11月11日(日)放送
朝鮮通信使 400年の真実

写真左:今年5月、韓国釜山で再現された朝鮮通信使の行列
写真中:今年8月、対馬アリラン祭(長崎・対馬市)より
写真右:朝鮮通信使と日本の外交官の交流を再現したドラマ。
別れのシーンで、朝鮮通信使が儒者の誇りである帽子を日本の外交官に贈る。

朝鮮通信使400年にあたる今年、日韓双方で通信使の再現行列が行われるなど日本と朝鮮半島の絆を見つめる機運が高まっている。鎖国時代に260年にわたって続いた朝鮮通信使による交流。それは豊臣秀吉の朝鮮への出兵によって国交が断絶された後、徳川幕府による戦後処理交渉によって始まった。400年前の外交交渉は、東アジアの良好な秩序はどう築かれるべきかを考える上で、今も多くの示唆を与えてくれる。

交渉は当初、両国のメンツがぶつかり合い、難航した。この間の朝鮮王朝の苦悩と戦略立案の会議の様子が、「朝鮮王朝実録」に記されている。対馬の宗家が複雑な交渉にあたり、国書の改ざんにも手を染めた。最近、研究者によって、この国書改ざんには日本だけでなく、朝鮮王朝も関わっていたことが明らかになってきた。両国は知恵によって障碍を乗り越えていたのである。

その後の盛大な交流は、絵師達が描いた多くの絵巻などに記録されている。当時の幕府財政の一年分相当を費やして迎え入れた通信使、その交流を示す多彩な資料と街道沿いに名残の建物が残っている。華やかな交流の蔭で、二国間の関係はどのようにして成立していたのか。儀式や礼をめぐる衝突、ともに抱く相手を下にみる意識、両国は不信と信頼のはざまで揺れ、数々の論争や衝突が起きたが、対馬藩の雨森芳洲のようなその壁を乗り越える思想を持つ人物があらわれる。

番組は、国交正常化交渉とその後の交流の実態を再現映像も交えて興味深く描き、スタジオでは歴史の専門家が、アジアの今と将来を学ぶ視座で、再評価していく。

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