3月23日(日)放送
フィールドへ!異文化の知を拓(ひら)く〜国立民族学博物館の30年〜
 

写真左:みんぱく外観
写真右:みんぱくのアフリカ展示室

大阪・吹田の万博記念公園内にある国立民族学博物館(通称:民博=みんぱく)が、2007年11月17日に開館30周年を迎えた。
みんぱくは、文化人類学(民族学)の研究と展示を通して、他民族についての理解を深めることを目的に1977年に設立。世界の様々な地域をフィールドワークする60人近くの研究者が所属する研究所と26万点もの所蔵品がある博物館を併設する世界唯一の存在である。

西欧で生まれた民族学は、当初植民地政策と切り離せないものだった。
しかし他民族への一方的な視線による調査・研究は厳しく批判され、さまざまな文化の構造や意味を理解するため、その研究活動の対象領域は多岐に渡るようになった。ひとつの民族のなかにもさまざまな文化が意味をもってあることを認識し、文化人類学者のフィールドワークは無限なまでに広がってきている。また近年、文化人類学の社会貢献のありようも問われるようになり、旧来の民族学といわれたころよりも、その研究活動は大きな変貌を遂げてきている。
みんぱくでも、タイに進出した日本企業が地域にどんな影響を与えているかを調査したり、新潟中越地震の被災地域で調査を行う災害人類学や、マラリア対策を有効に進めるための医療人類学・開発人類学など、新しいフィールドでの研究が意欲的に進められている。

番組では、探検家の関野吉晴さんが案内役となり、みんぱくの収蔵品や世界中で撮影された諸民族の映像を紹介しながら、みんぱく30年の軌跡と文化人類学(民族学)の歴史を振り返るとともに、みんぱくの文化人類学者たちとの対話を通じて、「異文化を理解し、共生していくことの大切さ」を考えていく。

ナビゲーター: 関野吉晴(探検家・武蔵野美術大学教授)
出演:鷲田清一(大阪大学総長・哲学者)、松園萬亀雄(みんぱく館長)、 佐々木史郎(みんぱく教授)、吉田憲司(みんぱく教授)、関雄二(みんぱく教授)ほか

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