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「Nコンスキルアップ講座」のダイジェスト動画を公開します!

放送現場で活躍するNHK職員が、番組制作のポイントやアナウンス・朗読の練習方法等、具体的なノウハウをレクチャーする「Nコンスキルアップ講座」。2024年3月28日(木)にオンラインで開催した講座には、全国から約3,800人の皆さんに参加いただきました。

こちらのページでは、講座の様子をダイジェスト動画でお届けします。また、当日チャットに寄せられた質問の一部も、講師からの回答とともにご紹介します。ぜひ、今後の作品づくり、コンテストに向けた練習の参考にしてください!

アナウンス編
<講師>NHKアナウンス室
副島 萌生 アナウンサー
(第55回NHK杯全国高校放送コンテスト アナウンス部門決勝進出・優良賞受賞)
<主な出演番組>「NHKニュース7」毎週(月)~(木)夜7:00<NHK総合>

【講座内でご紹介したNHKコンテンツ】
NHK NEWS WEB
 NHKで放送したニュース動画を見ながら、文字でも読むことができます。伝わる話し方の参考に。
NHKニュース・防災アプリ
 NHK NEWS WEBの内容がアプリで手軽にご覧いただけます。

Q. 原稿を読むときの抑揚のつけかたを教えてください。

A. 抑揚をつけようとすると、うねってしまったりなかなかキーワードが立たなかったりすることが多いので、個人的には無理に抑揚をつけようとしなくてもいいのかなと思います。「音の高さ」で言葉を強調しようとするのは、難しいと感じます。キーワードの前にちょっと間をあけるなど、「間」を意識する方が読みやすいのではないでしょうか。

Q. 原稿の最後の一文が定型化しているように感じます。総括の一文を印象的なものにするためのコツを教えてください。

A. 大変重要な気づきだと思います。プロの放送現場でも“ラストコメント”は複数の人が相当練って考えています。それほど難しいのです。「楽しみですね」「挑戦は続きます」がダメなわけではもちろんないですが、≪本当にそれが原稿を通して伝えたいことなのか≫≪自分自身が感じたことなのか≫とことん向き合うことが必要だと思います。何文か書いてみて、読んでみて自分が一番腹落ちするもの、納得するものをぜひ探してみてください。なんとなくおさまりが良いから、というラストコメントは避けましょう。

朗読編
<講師>NHK財団 ことばコミュニケーションセンター
黒沢 保裕 専門委員
(第68回・69回・70回NHK杯全国高校放送コンテスト 決勝 アナウンス・朗読部門審査員)

Q. 朗読において、自分の個性はどのように扱えばいいのか。程度や、そもそも個性が必要なのかしりたい。

A. 朗読では、地の文を、書いた人の意図をどれだけ深く汲み取って表現できるかが、会話文にも増して重要だと考えています。“極論”に聞こえてしまうかもしれませんが、地の文を忠実に表現しようとするとき、そこに余計な“個性”が入り込む余地はないと私は考えます。地の文を書かれたままに表現する力があるならば、それは朗読者(発表者)の素晴らしい“個性”と言えるのではないでしょうか。

Q. 小説の中から原稿を抜き出すとき、どのような場面を抜き出すのが良いでしょうか。

A. 個人的な見解ですが、朗読者(発表者)が地の文をどれだけ理解して表現できているかが、私の審査の重要なポイントですので、セリフだけで進んでいく場面ばかりでは、朗読者の力量を判断しにくいと感じます。時間の制約がある中で難しいでしょうが、地の文と会話文のバランスが良く、なおかつ物語の起伏がある、あるいは物語の展開を予感させる(つまり聴いていて面白い)部分があれば、理想的だと思います。

ドキュメント編
<講師>NHKメディア総局クリエイターセンター
下村 優太郎 ディレクター
<主な制作番組>「ドキュメント72時間」毎週(金)夜10:00<NHK総合>
※番組HPで、番組で見てみたい場所・特別な3日間などの企画を募集中!

Q. 相手との事前の打合せが出来る場合、どんなことを話しますか?

A. 2パターンあります。
①事前に詳しく聞いたうえで、撮影の際に「もう1度聞き直すので、初めて話すような感覚でお話しください」とお伝えして話してもらう。
②本当に大事な部分は、事前の打合せではあえて聞かないこともあります。思っていることや感情は初めて誰かに伝えるときの方が気持ちが乗ります。状況だけ事前に聞いておき、そのときどう思ったかは本番にとっておく。その結果、想定外のことを本番で言われても、それもおもしろがる気持ちで臨むといいと思います。

Q. インタビューを終えた後やカメラを回していないときに良いコメントが出ることが多いです。どうしたら良いでしょうか。

A. そもそも、インタビュー中にいいコメントが出ないのは、相手が緊張しているからだと思います。なるべく自然に、会話するようなインタビューを心がけることがまず一つ。それでも相手が緊張して難しかったら、「インタビューはこれで終わります」や「ありがとうございました」と言ったあともカメラは止めずに回しておいて、“終わった風”でインタビューを続けるという手もあります。

