4月12日(日)放送
鶴見俊輔 〜戦後日本 人民の記憶〜

写真:鶴見俊輔さん

 

哲学者・鶴見俊輔(86歳)は、自分より先に逝ったさまざまな人に追悼文である「悼詞」を発表してきた。1951年、銀行家・池田成彬から2008年、漫画家・赤塚不二夫まで57年間で125人にも及ぶ。高橋和巳、竹内好、志賀直哉、寺山修司、手塚治虫、丸山眞男、小田実など戦後日本で一世を風靡(ふうび)した人物たちに送った悼詞だ。半世紀以上に渡って書き続けてきた「悼詞」を改めて見て、鶴見は逝く人たちからさまざまな知恵と思いを授かったことに感謝すると共に、今、生きている者の使命として、まだ語り残さなければならないことがあるという。

鶴見俊輔は、知識人の戦争責任を問う「転向」など、常に戦後日本社会に鋭く切り込んできた。60年安保、ベトナム反戦運動など精力的に活動し、ふつうの市民と共に走り続けた。そんな鶴見にバトンを渡した死者125人の「戦後精神」を見つめ、鶴見の行動の軌跡をたどりながら、戦後精神史の前線を描く。長時間インタビューと今も精力的に活動する模様をドキュメントしていく。死を意識した鶴見俊輔が語り残す言葉は、急激な変化が進む今、日本の戦後の貴重な証言である。未来へのメッセージとしたい。

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