の聴きどころ
●マーラー・シリーズ、いよいよクライマックスへ!
――マエストロたちが贈る名曲・大曲・野心作
生誕150年と没後100年を記念して、2010年から2011年にかけて進められてきた「マーラー・シリーズ」。この2年間、ノリントン《交響曲第1番》、シュテンツ《第2番》、チョン・ミョンフン《第3番》、ビシュコフ《第5番》、アシュケナージ《第6番》、ブロムシュテット《第9番》など、実に個性的で多彩なマーラー演奏が繰り広げられてきたが、名誉音楽監督シャルル・デュトワの《第8番「一千人の交響曲」》によって、いよいよクライマックスを迎える。世界の一流歌手を集めての上演は聴き逃せない。チェコの名匠イルジー・コウトは、《交響曲第4番》、《交響曲「大地の歌」》、《交響曲第10番》から「アダージョ」などを取り上げる。ドイツ・ロマン派の作品で名演を残す彼がマーラーの真髄を示す。
古楽界のパイオニア、ロジャー・ノリントンは2011年4月にN響との「ベートーヴェン・シリーズ」を開始し、《交響曲第1番》と《第2番》で快演を披露。来シーズンは《第3番「英雄」》、《第4番》などを取り上げる。斬新な演奏が繰り広げられるに違いない。また、同胞ティペットの《交響曲第1番》も紹介する。
デュトワは来シーズンはバルトークにも重点をおく。歌劇《青ひげ公の城》(演奏会形式)が楽しみ。声楽入りの大作は得意とするところだ。《管弦楽のための協奏曲》は、1993年ヨーロッパ公演でも披露したデュトワ&N響の十八番の一つ。
桂冠指揮者ウラディーミル・アシュケナージは、チャイコフスキーやラフマニノフなど共感を寄せるロシア音楽のほか、オール・シューマン・プロやR.シュトラウス《交響詩「ツァラトゥストラはこう語った」》などのドイツ音楽を手掛ける。
名誉指揮者ヘルベルト・ブロムシュテットは、ドレスデン時代に名盤を残すブルックナー《交響曲第7番》に忘れがたい名演の予感。そのほかドヴォルザーク《交響曲第9番「新世界から」》、シューベルト《交響曲第7番「未完成」》、チャイコフスキー《交響曲第5番》など、巨匠の手による"名曲"が本当に楽しみだ。
3月のN響北米公演を成功に導いた首席客演指揮者アンドレ・プレヴィンは、ブラームス《ドイツ・レクイエム》とメシアン《トゥランガリラ交響曲》という大曲を振る。ともに古くからのレパートリー。R.シュトラウス《歌劇「ばらの騎士」組曲》はウィーン・フィルと名盤を残す十八番の一つ。共演のたびに取り上げるモーツァルト、今回は《交響曲第36番「リンツ」》だ。
正指揮者・尾高忠明は、フォーレと並ぶフランス宗教音楽の傑作、デュリュフレ《レクイエム》を選んだ。
そのほかの客演では、アメリカを代表する名指揮者レナード・スラットキンの登場に注目。チャイコフスキーやショスタコーヴィチで熱い演奏が聴けそうだ。チェコの重鎮ラドミル・エリシュカは2年ぶりの共演。チェコ音楽のプログラムが組まれているが、村上春樹『1Q84』でも使われたヤナーチェク《シンフォニエッタ》を作曲家の高弟に師事したエリシュカの指揮で聴けるのは楽しみ。フランス出身のベルトラン・ド・ビリーはN響初登場。ウィーン放送交響楽団首席指揮者を務めた彼がシューベルト《交響曲第8番「ザ・グレート」》でどんな演奏スタイルを採るのだろうか。トリノ王立歌劇場音楽監督を務め、2010年の同歌劇場来日公演を成功させたジャナンドレア・ノセダは4年ぶりの来演。20世紀イタリアのカセルラの《交響曲第2番》を紹介する。
N響の"常連"というべき準・メルクルは、2012年に生誕150年を迎えるドビュッシーの比較的珍しい作品を手掛ける。近年、N響との共演を重ねる広上淳一は、若きバーンスタインの野心作、《交響曲第1番「エレミア」》を取り上げる。
●次々に登場する若手・実力派・名手たち
――多彩なソリスト陣の魅力を存分に
ソリスト陣も魅力的だ。まずはピアノ。ノルウェーの名手レイフ・オヴェ・アンスネスのラフマニノフ《ピアノ協奏曲第3番》はシーズンの白眉。ロシアの実力派、ニコライ・ルガンスキーとデニス・マツーエフは祖国の名曲を。1970年のショパン・コンクール優勝者ギャリック・オールソンはショパン《ピアノ協奏曲第2番》を弾く。進境著しい河村尚子とノリントンの共演は興味津々。マルティン・ヘルムヒェンは2季連続の登場だ。
