6月15日(日)放送
アンジェイ・ワイダ 祖国ポーランドを撮り続けた男
 

写真:アンジェイ・ワイダ監督

 

歴史的傑作「灰とダイヤモンド」から50年、アンジェイ・ワイダ監督の最新作が完成した。

今年度アカデミー賞外国語映画部門にノミネートされたその作品は『カティン』。1940年、旧ソ連で起こったポーランド軍将校の虐殺事件、「カティンの森事件」の真相に迫るものである。事件は、当初ナチスドイツの蛮行とされてきたが、1990年ソ連が関与を認めた。社会主義政権下のポーランドでは50年の間、タブーとされて来た事件である。しかし何故今、ワイダ監督がこのテーマに挑んだのか。「私はこの映画を両親に捧げる。父はポーランド歩兵連隊長としてカティンで殺された。母は亡くなるまで父の死を信じなかった。私は年老いた今、母が毎日何を思い、願っていたか、ようやく分かるようになった。おそらく、それが運命として、人生の最後に『カティン』を撮る理由だ」

ワイダの作品には激動の20世紀、大国に翻弄されたポーランドの姿が刻まれている。「灰とダイヤモンド」では終戦後のポーランドを支配した社会主義政権への抵抗を描き、「大理石の男」ではスターリニズムの嘘に立ち向かい、「鉄の男」では生まれつつあった“自由”への萌芽を見つめた。

番組では、ワイダに単独ロングインタビューを敢行。最新作「カティン」へ至るワイダの生きた道筋を探る。またクラクフのワイダアーカイブに埋もれていた「検閲議事録」や「手帳」「絵コンテ」など秘蔵資料を初公開。そこに見えてくるのは、度重なる検閲をかいくぐりながら映画を撮り続けたワイダの表現者としての姿であり、また、激動のポーランドに生きた一市民ワイダの、喜びと悲しみに満ちた生涯の物語である。

語り 広瀬修子アナウンサー

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