“センパイ”に聞いちゃいました!!

2024.04.19

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声優

人生でも一、二を争う貴重な経験

明海はる花(あけみ はるか)さん

声優事務所に所属し、スマホアプリのキャラクターボイス、アニメ、ナレーションなどの現場で活動する明海さん。声優という長年の夢を一度諦めかけた明海さんを支え、踏ん張らせたのは、放送部時代の経験だったそうです。

現役時代に参加したNコンの思い出は?

私は高校1年生から放送部としての活動を始め、初めて出場したNコンの県大会で優勝したのですが、その時は正直、「もしかして自分には才能があるのでは…」と思ってしまいました。しかし、NHKホールで全国大会決勝出場者のみなさんの読みを生で聴いたとき、感動で鳥肌が立ち、同時に自分とのレベルの差にがく然としました。Nコンに出場して、全国にはこんなにもすごい高校生がいるのだと知ることができました。
それからは、顧問の先生から言われたことを少しでも多く改善できるよう、それまで以上の練習を続けました。

Nコンに参加してよかったことは?

大会前にNHKアナウンサーの方から直々に指導を受けるという、人生でまたとない経験をさせていただけたことがありがたかったです。

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声優として活動している、明海はる花さん

朗読スキルの向上のため、どんなことをしていましたか?

「上手な人の読みを聴くこと」、そのうえで「自分の読みを録音して聴き、聴こえ方を客観的に捉えること」が上達するうえでとても大事だと思います。
放送部に入った当初は、自分の癖を直すのに苦労しました。私は小学生の頃から音読するのが好きで、小説や漫画などから自分が気に入った文章やセリフを抜き出して、感情をこめて読んだものを録音して聴くということを自分が納得するまで繰り返していました。ただそれは、人に聞いてもらうことなく自分の基準で勝手に行っていたことなので、全ての文章を力んで読む癖がついてしまっていました。それを朗読で行うと、メリハリが生まれず、おもしろみのない読みになってしまいます。放送部として先生に自分の読みを聴いてもらった時に初めてそれに気づき、ショックを受けました。それからはとにかく、まず全体を抑揚なく淡々と読めるようにし、その後で部分的に感情を込められるように練習しました。ですが、そこが改善すると今度は感情を込めて読むことが難しくなり、苦労しました。
大会前には、自分で練習してきたものを顧問の先生に聴いていただき、先生が下さったアドバイスを参考に次の部活までに修正してくるというやり方で練習していました。指導時には毎回、ICレコーダーで音声を録音、原稿には違う色のペンで書き込みをし、その日に指摘された部分が音でも目でもわかるように工夫していました。回を重ねるごとに原稿がぐちゃぐちゃになってしまい、はたから見るととても見づらいのですが、大会本番でもその原稿を読むことで「自分はこれだけ頑張ってきたんだ」という安心感にもつながっていました。顧問の先生からの指摘を毎回完璧に修正してくるというのはなかなか苦労しましたが、全国大会で生徒を優勝に導いた経験のある先生だったので、全幅の信頼を置いて、日々期待に応えられるよう頑張っていました。また、先生からすすめられた、「過去の全国大会入賞者の音源を繰り返し聴いて、上手な方の朗読も耳に染み込ませること」が出来るようにしていました。
大会直前には学校にある宿泊所に部員みんなで泊まりこみ、先生からの指導を受けていました。当時は大会前で不安も大きかったと思うのですが、今思い返すと「お泊り会みたいで楽しかったな」という記憶もあります。

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主に朗読部門で3年間活動

当時の部活動を振り返って、今、思うこと

勉強との両立を頑張っていたと思います。普段は主に、発声・滑舌の自主練習をしていたのでそこまで長時間の活動はなかったのですが、大会が近づくと時間が許す限り顧問の先生から指導していただいていたので、帰る頃にはいつも外が真っ暗でした。高校入学当初から部活動後にはほぼ毎日塾にも通っていたため、家に着くのは夜12時近い日もありました。そこからお風呂に入って、その日の録音を聴きながら先生から言われたことを復習し、練習した後に寝ていたので、体力的にも精神的にも、かなりぎりぎりでしんどかったことを今でもよく覚えています。もちろん自分自身も精いっぱい頑張っていたと思うのですが、いつも夜遅くに塾まで迎えに来てくれたり、家で待ってくれていたりした祖父と祖母がいないと成り立たない生活だったので、二人には本当に感謝しています。あの時の経験があるからこそ、その後つらいことがあっても何とか踏ん張れているなと感じています。放送部として活動したことで、人生の中でも一、二を争う貴重な経験をさせていただいたと感じています。

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2023年の12月からは初めて参加した劇場版アニメが公開。
「放送部時代に教わった読みの基礎が生かされている」と、明海さん

現在の仕事や人生で役立っていることは?

私はもともと小学生の頃に、声優になりたいと思い始めました。最初は無邪気に至る所で「声優になる」と宣言しまくっていたのですが、家族に反対され、大人になるにしたがって自分でも現実的に無理なのではと思うようになり、一度は夢を諦めました。しかし、就職を考える際に、「自分はどんな仕事に就きたいのか」と改めて考えたとき、小学生からの夢、放送部での活動や声を褒めてもらったことなどが思い出され、挑戦せずに諦めたくないという思いから、本格的に声優の勉強を始めました。実際に勉強を始めてからも、放送部時代に教わった読みの基礎があったからこそ、改めて教わった時にも受け止めやすく、今お仕事をさせていただく際にも生かされています。また、声優の仕事では耳の良さも求められます。顧問の先生からの指導により、「指摘された部分を修正し再現する」経験を繰り返したことで、少しずつですが耳が鍛えられていたのだと、本当にありがたく感じています。

現役生のみなさんへメッセージ

大会当日はやってきた成果が発揮できるかなど緊張や不安でいっぱいになってしまう方も多いと思います。私もそうでした。ですが、一番は「自分自身が楽しむこと」だと思います。本番までの練習は体に染みついているはずです。原稿を読みながらあれこれ考えてしまうよりも、聞いてもらうこと、読むことを心から楽しんで思い切りやるほうが、結果的に聴いている方にも響くのではないかなと思います。
そうは言ってもなかなか難しいかもしれませんが(私も結局とても緊張して頭が真っ白になっていました)、あまり気負いすぎず、みなさんの放送部生活が楽しいものになるよう応援しています。


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