8月15日(日)放送
敗戦とラジオ 放送はどう変わったのか

写真・左:「日曜娯楽版」スタジオ風景
写真・右:「日曜娯楽版」のプロデューサー・丸山鉄雄と、放送作家・三木鶏郎

写真・左:「婦人の時間」を担当したアナウンサー・武井照子さん
写真・右:レコード会社に残っていた「真相はこうだ」の録音盤

 

戦時中、ラジオは国策の宣伝機関として戦争目的の遂行を国民に訴え続けた。そして敗戦を境に、ラジオ放送は占領軍の監督下、再出発することになった。ラジオが新しく生まれ変わった占領期、放送現場は何を模索し、何を放送していたのだろうか。当時の音源や、放送台本の発掘が進み、占領下のラジオ放送を実証的に検証することが可能になった。その中には旧日本軍の実態を知らせるためにGHQが直接、制作した「真相はこうだ」の録音盤や、政治や世相を風刺して圧倒的な人気を集めた「日曜娯楽版」の録音テープや放送台本がある。これらの番組の制作に携わった制作者が残した当時の文章からは、価値観の転換を強いられた戸惑いや、与えられた自由を真の自由に育ててゆこうとする意志を読み取ることができる。ラジオは、敗戦を境に、占領軍の監督下で再出発、民主主義という新しい価値の普及に大きな役割を果たした。その一方で、占領軍への批判は厳しく禁じられていた。活字メディアに比べ、放送のGHQによる検閲の実態は不明であったが、原爆や米兵犯罪に関する報道規制など、今回、関係者へのインタビューで、初めてその実態が明らかになった。民主主義の普及と、GHQによる検閲。ラジオは矛楯を抱えながら再出発した。それは、アメリカのラジオとしての出発だった。そして、アメリカの占領政策が、冷戦の進行の中、民主化・非軍国主義化から、反共に重心を移す中で、ラジオは再び政治の力学に翻弄されてゆくことになる。その中で鋭い社会風刺で人気を集めた「日曜娯楽版」が消えて行った。これまで、占領下の放送については、制度史に力点を置いて描かれてきた。この番組では、何がどう放送されたのか、アメリカの対日政策は放送にどう影響していたのか、占領下ラジオ放送の現場に光りを当てる。放送の公共性とは何なのか、占領下ラジオが残した問題は、今日、なお重い。

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