ぶんけい月刊コラム

Column.2

ぶんけいさん

先⽉からNコンWEBにて「ぶんけいの書斎」の連載がスタートした。
公開直後、各⽅⾯から反響を頂けて嬉しい限りである。
今回もあの⽇々を思い返しながら早速はじめよう。

まずは前回、⾃⼰紹介が途中で終わってしまったので、その続きを語ろうと思う。

パワフルな先輩と、それ以上にパワフルな顧問の先⽣と出会い、結局放送部に⼊部したぼく。
カメラとかマイクとか、そういう機材に憧れて⼊部したこともあり、⼤会になんて興味はなかった。
ただ⾃分が、欲望のままに機材を触れる環境に居たかった。


そんなある⽇、パワフル顧問が勢いよく部室へとやってきた。
⼿にはNコンの参加要項が握られていた。
すかさず「1年⽣!アナウンスか朗読どっちがいい?」と尋ねられる。


はい??????????????

え、ナニソレ?
説明が3段階くらい⾶んでない?
Nコンという放送部の⼤会がある→参加できる部⾨がいくつかあって
→その中でアナウンス・朗読がある→1年⽣はどっちに興味がある?

じゃない???????


結局、当初はわけも分からず「アナウンスで……」と選択した。(なんか⽿馴染みあるし)
そのアナウンス部⾨の規定はこうだった。
⾃校の校内放送に使⽤する内容とし、原稿は⾃作。
(1) 番号、⽒名を含め1分10秒以上1分30秒以内でアナウンスする。
(2) 準決勝では、準々決勝と同じ原稿に続けて、プログラム号に載る課題⽂をアナウンスする。
(3) 決勝では、準々決勝と同じ原稿に続けて、プログラム号で指⽰する決勝課題をアナウンスする。


分からん分からん分からん!!!

え、待って。カメラは?
機材が触りたいです先⽣!

先輩やパワフル顧問から説明を受けながら、多分ぼくの⽬は死に絶えていた。
と同時に、⽬を輝かせている同級⽣部員たちもいた。
「そうか、これがやりたくて⼊部した⼦もいるんだ……」
そう考えると、蔑ろにしてはいけないものであるとようやく気付いた。


早速、アナウンス原稿を作成する⽇々が始まった。
規定にもある通り「⾃校の校内放送」が前提となっているテーマだけに、
⾝近なところでニュースを探す必要があった。
とはいえ⾼校に⼊学して間もないぼくには頼れる⽅法があまりない。

そして辿り着いたのは担任の先⽣だった。
先⽣に取材をして、なんとか期⽇ギリギリに原稿を完成させた。
その原稿がこれだ。

はじめてのNコンに向けて書いたアナウンス原稿

はじめてのNコンに向けて書いたアナウンス原稿

今思うと何かが⾜りない。
多分、内容がうまく出来すぎている。
成功談にしては途中経過が薄すぎるんだと思う。
これではきっと、何も知らない⼈の⼼には届かない。


この原稿を通して気付いたことは
「あなたに興味がない⼈間が、それを受け取る」という前提。

エゴではいけないのだ。

「気持ちのいい⽂章が書けた。⾯⽩い画が撮れた。こんな作品が好き」ではいけないのだ。
描きたいメッセージやテーマをいかに相⼿に伝えるか、その⼿段が⼤切なのだ。
例えて⾔うなら「喧嘩している相⼿に、⾃分の考えで納得してもらう」つもりで取り組む必要がある。
それってさ、めちゃくちゃ難しいよね。



はじめてのアナウンス部⾨出場は悔いの残る形で幕を閉じた。
でもなんだろう、こんな気持ちになるつもりじゃなかった。
……燃えてたんだなぼく。
次こそはもっといい結果を出したいとすら思うようになっていた。
「アナウンスで……」と仕⽅なく選択したぼくは消え去り、
「アナウンスがいい」と⾔い切るぼくが誕⽣した瞬間だった。




おっと、時間を割きすぎた。


ぼくの最初のNコンはこれで終わったわけではない。
実はこの年「創作テレビドラマ部⾨」にも念願のエントリーを果たした。
そう、ぼくが⼀番やりたかった部⾨だ。
そして、2年後……

ぼくが全国優勝を果たす部⾨だ。


次号は、創作テレビドラマ部⾨の道に⾜を踏み⼊れる話をしよう。

アナウンス部⾨に出場するぼく

アナウンス部⾨に出場するぼく




連載NコンWEBコラム「ぶんけいの書斎」
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