撮影編
<講師>NHKメディア技術局コンテンツテクノロジーセンター
長谷川 翔平 職員

Q. 複数人をインタビューする時のコツを教えてください。

A. 基本は、話している人を撮るようにします。ただ、映像表現は自由なので、話している人だけを撮るのではなく、頷いたりリアクションをしている人を撮影することで、映像がより豊かになります。インタビューしている人達がどんな集団で、どんな関係性があるのかを想像したり、話の内容をしっかりと聴くことで、自ずと撮影するものが決まってくると思います。
番組の内容や雰囲気によって、何を撮りたいか、自由に形にとらわれずに試してみてください。

Q. 室内や天候の悪い日など、暗い場所での撮影の工夫を教えてください。

A. 簡単なのは、照明を当てることです。小型のライトをカメラに装着し撮影してみてください。ただ、カメラ方向から照明を当てると、いかにも“照明を当てた感”があります。人数に余裕があるときは、照明を誰かにお願いして、カメラと別方向から照明を当ててみてください。より自然に見えると思います。照明を当てる以外にも、感度の良い一眼レフカメラを使用することもできます。大切なのは、室内や天候の悪い日、暗い場所、その場の雰囲気を生かして映像表現をすることだと思います。

ドラマ編
<講師>NHKメディア総局クリエイターセンター
淋代 壮樹 エグゼクティブディレクター
<主な制作番組>「天才てれびくん」、「もやモ屋」、「時々迷々」「スピーク・ロー」

【講座内でご紹介したNHKコンテンツ】
NHK for School「もやモ屋」 ペチのまなざし【節度・節制】
 短編番組で、Nコンに似た要素が満載!作品づくりの参考に。
「もやモ屋」動画の配信リストはこちら

Q. ストーリーのもととなるアイデアはどうやって考えていますか。

A. 物語やテーマについて、最初の最初、大元の入り口は、自分の中にあること(思い出・見聞・知識など)から見つけ出すことが多いです。『「思いつく」とは「思い出す」こと』と以前言われて得心がいきました。
撮りたい被写体のことと、自分の思い出などを繋げていくと面白いものが見つかるのではないかと思います。
手段としてシンプルでお勧めなのは「雑談」です。「お題」を決めて、友だちや家族とあれこれ話しているうち、思い出したり思いついたりすることがあるはずです。
実際、私が脚本家とする最初の打ち合わせは、ブレーンストーミングという名の「雑談」です。

Q. ドラマに登場させるキャラクターの作りこみ、考え方で、コツや意識していることがあればお聞きしたいです。

A. 実写で撮影する以上、突飛なキャラクターを作って演じてくださいというのは、演出する側にとっても演じる側にとっても困難が伴います。
まず「どんなキャラなのか」をお互いにズレなく認識する必要があります。加えて、もちろん、演技力が必要です。
映画・ドラマ・小説・マンガの登場人物、あるいは濃い目のクラスメイトなんかをモデルにすると、「ああ、こういうキャラね」とスタッフ・キャストが共有できていいと思います。にしても、演技力の壁は残ります。
私の場合は、撮影する場所や演じる人に合わせて、セリフ、アクション、ストーリーの展開を変えることが多いです。キャラクターを作るというよりも、目の前にいる人(役者)のキャラクターに合わせていった方が勝算が高いと思います。
また、演技力に頼るのではなく、衣装や小道具によって特徴を出すと、よい成果を出しやすいです。

Q. ドラマの企画を練っていくうちに、自分が決めたテーマから中身がそれてしまいます。
テーマに沿ったドラマを制作するためにどのように題材を選んでいますか?

A. ①まずは「形」にしてから、テーマに寄せる
プロットや脚本作業のなかで「最初に考えたテーマから逸れていくこと」は頻繁にあることです。
ケースバイケースですが、そんなときはいったん「逸れたまま」作業を続けて、自分がやりたいことをやりたいように、うまくいってないと思っても手を止めず最後まで作業して形にし、それから全体を俯瞰して、「ここに(最初の)テーマを埋め込むことができるだろうか」「どんな台詞や描写を入れ込むとそのテーマにアプローチできるだろうか」などと考えるのがいいと思います。

②「最初に考えたテーマ」には、そんなにこだわらない
作業を始める前に考えたテーマは、紋切り型であったり、どこか抽象的でフワフワしたものが多いように思います。それに対して、いったん形にしたプロットや脚本には、それがどんなにダメダメでも、「本当に作りたいこと」「本当に伝えたいこと」が具体性を帯びて、たいていどこかに埋め込まれています。それを読んだり他人に読んでもらったりしながら、物語に沿うようにテーマをずらしていったり、「新しい」テーマを発見するほうが、よりリアルでオリジナリティのある作品になる可能性が増すように思います。
そうして「新しいテーマ」を発見してから、さらにプロットや脚本を書き直していく、というわけです。プロの現場でも、準備・撮影・編集、それぞれの段階で常に、テーマと物語(描写)を何度も行き来しながら作品を仕上げていきます。

