優勝者インタビュー 優勝者インタビュー

1 アナウンス部門

「人」を語る「アナウンス」

鹿児島県出水市立高尾野中学校 顧問
茅野 裕子

 本校では、数年前から放送コンテストには、アナウンス部門と朗読部門に参加している。アナウンス部門で非常に苦心するのが、アナウンス原稿を書く上でのテーマ及び取材対象である。学校での放送が前提なので、やはり学校に関わる内容がよかろうと思い、設定する。今まで、本校の陸上に関する歴史やここ毎年文化祭で企画される第3学年の生徒による学年演劇、心の相談室の先生や地域の人への取材によるものなど、生徒は多岐にわたる内容を選択してきた。生徒たちは、テーマを一つに絞り、対象者に取材していく。取材していく中で、言葉の一つ一つを丁寧に記し、相手の言葉を解釈し自分の中に取り込んで、言葉を紡いでいく。ひとえに、この取材が実は大事なことのように考える。取材を通して、「その人」を感じ、「その人」を原稿の中で表現するからだ。取材を通して、生徒が感じたことが、まさしくアナウンス原稿に表れると思う。アナウンスを通して、「人」が語られる。
 今回、永松柚実さんの原稿は、本校の心の相談室の鶴園敬志先生が描かれているポスターに関することであった。彼女は、自ら取材対象の鶴園先生にアポイントをとり、取材をした。ポスターは、その学年の生徒の様子や発達段階やその時の生徒の状況に合った言葉が、手書きの絵とともにかかれている。これらのポスターは、学校の至るところの廊下に貼り出されている。絵に添えられている言葉たちは、今まさしく生徒たちに必要な言葉であったり、「思い」が込められた言葉であったりする。鶴園先生は、このポスターを通して子どもたちへ向けて、「思い」を届けたいと考えていることを彼女に話した。彼女にとって、毎日通る廊下に貼り出されたポスターを見る中で、その鶴園先生の「思い」を感じたからこそ、鶴園先生を取材してアナウンス原稿におこそうと考えたのであろう。言葉をもってして「人」を語るということは、アナウンスする側と取材対象者の「思い」がどこかで重なっていくことになるのではないかと感じる。原稿文の最後のまとめをどうするかに悩んだが、県の講習会でアドバイスを受けて解消。練習では、イントネーションと原稿文のどこに重きを置くのか考えて言うこと、誰に向けてどういった「思い」を込めて、いかにシンプルに届けるかを考えながら話すことを指導した。今後、「人」が語られるからこそ、アナウンスの醍醐味だと考えるので、生徒ととともに「人」としての「自分自身」を切磋琢磨していきたいと考える。

2 朗読部門

「自信が未来を変えてくれる」

富山市立速星中学校
松崎 陽菜

 私は小学6年生の10月まで人前で発表することがとても苦痛でした。発表をしていても「聞こえない。」「何を言っているのかわからない。」などという声が聞こえてきて、自信がなくなり、そんな自分が嫌でした。
 そんな私が、今では発表したり、表現したりするのが好きで演劇部に所属しています。好きになったきっかけは小学校6年生の学習発表会の時に演じた「ライオンキング」でした。演じる前に映画を観た時、「シンバ」の幼なじみの「ナラ」という役をやりたい、と強く思いました。この役を演じるにあたってオーディションが開催されることになりました。三十人以上いる希望者の中から選ばれるのはたった4人だけ。「お前にできるわけないだろう。」という声も聞こえてきました。でもあきらめたくない。どうしたら観ている人に気持ちが伝わるか。家でも学校でも練習をつみ重ねました。結果は無事合格。自分の精一杯の力を出すことができました。そして本番は自分の精一杯を出すことができました。劇を観て下さった方には「感動した。」「気持ちがすごく伝わった。」という言葉をいただき、人に伝えることの難しさと同時に、伝わった時のうれしさを感じることができました。そして自分に自信がもてるようになりました。
 小学校の卒業式の時、担任の先生が私に下さった「自信が未来を変えてくれる」という言葉が今でも私を支えてくれています。この時の経験、この言葉がなかったら表現することの楽しさ、難しさ、そして奥深さを知らずにいたでしょう。
 今回は、朗読に挑戦しましたが、今までの演技とは違った難しさがありました。演技では目で見てもらって伝えることもできますが、朗読は、声だけで全ての情景や登場人物の気持ちを表現することが必要になります。聴いて下さる人一人一人に物語の場面が浮かび、登場人物がすっとつたわるような、そんな朗読ができるように、どのような表現が良いのかを考え、工夫を重ねました。
 今回このような賞をいただき、信じられない気持ちとうれしい気持ちが入り交じっています。この賞を頂けたのは決して私一人の力ではなく、たくさんの方々の協力のおかげだととても感謝しています。
 表現をすることに終わりはありません。今回の貴重な経験を生かし、もっと表現の幅を広げ、私の夢である「声優」に向かって努力し続けたいです。

