イベント探訪ブログ N:KIKOU

【えぬきこう】
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松江で感じる『八雲(やくも)のこころ』
~ゆかりのお寺で公開朗読イベントを開催~

2020年は、「怪談」などの著書で知られる文豪・小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の生誕170周年、そして彼が松江に来て130周年という節目の年。NHK松江放送局では、公開朗読「八雲が愛した神々の国」を開催しました。八雲の作品を味わってもらい、「オープンマインド」と呼ばれる、現代にも通じる八雲の異文化への寛容な精神を広く知っていただこうと企画したものです。

20191129_1.jpg八雲が島根で暮らしたのは、およそ1年3ヶ月。しかし彼が最も愛した土地である島根の自然や文化、人々の暮らしへの温かな眼差しは、作品「知られぬ日本の面影」にも多く著されています。

「松江の一日は、寝ている私の耳の下から、ゆっくりと大きく脈打つ脈拍のように、
ズシンズシンと響いてくる大きな振動で始まる」 
(ラフカディオ・ハーン/池田雅之訳『新編 日本の面影』より)

この作品の一節からも、八雲が松江に根差して生活していた様子がよく伝わってきます。

20191129_2.jpg今回の会場は、松江市の洞光寺(とうこうじ)。八雲の「知られぬ日本の面影」には、こちらのお寺の鐘の音に関する記述があります。畳敷きに緋毛氈(ひもうせん)、座布団など、本堂を活かした今回のイベントならではの空間でした。

20191129_3.jpgゲストは、俳優の紺野美沙子さん、小泉八雲記念館館長の小泉凡さん。紺野さんには作品の朗読とトークで、小泉さんには「小泉八雲のひ孫」で研究者という視点から、貴重なお話をいただきました。

20191129_4.jpg今回、朗読した作品は、『神々の国の首都』『杵築-日本最古の神社』『水飴を買う女』『子供たちの死霊の岩屋で-加賀の潜戸』『思い出の記』『さようなら』の6作品。目を閉じて作品朗読をじっくりと味わうお客様も多かったです。

20191129_5.jpg八雲は島根での滞在中、「親子の物語」を多く記録しました。八雲の「母の愛」への思慕が伺える文章には、お客様も紺野さんも思わず「うん、うん」と うなずきながら、共感されていたようすでした。

20191129_6.jpgこの催し、単なる朗読会ではありません。本堂での朗読にあわせて、事前収録した洞光寺の鐘の音を、効果音として使う演出も。観客の皆さんも当時の八雲が聞いていたであろう鐘の響きを感じて、松江で暮らした八雲の姿や当時の街並みに思いを巡らせているようでした。

20191129_7.jpgまた、朗読とともに、高精細な4Kカメラで撮影した島根の美しい風景の投影も行うなど、松江を愛した小泉八雲の世界感を朗読とともに音や映像でも感じる空間となりました。

20191129_8.jpg朗読の中で、蒸気船に乗り松江を旅立つ八雲に対して、多くの見送る人々が「ばんざーい」と別れの声をかけるシーンがあります。今回は観客の皆さまにも「ばんざーい!ばんざーい!」というセリフで番組に参加をしていただきました。

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この公開朗読の模様を含め、NHK松江放送局では来年の「八雲」メモリアルイヤーに向けて関連番組を多数放送します。是非ご覧ください!

◎さんいんスペシャル 「八雲が愛した神々の国」
[総合/島根県・鳥取県向け] 
12月13日(金)午後7時30分~午後7時55分
12月14日(土)午前7時30分~午前7時55分
◎オープンマインド 「小泉八雲が愛した日本の原風景」
[BS4K/全国放送] 
12月29日(日)午前9時~午前9時44分
2020年1月1日(水・祝)午後5時30分~午後6時14分
◎まるっと☆しまね
[ラジオ第一/中国地方向け] 
2020年1月10日(金)午後5時5分~午後5時55分
※「らじる★らじる」で地域選択を「広島」にしていただくと、全国でお聞きいただけます。
https://www.nhk.or.jp/radio/
(放送予定は変更になる場合があります。)

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