5月11日(日)放送
アンコール(2008年2月17日放送) 人間国宝 弥生の謎に挑む
 

写真左:木器の再現に取り組む人間国宝・中川清司さん
写真右:出土した弥生時代の木製品

鳥取県の弥生遺跡・青谷上寺地(あおやかみじち)遺跡は、土壌が特殊な粘土質のため、普通なら腐ってしまう木器・鉄器・人骨が大量に出土、三内丸山級の価値を秘めた「弥生のタイムカプセル」といわれる。一方、狭隘(きょうあい)な湿地から1万2千点もの精巧な木器が出土したため、その「謎」に考古学界の関心が集まっている。誰が、何のために、どうやって美しい木器を作ったのか。そしてこの集落はどんな役割を持つ村だったのか。 その謎を解こうと、出土した木器の復元に3人の人間国宝が挑もうとしている。川北良造、村山明、中川清司という国内最高峰の木工芸作家たちだ。さらに気鋭の考古学者たちが協力に名乗りを挙げた。

人間国宝の強い希望で、ノミや小刀など工具も遺跡出土鉄器の復元品を使う。その気迫の作業から弥生人の「木」への造詣が読み解かれ、さらに日本人がなぜ「木の文化」を作りあげたのか、原点が浮かび上がる。

一方、学者達の最新の研究は、この遺跡が高い技術を持った日本最初期の「職人」が活躍する場だったこと、材木など原材料の搬入・加工品の海上輸送を最優先の機能とする「工房中心の集落」だったことを明らかにしつつある。従来の稲作中心の弥生時代観を大きく変える、新しい知見である。

番組では、青谷上寺地遺跡の謎をひもとくことで、商工業に彩られた新しい弥生時代像を提示するとともに「モノ作りの国」そして「木の国」である日本の原点に迫る。

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