ヴァイオリンでは、韓国出身のイェウン・チェ、世界の檜舞台で活躍し、N響定期に既に2度登場しているリサ・バティアシュヴィリ、同じく2度登場しているヴェロニカ・エーベルレ、フランク・ペーター・ツィンマーマンの子息セルゲ・ツィンマーマンなど、若い世代の名手たちの登場が楽しみだ。チェ、バティアシュヴィリ、エーベルレはともにアナ・チュマチェンコの門下生であり、6月にはチュマチェンコ自身がシューマンの協奏曲を弾く。また、ギリシャ出身で今や現代を代表するヴァイオリニストの一人、レオニダス・カヴァコスがN響定期に帰ってくる。ナージャ・サレルノ・ソネンバーグやイザベル・ファウストら実力派の登場もうれしい。
チェロではジャン・ギアン・ケラスがルトスワフスキ《チェロ協奏曲》に挑み、イタリア出身のエンリコ・ディンドが2008年のショスタコーヴィチ《チェロ協奏曲第1番》に続き《第2番》を弾く。ノリントンの信頼厚い石坂団十郎も再登場。現代最高のホルンの名手ラデク・バボラークはグリエールの協奏曲を吹く。
(山田治生)
※曲目・出演者等の変更の場合があります。あらかじめご了承ください。
NHK交響楽団オフィシャルホームページはこちら
(クリックするとNHKサイトを離れます)
投稿時間:10:31 | 固定リンク
トラックバック (0)
2011年05月20日 (金)NHK交響楽団 6月定期公演の聴きどころ
N響桂冠指揮者ウラディーミル・アシュケナージが1年ぶりに登場。アシュケナージは、ピアニストとしても指揮者としても極めてレパートリーの幅が広い。昨年は、 ドヴォルザーク、マーラー、フランス音楽という多彩なプログラムを振ったが、今年は、マエストロが最も得意とする作曲家たちの作品を並べる。
Aプログラムはドイツ音楽。アシュケナージは、かつてベルリン・ドイツ交響楽団の首席指揮者を務めるなど、ドイツでも評価が高い。クリーヴランド管弦楽団とはR.シュトラウスの管弦楽曲集やブラームスの交響曲全集を録音した。R.シュトラウスの《変容》では、名手ぞろいのN響弦楽器のアンサンブルが堪能できるに違いない。ブラームスの《交響曲第4番》では、ドイツ系の巨匠たちとは一味違った演奏が聴けるだろう。
Bプログラムは、プロコフィエフとショスタコーヴィチ。まさにアシュケナージの十八番というべきレパートリー。ソ連での苦難の時代を知るアシュケナージがショスタコーヴィチの《交響曲第5番》をどう表現するだろうか。プロコフィエフの《ヴァイオリン協奏曲第2番》では、2007年チャイコフスキー国際コンクール優勝者である神尾真由子の独奏が楽しみ。
Cプログラムは、プロコフィエフとシベリウス。現在、アシュケナージはシドニー交響楽団とともにプロコフィエフの作品の録音をすすめ、アレクサンダー・ガヴリリュクとは2009年にピアノ協奏曲全曲を録音した。2000年に16歳で浜松国際ピアノコンクールに優勝したウクライナの鬼才が《ピアノ協奏曲第2番》で驚異的なテクニックを発揮することだろう。シベリウスは、フィルハーモニア管弦楽団と交響曲全集の録音を残すなど、早くから取り組んできたレパートリー。短いながらもシベリウスの集大成的傑作である《交響曲第7番》は大いに期待できそうだ。
(山田治生)
NHK交響楽団6月のコンサート情報はこちら
(クリックするとNHKサイトを離れます)
投稿時間:10:20 | 固定リンク
トラックバック (0)
2011年04月29日 (金)NHK交響楽団 5月定期公演の聴きどころ
尾高忠明による父・尚忠(ひさただ)の《交響曲第1番》
NHK交響楽団正指揮者であり、新国立劇場オペラ部門芸術監督や札幌交響楽団音楽監督も兼務する尾高忠明が登場。Aプロでは、尾高の父親であり、N響の前身である日本交響楽団の専任指揮者であった(そして、尾高賞に名前を残す)尾高尚忠の《交響曲第1番》と、尾高が得意とするR.シュトラウス作品から《交響詩「英雄の生涯」》が演奏される。

