3月15日(日)放送
犬の記憶 〜森山大道・写真への旅〜

写真・左、中:写真家・森山大道、新宿歌舞伎町にて
写真・右:森山大道「犬の町」(1971)より

 

まるで淋(さみ)しき野良犬のように、時代の路上をさすらい続ける写真家森山大道。1960年代のデビュー以来、徹底して都市の路上スナップにこだわり続けてきた森山の写真が、今、世界的注目を集めている。パリ、ニューヨーク、ブエノスアイレス、ハワイ、東京・・・。なまめくモノクロームの世界に、日々、凶々(まがまが)しく変貌(へんぼう)を遂げる都市と人間たちのありさまを、まさに犬の眼(め)で記録した圧倒的な作品群。昨年秋、70歳を迎えた森山は、これまでの集大成ともいうべき新シリーズ、「TOKYOオン・ザ・ロード」の撮影にとりかかった。京成立石、三ノ輪、南千住など東京の下町からライフワークである新宿の路上へ、らせん状に東京を撮り尽くす予定だ。写真とは記憶と現在のゆくりなき邂逅(かいこう)だと森山はいう。番組では、森山の写真家的日常に密着しながら、大阪釜ヶ崎、東京新宿、青森三沢など、森山の生きた都市と時代の記憶を辿って、その写真の世界を旅していく。それは、虚(うつ)ろな現代日本の失われた未来を探し求める、写真の旅である。

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