4月13日(日)放送
神聖喜劇ふたたび〜作家・大西巨人の闘い〜

写真左:対馬の重砲兵連隊跡を訪ねる大西巨人
写真中:大西と俳優の西島秀俊
写真右:神聖喜劇の主人公を演じる西島秀俊

「神聖喜劇」。原稿用紙にして4700枚、全5巻からなる作家・大西巨人の長編小説である。みずからの長崎県対馬での軍隊経験を基に、陸軍内部の理不尽さを、初年兵の痛烈な批評眼からあぶり出した作品。重厚かつユーモアにあふれ、戦後文学の金字塔と言われる。

その「神聖喜劇」がいま再び脚光をあびている。 一昨年漫画化されると若者を中心に多くの支持を集め、日本漫画家協会賞および手塚賞を受賞。また脚本家の荒井晴彦が映画のシナリオを完成させた。

俳優の西島秀俊も「神聖喜劇」に魅せられたひとりだ。70年近く前の軍隊での出来事に、今とつながるものを感じたという。 大西は現在91歳。埼玉県さいたま市に妻とふたりで暮らしている。この3月には、みずからの原点とも言える場所・対馬を再訪した。創作意欲は衰えることなく、今も新たな小説に取り組んでいる。

戦争とは何か、人間とは何か、日本人とは何か。考え続けてきた大西巨人。番組は、「神聖喜劇」の世界を朗読劇によって描きながら、闘う老作家の姿を見つめる。

朗読 西島秀俊・塩見三省・伊藤淳史

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