尾高尚忠の《交響曲第1番》は、1楽章のみの作品と思われてきたが、近年その第2楽章の楽譜が発見され、2006年9月に外山雄三がN響定期公演で世界初演して話題となった。今回も第2楽章を含めて演奏される。尾高尚忠は今年が生誕100周年(及び没後60周年)。若き日にウィーンで学んだ彼は後期ロマン派風の作品を残した。この交響曲の第2楽章もロマンチックなアダージョ。
自身もウィーンに留学した尾高忠明の本領はR.シュトラウスにあるのかもしれない。昨年1月のN響定期公演での《「ばらの騎士」組曲》が好評を博し、今年10月には新国立劇場で《サロメ》を指揮する。管弦楽法の粋を尽くした傑作《英雄の生涯》が楽しみだ。
尾高の十八番、イギリス音楽で名演を期待
Cプロは、尾高の十八番ともいえるイギリス音楽。特にエルガーの交響曲は、2008年5月に《第1番》で、2009年5月に《第2番》で、名演を繰り広げた尾高&N響のコンビだけに、《第3番》も期待できる。実は《交響曲第3番》は未完の作品で、エルガーはスケッチを残したまま、世を去ってしまっていた。そして20世紀末、イギリスの作曲家アンソニー・ペインがBBCから、その断片を組み立てて補筆してほしいと依頼される。1998年2月にアンドルー・デーヴィス&BBC交響楽団がペインによる補筆完成を初演した。エルガーの創作部分が少なく、ペインの補筆が大きな部分を占めるだけに、もちろん賛否はあるが、アンドルー・デーヴィスのほか、コリン・デーヴィス、リチャード・ヒコックスらのイギリスの名匠らがCD録音するなど、作品を評価する指揮者は少なくない。尾高忠明も札幌交響楽団と2007年にCD録音を残している。
Cプロの前半には20世紀イギリスの代表的な作曲家の一人であるウォルトンの《チェロ協奏曲》が演奏される。独奏はイギリス出身の名手、スティーヴン・イッサーリス。尾高とは長年の信頼関係にあり、何度も共演を重ねている。偉大なチェリスト、グレゴール・ピアティゴルスキーのために書かれた協奏曲で、イッサーリスと尾高との素晴らしいコラボレーションが聴けることだろう。
ロシアの新しい世代の実力派が登場
Bプロには、ロシアの新しい世代の実力派、アレクサンドル・ヴェデルニコフが登場する。1964年生まれ。2001年、ボリショイ劇場の音楽監督に就任。2009年6月のボリショイ劇場日本公演での《エフゲーニ・オネーギン》の名演は記憶に新しい。その後、ボリショイ劇場の音楽監督を退任し、現在、デンマークのオーデンセ交響楽団の首席指揮者を務めている。N響との出会いは、予定されていた指揮者の健康上の理由によるキャンセルのため、急遽来日し、代役を務めた2009年3月のN響オーチャード定期。プログラムを変更することなく、マーラーの《交響曲第1番「巨人」》などを指揮。短いリハーサルにもかかわらず、演奏会を成功に導き、オーケストラの信頼を獲得した。今回は、ヴェデルニコフが最も得意とするロシア音楽。ラフマニノフが最晩年に書いた《交響的舞曲》は、1941年にユージン・オーマンディ&フィラデルフィア管弦楽団が初演した、交響曲以上の充実した作品だ。チャイコフスキーの《ピアノ協奏曲第2番》は、《第1番》に比べ演奏機会が少ないが、隠れた名曲といえよう。独奏は、1979年、旧ユーゴスラヴィアのマケドニア生まれのシモン・トルプチェスキ。2001年、ウィグモア・ホールでのロンドン・デビュー・リサイタル以来、国際的に注目されている。チャイコフスキーの《第2番》では、ピアノのソロだけでなく、ヴァイオリンやチェロのソロにも注目したい。
(山田治生)
■出演者および曲目変更のお知らせ
5月Bプログラムに出演を予定しておりましたシモン・トルプチェスキ氏は、来日が不可能となりました。このため出演者・曲目を下記のとおり変更させていただきます。何とぞご了承くださいますようお願い申しあげます。
ピアノ:アレクサンドル・メルニコフ
チャイコフスキー / ピアノ協奏曲 第1番 変ロ短調 作品23
NHK交響楽団5月のコンサート情報はこちら
(クリックするとNHKサイトを離れます)
投稿時間:15:30 | 固定リンク
トラックバック (0)
2011年02月18日 (金)NHK交響楽団 4月定期公演の聴きどころ
