“センパイ”に聞いちゃいました!!

2024.02.26

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テレビ局勤務 経理事務

Nコンに出場して、自分が心から好きなことに気づけました

南部朱音さん

地元のテレビ局で経理事務を担当している南部朱音さん。高校3年間、朗読部門で全国大会に出場。大学ではNHK大学放送コンテストへ参加。放送部での経験を活かし、卒業後も高校放送講習会の講師、朗読コンテストの審査員なども務めました。「放送活動の中で人との出会い、つながりの温かさを感じることができた」と語る南部さんの放送活動に迫りました!

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テレビ局で経理事務を担当している

現役時代に参加したNコンの思い出は?

高校から放送活動を始め、顧問の勧めで3年間朗読を中心に活動しました。先輩やクラスメートに誘われて放送部に入部。なんとなく始めた部活動でしたが、心の底から喜んだり悔しがったり…、放送活動での思い出は数えきれないほど。社会人になった今でも時々思い出してグッとくるような濃い経験ができるとは、入部した当初は思っていませんでした。
Nコンでは朗読部門で3年間全国大会に出場しました。とくに思い出に残っているのは、高校3年生の時に全国大会で優秀賞をいただいたことです。決勝当日の朝、NHKホールのスクリーンに映し出された朗読部門の決勝進出者10名の最後に自分の高校名と名前があったのを見た時は声も出ず、涙があふれました。その時一緒にいた顧問や放送部の仲間たちが声を上げて喜んでくれたのを、今でも鮮明に覚えています。
朗読部門の決勝審査はすべての部門の最後に行われ、決勝進出者10名のうち、私は10番目に朗読をしました。紅白歌合戦の出演者もこのステージで披露するんだな、などと考えながら朗読を終えて袖に戻ると、コンテスト関係者の方が「あなたはこの大会の全部門の最後に朗読をしたんだよ。大トリだね」と声をかけてくださいました。うれしいような恐れ多いようなうまく言い表せない気持ちになり、特別な体験をさせていただいたんだと、その場で改めてありがたさを噛み締めました。

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高校最後のNコン

Nコンに参加してよかったことは?

活動を通して校内や他校に多くの友人ができたことはうれしかったです。他校の友人とはコンテスト前はどの作品、どの場面を読むのかなどを電話やメッセージでやり取りしたり、当日はお互いの読みを聞いて感想やアドバイスを送り合ったりしていました。全国大会では県外の学校の人たちとも知り合うことができました。互いに同じくらいの熱量で同じものに打ち込む仲間と交流できる機会は貴重だったと、今になって思います。
また、校内の放送部以外の友人たちからコンテストへ向けてエールを送ってもらえたことも大切な思い出です。放送コンテストのことを話すと興味を持ってくれて、時には朗読の練習に付き合ってくれることもありました。全国大会の前に友人たちからもらったメッセージカードはコンテスト会場へ持って行き、原稿の裏に挟んで本番に臨みました。放送活動の中で人との出会い、つながりの温かさを感じることができました。

アナウンス・朗読スキルの向上のため、どんな練習をしていましたか?

放送部に入部したばかりの頃は、尾高型や平板型などアクセントのちがいに苦戦しました。練習を重ねて徐々に理解、表現できるようになりましたが、入部して約2ヶ月で臨んだNコンでの講評はアクセントに関するものが多かったです。自分が苦手だと感じる部分はアナウンサーの読みやNコンのCDを繰り返し聴いたり、シャドーイングをしたりして練習しました。
その他の練習方法として、朗読する場面の描写を自分なりに想像しやすくするために原稿の隅に絵コンテを描いたり、場面に合わせて実際に動きながら朗読したりしていました。登場人物の動作にはどれくらいの時間がかかるのか、話すスピードや会話の間はどれくらいかなどを自分なりに解釈でき、朗読する際の間の取り方や緩急のつけ方に変化が出せたように思います。

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通常業務のほか放送部での経験を活かし、館内アナウンスも担当

当時の部活動を振り返って、今、思うこと

放送活動を通して出会った仲間たちと語り合うことや、現役の表現者や先輩、先生たちの話を聞くことはとても興味深く、私の中で放送活動の大きな活力になっていました。当時の私はコンテストや校外活動の際に、話してみたい生徒や顧問の先生、講師のアナウンサーの方などに声をかけ、普段の練習方法や朗読で意識していることなどを聞いていました。
もし今現役生で色々な人と話せる機会があったら、放送活動に直接関わることだけでなく、相手の趣味や特技なども聞いてみたいです。仲が深まるきっかけになるかもしれないし、そういった会話の中にも自分の表現に取り入れられるヒントがあるかもしれないなと思います。

現在の仕事や人生で役立っていることは?

私は現在、地元のテレビ局で経理事務の仕事をしています。伝票処理、現金出納、振込手続きなどの通常業務のほか、館内アナウンスをしたり番組の題字を書いたりなど、入社した時には想像もつかなかった仕事もさせてもらっています。
高校生の当時具体的な夢や目標がなかった私は、Nコンに出場したことで自分が心から好きなことに気づけたように思います。放送活動を始めてから物事をさまざまな形で表現することへの関心が湧き、高校卒業後も朗読を通して自分なりに「表現すること」にアプローチしました。大学ではNHK大学放送コンテストへの参加、朗読ワークショップの講師、国民文化祭への出場、料亭での朗読会などに取り組み、その後も高校放送講習会の講師、朗読コンテストの審査員などを経験させていただきました。
現在はもともと好きだった書道や絵、ピアノ、歌など、趣味の範囲ではありますが表現することを楽しんでいます。思い返してみると、これらは幼い頃から好きなことでもあります。どれも正解のないもので、自分の好きなことや伝えたいことを自由に表現できることが楽しいと感じているのかもしれません。放送活動やNコンでの経験は、私の潜在的に好きなことを引き出してくれたように思います。

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大学在学時、朗読ワークショップ講師を経験

現役生のみなさんへメッセージ

放送活動をする時、その先には必ず聞いている、見ている人がいます。そのことを意識するようになって、私は物事を表現することがより楽しく感じるようになりました。自分の表現したいことが相手に伝わったらうれしいし、異なる受け取り方をされてもそういう捉え方もあるのか、と表現の可能性を感じることができます。現役生の皆さんには、高校生の今だからこそできる放送活動、表現活動を楽しんでほしいなと思います。その時の感性や技術、声でしかできない表現が、聞き手の心を動かすのだと思います。飾らず、今のあなただから生み出せる作品をたくさんの人に届けられるよう、応援しています。


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