3月9日(日)放送
小田実 遺す言葉
   

写真左:小田実さん(病室にて)

2007年7月30日、作家小田実が胃がんのため亡くなった。 余命数か月を宣告された小田は都内の病院に入院する際、200人の友人たちにがんであることを伝え、別れの手紙を送った。

「もうデモに参加したり、集会でしゃべったりしてみなさんに会うことはないが、最期まで執筆は続けたい。みなさん、生きているかぎりお元気で」。

覚悟の闘病生活…小田は「自分には遺(のこ)しておきたいことがたくさんある」と、治療の合間の撮影を提案した。 「何でも見てやろう」で一世を風びし、ベトナム反戦運動、阪神淡路大震災の議員市民立法実現などで精力的に活動し、小説、評論、紀行文、エッセイ、翻訳と多くの作品を書き続けた小田実。 最期の力を振り絞って病床で語り続けた。 小田は急激ながんの進行と戦いながらも、大きく世の中が変わろうとしている節目の今だからこそ、語らねば死ねない、という思いで「最期に遺す言葉」を語り遺(のこ)そうとしたのだ。

激動の戦後日本を、常に最前線で体を張りながら語り続けてきた小田実。今、彼は何を日本人に遺(のこ)そうとしたのか。これまでの行動と言説の意味を改めて浮かび上がらせながら、「最期の言葉」の一つ一つに肉迫。“全身表現者”小田実のラストメッセージを伝える。

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