イベント探訪ブログ N:KIKOU

【えぬきこう】
読めば、あなたも参加したくなるイベント紀行ブログ

高校生から小学生へ・・・
小学校の授業で"あの日"の教訓を伝承する防災教室を開催

20210419_1.png

2021年3月で東日本大震災から10年。
震災当時小学校1年生だった子どもたちは高校生です。

NHK盛岡放送局では、「NHKTENDENKO(てんでんこ)クラブ」という企画を立ち上げ、岩手県内の高校生メンバーが、いまの小学生に震災の教訓を伝承する取り組みを行っています。(「NHK TENDENKOクラブ」のホームページはこちら

20210419_0.JPG

高校生メンバーは、2020年9月から活動を開始。
まず、宮古市内の10人の高校生メンバーが、被災した方々や当時の学校関係者の話を聞いて「防災・減災」について勉強し、その後、どうやったら「防災・減災」を小学生へ伝えられるか話し合いました。

そして、阪神淡路大震災をきっかけに設立され、全国各地で防災イベントを開催している「NPO法人プラス・アーツ」の指導を受け、低学年・中学年・高学年の3つのチームに分かれて防災教室を準備。3月9日(火)に岩手県宮古市立磯鶏小学校で防災教室を行いました。

 

防災教室当日・・・
1時間目は1年生の授業。低学年の子どもたちには「人形劇」で伝えます。
伝えたいことが自然と身につくよう劇の途中でクイズを出題するなど、高校生メンバーたちの工夫をこらした演出に、子ども達も積極的に楽しそうに答えてくれました!

20210419_1.pngのサムネイル画像

 

2時間目は3年生。
冒頭で「当時の津波の映像」を少しだけ見てもらうことに。高校生メンバーたちも、今まで津波の映像をちゃんと見たことがなかったそうですが、今回の活動で映像に触れたことで「次の世代に教訓を伝えなければ」とより強く感じたことから、小学生にも見てもらうことにしたのだそうです。

小学校の先生によると、津波とは何か知らない子も多いとのこと・・・今回の授業で分かってもらえたのではないでしょうか。
そして本編は、「防災相談窓口」という地図を使ったオリジナルのクイズゲーム。

20210419_2.JPG

クイズカードは初級編・実践編・上級編それぞれ4枚ずつ、全部で12問作りました。

20210419_3.JPG好きなカードを引いて、その登場人物がいる場所を地図で確認しながら、問題に答えます。
例えばこんな問題 ↓ わかりますか?

20210419_4.JPG答えは「NHK TENDENKOクラブ」のホームページで確認してみてくださいね。

 

3時間目は5年生。「いざという時、机の下に入ることもままならないほど焦るので、まずは落ち着いて行動すること」、「非常食は炭水化物だけでなくレトルト食品など野菜等が摂取できるものもあると良い」など、高学年ということもあり具体的な話をしました。

20210419_5.JPG

本編は、阪神淡路大震災の経験から生まれたプラス・アーツの教材「なまずの学校」を使って授業。この教材は、状況(例…腕を骨折した人がいます。固定するために使えそうなものは?)を説明したイラストが登場し、アイテムを選択肢から一つ選ぶというもので、クイズを解きながら防災の知識を身につけてもらいます。
最後の問題は、東日本大震災の体験を踏まえた内容。「体が濡れた人が避難所に。何で温める?」この問題は体育館の中にあるものを実際に探し回ってアイテムを答えるというもの。体を動かしながら、楽しんで回答してもらいました!

20210419_6.png

 

このあとも2年生、4年生、6年生と、各チーム2回ずつ授業を実施。

防災教室を準備した高校生からは、
「震災を経験した自分だからこそ伝えられることだったり、当時小学生だった自分からの目線でいろんなことを考えたりしてきたので、それを伝えるのが自分の役割だと思った、これからも続けたい。」と熱い想いが!

後日、磯鶏小学校のみなさんからも「津波を体験したことはないけど、もし津波がきたら、”そっせん避難者”になりたい」「友達や住民の人たちの命を守りたい」との声が寄せられるなど、高校生たちが伝えたかったことがきちんと届いたようでした。

 

~~~~

NHK盛岡放送局では、この「NHKTENDENKOクラブ」以外にも、震災10年プロジェクト「十年一岩」の一環で、県内各地でイベントを開催しました。
3月6日(土)、7日(日)は岩手県釜石市、3月9日(火)~14日(日)は岩手県盛岡市と2週に渡って、「学ぶ!NHK BOSAI WEEK!」を開催。

忍たま乱太郎の防災キャラクターショーや、「こころフォト~忘れない~」パネル展示、防災体験コーナー等を展開して、体や頭を動かし体験しながら防災について考えるイベントです。

20210419_7.jpg20210419_8.JPG 20210419_9.JPG

岩手県ゆかりのアナウンサーによる防災トークショーでは、奥州市出身の阿部渉アナウンサーがリモートで出演。

20210419_10.jpg 20210419_11.png

花巻市出身の佐藤龍文アナウンサーや、震災当時学生だった佐々木芳史アナウンサー、菅谷鈴夏アナウンサーも交え、これまでの10年を振り返るトークが繰り広げられました。
2011年3月11日の国会放送を担当していた佐藤龍文アナからは「命を守る呼びかけ」についてなど、震災・防災をメインテーマとしつつ、会場からの質問や仕事の裏話なども交え、和やかな時間となりました。


NHK盛岡放送局では、今後もTENDENKOクラブの取り組みや、番組・イベントを通じて、地域の伝承や減災・防災に貢献していきたいと思います。