3 ラジオ番組部門

「最後まであきらめない~「広島の方言」を制作して」

広島市立井口中学校放送部副部長
中谷 妃花

 この度は、最優秀賞という大変栄誉ある賞をいただきまして、本当にありがとうございます。部員一同大変感激しています。
 私が今回の番組が最優秀賞を受賞したことを知ったのは、部長からの連絡のメールがあったときでした。「!」を多用した文章で部長の興奮が伝わってきて、私自身歓喜の気持ちで胸がいっぱいになったのを、つい昨日の出来事のように覚えています。
 この番組の題材「方言」は、私たちの2つ上の先輩が思いついたものでしたが、当時顧問の先生の賛同が得られず、制作を断念しました。題材はともかく、何をテーマにしたらよいか分からなかったからです。そして、去年の秋の広島市の大会に出品する番組の題材を考えていたとき、ある部員が「今は失われつつある方言について取り上げたい」と発言したことがきっかけで番組作りが始まりました。その大会での結果は3位。取材も満足に出来ず、十分ではないと感じた私たちは、もう一度番組を最初から作り直し、今回の全国大会につながる県大会に出品することにしたのです。
 取材は、放課後の限られた時間帯に行いました。それにも関わらず、たくさんの生徒、先生方がインタビューに協力して下さいました。私たちが取材をするにあたり気をつけたことがいくつかあります。まず、マイクや録音機の使い方など、技術的なことです。ラジオ番組は音が命。でも、私たちの経験不足で満足に音が収録できないことが何回かありました。そのたびにやり直しをしました。また、インタビューにも気をつけました。前もって用意しておいた質問ばかりを相手にぶつけるのではなく、対話の中で相手の本当の思いを自然に聞き出すことを意識しました。この番組の最後の部分に入れた「びっくりしたけど、うれしかった」という言葉の収録は、この番組の成功へつながったと思います。
 そして、今回の番組制作で一番大切だと感じたことは「最後まであきらめない」ということです。この番組は、県大会が間近に迫ってもなかなか完成せず、顧問の先生から「棄権するというのも1つの選択肢だよ」と言われたこともありました。しかし、部員全員が最後まであきらめず協力したことで、番組をなんとか完成させ出品することができたのです。県大会の結果はやはり3位。ぎりぎりの全国大会出場でした。
 私たち3年生は今回の大会をもって引退します。将来どのような仕事に就くか分かりませんが、番組制作を通じて学んだ多くのことを生かしていきたいです。そして、私たちの部活への思いが番組制作を通して後輩たちに伝わり、引き継いでいってくれることを願います。最後になりましたが、ラジオ番組「広島の方言」を制作するにあたり、心をくだいて協力してくださったみなさんに感謝の気持ちを伝えたいです。ありがとうございました。

4 テレビ番組部門

「この学校で放送活動をさせて下さい」

福岡県 田川市立鎮西中学校 番組制作委員会
井無田 菜月

 本校には放送部がありません。そこで有志が集まり、番組制作委員会を結成してテレビ番組を制作しました。その番組がまさか最優秀賞になるとは思っていなくて、本当に驚きました。
 私は小学生のとき、不登校を経験しました。小学校では悪口を言われ続け、何をしているときも苦しかったことを覚えています。その頃から私は、学校で自分を表現することをやめました。そして毎朝必ず腹痛や頭痛がするようになり、私は学校を休みはじめました。学校を休んだときは、家で一日ずっと泣いている日もありました。
 中学に入って、私は自分を変えるための努力をしようと思いました。そんなとき、担任の先生が放送の話を聞かせて下さいました。「放送の世界は、真面目に頑張った人が評価される。」と聞いて、私から先生にお願いしました。「この学校で放送活動をさせて下さい。私ができることを精一杯やります。私は逃げずに、自分を変えたいです。」と頼みました。先生のご協力のもと、たった一人で始まった放送活動でした。でもやがて3年生の先輩方が活動に共感して参加して下さり、7名の有志で番組制作委員会を結成することができました。
 私が体験した「不登校」をテーマにした番組制作。つらい過去を思い出して心が折れそうになるときもありましたが、委員会の先輩方が支えてくださいました。慣れない取材やビデオ撮影も、経験を積むことで少しずつできるようになっていきました。そんな中で出会ったバンド、JERRYBEANSから私は多くのことを学びました。メンバー全員が不登校を体験したJERRYBEANS。つらい過去を乗り越えて人を勇気づける曲を歌い続けるみなさんの姿に、私は深く感動しました。私もJERRYBEANSのみなさんのように、同じ悩みを持つ人にメッセージを伝えたいと思いました。作詞やビデオ編集、ナレーションの録音など大変なことも多かったのですが、3ヶ月かけてなんとか「ココロのコップ」という番組にすることができました。
 今回の番組制作では、本当に多くの方のご協力や励ましの言葉をいただきました。学校で表現することをやめた私が、自分の思いを表現することができたのはみなさんのお陰です。番組制作に関わってくださった皆様、本当にありがとうございました。

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