2006年のN響との初共演が大きな話題となったロジャー・ノリントンが再びやってくる。オリジナル楽器によるロンドン・クラシカル・プレイヤーズを創設し、その斬新な演奏でセンセーションを巻き起こした古楽界の巨匠。近年は、シュトゥットガルト放送交響楽団の首席指揮者を務め、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団やベルリン・フィルハーモニー管弦楽団などを含むモダン楽器のオーケストラにも客演している。
そして今回、N響と「ベートーヴェン・シリーズ」を開始する。Aプロでは《交響曲第1番》を、Bプロでは《交響曲第2番》や《ピアノ協奏曲第5番「皇帝」》などを取り上げる。ロンドン・クラシカル・プレイヤーズ及びシュトゥットガルト放送響との2度にわたる交響曲全集録音が高い評価を得ているノリントンにとってベートーヴェンは十八番。N響との新たなシリーズが本当に楽しみだ。まだ20代の若さで3度目のN響定期公演出演となるマルティン・ヘルムヒェンの《皇帝》も期待される。また、Aプロでは、エルガーの《交響曲第1番》が演奏される。イギリス人ノリントンにとってエルガーは特別な作曲家に違いない。前回のN響との共演でもエルガー作品で名演を残した。
Cプロではマーラーの没後100年を記念して、《交響曲第1番「巨人」》などマーラーの初期の作品が取り上げられる。ノリントンは、19世紀や20世紀の作品でも、ヴィブラートを抑えた「ピュア・トーン」を特徴とする古楽的なアプローチを採り入れている。今回のマーラーでも新鮮で美しい演奏が聴けるに違いない。また、《巨人》から外された《花の章》や《巨人》と旋律を共有する《さすらう若者の歌》が演奏されるのが興味深い。ドイツの名バリトン、ディートリヒ・ヘンシェルの独唱も聴き逃せない。
(山田治生)
4月Cプログラムに出演を予定しておりましたディートリヒ・ヘンシェル氏は、来日が不可能となりました。代わって、河野克典氏が出演いたします。なお、曲目の変更はございません。何とぞご了承くださいますようお願い申しあげます。
NHK交響楽団4月のコンサート情報はこちら
(クリックするとNHKサイトを離れます)
投稿時間:10:00 | 固定リンク
トラックバック (0)
2011年01月21日 (金)NHK交響楽団 2月定期公演の聴きどころ
チョン・ミョンフンが3年ぶりにN響の指揮台に帰ってくる。2008年はブルックナーの《交響曲第7番》とマーラーの《交響曲第9番》で感動的な名演を繰り広げたが、今回は彼の十八番というべきベルリオーズの《幻想交響曲》(Aプロ)とマーラーの《交響曲第3番》(Cプロ)が取り上げられる。
1989年にチョンが36歳の若さでパリ国立オペラ(バスティーユ歌劇場)の音楽監督に就任したニュースは世界中の音楽ファンを驚かせた。チョンは、バスティーユ時代に《幻想交響曲》の録音を残し、そのCDは1995年度のレコード・アカデミー大賞を受賞した。それから15年以上経った今、チョンがN響を相手にどんな《幻想交響曲》を披露するのか、興味津々だ。また、チョンからの信頼の厚い、現代屈指のヴァイオリニスト、ジュリアン・ラクリンが独奏を務めるベートーヴェンの《ヴァイオリン協奏曲》も聴き逃せない。宇宙的ともいえる壮大な広がりを持つマーラーの《第3番》は彼の交響曲の中で最も長大な作品。チョンの劇的なタクトが作り出す音楽はマーラーのメモリアル・イヤーを飾る圧倒的な演奏となるに違いない。日本が世界に誇るアルトの藤村実穂子の名唱にも期待したい。
Bプロを振るバンベルク交響楽団首席指揮者であるイギリス出身のジョナサン・ノットは、かつてアンサンブル・アンテルコンタンポランの音楽監督を務めるなど、現代音楽での活躍も著しい。N響では、2009年の庄司紗矢香とのリゲティの《ヴァイオリン協奏曲》が記憶に新しい。ショスタコーヴィチの最後の交響曲である《第15番》を含め、1970年以降の作品だけでプログラムを作ってしまうところが彼らしい。ドルマンは 1975年イスラエル生まれの気鋭の作曲家。打楽器独奏の入る《フローズン・イン・タイム》が日本初演される。
(山田治生)
NHK交響楽団2月のコンサート情報はこちら
(クリックするとNHKサイトを離れます)
投稿時間:10:20 | 固定リンク
トラックバック (0)
ページの一番上へ▲