8月22日(日)放送
埋もれた声 〜大逆事件から100年〜
 

写真・左:熊野地方の連座者たち
写真・右:語り始めた犠牲者の遺族

写真:和歌山県新宮市

 

紀伊半島南端近くに位置する人口3万人の町、和歌山県新宮市。この町は100年前に日本中を揺れ動かした「大逆事件」の舞台となった。明治天皇暗殺計画に加わったとみなされた全国の24人に死刑判決が下されたこの事件で、新宮とその周辺の町からは最も多い6人が連座、以後、その家族までが国賊視され、社会から徹底的に排斥された。新宮では、戦後に至るまで「大逆事件」に触れることはタブーとされ、遺族も沈黙を強いられ続けた。真相の解明が進んだ現在では、6人は事件と全く無関係で、事件そのものも国家権力による思想弾圧事件だったと考えられている。しかし事件について市民が話し出すようになったのは、90年代後半以降のこと。2001年には市議会で、事件の犠牲者は非戦や平等を訴えた「郷土の先覚者」であったとして顕彰する決議もあがった。今ようやく事件について語り始めた遺族たちの声に耳を傾け、事件が持つ歴史的意味を探る。

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