6月27日(日)放送
よみがえる戦場の記憶 〜新発見 沖縄戦600本のフィルム〜

写真:読谷村・1945年4月2日 米軍上陸直後に撮影
(写真左:伊波トミさん、“集団自決”から逃れる為に隠れていたガマ(壕)から出てきた直後に撮影された。

 

伊波トミさん、“集団自決”から 左写真:
包帯を巻いた少女・・・
今回の取材で戦争孤児の、ひとりの女性である事が解った。
その女性は、孤児院で名前をつけられ、今、自分の本当の名前を探し続けている。
(1945年6〜7月ころ 沖縄市の野戦病院で撮影)

65年前、住民を巻き込んだ激しい地上戦が戦われた沖縄。その戦場を記録した600本の新たなフィルムが見つかった。沖縄県公文書館の調査で、多くのフィルムが米国立公文書館に眠っている事がわかったのだ。1980年代に沖縄1フィート運動の会や沖縄県公文書館などが収集した350本のフィルムは、沖縄を記録した映像の一部に過ぎなかったのだ。NHK沖縄放送局は、3年前から沖縄戦を記録した全てのフィルムの収集を続けてきた。

新たな映像の中には、これまでなかった日本軍の秘密兵器の映像や、“戦争孤児”の学校、そして多くの沖縄の住民たちの姿が記録されていた。沖縄戦資料の研究を続けてきた琉球大学の山内栄さんは、フィルムはアメリカ軍が記録や宣伝の為に撮影していたと言う。しかし、戦後65年たった今、映像は、人々が封印してきた戦場の記憶をよみがえらせようとしている。

その瞬間に何が起きていたのか?フィルムに写っている人を探す為に、沖縄各地で上映会を行った。多くのフィルムが見つかった事は、沖縄で大きな波紋を広げた。 誰にも語れなかった家族の“集団自決”。名乗り出せなかった“戦争孤児”としての過去。そして戦場での悲劇を乗り越えようとする人々。 フィルムは、戦場の記憶を呼び起こすとともに、戦後の生きざまをも浮かび上がらせた。沖縄戦を記録した未公開の600本のフィルムをたどり、写された一人一人の沖縄戦と戦後の人生を見つめる。

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