NHK杯全国中学校放送コンテスト

第39回 決勝・大会リポート

アナウンス部門・最優秀賞

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東海大学付属静岡翔洋高等学校中等部(静岡県)
間久綸巴さん(2年)

最優秀賞受賞を聞いた時は、本当に驚きました。結果を聞いたのは静岡に帰る新幹線の中でした。声は出せなかったのですがうれしくて体中に血がたぎるような感じがしました。今まで頑張ってよかったと思い涙が出ました。
毎年1月に学校で行われている「百人一首大会」を、放送部として撮影に行き、大会に出場している生徒の熱い思いを肌で感じて、これをアナウンス原稿にしようと決めました。特徴は冒頭で和歌(ちはやふる~)とよんでいることです。インパクトを持たせたいという思いから、会場でいちばん盛り上がった一首をよみました。苦労したのは、何度も読み込んでいくうちに技術面ばかりを気にしてしまい、だんだんと感情がこもらなくなってしまったことです。伝えているのではなく、一方的に話している感じがしました。
放送部のみんなにどうすれば心をこめることができるのか相談しました。また、先輩に一度原稿を読んでもらって、自分とは何が違うのかを考えました。他にも、辞書を引いて言葉の意味を調べてより良い原稿になるように頑張りました。400字の原稿の中に、伝わる内容をまとめることの難しさを知りました。でも、最後まで挫けないで前進できるように練習を重ねました。
放送部は声を出す部活です。コロナ禍の発声練習は思うようにできないので苦労をしました。練習では、レッスンコーチの方との距離を取らないといけないので、発声の仕方を少し変えたりしました。練習の方法を工夫しながら、放送部のみんなで支え合い、頑張って行くことができました。友人や先生に心から感謝しています。ありがとうございました。
2023年度は、部長として放送部がさらに飛躍できるように頑張ります。

朗読部門・最優秀賞

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防府市立国府中学校(山口県)
森ともみさん(3年)

オンラインで家族と一緒に結果発表を見ていたところ、名前を呼ばれて本当にびっくりしました。両親も「本当に!?」と驚いていました。指導してくださった平屋美惠子先生からお電話をいただいたり、いろいろな方々からお褒めの言葉をいただいたりして、ようやく最優秀賞をとれたんだなと実感しました。
目指したのは、宮沢賢治のもつ独特かつ壮大な世界観が伝わるような朗読。朗読に選んだ「主人公と友人の別れ」のシーンは、台詞が少なく、主人公の苦痛が情景描写で表現されています。聞いてくださる方と共に作品を味わっていくような気持ちで読むことを大切にしながら、抑揚のつけ方、声の表情や速さを工夫して、主人公の悲しみが伝わるように読んでいきました。そんな中で、2分間に収めることにもとても苦労しました。
録音は地元のラジオ局にお願いして、防音の部屋で行いました。自分の声しか聞こえない状況だったので、客観的に自分の発している言葉を理解できたような気がします。
中学校には放送部がなかったのですが、高校では声をいかせるような部活動に入りたいと思っています。今回Nコンで学んだことを糧として、さらなる高みを目指し、努力を続けていきたいと思います。

ラジオ番組部門・最優秀賞

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相愛中学校(大阪府)
作品「蕎麦がない!!」
代表 藤恵真さん(2年)、吉田美鈴さん(2年)、見米珠季さん(2年)

藤恵真さん:元々は、ラジオドラマを作る予定でしたが、脚本づくりが難しく、結局諦めてしまいました。それでもやっぱりドラマ制作への夢が捨てきれず…。この番組がドラマで始まっているのは、そんな理由からです。
実は、番組が完成したのは、大阪大会の提出期限のギリギリなんです。期末テスト前の部活のない時期だったのですが、休みの日にも登校して、何とか〆切に間に合わせました。
全国大会には、ラジオ番組部門とテレビ番組部門に出場しています。でも、テレビの方は予選で落ちちゃって。3年生になったら、テレビでも、全国大会の決勝に行けるように頑張りたいです。

