1月30日(日)放送
枯葉剤の傷痕を見つめて 〜アメリカ・ベトナム 次世代からの問いかけ〜

写真・左:ツーズー病院にてベトナムの枯葉剤被害者と語り合うヘザーさん
写真・右:ヘザーさんは右足の膝から下と指に欠損を抱えている

写真:枯葉剤をまく米兵
 

ベトナム戦争終結から36年。今も続く枯葉剤被害の実態を取材している一人の映像作家がいる。 映画『花はどこへいった』を監督した坂田雅子さん62歳。枯葉剤がまかれたベトナムでの取材を継続的に続けてきた坂田さんは、今アメリカのベトナム帰還兵の子どもたちに世代を越えて現れている枯葉剤の影響に注目している。
きっかけは、ベトナム帰還兵で写真家だった夫グレッグ・デイビスさんが、2003年肝臓がんで亡くなったことだった。夫の友人たちから話を聞くうちに、坂田さんはアメリカの帰還兵とその子どもたちの間で今なお続く枯葉剤被害の実態を知った。ベトナム帰還兵たちは、長い間彼ら自身そしてその子どもたちへの枯葉剤による被害について、政府に訴え続けてきた。1996年、クリントン大統領(当時)は帰還兵の子どもが枯葉剤で被害を受けたことを初めて公式に認めた。しかし次世代に及ぶ被害の全ぼうはいまだ明らかになっていない。
こうした中、帰還兵の子どもたちが自らの経験を語り始めた。その一人、ヘザー・バウザーさん38歳。右足の膝から下と指が数本欠損して生まれた。父はベトナム戦争に従軍し、枯葉剤を浴びていた。アメリカ社会の中でヘザーさんは子どものころから孤立感を抱えて生きてきたという。ヘザーさんはこの夏、父の戦場だった国ベトナムを訪ね、子ども世代の被害者に出会った。さらにアメリカで暮らす、障害のある帰還兵の子どもを訪ね、その体験談を聞き取り始めている。ヘザーさんの旅と、語り始めたアメリカの帰還兵の子ども世代の人たちの取材を通し、アメリカとベトナムで今なお終わらない枯葉剤被害の実態について考える。

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