8月19日(日)放送
日本人と自画像〜東京芸術大学 4800枚の証言〜
   

東京芸術大学の卒業制作として描かれた「自画像」
写真左:山本磨理 2006年(油画・平成18) (1982.5.9〜)
写真右:北 蓮蔵 1898年(明治31) (1876〜1949)

東京芸術大学には、四年生が卒業制作に自画像を描く伝統があります。始まりは110年前の明治31年、東京美術学校以来今も続いています。その自画像を大学が買い上げてきたことで、明治から平成までの若者群像4800枚が保存され、世界に誇る貴重なコレクションとなっています。

膨大な数の自画像は、一筆ごとに自分を鏡に映し、『自分は何者なのか』を問い格闘した青春の存在証明です。この自画像には未来への希望と不安が映されています。明治・大正・昭和・そして平成、時代の軋(きし)みに翻弄(ほんろう)されながら自分を描こうとした若者たちの魂が詰まっています。

2007年は東京芸大創立120年の節目に当たり、NHKの番組と連動して自画像の展覧会が開かれます。大学の収蔵品は、一般には公開されていません。自画像を目にすることが出来る機会は、展覧会への出品だけですが、表に出る自画像は有名画家のものだけで、4800点の大多数が収蔵庫で眠ってきました。無名のまま生涯を終え、世に残る唯一の作品がこの自画像である例も多数あります。

人の目に触れることの無かった自画像の封印をとき、知られざる作家たちの人生を発掘します。そして、近代から現代まで、日本人がどう生きたかを見つめます。

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