吉田美鈴さん:全国大会決勝の日、オンラインで大会の様子を見ながら、私たちも審査員になったつもりで、全部の部門の審査していました。結果発表の時には、審査の答え合わせをするような気持ちで聞いてたのですが、最優秀賞として自分たちが呼ばれた時には、本当に本当に、びっくりしました。
この番組は、ドラマとドキュメントをミックスした番組です。私が特に力を入れたのはドラマの方です。声だけで気持ちを表すのが大変でした。何をしているシーンかすぐわかるように、試行錯誤しながらドラマパートを作っていきました。
初めての番組制作だったので、ほとんど知識もなく、ちゃんと出来上がるのか心配ばかりでした。作品の完成を諦めかけることは何度もありましたが、「最後までやり切りたい」「とりあえず完成させよう」と決意をして、とにかく仕上げることに集中しました。
今後は、アナウンスや朗読でも入賞できるように頑張りたいし、この3人での番組制作も続けていきたいと考えています。
他校の作品で気になったのは、三重県・高田中学校の「Aタイプ?Bタイプ?」でした。ジェンダーについて取り上げた番組には共感できる部分が多くありました。また、大東市立大東中学校の「daito・シン・マスク」も印象に残っています。女子中学生が4人ぐらい出てくるのですが、女子の普段の会話がリアルに再現できているところに感心しました。

見米珠季さん:食堂が好きで毎日通っていたんですけど、ある日突然、「そばの販売を中止しています」という紙が食券売り場に貼られていて、すごいびっくりしちゃって。なんでなくなったのだろうと思って調べ始めたことが、制作のきっかけです。
元々ドラマを見ることが3人の共通の趣味だったので、放送部でもドラマを作りたいという思いがあり、こんな作品になりました。販売中止を知った時の衝撃を、臨場感をもって再現できていればいいなと思っています。
機材の扱いには慣れないことが多く、録音ボタンを押し忘れたり、取材の場所選びを失敗して雑音が入ったり、やり直しばかりで大変でした。
作品の提出期限3日前になってもまだ未完成で、作品を出すのか出さないのか、3人で真剣に話し合ったことが思い出です。もうちょっと早い時から制作を進めていれば、期限直前に大変な思いはしなかったので、今後はもうちょっと計画的に進めていきたいと反省しています。
印象に残っているのは、富山市立堀川中学校の「屋上の宇宙人」という作品。ストーリーも面白いですし、ラジオでしか表現できない作品だと感じました。私たちもこんな番組を作ってみたいです。

テレビ番組部門・最優秀賞

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京都府立福知山高等学校附属中学校(京都府)
作品「平和をつなぐバラ」
代表 石田桃子さん(3年)、尾関真帆さん(3年)

石田桃子さん:「アンネのバラ」について取り上げた番組です。『アンネの日記』を書いたアンネフランクのことを社会の授業で学び、学校にも「アンネ」という名前のついたバラがあったことを思い出しました。「なんでその名前が付けられているのか」、「なんでこの学校にあるんだろう」とか、そこから浮かび上がった疑問を調べていく中で、綾部市(京都府)にアンネのバラを日本中に広められた、山室建治さんという方がいらっしゃることを知りました。番組にすることで、アンネのバラに込められている平和への思いを伝えられたらと考え、この番組を作成しました。
山室さんや、アンネのバラを通して平和への思いを伝える活動をしている高井戸中学校(東京都)の他にもいろんなところに電話やオンラインで取材をさせてもらいました。それを1つの番組にまとめるのに、みんなで苦労しました。放送部はすでに引退していますが、アンネのバラに込められた平和への思いをもっと生徒のみんなに知ってもらえるような取り組みを、今後も続けていきたいです。
私たちと同じ「平和」をテーマに番組を制作していた、広島市立牛田中学校の「平和の軸線」という作品は、コンテストの後、部員同士で話題になりました。編集や構成のレベルが高く、とても勉強になりました。

尾関真帆さん:1年生の頃からコロナ禍だったので、思うように活動ができていなかったけれど、3年生全員でコロナ禍でもできる最大限のことをやりきって制作した番組なので、自分たちが苦労した分、結果が付いてきてとてもうれしかったです。
山室さんや高井戸中学校から色々な情報を教えていただき、原稿を作る段階で、作品の中に入れることができないお話もありました。自分たちが伝えたいことを、よりシンプルにかつ分かりやすく伝えられるようにしようとすると、いただいた情報を全て入れるわけにもいかないので、どれを作品の中に盛り込むべきか選ぶのに苦労しました。
今回、映像作品を制作したり、活動していくにあたって、高校の先生と先輩方に、教えていただいた情報や技術がたくさんあります。それを私たちの代だけで途切れさせないように、後輩に引き継いでいきたいです。また、部員のみんなで一つ作品を作る場合、どんな賞が取りたいのか、メンバー全員が一緒の目標を持って、制作していくことが、すごく大事になってくると思うので、後輩たちには、協力し合うことを1番大切にしてほしいなと思っています。