Q. オチの付け方にコツがあれば教えて欲しいです。

A. ①観客が「その後」を想像できるようにする(=すべてを描かない)
②「小さな奇跡」を探ってみる(『うまくいかなかったが、「瓢箪から駒」でこんないいことがあった』みたいなのもアリ)
③どんな映像(ショット)で終わらせたいのか、から考える

あんまり難しく構えずに、「幕切れなんて『とりあえず』でいいじゃん」ぐらいの軽い気持ちで臨んだほうが結果が良かったように思います。
映像作品を作る場合は、上記③はとりわけ大事にしたいです。

音響効果編
<講師>NHKメディア総局デザインセンター
音響デザイン部 加藤 直正 チーフプロデューサー
<主な制作番組>連続テレビ小説「あまちゃん」、大河ドラマ「江 ~姫たちの戦国~」、NHKスペシャル「テレビとはあついものなり~放送70年TV創世記~」、その他オーディオドラマも多数担当

【講座内でご紹介したNHKコンテンツ】
「青春アドベンチャー」毎週(月)~(金)夜9:30<NHK-FM>
NHKクリエイティブ・ライブラリー
 ダウンロードして使える音素材が300以上あります。ぜひご活用ください。

Q. どうしても使いたい曲があるのに許可が取れないというときはどうしていますか?

A. 許可が取れない場合はその曲は使えませんね。でも、そこは頭を柔らかくして、なぜその音楽が欲しかったのか考えてみましょう。つまり「音楽の役割」を明確にする、ということです。
自分がなぜこの曲がよかったのか、言葉にして分析してみると、求める内容がわかるので、違う曲が見つかるし、それは最初に浮かんだ曲よりもっと良い曲かも知れませんよ。
音楽は番組演出の一つの「素材」ですので、音楽に何を求めるのか?「音楽の役割」を考えて言葉にするクセをつけると、的確に曲が機能し始めます。がんばってください!

Q. レコーダーひとつで録音する際、遠近感が出ず躍動感がありません。どうしたらよいでしょうか。

A. MIXせずに一気に録音する場合と仮定してお答えします。
映像がないラジオの場合は遠近感が命です。音だけ聞いて登場人物の関係性がフラットに聴こえるまず「定位置」を決め、そしてオフになった時の距離感がわかる位置をまずはしっかりと決めて収録しましょう。
そのうえで、台本上の感情のうねりに合わせて、マイクに少し適宜寄ることで、「感情=音圧」が表現できると思います。
ただ、レコーダー1つという条件を逆手に取ると、こうしたプロの基本形にとらわれずにレコーダーごと動かして、やんちゃな躍動感を出して伝えたいことを伝える、という自由な発想もできますね。「何ができない」ではなく、「もっとこうしたらどうか」とポジティブに考えると面白くなり、新しい表現も生まれそうです。自分の感性を信じて、楽しんでやってください!

Q. お湯を注ぐ音と水を注ぐ音は違うという話を聞いたことがあります。
やはり表現したい音は忠実な音を録音したほうが聞くうえで自然になるのでしょうか?

A. 確かにお湯と水の音は違いますが、比べなければわからないかも?!
でも、「厳しい海水の冷たさ・・・」などとナレーションが言って、役者さんが本当に潜っているのに、我々が温泉のようなお湯で海女さんの音を演じるわけにはいきません!笑、そこは音屋の心意気です!
しかし、上記とは違った意味で、本物じゃないものが本物以上のリアルさ、面白さを生み出すことは多々あります。Ex:鳥の羽ばたき→うちわ、骨折→セロリ、焼きそば→アイロン・・・etc
こうした「擬音」の発想力は音響効果ジャンルの一つの基本でもあります。
大切なのは、耳と遊び心。ドラマはフィクションですので、みんなでアイデアを出しあったりして楽しんで音を作ってもらえればと思います。

Q. ラジオドラマで心の声を表現するとき、よくエコーに頼ってしまいます。
エコー以外で、うまく心の声を表現する方法を教えていただきたいです。

A. その「まずエコー」を打破したい!という意志が何より素晴らしいです!
私からの提案は3つです。
まずはお芝居、そしてマイクの近接効果 そしてベースをカットアウト!

1:素晴らしい俳優が演じるとエコーなんてなくても「心の声」だとわかります。
まずはそこを目指して、お芝居を頑張ってみましょう!

2:さすがに名優の域にはまだまだです~という方は、マイクにグッと寄ってください。
「近接効果」でインナーボイス感が出てきます。マイクによって特性が違うのでイイ感じのボイスになる距離を試してマイクを攻略しちゃいましょう!

3:変化球としては、効果音ベースを「カットアウト作戦」もあります。
うるさめのシーンに限られますが、その場のベース音(SE)を心の声の直前でカットアウトして、心の声が終わったら、サッとベースを戻す。SEのカットアウト尻に軽くショートリバーブかけるのも洒落てるかも。

「心の声=エコー」という手法も誰かどこかで生み出したもの。初めてやった人はとても勇気が必要だったことと思います。チャレンジングな手法も、評判が上がるうちに、そのうち「定番」になっていきます。次の「定番」を創るのはみなさんです!是非エコーを禁じ手にして「・・・っぽい」ものの打破にチャレンジしてみてください!