全国高校放送コンテスト優勝者からのエール

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第69回 NHK杯全国高校放送コンテスト
テレビドキュメント部門 優勝者

北海道帯広三条高等学校 鈴木沙有理さん 「Say」制作

69回大会「テレビドキュメント部門」優勝作品を制作した、北海道帯広三条高等学校出身の鈴木沙有理です。

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「Say」を制作したメンバーと(写真中央、優勝カップを持つ鈴木さん)

私が「Say」の制作で大切にしていたことは、取材相手の方との関係性です。「Say」では、ALS(筋萎縮性側索硬化症)を患う佐藤仁美さん、仁美さんを献身的に支えるヤングケアラーの息子・謙太郎さん、そして病気で声を失う前にAI技術を用いて声を残す取り組みの3つのテーマと、その中で幾度となく見受けられた親子の深い絆を約半年間にわたって取材させていただきました。

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ALS(筋萎縮性側索硬化症)を患う佐藤さんに、取材を行う鈴木さん

「Say」には同い年の高校生である謙太郎さんが仁美さんの生理の介護をしていたというインタビューや仁美さんが日々確実に進行する病の不条理さに号泣する場面など、プライバシーに関わるシーンが多く登場します。制作者である私もお二人の思いに胸がいっぱいになり、制作中は何度も涙を流し、このまま番組化していいのかと悩んだ時期もありました。

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佐藤さんの体調面を気遣いながら取材を重ねた

しかし、半年間の中で何度もお二人のもとを訪ねるうちに徐々に互いの信頼関係が深まり、いずれ親子から「さゆりちゃんは私たちの家族のような人だから、さゆりちゃんの思うように作っていいんだよ」と言っていただいたことがきっかけで、当事者のありのままをお伝えすることの大切さ、そして、長期取材を通して信頼関係を築くことの重要性を強く実感しました。

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佐藤さんが北海道帯広三条高等学校に来校。優勝報告をする鈴木さん

Nコンへの取り組みの中で、価値観や人生観を大きく左右するような、日常では出会うことができないような方たちとのご縁、教科書では学ぶことのできない素晴らしい経験がみなさんを待ち受けているはずです。今年、Nコンは70回大会という節目の年ですね。みなさんのことを心から応援しております。

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